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【S1グランプリ王者 笹田氏が語る】トップセールスになる10個のコツ 〜生産性を爆上げする秘訣〜(全6記事)

トップセールスが考える「商談に『雑談』は必要か?」 相手の満足度を高めるために、準備するべき4つの「提」

スタートアップ、新規事業、ベンチャー企業、中小企業向け法人営業支援を行うセールスギルド株式会社は、日本最大級の営業の大会「S1グランプリ」を運営しています。今回はそのS1グランプリで優勝した笹田裕嗣氏が登壇したイベントの模様をお届けします。セールスギルド古瀬貴大氏とともに、「トップセールスになる10個のコツ」について語りました。本記事では、提案や雑談についての考え方が語られました。

「ニーズに合った提案」とは何か

笹田裕嗣氏:では、(「トップセールスになるための10個の質問」の)3つ目の問いについてです。「『ニーズに合った提案って何?』と聞かれた時に、みなさんはなんて答えますか?」というのが、3つ目のお題でございます。

これもぜひ、頭の中で自分なりの答えを考えていただけるとよいかなと思っておりますが、「ニーズに合った提案をしなさい」は、よく言われると思います。

私も社会人の時、先輩から「もっとお客さまのニーズに合った提案してこいよ」とか「これほんとにニーズあるの?」みたいなことをよく聞かれたんですが、「『ニーズ』という言葉が、いろいろぼやかしてしまっているんじゃないかな?」と考えさせられた日々でした。ということで、この「ニーズに合った提案」について、一緒に深堀りさせてください。

1つ目、「原因と現実(現象)の違い」ですが、「現実(現象)」は、目に見えて起こっていることです。いろんなことが重なって、その事象が起こっている。なので、「『目に見えない原因』と『目に見える現実』を、ちゃんとつなげることができていますか?」ということです。

例えば営業で、先ほどヒアリングの例をお話ししましたが、お客さまが「最近ちょっと売上が伸び悩んで困っているんだよね」「最近アポが増えなくて困っているんだよね」と。これは現実に起こっていることですが、その裏側で、なぜ売上が伸び悩んでいるのか? なぜアポイントが増えないのか?

他の商材でいけば、「求人媒体の営業をしています。最近なかなか応募者が来なくて」と、実際、現実にうかがいました。「なぜ応募者が来ないのか? この見えない原因をちゃんと確認できている営業って、やっぱり少ないですよね」という部分です。

「見えない原因」は、お客さまに聞いてもわからない

なので、この「見えている部分」と「見えていない部分」の接続は、「Why=なぜ」の質問をしっかり確認していく。「なぜで追及していかなければ、やっぱり営業として正しい打ち手って、打てませんよね」というところです。

なので、今日ここにご参加いただいている114名の方。200名近くの応募で114名もご参加いただいて、ありがとうございます。ここの「なぜの追及って、ちゃんとしていますか?」という部分です。

ただ、これは言い方が難しいのですが、「なぜの追及をしましょう」と言った時に、多くの営業は何をしてしまうのか?

お客さまに「これはなぜですか?」「これはなんでですか?」と聞きまくるんです。ただ厄介なことに、わかっていたらお客さまは自分で解決できるんですよ。

このご時世、ネットで「最近アポが伸びていない理由は?」「マーケティングで露出が少ないから」「インサイドセールスのコストアップ率が低いから」「受付突破率が落ちているから」と、分析できれば対策って打てるんです。

ただ、分析が不足している。もしくは分析の視点が足りないから正しい打ち手ができていないので、「お客さまに聞いてもわからない」ということを頭に入れておかなければいけません。

営業とお客さまの「理想」「現実」「問題」の認識を合わせる

なので、「問題と課題を整理する」というのはよく言われる話だと思いますが、まず「問題って何か?」ということを頭に入れておきましょう。問題が生まれるのには、まず「理想がある」という前提があります。そして、現実問題として起こっている。この、「理想と現実」にギャップがあって、かつ「この状態って、よくないよね」という気持ちがついてこないと、問題にならないんです。

100点満点のテストを受けました。点数は30点でした。しかも赤点みたいな状態になってしまった時に、差分は70点あるんですが、「私の能力は30点レベルで、やれることを全部やりきったんで満足です」と言われたら、これは問題にならない。

