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ダイアローグ出版記念セミナー「共感を生む真の対話とは」(全6記事)

職場の嫌な人やいつも失敗する人にも必ず自分との共通点がある リフレクションでたどり着く、「深い共感」のスタート地点

「ニッポンの「学ぶ力」を変えていく。」をミッションとする一般社団法人21世紀学び研究所が主催した『ダイアローグ』出版記念セミナーに、著者の熊平美香氏とサンリオエンターテイメント代表の小巻亜矢氏が登壇。熊平氏がリフレクションに出会うまでの経緯や、リフレクションの効果などが語られました。 本記事は、2023年8月23日に開催された講演の書き起こしになります。

前回の記事はこちら

熊平氏がリフレクションに出会うまで

熊平美香氏(以下、熊平):お話を聞いていて、私自身も実は30代の前半まで実家の仕事をしてきたんですけど、そこから突然離れることになったんですよ。クーデターみたいな感じで。

私は田舎の家で育っていますから、社宅があって家の隣に工場があるみたいな、そんな感じでした。そういう世界でご飯を食べさせてもらった。会社の名前も一緒でしたから、会社を離れるのは正直苗字を奪われるような気持ちでした。それほどアイデンティティが失われる出来事があったんですね。

でもそこにいることが、自分にとってそんなに楽しかったかというと別な話なので、その運命を受け止めた。

そのあと、「自由になりました。何します?」となった時に、アメリカ人に相談したら、「美香は好きなこと、それから得意なこと、リストアップしてごらん。見つかるから」と簡単に言われてしまって、「はあ?」と。さっぱり見つけられなかったんです。

そういう時期があって、子どもが小さかったのでいろんな背景もあって、私はある時期、子育てを中心に生きたんですけど、こう見えて母親業が向いていまして(笑)

小巻亜矢氏(以下、小巻):こう見えて(笑)。

熊平:こう見えて向いていまして、「お母さんはおもしろい」と思ったんですよね。なので、お母さんモードはすごくいい経験をさせてもらったんですけれども、一生お母さんでいるわけにはいかないので、「自分自身は何者だ」と、ずっと自分の中で探し続けたんです。

私の場合は「お母さんである」ことと、あと会社で変革をやっていたので、現状維持とかはあまり好きではなく、変革が大好きです。その時で「学習する組織」という理論に出会って、なんて素敵でしょうと思いました。それに救われたのが1つ大きかったんです。

ですから、お母さんでいたことと、学習する組織に出会ったことで私は救われて、このリフレクションの話につながっていきます。リフレクションに出会ったのは教育関係の仕事をしたからですが、なんで教育のことをやることになってしまったかというと、お母さんとして私がルールにしていたのが、「自分がやらないことを子どもに求めない」だったんです。

子どもに自己実現をしてほしいと思ったんですけど、自分が今、自己実現していないことを自分でよく知っていました。これはまずいな、いよいよその日が来たか、と思いました。それで変革が好きだし、自己実現が必要だとなって、「じゃあお母さん、何に向かいますか?」となった時に、教育を選んでしまったんです。

選んでみたら、たまたま教育が本当に変革の時代だったんですよ。それでリフレクションに出会って、オランダで4歳の子がリフレクションをやっているのを見て、「ああ、大人ができないとダメだ」と思って、『リフレクション』の本を書くことにつながってくるのです。

私の場合はすごく時間が掛かったので、「3年半ですか!」と思わず言ってしまったんです(笑)。私もその講座に行けばよかったと思いました(笑)。そんな旅をしておりました。

リフレクションの効果

久保田博氏(以下、久保田):リフレクションを繰り返し実施できるようになると、すごく素敵なエネルギーが湧いて来る。

小巻:そうですね。

熊平:そう。

久保田:そのリフレクションで得たエネルギーをつなぐのは対話で、その時に共感が芽生えると、何かシナジーが生まれてくる。共感についてお考えをうかがいたいです。

熊平:なるほど。その前にもう1個だけ言ってもいい(笑)?

(会場笑)

久保田:どうぞ(笑)。

熊平:それで私はリフレクションをやることになって、自分でも意見、経験、感情、価値観というメンタルモデルを、学習する組織の考え方に基づいて作ったわけです。それで自分の感情をリフレクションすると、すごく早く価値観に出会える。先ほど3年半とおっしゃったけど、簡単に出会えるんですよね。

リフレクションをすればするほど、自分のことがわかってくるし、自分は何が嫌なのか、何がいいのか、何がうれしいのかがわかってくるので、どんどん自分のやりたい方向に、自分を向かわせることができるようになってきました。

私も本能的にリフレクションに行ったと言いましたけど、やはり積み重なったリフレクションの結果、リフレクションに行った感じです。

心の世界を描くピューロランドのショー

熊平:他人に対する感情を大事にしながら、自身の感情も大事にする。それが人間が生きる上で、自分が自分を作る上で、とても大事なものだと思います。その上で共感の質問にご回答をお願いしたいと思います(笑)。さて、共感についていかがですか?

(一同笑)

小巻:唐突ではございますが(笑)、共感?

