2024.10.10
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ChatGPTの研究から得られた英語学習のノウハウを詰め込んだ書籍『英語は10000時間でモノになる』。著者の橋本大也氏が、ChatGPTを活用した勉強法について解説します。本記事では、ChatGPTを「英語の先生」のように活用する学習法を紹介します。
橋本大也氏(以下、橋本):CopilotやBing Chat、ChatGPTにもWebブラウズ機能がありますので、そうしたWeb検索機能を連動させて使うと、「今日の話題で英語の先生になってもらう」ということが可能です。
例えば「英語の○○の使い方を教える専門の先生として講義をお願いします。今日のニューストピックを例文にしてください」とお願いをしてみました。これはChatGPT+Webブラウズ機能、あるいはBing ChatかWindowsのCopilotを使うと全部できます。
例えば「as」の使い方を教える専門の先生。そんなのいないような気がするんですが、講義をお願いすることが可能なわけです。しかも「今日のニューストピックを例文にして」とお願いをしました。
このスライドを作ったのは何日か前なので、今日ではありませんけれども、今やれば今日のニュースで出てくるはずです。
この日は南メキシコでバスの事故があった日なので、その文章を使って「as」の使い方を教えてくれています。その日に起こったことなので、最新の話題で英語を教わることができるという、本当の人間の先生みたいになってくるわけですね。
橋本:「英語の『if』の使い方を教える専門の先生として、今日の日本のニューストピックを例文にしてください」と聞きました。海外のニュースを年中見ている人は、先ほどのメキシコのニュースでもいいんですが、日本のニュースしか見ていない人は日本のニュースにしたいですよね。
そうすると、すごくスペシフィック(詳細)に「巨人の浅野翔吾選手は、今日ソフトバンクの試合で勝利を目指しています」「巨人が今日の試合に勝てば、彼らは(2軍で)優勝します」とか、「if」を使って日本のローカルな話題で英語を教えてくれます。
毎日やれば毎日違ったものを教えてくれるので、「if」の使い方なんかは1週間ぐらい毎日やっていれば覚えちゃうでしょう、ということです。おもしろいですよね。
あるいは、もちろん英語で聞いてもいいです。英語で聞くと、例文がちょっと難しめになるという傾向があるようですが、ここでは「ダブルネガティブ(二重否定)について教えて」と頼んでいます。
英語にするとけっこう文章が長くなるんですよ。たぶん、こちら側をアメリカ人だと思うんでしょうね。あとは、言っていることもちょっと高度になります。なので、ネイティブな英語を習いたいのであれば、英語で質問する。ダブルネガティブはネイティブにとっても難しい時があるわけなので、いろいろ詳しく教えてくれます。
橋本:次が「英語学習動画を作る」というやつですね。ChatGPT4プラス、ここからはGPT-4の有料版を使った例になります。「Whimsical Diagrams」と「Capcutプラグイン」というものを使って、英語の学習動画を作っちゃおうという話をしていきます。
「最新のアメリカの若者が使っているスラングを10個教えて」と最初に聞いて、そして「英語のビデオをその情報を使って作ってください。ただし見る人は日本人です。テレビのランキング番組みたいに、カウントダウン形式で10個のスラングを紹介してください」とお願いをしました。
そうすると、最初に「Whimsical Diagrams」というのが出てきて、まずインターネットに情報を収集しにいった後、表にしてくれるんですね。今、若者が使っているスラング10個を見つけてきてくれました。
「この10個が、おもしろいアメリカの英語のスラングですよ」というのをWhimsical Diagramsが表にしてくれて、10個それなりにおもしろそうなのが出てきました。
橋本:さらに「日本語の解説のマップを作って」と言うと、今言った10個にもうちょっと説明をつけてくれるんですね。「Lit」が「とてもクールや楽しい」だとか、ふだんあんまり教科書には出てこないような表現がごそっといっぱい出てきます。
これに、先ほどの「長いビデオにしてください」というプロンプトを使います。「Capcut」というTikTokの編集ソフトウェアとChatGPTは連動しているので、Capcutにその内容を飛ばしてくれるんですね。これは、ChatGPTがプラグイン経由でやってくれます。
この画面が出てきました。なんとまあ、インターネットから最新の10個のネットスラングを持ってきて、ビデオを作ってくれちゃっているんです。こんなビデオが5分で作れちゃうというものなんですね。
