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自前コピー、自前PR。自前広告の時代(全5記事)

「おおやけ・ばったり・お墨付き」 戦略PRの第一人者が語った、世論をつくるための3つのキーワード

コピーライター小霜和也氏と戦略PRの第一人者、本田哲也氏が対談しました。本パートでは、本田氏が「自前PRの時代」というテーマのもとで、戦略PRの極意について語っている。世の中の関心事と商品を結びつける方法とは何か?

そもそもPRは、自前の要素が強い

本田哲也氏:本田です。よろしくお願いします。この後、私のほうからは、「自前PRの時代」について話すことになっていますが、PRってそもそも結構自前的な要素が強いんですね。この後お話しますけれど、PRってことそのものが完全に人に投げちゃうというよりも、もともと自前要素が強いやり方なんだというのがあります。

あと、本を読んでいただいてない方も多いと思うので、特に戦略PRというものがどんなものなのかっていうところも含めて、今日は僕のほうから話をしようかなと思います。なるべく、今のすばらしい小霜さんのお話に連動性を持って話していきたいと思うんですけれど、心と技っていう話があって、本当にその通りだと思います。

じゃあPRという話になったときに、そこに何が加わるかというと、心と技にプラスして「世間」っていうキーワードが入ってくるのかなと思っています。「世の中」でもいいんですけど、いわゆる「世間体」の「世間」っていうことですね。

実は、PRっていうと、日本では色んな解釈があって、人によっても色々だと思うんですけれど、僕が思うに、あなたの商品やサービスと世間、世の中、これをコネクト、つまりつなげるということ。これが「PRの極意」だと思っています。

自分の関心事と「世間」には隔たりがある

どういうことかっていうのを話していくんですけれど、じゃあ、「世間」とは何か。「世間」とか「世の中」というと、「世の中の人がそう言っている」とか、「世間的にはさ……」って皆さん言いますし、気にしますし、何となくわかるようでぼやっとした概念なんですよね。

それはもう仕方がない。そういうものなんですけれど、ここで大事なことっていうのは、殊に今日のテーマである、広告とかコミュニケーションということでいうと、「世間っていうのはあなたの関心じゃなくて、みんなの関心で成り立っている世界です」っていう部分が大事ですね。「そりゃそうじゃん、当たり前じゃん」って思われるかもしれないですけれど、ここ、結構大事なんですね。

自分がすごくやりたいなと思っていること、つまり関心のあることと、世間一般、みんなが共通で関心を持っていることとか気になっていることというのは、案外隔たりがあります。殊に広告とか、自分のところの商品とかお店とか仕事を伝えたいなって話になると、みんな、自分の関心事に行っちゃって。

ちょっと常識を忘れちゃうというか、そうなりがちなんですよ。「そんなの、世の中の人はみんな関心ないですよ」と言っても「エッ、そうですか?」みたいになるんですね。

ここをまず認識することが大事で、PRっていうのは、ここを何とかつなげておこうっていう考え方だったりします。今、広告とかPRって言ってるんですけど、結構この2つはごっちゃになるので、ちょっとおさらいしておきます。

広告とPRの違いは「信頼性」にある

広告っていうものは、アドバタイジングと呼ばれるもので、基本的にはメディアの枠を買って、そこに言いたいこととか、コピーも含めたクリエイティブを表現したり、流していって伝えていくと。皆さんが目にするPRの最終結果っていうのは、例えば、報道記事であったり、テレビ番組であったりとか、あるいは口コミっていう形で世の中に現れます。

もうちょっと言ってしまうと、広告っていうのはもともと用意された枠をお金を出して買って、そこに自分たちが言いたいことを載せるというか、表現していくっていう、基本の基本はそういうことです。

ただ、PRは買えません。実際にどういうことをやるかっていうと、「こういうことを言いたいんだけれども、枠を買って、言う」というものではなくて、第三者ですよね。マスコミだとか、例えば、力のあるブロガーさんだとか、一般の方でもいいんですけれども、お金で買収はできないけれど、「この情報、面白いと思ったら伝えてくれませんか」って、平たく言っちゃうとそういうことを促していくのがPRです。

よって、「信頼性」が高い。広告についても色んな議論があって、一概には言えないんですけれども、やっぱり自分たちが言いたいことをお金を払って言っているというのは、「そりゃ、いいこと言うよね」っていう意味においては、人間だってそうじゃないですか。自己PRだとちょっと下駄を履くというか、「2割増しかな(笑)」みたいに思うのと一緒で、「都合のいいこと言うんじゃないの?」っていうのはついて回る。

