2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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令和時代の必須スキル「情報発信術」。本イベントでは、起業やセールスで役立つ、SNSなどの情報発信のポイントが語られました。本記事では、『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』など著作多数、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザーとしても活躍する染谷昌利氏が、サクサク読み進められる文章の特徴を解説します。
染谷昌利氏:そして文章を書くための4つの型です。これは次のスライドにあるので、ここではさらっと説明します。三角形型、逆三角形型、ダイヤモンド型、小・逆三角形型(小咄)+ダイヤモンド型、そして「+α」でペンシルビル型です。どちらかというと「-α」です。
イメージ・かたちにするとわかりやすいと思うんですが、1つ目の三角形型は、主張・結論を言って、その理由を述べていく型です。これは会社とかでも、よく上司に言われる「いいから結論だけ言って。理由は後でいいから」みたいなことです。
「結果こうでした」と、ダメだった理由をつらつらと話して、まとまりがつかなくなって終わるのが、この三角形型だったりします。英語でもありがちですよね。まず結論だけをポンっと言って、その後、理由を言っていくかたちです。
2つ目が逆三角形型です。理由とか経緯をつらつら並べて、最後に結論を言います。「いいから。わかったよ」というパターンです。怒られそうだけど、例えば校長先生の話とか、あるいは結婚式での上司の(スピーチです)。「わかったよ。要は『おめでとう』って言いたいんでしょ」というものです(笑)。今、思いつきで話したので、2つしか論証が出ていませんが、こういうことです。
3つ目はダイヤモンド型です。これができたらいいですよね。最初に結論を言って、適切な理由を言った上で、もう1回「先ほども言いましたが最終的にはこうでした」で締めます。平行四辺形型、ダイヤモンド型、四角形型と、言い方は何でもいいですが、こういうかたちです。
そして、「これができたらなおいいよね」というのが小咄(こばなし)です。最初にちょっとした興味喚起を入れて、主張・論証・結論の型に持っていきます。最後のペンシル型(ストロー型)は、要はどこがメインでどこがサブなのかもわからないような話です。「これはやらないでくださいね」という意味で、「-α」と言っています。だいたいがこの「4+α」です。
これも具体的な話をしなければわかりづらいと思うので、(スライドを)持ってきています。なぜこんなことをやる必要があるかと言うと、人の話って振り幅が大きければ大きいほど印象に残るんです。例えば、旅行とかもそうですよね。
旅行と出張の違いと言えばいいのかもしれませんが、出張は最短距離で行って、最短で仕事を終わらせて帰ってくるので、思い出は何もありません。でも旅行って、どこどこのサービスエリアに寄って、場合によっては「パンクした」なんて言ったら、すごく印象に残りますよね。トラブルでもいいんです。そういう何かしらの寄り道・横道があることによって、人の頭には残ります。
(実際には)トラブルだと困りますが、知識や経験、いろいろな事例があればあるほど、相手の印象に残りやすいということです。だからスポンと結論だけ言って、理由も1個、2個だと、ぜんぜん覚えていません。そこにたくさんの蛇行が入っていくことによって印象に残って、「あの人の話、なんだかよくわからなかったけど、おもしろかったからもう1回聞きたいな」となれば勝ちなんですね。だから、そういうところを目指していくと好ましいと思います。
そして小咄です。芸人ではないのでおもしろくないというのと、自分のネタを解説することのつらさだけ最初にわかってもらえると。みんな苦笑いすると思います(笑)。
例えば、僕が『究極の鍛錬』という書籍の書評記事を書いた時のお話です。僕は当時、ひたすらベンチプレスで100キログラムを上げることを目指していました。スーツが入らなくなって「これはコスパ悪いな」と思って結果的に辞めたんですけど。
そんな時にこの本を読んで、タイトルに「鍛錬」が入っているじゃないですか。だからこそ最初に、「ベンチプレスとスクワットがあれば、人生におけるほとんどの問題は解決できると思っている染谷です。みなさん今日も元気に朝から筋トレしてますか」と入れたのは、僕流のご挨拶というか、ちょっとした小咄なんですよ。「何言っているの?」と思うんだけど、本文につなげていくための「つかみ」です。
