2024.10.01
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自分の生活に取り入れようと思っても、なかなかうまくいかない早起きや朝のルーティン。そんな悩みを持つ人のために、気持ちよく1日のスタートを切り、仕事のパフォーマンスも上がる習慣化のコツに関するイベントが開催されました。本記事では、習慣化コンサルタントの古川武士氏と習慣化コンサルティング株式会社役員の島名祐紀氏が、早起きを習慣化させるための3つのポイントを解説しました。
島名祐紀氏(以下、島名):お話を聞いていたら、古川さんの朝ルーティンもちょっと出てきたので、このまま聞いてみたいと思います。「すぐに役立つ」とか、「明日、劇的な変化がある」というのではないことをやっているように聞こえたんですけど、そのへんは意識されているんですか?
古川武士氏(以下、古川):朝ルーティンを具体的に説明しますね。
島名:お願いします。
古川:ポイントがあるんですけど、まずは瞑想をするんですね。独自のやり方があるんですけど、椅子の上に座って、目をつぶって、タイマーで時間を測って15分でやるんですね。まずはこれをしっかりと自分の中でやるのが、私にとってはめちゃめちゃ重要です。
次に、長期ビジョンを立てています。モレスキンのノートに自分の人生のビジョンを書いているんですよね。毎日15分考えて書いているわけですから、「自分の人生がどっちに行きたいか」「何をしていくべきなのか」、フォーカスがすごくはっきりするわけですね。
島名:確かに。
古川:あとは、「自分の感情を整理する」という書く瞑想をやって、感読をする。それが終わったら執筆するんです。
徐々に自分のボルテージを上げていくのにいいステップは何なのか、1つはこれですね。僕はすごく内向的なタイプなので、起きていきなり「ToDo」とかメールを見ちゃうと、頭がガチャガチャして、1日の幸福度が下がっちゃうんですよ。でも、瞑想みたいにフワーっと深い静かな“海”に1回潜ると、すごくいいんです。
だから、そのまま執筆に入っちゃうじゃないですか。これが終わったら、午前中に心の中の8割くらい仕事が終わっているんですよ。あとはオマケくらいの感じでできる。これが自分にとっては最高なので、「よいリズムを作ること」「再現性があること」「複利で積み重ねていったら2年後、3年後にデカくなるよね」というのを設計の中に入れています。
島名:すごい。執筆に入る前のルートが毎朝全部決まっていて、迷わなくていいというのもありそうですよね。
古川:そうです。実は、何回も試して組み替えているんですね。瞑想しないでスタートすることもあるし、「書く瞑想」をした後に長期ビジョンを書いていたこともあるんですけど、「順番をこっちにしたほうがいいな」というチューニングをするんですよ。
島名:なるほど。
古川:だから再現性って言ったんですけど、めちゃくちゃいいペースで執筆に入るためには、どんな状態を作ったら、そこに最強に入れるのかという。それを何度も書いて、チューニングしている感じですかね。私はマニアですから、そういうことをやっていますけどね(笑)。でも、発想はそんな感じです。
島名:ありがとうございます。早起きをしたほうがいい理由とか、朝ルーティンを作ったほうがいい理由とか、古川さんの具体的な朝ルーティンを聞いてきました。ここまでで気づきやアウトプットがあれば、ぜひみなさんチャットに投稿をお願いします。このあと、次のテーマに入っていきます。
古川:質問でもいいですけどね。結局、「時間を作ろう」と思って「いつ増やすのか」という時に、夜も移動中も昼も増やせないとなると、結局、朝にやるしかないという結論になることがすごく多いんですよね。だから、新しいことをやろうとして時間を作ろうとすると、朝しか安定した時間が作れないというのは1個あるかな。
島名:なるほど。コメントをいただいています。「たった15分だと思っていたけど、複利はコツコツですよね」とか、「早起き、たぶんドーパミンが出るんでしょうね。幸福感がアップするんでしょうね」とか。
古川:15分って、魔法の時間ですよね。僕は『15分の習慣』という本を書こうかなと思うくらいなんですよ。「15分でできることって、こんなにあるんですよ」って、100個くらい並べて、「これが15分だったらできる」というような本です。15分というのは、1日1パーセントですよね。
島名:24時間のたった1パーセントですね。
古川:でも、15分運動ってそこそこできるんですよ(笑)。
島名:はい(笑)。
古川:「1時間走る時間はないな」と、固定観念として大きく考えているので、15分で考える。
島名:ありがとうございます。古川さん、1つだけショートでお願いしたいんですが、「古川さんはどのくらいでこのルーティンを確立されたんですか?」という質問が来ています。
