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第440回 ビジクリ2.0『仕事のスピードを上げるには?』(全1記事)

「仕事が遅い」と言われても、すぐに速くはできないわけ 仕事のスピードを上げる「伸びしろ」の見つけ方

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」。本記事では、仕事のスピードを上げるコツについて語られました。 ■音声コンテンツはこちら

仕事のスピードを上げるには「速い仕事」を体感する必要がある

田久保善彦氏(以下、田久保):今日のお悩みは、「上司からよく『お前の仕事は遅い』『仕事のスピードを上げろ』と言われるが、仕事の速度を上げるためには何をしたらいいでしょうか」というお話です。

これもよくある話だと思います。何をもって速いと言うか、何を持って遅いと言うか、難しいテーマだと思います。

速ければいいのかという話もあるかもしれません。遅くていいことはあまりないかもしれませんが、ただただ速いだけでミスがたくさんだったら、もう少し時間をかけてやってみてよという話かもしれません。

定義の問題はいろいろあると思うんですけれども、仕事のスピードを上げるためには、1回、「速い仕事」のスピードを体感する必要があると思います。

どういうことか。例えば水泳の選手でも陸上の短距離の選手でも、自分のスピードの限界値を超えるように引っ張ってもらいながら泳いだり、引っ張ってもらいながら走ったりする。今100メートルを11秒で走れる選手が、「10秒で走るとこんな感覚なんだ」ということを体に覚え込ませる。そんなトレーニングがあると、テレビで見たことがあります。

それと同じように、例えば今、自分が1というペースで仕事をしている時、これを2にするのであれば、2のペースで仕事をするには、「どれぐらいの分量をどれぐらいのスピードで処理しなければ2のスピードにならないのか」ということを体感しない限り、自分で腹落ちした「スピードアップ」がイメージできないと思うんですよね。

仕事のスピードを上げるには、能力開発が伴う

どういうことかというと、例えば今まで3日かけてやっていたものを、とにかく2日であげるように取り組んでみる。次は1日で上げるように取り組んでみる。

そうしてみると、今度は、3日かけた時よりも1日でやった時のほうがクオリティが落ちるという問題があると思うんですよね。

でも、一旦スピードを体感することができたならば、「これぐらいのペースで仕事をやらなければならない時に、元と同じクオリティでやるためにはどういう工夫をしなければいけないのか」ということを、ある程度逆算できるのではないかなと思います。

なんでもそうだと思うんですが、未知の体験に対して「速く、速く」と言われても、具体的に何をしたらいいのかという発想にはなかなかなりにくい。

だとするならば、1回そのペースでやってみて、その結果、自分の能力はどこが足りないのか、自分はどういうミスをしてしまいがちなのか逆算的に理解して、一定のスピードに戻した時にも問題ないようにプランニングしながら、自分の能力開発をしていく。そんなことをお勧めしてみたいと思います。

いずれにしても、仕事のスピードを上げることは、ある種の能力開発が伴います。能力が同じなのに、ある日突然、やるスピードが上がることはありません。

例えば思考のスピードが上がるとか、もしくは考えるための情報を集めてくるスピードが上がるとか、何らかの能力開発がなされなければ、仕事のスピードは上がりません。

なので、自分にはどこに伸びしろがあるんだろう、自分はどこが弱いんだろう、ということを認識するためにも、1回「本当は3日でやればいい仕事を2日でやってみる」ということに取り組んでみてはいかがでしょうか。

本当の実力を高めるには、ダラダラ時間をかけないほうがいい

グロービスの中でも、例えば「予習にどれぐらい時間をかけたらいいですか」という質問を時々いただくんですよね。

私は「ダラダラ時間をかけて100点を目指すよりも、この予習は何時間と決めて、その中で集中してガッと予習をした時に、自分がどれぐらいのパフォーマンスができるかという勝負をしたほうが、実力は高まりますよ」という話をします。

すべての仕事には期限が切られていて、やれる時間も決まっているわけです。だから「延々にずっと予習をしていたから、結果、なんかよかったよね」という状態では、リアリティのある実力アップには近づいていかないと思います。

ぜひ1回、スピードを上げた仕事を体感してみてください。

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