ただ、PRというのは第三者を1回はさむので、自分の評判をお友達に言ってもらうみたいな感じになりますから、信用性というのはちょっと上がるわけですよね。その代わり、これはPRの弱点なんですけれども、コントロールしにくくなります。

情報がいつ出て、どこでどういう感じで出るかというのは100%はコントロールできないですよね。メディアとかに任せちゃうので。広告はその分、お金を払っているから当たり前ですけど、これは商取引ですから、「来週からこのぐらいのGRP、投下量でこういうメッセージを……」と出るに決まっている。100%をコントロールできるのが広告です。こういう基本的な違いっていうのはあるんですね。

おむつの事例から読み解く「空気づくり」

前回、そして今回も『戦略PR』って本を書いていて、その中で「空気づくり」っていうキーワードを使っているんですけれども、自分たちの商品とか、サービスとかで言いたいことを言うというよりかは、「世間」の関心に寄り添って、「空気」っていうのは非常に日本的な言い方なんですけれど、何となく世の中にある「空気」ってありますよね。

何となく世論があるとか、最近はマックの一件とかもあって食品には気をつけなきゃいけないとか、そういう世の中に流れている「空気」ってのがあると思うんですけど、どちらかというとそういうものをつくっていく方法論です。

今日、「自前PR」って話に行く前に、どうしても大きな企業の話になっちゃうんですけれども、例えばこういうことですよというのを、2つの事例で簡単にご紹介すると、1つは、業界では結構有名な話なんですけど、おむつのPRの成功例というのがあります。

商品はおむつで、おむつなので当たり前ですけれども、吸水力が上がって、それでもフィット感が従来品よりよくなったみたいなおむつがあって、それがおむつのいいところ、新しいところ、すばらしいところなんですね。

でも、さっきも言いましたけど、このおむつを「すごいっ!」って言いたいっていうのは、メーカーの関心事ではあるけれども、そんなにおむつの技術革新があっても、「ちょっと新しいおむつ出たよ」というのが普通に、世間一般の話題になりますか?

そんなことないですよね。他にもいっぱい知りたいことがあるし、知らなきゃいけない、やらなきゃいけないことがあるから、「おむつの技術がちょっと上がりました」って話は世間の関心からは正直遠いわけですよ。

「睡眠」という世の中の関心事と、おむつを結びつけた

じゃあ、どうするかっていうことで、実際にどう世間の関心を持ってきたかというと、このケースだと「赤ちゃんの睡眠」っていうものを持ってきています。

初めに始めたときに、今でもある議論ですけれど、子どもさんがキレるとかいう話が結構マスコミとかで出ていて、「何だ、それはどういうことなの?」っていうと、睡眠のリズムが狂っているとか、セロトニンの分泌が狂うとかっていう話があって、週刊誌とか報道とかで結構取り上げられていたんです。

それは、おむつがどうのこうのではなくて、「子どもとか赤ちゃんの睡眠が最近ちょっと狂ってきているかもしれない」っていうのは、世の中の関心だった。じゃあ、それとおむつを結びつけてやるっていうのが、メーカーの関心と世間の関心を結びつけるPRの戦略になったってことなんですね。

これは実際に出た報道と、PRの結果出たものの寄せ集めなんですけど、結局、世の中の関心があるところ、つまり「赤ちゃんの睡眠というと、色々こういう話題がありますよ」というところから入っていって、これはパンパースというブランドなんですけれども、そこから「今回のおむつが、いい睡眠を提供できるおむつである」というところに落とし込んでいき、やって非常に成功しました。

これも、最初から、「どうだ、このフィット感向上で吸水力も上がったおむつ、どう?」っていうのを話題化させようとしても限界があって難しいんですけれども、より広い世間の話題から入っていったということで成功しているっていう話なんですね。

50代女性の関心は「美魔女」にあった

もう1つあるんですけれども、もうちょっと皆さんにとって身近な食べ物で、ヨーグルトの成功例というのがあって、商品は、3年前ぐらいに出て今でも売っているヨーグルトなんですけれど、普通のヨーグルトじゃなくて骨、骨密度とか書いてあって、要はカルシウムとビタミンBがしっかり入っていて、特に女性は年をとると骨密度が下がっていっちゃうんですけれど、それを補えるという、いわゆる機能性ヨーグルトなわけです。

これは日本で出る前に世界では結構売れていたりして実績もあるので、満を持して「日本で発売するぞ!」となったんですね。当然ターゲットというのは、さっきのおむつは言わずもがな、「お母さん」ですけれど、この場合っていうのは50代以上の女性っていうことが決まっていました。