古川:たぶん1ヶ月とか2ヶ月で作ったと思いますが、チューニングは常にしています。組み替えたりとかして、半年くらいですかね。飽きちゃうから、微妙には変えますよ。
僕がNHKの『ごごナマ』という番組に出た時に、朝ルーティン(を決めている)と言ったら、「それを撮影させてほしい」と言われたので、やったんですね。朝に瞑想しているのが全国に流れるんだけど、朝から瞑想するって普通じゃないじゃないですか。よかったのかどうかわからないな(笑)。
島名:(笑)。
古川:僕はすごく内向的なタイプなのでそれがいいんですけど、外交的な人は、朝からオンライン英会話とかで、1発目からパーンと人と会話して「スイッチ入った」という人もいるから、人によって違うのがポイントです。
島名:ありがとうございます。みなさん、またあとで質問タイムを取りますね。次のテーマは、みなさんが一番聞きたいところだと思います。早起きを習慣化するための技術・コツについて教えてください。
古川:わかりました。ポイントは3つです。まとめますと、1つ目は「小さく始める」ということで、先ほど語ったとおりです。いろんな習慣化の本があるじゃないですか。私以外の本でもたくさんあって、海外から入ってくる本もいっぱいあります。
究極を言ってしまうと、その中で8割のインパクトがあるものは、たった1個しかないんです。それは、「ベビーステップ」です。小っちゃく始める。
なぜかというと、基本的に人間は現状維持で、変わりたくないので戻ろうとするからです。何か決めても体の生体反応は、「あなたは7時半に起きるのがデフォルトでしょ?」と言って、そっち側の命令に落とそうとするんですよね。
それに引力として変わろうとするのは、すごくパワーがかかるんです。だから、小っちゃく、小っちゃくウォームアップしていくことがすごく重要です。
古川:運動をやるにしても、英語の勉強するにしても、何をやるにしても、成功例をいっぱい聞くじゃないですか。実際に「古川さんの『続ける習慣』読んでよかったです」と言われて「何がよかったですか?」と聞くと、「ベビーステップです」と。
島名:みんなほぼ、「ベビーステップ」(なんですね)。
古川:うちの習慣化コーチの人たちが言っていたけど、実践していても「ベビーステップ、最強論ですね」みたいな。「ベビーステップだけできれば一番だよね」みたいなことを言っていました。
覚えて帰るんだったら、その1個です。無理なく小っちゃくやる。だから、先ほどの15分だけの早起きを2ヶ月やったら、2時間早くなるということですよね。これが1つ目です。
島名:1つ目は「小っちゃく始める」。
古川:はい。2つ目は、「寝る時間と必ずセットで考えていきましょう」。これは、後半になるとより必要になってくると思います。
みんな起きる時間だけは早くしようとするんですが、寝る時間や仕事を終える時間、お風呂に入る時間とかは古いままになっているんですよね。
島名:確かに。
古川:寝る時間が一緒だと、2時間早く起きると2時間睡眠不足になります。そうすると、人間の体は睡眠不足に耐えられないから二度寝、三度寝することになるんですね。二度寝するのは根性がないんじゃなくて、二度寝しないといけない睡眠不足の状態をなんとかしないといけない。
それはなぜかというと、起きる時間はいじったけど、寝る時間をいじっていないからです。寝る時間に入る前の、手前の予定をいじっていないからダメになってくるんですね。だから、寝る時間をいじることが絶対的に必要です。
ですから、15分のチャレンジをやっている時に、どうやったら早くできるのかを考える。これが2つ目です。
島名:ありがとうございます。2つ目は「寝る時間とセットで考える」。ここは事前質問でもいただいていたところなので、「早寝ってどうするの?」というのをあとで取り上げたいと思います。最後、お願いします。
古川:3つ目は、「ぜひ可視化して紙の上で考えてみましょう」というのをおすすめします。「Thinking on Paper」と言いますが、生活スケジュールやリズムは人それぞれ違うし、自分でもわかっていないんですよ。なので、僕は理想と現実のスケジュールを書くことをおすすめしています。
手帳みたいなスケジューラーがあるじゃないですか。あれに入れてみたらいいと思うんですよね。「何時に寝て何時に起きる」というのを入れて、出社する時間はここ、移動する時間はここと、必要な時間を埋めていきます。
「自分のやりたいことをどこに入れようかな」というのを、スケジュールのような可視化されたブロックの中に入れていくと、「仕事はここで切り上げないと、絶対に夜遅くなって朝できないな」とよくわかるんですね。
