2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
第768回 ビジネスWikipedia『過去美化バイアス』(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
三井敬二氏:今回お話するのは「過去美化バイアス」です。ついつい人が持ちがちな思考の癖、そしてそれが何かを変えていく時の妨げとなりかねないものですので、ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。
「過去美化バイアス」とはその名のとおり「昔はよかった」と感じてしまう思考の癖のことを言います。
もう少し具体的に言うと、このバイアスは過去のことを当時感じていたよりも美化して思い出すことです。ほとんどの人に心当たりがあるんじゃないかなと思います。
この過去美化バイアスが生じる理由としては3つあります。1つ目は、人間の脳は過去の悪い出来事のほうを相対的に早く忘れるため、良い印象の記憶が残りやすい。その結果、良いことと悪いことが同時に現在進行形で起きている現在と比べると、過去が良いことに満ちたように感じます。
続いて2つ目は、人間は自分の若い頃に憧れる癖があります。若さそのものと若い頃に遭遇した環境を混同してしまって、自分のあの頃は良かったなぁと錯覚してしまいます。
そして最後3つ目、人は自分のしてきた選択や意思決定を否定されたくないので、過去のことを良いほうに意味付けしてしまいがちです。これらが過去美化バイアスが生じる理由として挙げられています。
いずれも、人がこの自然界で生き残る過程で生じた、ストレスを減らすための動物的な本能と言えます。そしてこの過去美化バイアスは、しばしば会社の変革を妨げることにもつながります。
例えば、「昔会社が小さかった頃は面倒な稟議なんて必要なかった。いっそのこと稟議などは廃止してしまおう」と社長が考えたらどうなるでしょうか? もちろん実際に当時のほうが良い面もあったと思いますが、すべてがそうかと言えばそんなことはないはずです。
例えば稟議が必要なかったのは、単に会社が小さくてコミュニケーションに要する時間がそれほどなかったからかもしれませんし、そもそもそれほど大きな金額の案件がなかったからかもしれません。
そういった前提条件の変化を忘れてしまって良かったことだけを思い出すのは、時として間違った方向に組織を導いてしまいます。過去を必要以上に美化して、「原点回帰で昔のあの時のやり方を復活させよう」などと安易に言い出すのは、やっぱりまずいということです。
ということで、今回は過去美化バイアスというものについてお話ししました。思い出はついつい美化されがち。そう気を付けて、何かを考える時の参考にしていただけるととてもうれしいです。
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略