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「あなた流キャリア」の歩み方 ~自分の中にある「答え」を見つけよう(全3記事)

転職するたびに前の会社に戻ろうかと… 人事のプロが教える、キャリアの“無限ループ”の脱出方法

本の学びを深めるオンライン講座「flier book camp」を運営する株式会社フライヤーが主催した本イベント。「今の会社に不満があるわけではないけど、漠然とした不安がある」「自分が本当にやりたいことがわからない」といったビジネスパーソンの悩みを解決するヒントをお伝えします。本記事では、株式会社 We Are The People代表取締役の安田雅彦氏と、株式会社フライヤー執行役員の久保彩氏が、個人がキャリアについて考えることの価値を語りました。

人事のプロ・安田雅彦氏が登壇

久保彩氏(以下、久保):人事のプロといえばこの方ですけども、今日のゲストは安田雅彦さんです。

安田雅彦氏(以下、安田):よろしくお願いします。本当にみなさん、いつもありがとうございます。

久保:私と雅さんは、もう何回このセッションをやらせていただいているかわからないです。最近だと企業さんの中でクローズドでセッションをさせていただく機会も多々あります。そういった時にも、個々人のキャリアにフォーカスしてお話しいただいております。

今日のテーマは「『あなた流キャリア』の歩み方」ということで、「自分の中にある『答え』を見つけよう」というセッションなんですが、みなさんにはなぜご参加されたのか、あるいは「あなた流キャリア」と言われて、どんな疑問が湧いてくるのかをチャットに入れていただければと思います。

雅さん、このキャリアのお悩みがたくさん来ると思いますので、後半はそちらにお答えいただく時間をとりたいと思います。

安田:ガンガン答えましょう。

スーパーマーケットから外資系企業まで渡り歩いた安田氏

久保:はい、そうですね。簡単に自己紹介をさせていただきますと、私、株式会社フライヤーの執行役員で、新規事業とカスタマーサクセスの2つのセクションの責任者をしています久保と言います。そして雅さんも自己紹介をお願いします。

安田:はい。私は1989年の学卒なので今56歳なんですけど、最初は西友という日本の会社にいて、そこから10年ぐらい人事をしていました。最初は3年くらい西友荻窪店で家電販売をやっていたんですよ。

そして家電販売からいわゆる人事異動で人事になる。西友の人事を10年ぐらいやって、2001年にグッチに。2001年はスーパーマーケットがけっこう斜陽になっている時期で、それでプロの人事として生きていきたいなと思って外資系人事に踏み入れたのがグッチですね。当時はグッチグループジャパン、今のケリングジャパンですね。

そこからずっと外資系でジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ、最後はラッシュジャパンの責任者で気づいたら30年ぐらい人事をやっていました。外資系の高い給料につられて、今さら転職するのもどうかと思い、だったら「日本中小企業、人事部の無い企業のためにこれまで培ってきたものをぶつけてみよう」と一念発起して起業したのが2年前です。

今、会社は3期目ですね。主に日本の中小企業の人事コンサルと、こういう機会でみなさんの前でお話ししたりして、日々生きているという感じでございます。

久保:ありがとうございます。人事のプロということで、(普段は)人事の方々のご支援もされていらっしゃいますけども、今日この場は主に、私も会社に勤める身なのですが、あるいは独立されている方やフリーランスの方もいらっしゃると思います。

自分のキャリアに向き合っている人向けの場で、なにかしらの悩みがあったり、あるいは見直したいなと思ってらっしゃる方が集まっています。そこに向けてお話いただきます。

同じところをぐるぐる回るキャリアの悩み

安田:最近は「キャリア、キャリア」とうるさいけど、何なんだと。「自分のキャリアは何なんだろう」というような人ですかね。先週の打ち合わせでも言ったんですけど、そもそもキャリアプランと言われてわかっている人よりも、どっちかというとちょっとモヤっているような人に向けても、両方話したいですよね。

久保:そうですね。キャリアと言うと、私もそうなんですけど、らせん階段をイメージしていくといいなと思っています。同じ人でも、グッと何かが見えて「あとはもうそこに集中してアクセルを踏むのみ」と思える時もあれば、そこをぐるっと回っているうちに、「あれ、なにか見えない」というフェーズに入る時もあって。それがしかも何回も巡ってくるという印象があります。