あるいは駐車場の予約の話をする時。僕は車依存症なので、ちょっとしたところにも車で行くという大前提で「車依存症のみなさん、こんばんは。最近は徒歩10分弱のスーパーマーケットに行くのにもエンジンを回す染谷です。トレーニングジムでスクワットしたり、ランニングマシンで走るのって楽しいですよね」と。
「この人、何を言っているんだろう?」という多少の引っ張りを入れて、「駐車場って大切だよね」という話につなげています。こういうちょっとしたつかみを入れておくと、なんだろうと思って、その次の文章を読んでもらえます。そのきっかけを作り出すということです。これが、先ほど言った小・逆三角形型(小咄)です。
真面目に最初から結論を言われると、いいんだけど、何か暑苦しいというか「もうお腹いっぱいです」みたいな感じになってしまいます。なので、最初にちょっとしたつかみ、ユーモアを入れておくことによって「この人、ちょっとおもしろそうだな。話の続きを聞いてみようかな。読んでみようかな」という、きっかけが作れればいいんです。僕としては、100人に1人が笑ってくれればいいんです。
そして文章内のバランスを考えていく必要があります。タイトル(青汁と化学調味料)が、なんだこれという話ですが、これもつかみになっています。これを自分の中で意識してやる必要があります。
僕は「青汁と科学調味料」、あるいは「ジャンクフード」と言っていますが、教科書とか学術書とか哲学書とか、栄養がある文章って基本的につまらないんですよ。ちゃんと噛み砕いて読んでいくことによって何かしらのプラスはあるんだけど、すごくつらいんです。
一方で漫画とかワクワクするものって、いくらでも読み進められるじゃないですか。こういう両側面があることを認識した上で、きちんと分配しておく必要があります。先に言ってしまう癖があるんですが、要は青汁というのは教科書のような学術的なものです。読んでいて眠くなるようなものに、ちょっとした手軽でおいしいジャンクフード的要素を入れることによって、なんとか読む体力を持続させます。
読んでくれる人が学者だったら、ひたすら青汁を出しておけばいいんですが、みんながそうではありません。誰に伝えたいのかによります。ずっと真面目な話をしていて「飽きてきたな」と思った時に、ちょっと変化球を入れられるかどうかを意識しながら書いていくことが重要です。
面倒くさいことを書いていると面倒くさい人が好んで寄ってくるし、ライトなことばかり書いているとライトな人が寄ってくるので、それはそれでいいんだけど。自分が本当に伝えたいことを適切に伝えるためには、両方を入れつつ、バランスを取りながら内容を考えていく必要があります。
最初に僕が出しているセールスレターは、1時間で書いた雑なものです。きちんと書くには、さらに1週間くらい、書いたり削ったりして推敲します。ちゃんと誰かに納品するのであれば、「何かほかの表現ないかな。もっとおもしろい(文章の)構成はないかな」とか考えます。
先ほどお話しした『THE FIRST SLAM DUNK』ではありませんが、興味を持ってくれそうなトピック、トレンドのものはないかなと探す。ちょっとでも気持ちを動かすような仕掛け、ジャンクフード的なものを入れながらも、きちんと伝えるべきものを伝えていく意識が重要です。
また、大げさ度と違和感の部分もあります。伝えたい内容にふさわしい「大げさ度」を選ぶことが重要です。今回僕は、セールスレターを書くのにもプレッシャーがかかっているんです。なぜかと言うと、今日来てくれた人ががっかりしたら、「あのネタはなんだったんだ」という話になるからです。
あれは大げさに書いたんですね。それに対しての中身がちゃんと伴っていなければ、がっかりするんです。食堂もそうですよね。これも語弊があるんですけど、街の隅っこにすごく汚い中華食堂とか(があって)、期待せずに入ったのに「すごくおいしかった」となったら、感動値が上がります。サプライズなんですね。
でも、ある程度金額も高くて、そこそこ店構えもいいフレンチとかに入って、それほどおいしくなかったらがっかりしますよね。文章もそれと一緒で、適切な大げさ度があるということです。
(内容が)伴っていない人が、伴っていない言葉遣いをして、それを信じて見に来た人に、内容を見た瞬間にがっかりさせたくないんだったら。案内文あるいは導入文に対して、下の句もしっかり納得できるような内容を用意しておかなければ、人はがっかりします。(しかし)概要文が強くなければ、興味を持ってもらえません。
先ほどお話ししたように、恐怖を煽りすぎてオチがつまらなかったらがっかりします。「そんなにたいしたこと言っていないじゃん」ってなるんだけど、恐怖を適切に煽った上で、それを巻き返すような内容が入っていることによって、「すごく読後感がいい。読んでよかったな。聞いてよかったな」という気持ちになります。
そのバランスも、自分で何回も読み直して、恐怖の煽り方と内容が適正に合っているかを理解しておくことが重要です。