なぜなら、骨密度がだんだん下がってくるのは50代以上で、特に女性のほうが下がるというので、消費者としてのターゲットは50代以上の女性。ただ、3年ぐらい前を想像していただきたいんですけれど、世の中の特に50代以上がどんなところに関心があったのかというと、これなんですよね。

「美魔女」っていう言葉。骨の健康とか言っても、「そういうのって80代のおばあちゃんじゃないの?」みたいな話で、調査もちゃんとやっていますけれど、関心がない。むしろ、50代以上の女性の皆さんの関心は骨の健康とかどうでもよくて、どう美しくいるかとか髪の毛とか、ビューティーですよね。

50代といっても若いという時代なので、そういうところに関心があったということでギャップがあるわけですね。ヨーグルトメーカーが言いたいことと、世の中の関心とにはギャップがあった。

見た目年齢と骨密度をつなげたPRの事例

それでPRとして何をやったかというと、さっきのおむつの話と一緒で、それをつなげてあげなきゃいけないねというときに、美魔女みたいな話で見た目を気にしているんだから、「骨がスカスカなってきますよ!」とか言ったって、何も関心が起きない。

それならば、「骨がスカスカになっていくことが、あなたの見た目、美しさみたいなことと関係します」っていう話をつくんなきゃいけないわけですよ。どうしたかというと、「骨がしっかりしていると姿勢がいい」。おばあちゃんとか腰が曲がっていますけれど、骨密度が下がってくるとこういうふうになってくるわけです。

これを同じ人でCG加工して、「どっちが幾つに見えますか?」っていう調査を一般の人にやったら、同じ人なんだけど、やっぱり「ピンとしてる人は50代に見えるけど、腰が曲がっている人は60代に見える」っていう、実際にそういう調査結果が出た。

要するに、「骨のことをケアするっていうことは、あなたの見た目年齢につながりますよ」っていうことで、ヨーグルトができることと当時の世の中の関心というものをつなげてあげて、それをPRしていくっていうことをやりました。50代以上の女性が「この話、情報は、私に関係あるわ!」っていうことになって、新商品の市場導入にもうまくつながったという話です。

「関心テーマ」と商品をつなげる

ここから学べる大事なことって、PRって「PRしなきゃ!」って言ってすごくやるんですけど、やること自体が大切というよりも、繰り返しつなげるということが大事。我々、専門用語では「関心テーマ」と言っているんですけれど、要は、商品のいいところと、世の中がそのときに関心を持っているところとつなげてあげなきゃいけないんですね。

つなげるにはアイデアが必要で、それが、「赤ちゃんの睡眠というところを使おうよ」という話だったり「見た目年齢ということで、ヨーグルトと美魔女的関心をつなげよう」ってことだったりするわけですね。だから、やっぱりそこを考えるっていうのが実はバーッとPR活動を展開することの前に大事です。

今回もリニューアルした本でキーワードにしているんですけれど、「成功するには3つポイントがあります」と言っているんです。1つは「公」っていうキーワードで言っているんですけれど、これは「世間」と言っていますから、皆さんも何となくピンと来るんじゃないかなと思うんですが、公共性というか、いかに「お前だけの話じゃないよね」っていうふうにできるかです。

飲み会とかそういうところで自分の話だけずっとしている人って相当うざいですよね(笑)。皆さんは、そんなのが「うざいよな」っていう空気を読めると思うんですけど、これは結構、仕事上とかコミュニケーションの話になっちゃうと、その「うざい」ことを「うざい」と思わないで押し進めてしまう場合がすごく多いんですよ。そうじゃなくて、もうちょっと公の話を加えましょうというのが大事ですね。これが1つ目。

同じ情報に1日3回「ばったり」接触すると、人は信じる

2つ目は「ばったり」。偶然性みたいなことなんですけど、今、時代はどんどん情報が溢れている世の中になってきて、皆さん、ターゲティングもされるので、Amazonのレコメンドとかまではいいんですけど、すごく狙われた感じの情報ってやっぱり嫌だと思うんですね。

それがいかに自然な形で出てくるかっていうのが大事で、これはよく言う話で、でも科学的には証明されていないんですけど、「同じ情報に1日に3回ばったり出会うと、急に人は信じ始める」というのがあります。

例えば、朝、出勤前にテレビを見ていたらヨーグルトの話をやっていて「ふーん」と思って、会社とか仕事場に行ってランチしてたら同僚が同じ話をし始めると、「どっかで聞いた話だな。ああ、今朝見た話だな」となって、それが2回目。

