2024.10.10
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第1020回 トレンド経営学『相談力のある人の3つの特徴』(全1記事)
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加藤想氏:グロービス経営大学院の加藤です。月曜日はトレンド経営学というタイトルで、「よく聞くニュースをいろんな視点から切り取った場合に何が見えてくるのか」という話をしていきます。
今日は「相談力」についてお話しします。ここ数年は「生産性」をキーワードにDXのような技術的なアプローチの話や、国の方針として残業規制を見直す動きも始まっています。
私自身もMBAを勉強し始めた1年目に子どもが生まれ、特に生産性を強く意識するようになりました。その頃から、生産性が高いと感じる方の行動をよく観察するようになり、彼らに共通していることが「相談力の高さ」だと感じました。
では、相談力が高い人とはどのような人でしょうか。わかりやすく、上司に相談するシーンを例に相談力をレベル別でお話ししてみます。
レベル0は、「どうすればいいですか?」とフラットに聞く。レベル1は、「AとBどちらがいいですか?」と聞く。レベル2は、「AとBがあって、Aで進めていいですか?」と聞く。レベル3は、「AとBがあって、〇〇なのでAで進めていいですか?」と聞くパターンです。
私が観察する限り、生産性の高い方は、レベル2とレベル3を状況に応じて使い分けてコミュニケーションしているように感じます。このように聞くと当たり前だと感じる人も多いと思うのですが、観察していると案外できていない人は多いです。
ここでは、相談力を高めるために意識したいポイントを3つお伝えします。1つ目は、「自分の意見を持つ」です。先ほどの相談力のレベルでいくと、レベル0とレベル1は自分の意見がなくて、レベル2とレベル3は「自分的にはこう思う」という自分の意見をしっかり伝えている点が大きく違います。
私もグロービスに入社したての頃は、右も左もわからなかったので、しょっちゅう上司に相談していたのですが、その度に「あなたはどう思うの?」と聞かれてハッとした経験が何度もありました。
では、具体的に「意見を持つ」とはどういうことでしょうか? Voicyでもご活躍されているちきりんさんの本に、『自分の意見で生きていこう』というものがあります。その中で、「意見を持つとは自分のポジションを明確にすること」とありました。「自分はこちらのAのほうがいい」。まずはこのようにハッキリと言い切ることを意識してみてください。
また、周りでいろいろコメントしている人を見てみて、きちんとポジションを取って発言をしているのか、ぜひ観察してみてください。生産性の高い人ほど、しっかり自分のポジションを取った意見を言っていることがわかります。
2つ目は、「論点を押さえる」です。何か作業をする前に、その作業の目的や全体像を把握するために、論点を押さえた質問をすることが生産性向上には必要です。
ベストセラー作家の高松智史さんの『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』の中に、論点の押さえ方についての説明があります。仕事でアウトプットをするために、まずは論点、つまり解くべき問いがあって、次に論点を分解したサブ論点があり、その次にサブ論点を解消するためのタスクがある。こんな順番で考えると書いてありました。
つまり、何かタスクがある時に、どうやってやるのかを相談するのではなく、そもそもそのタスクは何の論点で、さらにどのサブ論点を達成するためのものなのかを相談することが必要です。この動作をすることで、大きくズレがなく仕事を進めることができます。
その際に、しっかり自分なりの意見で「この論点なのでこんなタスクをしようと思っていますが、間違いありませんか?」という聞き方をすると、仮にそれが間違っていたとしても、相手もコメントしやすく、仕事がスムーズに進みます。
3つ目は、「相談する相手の前提を把握する」です。コミュニケーションをする相手との前提が揃っていれば、かなり端的なやりとりでもまったく問題ありません。ちょっと極端な例ですが、Voicyの水曜日パーソナリティをしている熊谷(翔大)さんとは、ふだんも仕事のコミュニケーションをしているので、例えば読んだ本の抜粋を送っただけで、「このあいだ話していた〇〇の施策で活かしましょうか?」という返信が来たりします。
事細かに伝えすぎて本筋が伝わらない場面に、一度は遭遇したことがある人は多いと思います。そんな場合は、相談する前に、一呼吸おいて「相手の前提はどこまで揃っているのか」を考えることをおすすめします。
ただし、前提が揃っていないことはしょっちゅう起こります。同じミーティングに出ていても、前提条件がズレていることがほとんどです。前提が揃っていると思っても、「前提はここまで揃っています」としっかり伝えた上でコミュニケーションするほうが無難だったりします。
というわけで、今日は「相談力が高い人の特徴」をお伝えしました。「自分の意見を持つ」「タスクではなく論点を押さえる」「相手の前提を把握する」。すべて聞くと当たり前のことばかりなのですが、いざ意識し続けるのは難しいものです。
生産性が高いと思う人に聞き耳を立てることで、継続的に気づきが得られます。まずは身近にいる方の観察をしてみてはいかがでしょうか?
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