
2025.03.07
メール対応担当の8割以上が「カスハラ被害」に クレームのハード化・長期化を防ぐ4つの対策
第820回 『読み手の負担を軽くできる、やりとりの工夫』(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
本山裕輔氏:グロービス経営大学院の本山です。今回は「仕事のやりとりをする時の文章の書き方」をテーマにお送りします。ふだん何気なく使っている表現をちょっと変えるだけで読み手の負担を軽くできる。こんな工夫について、2つお話しできればと思います。
まず1つ目が、「確認をお願いします」。この表現にもう一工夫加えるというお話です。例えば、上司や同僚に「この資料の確認をお願いします」と書いて依頼をする時に「確認をお願いします」とだけ書いて依頼をすると、確認を頼まれた側からするとちょっと不親切な表現になります。
と言うのも、「いったい何を確認すればいいんだろうか」と悩ませてしまうからです。なぜこれで悩むかと言うと、読み手によって持っている権限や知識量が異なるからですね。
例えば来週の営業進捗を報告するミーティングの資料を作っていたとします。この時に上司に、「資料ができましたので、確認をお願いします」とだけ依頼するとどうなるでしょうか。
上司からみると、資料の誤字脱字があるかどうかを確認すればよいのか。それとも資料に使っている営業数字が合っているかどうかを確認すればよいのか。それとも営業進捗会で議論したい論点が定まっているかどうかを確認すればよいのか。何のポイントを確認すればよいかわからない場合があります。
また、資料が50ページぐらいあったとして、全ページを確認すればよいのか、それとも冒頭の数ページを確認すればよいのかなど、確認すべき範囲がわからない場合もあります。
誤字脱字のチェックであれば、別に上司じゃなくても可能ですし、資料に使っている数字が合っているかどうかの確認であれば、上司よりもむしろシステムやデータに詳しい人に確認したほうがいい場面もあるかもしれません。
このように、確認してほしいポイントがどこか、範囲はどこまでかによって、確認をお願いする相手も変わってくる。「確認をお願いします」という言葉は10文字ぐらいですけど、この10文字にはいろんな意味が込められているんですね。
なので、ただ「確認をお願いします」と書いてお願いをする前に一度立ち止まって、まず何を確認してほしいのか。必要な情報と権限を持った相手なのか。この2つを明らかにしておくと良いでしょう。
その上で、依頼文に「具体的に何を確認してほしいのか」まで書いておくと、確認をお願いされた側もスムーズに確認ができるのではないかと思います。
読み手の負担を軽くする2つ目の工夫は、「補足」という表現をなるべく使わないことです。よく「補足」という表現をいろんなメールとかチャットで見かけるんですね。ただ、「補足」という言葉は読み手に解釈の負担をかけてしまうことがあります。
と言うのも、「補足」という言葉は、「文章のどこに書けばいいかわからないから、とりあえず『補足』のところに書いておくか」という時に使うと思います。要はうまく分類できない時とか、うまく章立てや項目を作れない時にやむを得ず「その他」みたいな扱いとして書くものが「補足」になります。
例えば仕事の依頼のメールに、3つのことが書かれていたとします。1つ目に「お願いの背景」、2つ目に「お願い事項」、そして3つ目に「補足」と。この場合、3つ目の「補足」が1つ目の「背景」に関わっているのか、2つ目の「お願い事項」に関わっているのか、はたまた何も関係ないことなのかを、いちいち読み手が解釈して埋め合わせないといけません。
解釈が必要であればあるほど、文章を読み解く負担が上がっていきます。なので「補足という言葉はなるべく使わない」「補足に逃げない」。こういう意識を持っておくと、「文章をもっと整理してわかりやすく書こう」という意識にもつながると思います。
今回は、ふだんつい使いがちな「お願いします」や「補足」という言葉についてお話ししてみました。学びになる点があれば、とてもうれしく思います。
関連タグ:
2025.03.12
SNSで炎上している研究者は「研究者として正しい」 人文学のプロ・阿部幸大氏が説く“強い意見を出せない時代”に対する考え方
2021.09.30
「なぜセーラー服で出社してはいけないの?」 さくらインターネット・江草陽太氏の自由な発想の源
2025.03.11
自分よりできる人を採用し、ゴリ押しで権限委譲 東大発スタートアップに学ぶ、組織を伸ばすマネジメント
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.03.05
「一人前のエンジニア」になるために必要なこと 未経験からフルスタックエンジニアへの道筋
2025.03.12
新規事業を継続するかどうかを見極める2パターンの判断軸 会社の規模別「撤退基準」の設け方
2025.03.13
改正後のiDeCoと退職金の受け取り方の事例 「改悪」は本当か? プロが真相と狙いを解説
2025.03.07
部下へのフィードバックで最初に伝える一言 何度も指摘せずに済むマネジメントの秘訣
2025.03.12
年収別iDeCoの税制メリット 1年で軽減される税負担をプロが試算
2015.11.24
人は食事をしないとどうなるか 餓死に至る3つのステップ
2025.03.12
SNSで炎上している研究者は「研究者として正しい」 人文学のプロ・阿部幸大氏が説く“強い意見を出せない時代”に対する考え方
2021.09.30
「なぜセーラー服で出社してはいけないの?」 さくらインターネット・江草陽太氏の自由な発想の源
2025.03.11
自分よりできる人を採用し、ゴリ押しで権限委譲 東大発スタートアップに学ぶ、組織を伸ばすマネジメント
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.03.05
「一人前のエンジニア」になるために必要なこと 未経験からフルスタックエンジニアへの道筋
2025.03.12
新規事業を継続するかどうかを見極める2パターンの判断軸 会社の規模別「撤退基準」の設け方
2025.03.13
改正後のiDeCoと退職金の受け取り方の事例 「改悪」は本当か? プロが真相と狙いを解説
2025.03.07
部下へのフィードバックで最初に伝える一言 何度も指摘せずに済むマネジメントの秘訣
2025.03.12
年収別iDeCoの税制メリット 1年で軽減される税負担をプロが試算
2015.11.24
人は食事をしないとどうなるか 餓死に至る3つのステップ