安田:まったくそのとおりなんですが、実は僕はブラジリアン柔術を始めたんですよ。

久保:えっ、そうなんですか(笑)。雅さんはプロレスがお好きというのは知っていましたけど。

安田:なんかその先入観が邪魔しているんですけど、ブラジリアン柔術を始めて、僕はもともと格闘技が好きで、もう歳も56歳だし、定期的にきちんとなにか運動をやりたいなと。あとなんか習い事をしたいなというのもあって、ブラジリアン柔術を先月からやり始めたんですけど、もう絶望的にうまくいかないんですよ。

しかもほら、ずっと格闘技が好きだから、自分のイメージしているとおりに「こうやったらいいんだな」とか言ってやるんだけど、実際やってみたらとんでもない。

もう30代半ばのお兄ちゃんたちに歯が立たないわけですよ。柔術って寝技の格闘技だから、上から押さえられて、技なんかかけられていない、上からのしかかられているだけで「ちょっとタイムタイム!」「ゼーゼー」みたいな感じで。

毎回終わると「なんで俺、月謝を払ってこんなことをやっているんだろう」「いや、もう駄目だ」と思うんだけど、うちに帰ってきてYouTubeかなんか見て「次はうまくいきそうだな」「よし、きっと絶対次はうまくやってやる」と。それで次も行くとまたメッタメタにやられて「駄目だー」みたいな感じになるわけです。

転職するたびに「前の会社に戻ろうか」と考えていた

安田:そこで「これ、キャリアに似ているな」と思ったんですね。僕の講座も今回3回目でみなさんいろいろ「刺さりました」とかって言うけど、実際そんなにバシーッと見通しがいい人なんてほぼいないと思うんです。

それはもう毎日大変でモヤっているわけです。仕事もあるし、上司は鬱陶しいし、いろいろあるんですけれど、「俺もそうだったな」と思って。考えたら今でこそ人事のプロとか言ってみんなの前で話しているんですけど、節目節目では本当に大変。

僕は4回転職しているんですけど、すべての転職先で1ヶ月以内に前の会社に戻ろうかと思っているんです。「失敗した」「いやぁ、もうJJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)に戻れないかな」とか思って。

久保:雅さんでも?

安田:でもやっぱり「まぁでも、ここで戻ったら格好悪いしな」とか「もうちょっとがんばってやってみるか」みたいにムーブムーブで動いて、気づいたらなんとなく自分の登りたい山にちょっとずつ足はかかっていたなという感じはあるんですね。

柔術もそうで、「いや、もう本当に無理!」って思うけど、「もう月謝払っちゃったしな」「道着も買ったし、みんなに『ブラジリアン柔術やっている』って言ったから、今辞めたらかっこ悪いしな」と思いつつも、たぶんこれで正しく努力を続けていけば絶対うまくなると信じているわけですよ。

やはりそういう感じでキャリアも歩んでいけたらいいんじゃないかなと思っているし、自分も過去そうだったなと。でも確かに、前に進んでいくためのノウハウというか、考え方というのはある。自分自身が人事の責任者として社員のキャリアとかを考えてきた時に、やはりそういうのはあるのでね。

そういうのはこれまでの「flier book labo」で学んだことをみなさんにシェアしたから、一緒に山を登っていきたいなという感じですね。

人事のプロが語る、キャリアを考えることの重要性

久保:そうですね、今日はこの1時間の中で、ノウハウの一部を見せていただこうと思っています。先ほど雅さんにスライドを見せてもらったら、かなり凝縮したスライドをご用意いただいたんです。

先にみなさんにお伝えしちゃうと、今雅さんが言われたところに、雅さんのメソッドの一番の特徴があると私は思っています。一連のワークなり、考え方をインプットすると、「絶対できる」と思える状態になるのが、雅さんのセッションの特徴だと思っています。

それは過去の振り返りもうまく取り入れてらっしゃるからですし、やはり未来を描いてもできるって思えなかったら意味ないので、どれだけできると思えるかなんです。そこのエッセンスが入っているのが雅さんの考え方だなと思うので、じゃあ雅さん、具体的に少し見せていただいてもいいでしょうか?