それで家に帰って、夜、ネットを見ていたらよく見ているブログでまたヨーグルトの話が出てきた、みたいな。朝昼晩と三食じゃないですけど、同じ情報にばったりと出会ったという状況がつくれると、急に「これは、私に関係のある情報だな」というふうに心理的に思うっていうのはすごくありますので、「ばったり」の演出っていうんですね。

第三者からのお墨付き

最後は簡単で、「お墨付き」。自分ではない誰かに言ってもらうということです。自分がプロモーションで言うのではなくてマスコミだとか第三者の専門家だとか、さっきのおむつとかヨーグルトもそういう第三者のお墨付きを入れるというのが3つ目のポイントですね。

こういう場でこういう事例を出してお話すると、「戦略的になかなかおもしろい事例なんだけれど、やっぱりそれって大きなメーカーとか、何百万人にも売るような話ですよね」とよく言われますし、今のところ大企業の事例が多いというのは確かにあるんですけれど、でも今日特に強調したいのは、大企業だけの話では全然なくて、むしろ、理想を掲げる。お金っていう面でもそうですよね。

それから、人員っていうことでもそうですよね。スモールビジネスだったりとか、自治体とか、たくさん資金が投入できて何百人も何千人もいるような企業ではないところのほうが、実は自前でも取り組める手法だということなんですね。

これは後でも話しますけれども、冒頭に言ったように、PRのすごく専門的なノウハウがあるとか、よくある「あそこの有名なテレビ番組のプロデューサーを知っているんです!」とかっていうのは、大事ではあるんですけれども。

そんなことよりも自分のところの商品とかサービスが世間一般とどういうふうに関わるのかなっていうことをちゃんと考えられるかどうかが大事で、そこに大企業も中小企業もないんですね。

大企業でも考えられない場合はあるわけですよ。言ってしまえば、「何でこんな商品が出てきちゃったの⁉」みたいな。だから、企業の規模とか、どんだけお金を持っているかとかは関係ない。

大企業でなくても、新しい切り口を探すことはできる

例えば、さっき小霜さんのパートで出てきた整骨院。大きなメーカーからすると小規模で、しかもこれからオープンするんでしたかね。さっき小霜さんが例として出されていたコピーというので、PRの世の中との結びつきというのを考えてみると、例えば、これは僕が考えたんですけれど、何かこれに関連する世の中の関心はないかなと言ったら、例えばこういう話とかあるわけですね。

「スーパーシニア」って聞いたことがありますか? 「アクティブシニア」は聞いたことがあると思うんです。去年、報道でも結構出てきましたけど、それこそサッカーでもゴルフでも何でもガンガンこなすみたいな。実際に年配の方の運動能力が上がっていますよね。非常に喜ばしいことなんですけれど、これは、すでに世の中の関心としてあるわけです。赤ちゃんの睡眠の話とか美魔女の話と同じレベルであるわけです。

なので、さっきのような「どういう新しい関係をつくりたいか」ということをああいったコピーにしていくこの整骨院っていうのがあったときに、どういうふうに整骨院の存在とか目指しているところっていうのを、世の中とつなげていくかっていう1つの切り口としては「スーパーシニア」っていうのは使えるかもしれない。

というわけなので、大企業じゃないとこういう切り口は見つからないということでは全然ないっていうのはもう一度強調しておきたいなっていうふうに思います。

PRには「増幅効果」や「広がり」がある

僕のパートのまとめに入るんですけれど、あえて「自前PR」、つまり自前でもPRをしたほうがいい3つの理由っていうのをもう1回ちょっと整理します。

1つ目は「増幅効果」と言うとちょっと硬いんですけれど、すごく簡略して言うと、広告っていうのは枠を買った分でしか物事を言えません。だからお金をいっぱい持っていって、テレビCMをいっぱい流す。「あの雑誌も、この雑誌も、あの新聞にも出そう!」とやったら、それだけ「面」が広がるのでその分多くの人に伝わるという理屈になりますが、それだけお金もかかるんですね。

PRっていうのはもともと何を狙っているのかと言うと「増幅効果」、「広がり」を狙っているんですね。だから言い方を変えると、「この1つの商品のことだけで広がんないよね」と言う話だから、より世の中的な関心に目をつけるわけでしょ。

世の中的な関心だから、それが報道されたりとか口コミされたりとか、「そう、そう!」と言う人がいっぱい現れて、「勝手に」と言ったらちょっと言い過ぎですけど、どんどん話題が広がっていくという特徴を持っています。これが自前でやることの1つ目のいい理由ですね。