だから、現状がもし21時まで会社に残って仕事して、帰ってきて、ストレスが溜まって夜にお酒を飲んで、気づいたら夜中の2時みたいな感じだとします。すると、翌朝7時半に起きていても、それを5時起きにするのは不可能ですよね。その手前の時間を変えないと、なかなか難しいです。
でもそれを可視化したら、「何を守らないといけないか?」というセンターピンが見えます。もしかしたら、ベッドに入る時間がセンターピンかもしれない。
うちのコミュニティの「習慣化マスター講座」とかでも、ベッドに入る時間を写メして、Facebookに投稿して寝るのをやっています。そうすると、自分が何時に寝ているかを意識できるんですよね。もしくは、どこで消灯時間を決めるか。そんなところですね。
島名:これは僕もいろんな事例を見てきたんですけど、「会社の退社時間を決める」という人もいれば、9時からはスマホを触らないようにして「リビングに置く」ところがセンターピンだという人もいる。これは探求しながらですね。おもしろいですよね。
古川:そうですね。退社を決めた時間に、会社の時計をピシっと取って、閉店ガラガラっとやるだけで、その後はスッといける人もいるんですよね。ボトルネックが何かによって違いますよね。
島名:ありがとうございます。30分くらい経ったので、ここからはみなさんとのQ&Aを取り入れながらやっていきたいと思います。ご質問がある方は、Q&A機能のところに投稿いただければ、なるべく順番に拾っていくようにします。
その前に、事前にいただいている質問が今の流れにピッタリなので、古川さんに聞いてみたいと思います。
古川:はい。
島名:今も出てきたテーマだと思いますが、「早起きするために、早寝しなければならない。仕事が多忙な状態で早寝するためには、未完了でも仕事を中断して朝残業する。理屈ではわかっているのですが、未完了感が気持ち悪くてつい深夜まで残業してしまいます。何か解決方法があればご教示願いたいです」というご質問ですが、いかがでしょうか?
古川:2つあります。1つは早寝ということで、仕事をどうするかですよね。もちろん朝残業もそうなんですが、1つは「高密度化」といって、いつもこなしている仕事で10時間かかっているものを8時間で終わらせることができたら、恒常的に2時間が浮くわけですよね。
我々は「高密度仕事率」と呼んでいるんですけど、いつもやっているものをもっと圧縮するということです。それを基本的にはおすすめします。朝残業だけじゃなくて、圧縮する。そのためのいろんなメソッド体系があるので、それはまた別の機会に紹介したいと思います。
ただ、先ほど言ったような閉店ガラガラの時間を決めて、終わりの辻褄が合うように強弱をつけるのはめちゃめちゃ重要です。朝、15分だけ段取りを立ててスタートするだけでもぜんぜん変わるので、それが必要ですよね。
古川:2つ目のご質問に答えるとすると、朝残業というかたちでやろうとしたら、確かに気持ち悪いですよね。それはわかるんですけど、その不安定感とともに圧縮するチャレンジ期間。高密度の移行期間の1週間から2週間くらいは気持ち悪いものだと思ってやってみるのをおすすめします。
習慣を変えることは、やっぱり気持ち悪いんですよ。怖いじゃないですか。「終わらなかったらどうしよう」と思うじゃないですか。でも、終わってみると初めて、「なるほど。朝ってこんなふうにすごく効率がいいんだ」とか、「圧縮できるんだ」と思うんですね。
だから、よく僕は習慣化を「新しい習慣を身につける時にはレクサスに乗る」と例えるんですけど、既存の車に普通に乗っているじゃないですか。レクサスに乗っている人は別にいいんでしょうけど(笑)。
島名:はい(笑)。
古川:普通に乗っていると、「レクサスいりませんか?」と言われても、「いりません」と(なります)。
うまいレクサスのセールスマンは、「1週間だけ試乗してみませんか?」と言うんです。「車の点検とかしておきますから」と。(こちらが)「買わないからね」と言っても、「大丈夫です」と言われて、持つと。
乗ってみると、「アクセルの感じが違うな」とか、音楽をポチっとやったら「サウンドがぜんぜん違うな」とか。奥さんを乗せたら「なんかいいわね」とか、コンビニに止めたらみんなが見ているとか、「なんか気持ちいい」とか。そんなふうにやっている間に、1週間乗ってみたら、「これ、けっこういいかも」と思って、レクサスを買いたくなっているかもしれない。
というのと同じで、朝コースは味わってみないと、絶対に実感できないんですよね。「今のままでいいから」と思っている限りはなかなか変わらない。でも、やってみて嫌だったら戻せばいいので大丈夫です。
島名:なるほど。
古川:実験ですね。
島名:ありがとうございます。
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