なので、ぜひ頭に入れておいてほしいことは、「お客さまの理想って何なのか?」「現実問題として何が起こっているのか?」「そこに対してネガティブに思っている問題はあるのかどうか?」です。よく「握る」と表現しますが、ここまでをまずお客さまと、ヒアリングや会話の中で合意をとる。「お互い同じ認識を持てた営業って、できていますか?」ということを意識していただきたいなと思っています。

最近の私の営業の話なのですが、「S1グランプリ」の経由で、実は豊橋の会社さんとご契約させていただきました。その会社さんの一番の問題意識は何なのか? 「コンサルへの抵抗感」だったんですよね。なので「コンサルで、過去に苦い経験をしています。コンサルに対して求めているものは何か?」みたいな話をさせてもらいました。

私が当時、「コンサルタント」と名乗らせていただいていた時に、「コンサルアレルギーが商談中になくなった」みたいなことがあったんですね。なので、お客さまと会話をしていく中で、「理想」「現実」「問題」、まずはここを、お互い同じ認識が持てる状態を作っていかないと、施策が打てません。

ただ、施策はもっと深堀りして、原因を追及して、課題を明確にして、施策に落とし込むかたちです。なので、「施策」にあたる部分が、みなさんが提案している商品であり商材であり企画であると意識していただいたければと思います。

ニーズに合わせた施策を提案するための6つのステップ

その時に、この6つのステップ「①理想」「②現実」「③問題」「④原因」「⑤課題」「⑥施策」が、この順番でちゃんと落とし込みができているのかどうか? 把握ができているのかどうかを、ぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。

黄色の四角でくくりましたが、「課題なくして施策なし」「問題なくして課題なし」「理想なくして問題なし」ですので、ぜひ上位概念で、①、②、③、④、⑤、⑥の順番で、お客さまと認識合わせができる状態をしっかり作っていただきたいなと思います。

「因果関係って何か?」ということなんですが、まず何かしら原因があるから、この現実が起こっている。これをしっかり頭に入れておいた時に、もっと原因を分解していく。

さっきの「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」を突き詰めていくと、「真因=一番の根本原因」があって、その原因が起こっていて、問題があって、現実が起こっている。ぜひこのステップを頭に入れて意識しながら、お客さまと同じ認識が持てるようにしていただけたらと思っております。

問題・課題・施策の関係理解は必須ですので、ここが理解できていないと、ただ商品を説明するだけの営業になってしまいますよね。そうならないようにしていただければと思います。

分析は「視点」を明確にする

そしてもう1個、「分析とは何か?」ですが、分析の定義を私なりに設定してみました。

「事実の分解」と「関係性の解明」ということで、ちょっとまとめてみました。まずは「目的」で、「何のために分析しているのか?」そして「どんな視点で分析を進めるのか?」「何と比較して良し悪しを判断するのか?」です。

「みなさん、身長170センチメートルと聞いて、高いと思いますか? 低いと思いますか?」という問いをすると、いろんな会社で回答はバラつくんですが、私からすると、身長170センチは高いなと思うんですよね。なぜか? それは私が残念なことに、170センチなかったからです。

やっぱり身長170センチを超える人は、「170センチはまぁまぁ低いんじゃない?」という回答が出てくるかと思うんですが、高い・低い、高い・安い、重い・軽い、多い・少ない、大きい・小さいは、必ず何があるのか? 比較対象がないと、その発想・判断はできないはずなんです。

170センチという数字はただの数字なので、大きいも小さいもないんですが、人間は何かと比較して、良し悪し、高い・低い、大きい・小さいを判断しています。ぜひみなさん、何と比較するのかは、自分自身もそうですし、お客さまの判断基準もしっかり聞いていただく、確認していただく必要があると思っています。

分析の切り口や比較材料をしっかり準備して、「現状を分析する」「原因を分析する」「効果を分析する」「リスクを分析すると」いうことで、分析の視点を明確にしていきましょうというところが、今回ここでお話ししたかったポイントです。

営業の場で「雑談」は基本的にいらない

では続いての問いに移っていきたいと思いますが、3つ目です。「雑談っていりますか?」なんですが、私は「基本的に雑談はいりません」という話をよくしているんですね。

なぜかというと、お客さまは商談がしたいのであって、自分のビジネスや生活を豊かにするための会話がしたいと思っているわけです。「今日は寒いですね」「そうですね」みたいなお話は、別にしたくないわけですよね。