例えばSNSでも、言葉だけやたら強い人がいますよね。でも実際どうなのかを見た時に、がっかりすることが......あるやら、ないやらはあまり言いたくありませんが、ある場合は、「SNS上の言葉が強い人なんだな」という印象を与えてしまいます。それは、ビジネスなど生活するにあたってマイナスになるので、言葉の選び方も注意したほうがいいと僕は思っています。
いい意味で、「思っていたよりよかった」という気持ちをちょっとでも積み上げていくことによって、その人や、その媒体に対しての信用度は上がっていきます。毎回言葉だけが強くて中身が伴っていなければ、その人、あるいはそのメディアに対する信頼度は下がります。
僕はユーモアの説明をするのはすごく嫌なんですけど、ちょっとした息抜きというのは、文章が長くなればなるほど入れておいたほうがいいです。ただし芸人ではないので、おもしろいことをやれと言っているわけではなくて、ちょっとクスッとしそうなことが入っていればいいということです。
あるいは、100人にウケろと言っているわけではなくて、この文章を読んでくれた人のうち、1人、2人が「感性が合うな」とか「わかるわかる」みたいな共感を持ってくれれば、成功だと思ってもらっていいです。
文章って、意外と人間性が出ます。僕は匿名で、名前を出さずに寄稿している時があるんですけど、仲がいい人の中には、僕の文章だとわかる人もいます。「ここのオチのつけ方とか皮肉の言い方がそれっぽい」と言われて、僕はノーコメントで通すんですけど(笑)。
気づく人は気づくんだなというのがあるので、そういう自分の好きなこととか、『THE FIRST SLAM DUNK』でもいいんですよ。見ているであろうと思っている人に対して発信するなら、そういうキーワードを散りばめておくことによって、「この人も見ているんだ」と、ちょっとでも共感を生んでいくことです。
そうは言いつつ、僕は『THE FIRST SLAM DUNK』を見ていないんですけどね(笑)。ここまで言っておきながら、見ていないというね(笑)。僕は天邪鬼なので、みんなに「見ろ見ろ」と言われたら、見たくなくなる体質です。ストーリーは知っているので見ようかなと思いながらも、結局見ませんでした。
これがちょっとしたユニークさです(笑)。こういうのを、一発で笑わせようというのではなく、積み上げて積み上げて、ちょっとしたことでクスっとさせるということです。
僕は今のネタ話をするために、ずっと話していたわけですね。文脈として持っていて、「この人、スラムダンクが好きなんだろうな」と思わせつつ、見ていないという。だから、これにハマる人はクスっと笑うし、わからない人はそれでいいという考え方で僕は伝えているし、話しているし、書いています。
ここで90分間真面目な話をしたら、みなさん疲れるんです。そして寝るんです。飽きるんです。だから、こういう息抜きの場所を文章の中にところどころ入れておく意識が大切です。(ユーモアの事例ですが)自分のユーモアを説明するのって、本当に嫌なんですよね(笑)。みなさんもやってみてください。これ以上の辱めはないし、体温が上がります。
これは僕の文脈を知っている人に向けて書いていることです。僕は一時期「締め切りは伸ばせる」とTwitter(現X)でよく言っていて、「編集者さん本当にごめんなさい」と、ずっと思っていたんです。
例えば、セミナーがありますよと。「今年の僕のキャッチフレーズは『締め切りを守る子』なので、圧倒的に早いタイミングで内容だけ決めました。19日の沖縄セミナーの方はまだ手付かずです、スミマセン」と言うと、「締め切り守れるんだ」みたいな。ちょっとした人が笑ってくれればいいんです。
スライドって、普通は要点しか書かないですよね、僕はスライドなのに1万字を超えています。あり得ないんですけど、「台本かよ」みたいなセルフ突っ込みを入れておきます。こういう穴というか、読み手が突っ込めるような場所を残しておくと、ちょっと心が動きます。「おもしろい人かもしれないな」と。長くなればなるほど、こういう多少のエッセンス、息抜きの場所をどこかに入れておく必要があります。
そうしなければ、人は読み切れません。1冊の本を読むのも、いきなり1時間、2時間で読めません。やはり、休み休み読みます。スッと読めてしまう本には、何かしらそういうフック、仕掛けがあります。これに気づいて、「スッと読めた本ってどうなっているのかな」と、振り返って構造を見てもらうと(いいと思います)。中盤くらいにお話しした、「いい文章にどれだけ触れて練習できるか」というところです。「これってそういう意図で書かれている文章なんだな」というのに触れることができると、自分の中の理解が深まります。解像度が上がるということですね。
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