「もっとやって」と言うと、もっと探していろいろと作ってくれて、アメリカの最新のネットスラングを教えてくれるビデオを作ってくれます。おもしろいですね。
橋本:次が「英単語の覚え方を考えてもらう」という例です。ChatGPTでもいいし、Bingでも何でもいいんですが、例えば「『Sarcastic(皮肉な、皮肉っぽい)』という単語をどうやって覚えるかを教えて」と言って、考えてもらいました。
これは何回かやって、自分に合ったやつが出てくるまで繰り返したほうがいいです。うまくいかないこともありますが、この場合は4回目のやつがおもしろかったから(ページが)「4/4」となっていますね。
「『Sarcastic』は『皮肉っぽい』という意味なんだけれども、覚え方の一例を挙げます。『サー』と『カス』を組み合わせる」(と答えました)。「サー」が紳士で、「カス(くず、価値のないもの)」なことを言っている。だから、紳士がカスみたいなことを言っているところが「Sarcastic」(皮肉っぽい)なのね、みたいな。
2つ目は、ふだん英語で読書をしている人には合理的で、「Sarcastic Smile」はよく出てくる言葉なので「皮肉な笑み」とそのままそれで覚えちゃいましょうと。たぶんネイティブはそうしているでしょうね。
ダジャレとかを使っていろんな覚え方を提案してくれます。なので、「なかなか覚えられないな」という時に、ChatGPTに覚え方を作ってもらうというものです。
英語だと「ニモニック(mnemonic)」と言うんですが、これは英語で(質問を)聞かないほうがいいです。英語で聞いちゃうと、アメリカ人が他の英単語と組み合わせて使うニモニックを発明してくれるんですけど、それは日本人にはぜんぜん向かないので、これの時だけは日本語で聞いたほうがいいです。
橋本:もう1つは、慰め、安心、安堵(という意味の「Solace」)をどう覚えるか。Solaceは、soulとかsoldier、魂や兵士が安心や慰めを求めるところを想像しましょうとか、solって本来は太陽なので、太陽と結びつけて覚えましょうとか、いろいろな覚え方を提案してくれます。自分がグッとくるやつが出てくるまで、何度も聞くといいと思います。
次は、英語の教材を買わなくてもいいという自己否定的なノウハウなんですが、けっこう私がおもしろいと思っているノウハウなんですね。
みなさん、店頭に行って「読んでみたいな」と気になる本のタイトルを探してきてください。例えば『海外ドラマのリアル英語100フレーズ』ですね。これをそのままChatGPTに入れちゃうんです。
そうすると、「もちろん、海外ドラマでよく使われる英語フレーズのいくつかを紹介し、それぞれの意味・使い方を解説します」と言って、海外ドラマでよく使われる英語フレーズをたくさん教えてくれるんですね。たぶんいくつかは、本当にさっきの本に入ってますよ。
橋本:基本的にChatGPTって“アメリカ人”なので、英語のことに関しては抜群になんでも知っているわけですね。タイトルを入れて、その本の内容を想像してもらうとかなり近いことを言うので、これはとてもいいやり方だと思いますね。
例えば『自己紹介の英語』という本があります。30秒で自分を語る定型フレーズ集。これについて「誰でも使えるテーマ別自己紹介の英語を解説して」と言うと、実際に解説をどんどん、いくらでも出してくれるわけですね。
趣味、興味に基づくとか、職業に基づくとか、旅行に基づくとか、いろんなシーンでの自己紹介の仕方を教えてくれるわけです。
また『海外ドラマはたった350の単語でできている』という本がありますが、これもそのまま聞いちゃいます。「海外ドラマはたった350の単語でできていますが、その例を解説する」と言うと、350個言ってくれるわけです。
『瞬間英作文トレーニング』は有名な本ですね。これも「瞬間英作文の問題集を作って」と言うと、簡単な作文例を出してくれます。もちろん英語もすぐ答えてくれます。
橋本:「人を動かす気配りの英語表現の文例を教えて」と言うと、感謝したい時、人を労いたい時とか、いろんなシーンの気遣いの英語を出してくれます。『英語の前置詞図鑑』というものがありますが、「英語の前置詞図鑑」と言うと、in、on、atとか延々と続くんですが、使い方をいろいろ教えてくれます。
ほかにも「77 Everyday Verbs、英会話のための基本動詞を教えて」と、そのままタイトルを入れると、ちゃんと77個挙げてくれます。また質問すればいろいろ使い方を教えてくれるわけです。
「接客英語を教えて」と言うと、挨拶、迎え入れ、注文、リクエスト、説明、情報提供、確認とか、シーン別に応じた接客の英語を出してくれます。また「製造現場で使われる英語を教えて」と言うと、一般的な用語はAssemblyとか、工場とかで使われる英単語をたくさん教えてくれるわけですね。