であれば、「雑談って、そもそもなくてもいいんじゃないか」と、よく例でお話しするんですが、もう一歩踏み込んで、「みなさん、どっちの話を選びますか?」ということで、また頭の中で考えてみてください。

「おもしろい長話」「退屈な短話」ということで、要は「おもしろいんだけど、話が長い人」と「つまらないんだけど、話は短く終わる人」、どっちの人と話をしたいですか? なんですよ。理想は「おもしろくて短い話」なんですが、どちらかを選べとなった時に、どちらを選ぶかという部分です。

これは実際に聞いてみたんですが、「おもしろい長話」のほうが選ばれるんですよ。つまり、どんなに短かったとしても、つまらなかったら、意味がなかったら、「1分1秒でも惜しい」「もったいない」と思うのが、現代人の特徴なのかなと思っています。

最近、「タイパ=タイムパフォーマンス」という言葉がよく新聞にも出ていましたし、いろんな記事とかでも出てくる。1つのキーワード、「タイパ=タイムパフォーマンス」なんですが、「コストパフォーマンス」の時間バージョンですよね。「時は金なり」とはよく言ったものだなと思います。

お客さまにとって「意味のある話」を持っていく

繰り返しになりますが、どんなに短い時間だったとしても、1分であろうが10秒であろうが、「この時間、無駄だったな」というほうが、人は抵抗感を持ちやすいという部分です。

なので、「短い話でも何でも」ではなく、「おもしろい長話」でいいので、お客さまにとって意味のある話を持っていきましょう。ここにフォーカスをあてたほうがいいんじゃないかと思っています。

この「おもしろい」という定義は何なのか? 繰り返しになりますが、「お客さまが求めているのは商談か雑談か?」でいけば、雑談を求めているわけではなく、商談を求めている。

もっと踏み込んでいけば、別に雑談をしたから発注が来ることはないわけですよね。もちろん、戦略的に雑談を組み立てていくことができれば話は変わってきますが、天気の話とか「最近どうですか?」「ゴルフのスコアどうでしょう?」みたいな話をしても、発注は来ないわけです。

なので、営業サイドとしても、相手にとってやらなきゃいけない雑談は、やはり常に提案活動だと思っています。

「こんなアイデアがあります」とか「こんな企画を考えてみたんですけど、どうでしょうか? 御社、こういう取り組みをされていましたよね。なので、これを機にご一緒できるんじゃないかなと思って、アイデアを持ってきたんですが」といった会話のほうが、雑談であろうが本題であろうが、やっぱり盛り上がると考えています。

なので、常にお客さまと良好な関係を築くためには「ネタ探し」が大事です。何のネタかというと、お客さまの役に立てる「提案」「アイデア」を常に準備していただきたいなと思います。

営業が意識することは「提示・提案・提言・提供」

ここでやってはいけないこと、意識していただきたいことは、「商品ではなく解決策と相手が得られる利益、ベネフィットを準備する」「機能を示す前に相手が想像できる事例を準備する」そして「会話のきっかけを準備する」です。

相手が聞くだけの状態にならないように、「きっかけ提供につながるものって、できているかどうか?」を、常に意識していただくべきだなと思っています。

できる営業の雑談、本題を含めて、会話を通してですが、提示・提案・提言・提供ということで、常に何かを示す。差し出しているということを意識していただきたいと思います。

それから、ニュースやトレンド情報を「提示」することもありますし、自分の意見や考えていることを「提案」、自分の考え・意見を「提言=言葉にする」。そして、事例やノウハウを「提供」することで、自分が商談活動において、相手からして「話せてよかったな」とか「この営業さんと会話ができてよかったな。お願いしてよかったな」と思える材料を常に持っていくことを、意識していただきたいなと思います。

そして雑談においてやりがちなミスは、「エンタメ」とか「プライベート」「趣味」「共通点探し」みたいなところだと思いますが、「おもしろさを求められているわけではない」ということです。

雑談の中で、「会話のきっかけ作り」という目線で見れば、雑談は会話になり、商談は相手とともに作り上げるものですよね。その目線で見ると、ニュースであったり、お客さまが出している情報、業界ニュース、他社情報ということで、話やすい状況をしっかり作ってあげる。

人が一番話しやすいことは自分のことですので、自分の話ができる状態を作っていただけるとよいんじゃないかなと思っております。

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