情報過多の時代における「情報価値」と「信頼」

もう1つは「情報価値」。これは、広告との違いのところで言った「信頼」の話ですけど、今、情報が溢れすぎているんで「質」の問題ですよね。情報をいっぱい出せばいいかというと、もちろん少ないよりも多いほうがいいのかもしれないですけど、その情報に価値がなきゃいけないんですよね。

ゴミみたいな情報をいっぱい出したってスパムと同じことなので、「じゃあ、何が価値があるの?」と言ったら、多分、信じられる情報であるとか有用な情報であるとか、単純に「これ、役に立つわな」っていう情報。その先に商品とかサービスが待っていても、ということですね。

ですから、信頼される情報になる、つくるっていう意味では、PRの役割というのは自前でやる価値というのは非常に高いと思うんですね。

広告に比べると、「コスト」がかからない

身も蓋もないですけれど、3つ目は、本当にこれに尽きるという「コスト」です。

「お金かかりません」というのはPRを生業にしている会社の代表として言ってはいけないことで、我々仕事をなくしてしまうんですけれども(笑)。小霜さんが言ったように「自前」の領域とプロでしかできない領域というのは、これは確実に残っていくので、我々の仕事もなくならないと思ってはいます。

とにかく広告という枠を買うところに投資するよりも、知恵と工夫とうまくPRを回していくと、一概には言えませんけど、10分の1ぐらいのコストで同じだけの効果か望めるっていう場合が非常に多いですよね。

だから、自前でやることでプロに頼まないからお金が節約できるという話もありますけれど、そういうちっちゃい話というよりも、媒体費をそれほど払う必要がないという意味で、自前でやるメリットというのがあるかなというふうに思います。

「商品のいいところ」と「世間の関心事」のお見合い

「ではどうやっていくの?」というのは本当はこれだけで2時間ぐらいしゃべっちゃう話なので、さらっといきます。今回リニューアルした本で10のステップというのを紹介しているんですけど、今日も、しつこいぐらいに言っちゃっているんですけれど、やっぱり何よりも「商品のいいところが何か、っていうところをもう1回突き詰めること」と「世の中、世間様の関心が今、何であるかということ」を同時にやることに尽きます。

どっちかを先にやってもだめなんですよね。ここはお見合いなのでさっきの事例でつなげたように、それとそれをつなげるというところ。僕らの仕事だと、ここに本当に2~3ヶ月とか平気でかけるんですね。大きな仕事の場合の特徴です。

なので、「よっしゃー! 新聞社、テレビ局に売り込みに行こう!」ではなくて、やはりここの作業というのが必要。そういう作業をした上でやっと「こういう専門家の人が味方になってくれるよね」とか「あのモデルさんがそういうこと興味あるっていう情報を得たから、このカリスマモデルが手伝ってくれるかもしれない」とか、そういう話になってくるわけです。

それをやっていって、そういう人たちを使う、あるいはこういうメディアを使って情報を増幅させようという設計図を描く。ここまでがプランニング、戦略策定フェーズというふうに呼んでいます。

「世間との関係」をどう定義し、つくっていくか

あとは、情報発信するところは色々なやり方があるので今日はあまり細かくは離さないんですけれども、基本的には調査とかをして、それに伴うコンテンツとかを作って、それをメディアとか口コミを介して世に広げていくっていうことをやりますよね。

それで効果を測定していく。こういうPDCAになります。ということで30分ではなかなか話しきれないんですけれど、ただ今日、僕自身がすごくお伝えしたいことは、皆さんの商品とかサービスと世間や社会との「関わり」を是非考えていただきたい。

さっき小霜さんが話の中で、非常に重要なポイントで、広告クリエイティブの話の時に、生活者、使う人たちとその商品とかサービスの新しい関係をクリエイトするということをおっしゃっていて。

「それを表現するのが広告クリエイティブだ」というのは、本当にその通りだと思うんですけど、PRの場合は、それに加えてというか、それとまた違う方向かもしませんけれど、今度は「世間との関係」ですよね。それをどう定義して、つくっていくかという話になると思う。

もう1レイヤー広い話かと思いますけれども、そんな話になります。なので、ここをやっぱりもう一回考えてみるということが自前PRするにあたっては、まずやんなきゃいけないことかなというふうに思う次第です。ちょっと駆け足だったんですけれど、PRのパートを終わらせていただきます。ありがとうございます。

ここらで広告コピーの本当の話をします。 宣伝会議

最新 戦略PR 入門編

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