『日本人が間違えやすい英語表現100』と言うと、ザーッと典型的な日本人の英語の間違いの文例を出してくれます。「正しくは」とかも出してくれるわけですね。
橋本:あとは『イギリス英語とアメリカ英語』。これはちょっと凝ったことをしてみます。ChatGPTはイギリス英語とアメリカ英語を区別するのがすごく得意なんですね。
ここでは「アメリカ英語とイギリス英語の比較表、日本人によくわかる50語の表を作成してください。番号、日本語の意味、アメリカ英語、イギリス英語」というふうに作ってくれと、ChatGPTに依頼をしました。
そうすると、瞬時に番号、日本語の意味、アメリカ英語、イギリス英語を出してくれます。例えば(イギリス英語だと)「apartment」は「flat」だし、「truck」は「lorry」だし、「elevator」は「lift」になるとか、アメリカとイギリスの英語の違いを一覧にしてくれました。
さらに「これらの50語のアメリカ英語で英語のストーリーを書いてください。その後、イギリス英語版も書いてください。違いのある英単語は太字で」とお願いをすると、今の50語を使って物語を作ってくれるんですね。
アメリカ英語版とイギリス英語版の2つを読んでいくと、何が違うのかがすごくわかります。なので、こういうふうに覚えることもできちゃいます。
いろいろ試しているんですが、GPTは基本的にアメリカ人ですね。時々イギリス英語がベースになる時もあるんですけど、ほとんどアメリカ人だと考えていいと思います。
橋本:『究極の英単語プレミアム。ネイティブ知識人をもうならせる超難関語彙を厳選』という本があったんです。超難しい単語も、「英語で最も難しい単語を10個、日本語でやさしい解説をつけてください。発音もカタカナでつけて」と依頼をしてみました。そうすると、マジですごいのがきました。もはや読めない(笑)。
最初の「floccinaucinihilipilification」は……何十字なんだろう。「何かを無価値と見積もる行為や習慣のこと」。発音もカタカナで一応出してくれていますね。2つ目(pneumonoultramicroscopicsilicovolcanoconiosis)は「一種の肺の病気」。
4つ目の「supercalifragilisticexpialidocious(スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス)」は、『メリー・ポピンズ』で使われていた言葉なのでちょっと有名ですね。こういうふうにいろいろと、ながーい、すごーいのを作ってくれるのでおもしろいですね。
「これら10単語をすべて使って物語を書く」と言うと、今言った超長い文章……ここでは日本語で作らせたんですが、日本語の中にそういう文字が入って物語ができるなんていう遊びもできちゃいました。
橋本:次は『英語は10000時間でモノになる』。これは私の本ですが、私の本で遊ぶこともできます。私としては買ってほしいんですが、例えば「『英語は10,000時間でモノになる』という本の内容を想像して創作してください」と依頼を出しました。
そうするとまず、私の本とは違う目次が立てられられるんですね。「10,000時間の法則とは?」ということで、ここでは『アウトライアーズ』の著者であるマルコム・グラッドウェルが提唱した理論に基づき、専門的な技能や能力を習得するためには約10,000時間の訓練や経験が必要だという説を紹介しています。
2つ目で「言語習得の過程と心の準備」、3つ目が「効果的な学習法、質の高い10,000時間を」、4つ目が「日常生活での英語の取り入れ方」。シャワー中のリスニング、料理中の単語帳など。5つ目が「モチベーションを保つ方法」となっています。
(ChatGPTに質問すると)私が書いたものとは別の本が作られていくんです。(目次は)まだまだ長いんですが、8つ目には「最後の1,000時間、上級者への挑戦」とか、私も読んでみたいような目次が組み立てられました。
本文を書かせることもできます。今のスレッドの上で書かせたあと、「第1章を書いてください」と言うと書き始めるんですね。最初は歌手の話から始まって、「アデル、彼女の歌声は多くの……」と、なんとなくそれっぽい書き出しがあります。ちょっと読んでみたいな。
「このまま書いて」と言えば後も書いてくれるので、そういう使い方ができます。もちろん、本物の本がおもしろいですよ(笑)。本物の本を買ったほうがいいんですけどね。
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