熊平:感情だから共感ですよね。私は、ピューロランドのMiracle Gift Paradeとか。みなさんどうかな。いらしたことがありますか? KAWAII KABUKIとかを見せていただいて、共感というか、心の世界ですよね。

小巻:そうです。

熊平:すごく描かれている。

小巻:ぜひ!

熊平:ぜひ見ていただきたい。

小巻:ピューロランド。今日は男性の方も多いんですけども、お届けしているパレードとか、松竹さんと一緒に作った「KAWAII KABUKI」は本当にダイバーシティー&インクルージョンの世界を、キャラクターたちによるミュージカル仕立てで伝えているので、大人の方がけっこう涙して感動してくださるんですね。

そこで伝えたいのは本当に共感。まさにいい振りをしてくださってありがとうございます。

職場の難しい人たちにも必ず自分との共通点がある

小巻:みんな心の中に光も闇もある。要は「多様性を認め合う」とかの手前のところで、自分の心の、それこそ結局リフレクションがもとにあるんですよ。

自分の心の中の多様性にまず気がついて、それを自分自身が認めることが礎ですよね。自分の中にもいろんな自分がいて、いろんな感情を想起している。その中で時に感情にやられてしまって落ち込んだり、舞い上がったり、人間なのでいろんなことがあると思うんですよね。

先ほども言ったように、人に見せたくない感情。憎悪とか嫉妬とかも、人間だからあります。でもそれを含めて自分だと。

誰かから「小巻さんはそんなことないでしょう」と言われるのは、私のそうではない面を見てくれているだけであって、「いやいや、私の心のこっち側には、そういうのもちゃんとあるんだよ」と言っています。

けっこうドロドロした状態の人は、「本当に自分はダメな人間だ」と落ち込んでいる。でもそうではなくて、たまたま今そういうところが前面に出ているだけです。自分の中にもその感情は絶対あるので、そこがやはり深い共感のスタート地点だと思うんですよ。

だから、自分もリフレクションする。相手にも「そんな面だけではない。でもその面も、あなたを作ってくれている大切な感情だよね」と言える自分になれるとすごくいい。

職場でもお互いに、「あいつは嫌なやつで、あいつはいつも失敗して、あいつはいつも迷惑をかけている」という人がいるかもしれない。けど、その人の中にも、うちに帰ればすごく優しい、いいお父さんだったりとか、介護をしていたりとか、動物がすごく好きだったりとか。必ず自分との共通点は、どんな人の中にもあるのを知る。みんなそうだと知り合う。

私にはたまたまその面が見えていないだけかもしれない。深い自分自身のリレフクションと、お互いのAさん、Bさん、Cさんの、彼ら・彼女たちがリフレクションをした時には、やはり共感できるところは絶対あると思います。

「関係性を信じる」と気が楽になる

小巻:先ほどの「相手を信じる」で言うと、「いい人だよね」「自分と合うよね」「一生付き合うよね」と信じるのではなくて、可能性というか。多様な人間同士であることを理解して、共通点、共感できるポイントが必ずあると信じる。これが「関係性を信じる」ことだと思うんですよ。

そう思うと逆に気が楽です。まるっとその人を受け止めるなんてムリ。その人の人生を引き受けるなんてムリ。ある程度のところは、ちゃんと自分で乗り越えてくれないとムリ。

だけど、職場であれば、希望に満ちあふれるはずだった令和が、コロナ禍を抱えていろんなことになった。この時代に、なぜ同じ会社で働いているのか。このご縁の意味と、「何のために今私たちはこれをやっているの?」と考えた時に、共感がものすごく活きてくるし、輝くし、愛おしいし、「ああ、一緒にやっていこう」となるんですよね。しつこいですよね。熱いんですよ、そこは(笑)。

熊平:その背景があって、ああいうパレードだったり、「KAWAII KABUKI」になっているんだなと思いますね。

小巻:ありがとうございます。

熊平:私も何度かお邪魔させていただきました。実はこの会の直前にもお邪魔させていただいて、また見せていただいて、ラッキーでした。大人になりますと、仕事だったり、やらないといけないことがいろいろありますから。やはり人の心が置いていかれる感じはするんですよね。

小巻:そうですね。

熊平:その心が前面に、パレードから出ているから、うわっと心に響く。小巻さんの熱さと同じぐらいの熱さで、パレードに表れていたなと思いました。

小巻:ありがとうございます。

久保田:パレードは、100回ぐらい見ています。

(会場笑)

小巻:ぜひみなさん、本当に「Miracle Gift Parade」を見てほしいし、「KAWAII KABUKI」は本当にね、絶対見てもらいたい。DVDをみなさんで回してでもいいので。いえ、そんなことはないです。購入してください(笑)。

(会場笑)

小巻:ある程度のストーリーは、ネット上でネタバレが出ているので、ぜひ見ていただきたいですし。メタバースの「Sanrio Puroland」を作っているんですけど、その中でも時々無料で見れたりするので。でも、できれば生で、ぜひ見ていただきたいです。

久保田:「かわいい」「思いやり」「仲良く」。3つのハートはみんなの中にもある。とてもすばらしいパレードなので、第三者的な観点からもぜひ見に行っていただきたいなと思います。

小巻:宣伝ですね(笑)。ありがとうございます。

(会場笑)

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