安田:じゃあちょっと今から8万円分のエッセンスを見せますから(笑)。チョロっとですよ、チョロっと(笑)。

久保:割増しちゃっていましたけど。はい、どうぞ(笑)。

安田:これは私の自己紹介で、もう本当に人事のプロって誰が言ったか知らないですけど。かっこいいなと思って僕も「いやぁ」とか言いながら、「そうだよな」といつも思っているんですけど、僕は基本全部やっています。

25歳でこの仕事を始めて、新卒採用の説明会のオーガナイズから、最後は経営の人事、俗に言うCHROと言われるところまでほぼ全部やっているので、自信を持って参加してくださいという、ただ自慢したいだけのスライドです。ちなみに、僕は見た目が奇抜なので、最近は動画に出ることがけっこう多いかなと。

結局戦略人事とか、これはキャリアには関係ないような話なんですけど、実はつながっていくんですけどね。結局今、人的資本経営、戦略人事とかってよく言っているじゃないですか。

一人ひとりのキャリアの意識変革が、組織を変える

安田:それは何かと言うと、要するに将来行きたいところ、例えばこういうビジネスでこれぐらいの規模を増やしたいとか、今日本でしかやっていないのをグローバルで展開したいとか、サステナビリティとか、いろいろあるんですけど。これがビジネスゴールだとして、それをたまたま証拠として結果を数字で表しているという話で、パーパス経営と言われるように、数字とか利益はあくまで結果。

とにかくどこに行きたいんだというのを写実で描いたものがビジネスゴールで、そこに行くためには、組織には能力が必要なんです。

ここにケイパビリティ(能力)って書いていますね。ここの行きたいところに行くための組織能力とは何かを特定して、かつ、今の組織を見てみると、そこには当然ギャップがあるわけですよ。

だって、それがあったら行っているわけだから。まだ行けていないところに行くんだから、そこに必要な能力は今は無い能力で。これを組織が培うとすると、やることは2つしかなくて、育てるか採るかしかないわけです。

自然にふわーってならないから、当たり前ですよね。これがまさに戦略人事であり、人でビジネスを伸ばすということなんですね。難しいことをシンプルに言っているだけなんですけど、でもやはり本質はシンプルなんです。

昨今すごく大事なことは、結局一人ひとりがそれについてどう思うかなんですね。最近湧き上がっていますけど、50年ぐらい前から人的資本経営みたいな話はあって。ただ、そこでは企業側の目線であったと。

つまり、企業の行きたい方向という「都合」で人材育成とかも考えていたんですけど。今時はもうそれじゃ通用しなくなってきて、働いている人たちも「私はこの船に乗りたい。なぜならば私もそういう人間でありたいから」という、この気持ちをどう育むかなんですよね。

つまり一人ひとりがキャリアに前向きになることが、結果的には組織集団の能力を向上させて、最近のパーパス経営で言うようなビジネスゴールに、価値の創出につながっていくという話なんですね。だから個人のキャリアも一緒なんですよ。

より良いキャリアとは「自分らしく働く」こと

安田:なりたい私、その時に必要なもの、今の私。このギャップは勝手に埋まらないから、自分の成長をどう伸ばすか、どこから得るか、何をもとにそれをやっていくかと。まさに会社なんかで言うキャリアプランなわけですよね。

「キャリアプランを作って、みんなで自分のキャリアを実現し、エンゲージメントを高めましょう」なんて会社の人事部が言うのは、要するにこういうことなんですよ。これは確かに正しいわけですよね。そういうことで一人ひとりがきちんとより良きキャリアを求めるにはこういうことが大事だと。

より良いキャリアとは要するに「自分らしく働く」ことですよ。それをどうやっていくかがとても大事なんですね。このへんは努力して作る信頼関係が大事で、やはりその信頼関係は相性だと。

退職理由の80パーセントは人間関係なんですよ。これからこの信頼関係とか、人間関係をどう努力して会社として作っていくか。それで働く人たちも努力して信頼関係を作ることが大事で、これがあると何がいいかと言うと、先ほど言ったようにフィードバックが可能になるんですね。

フィードバックは、仕事をしているそばから自分の強みや伸びしろがわかるということなので。先ほど言った、より良き自分を求めるのに、この組織風土が貢献するということなんですよね。

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