2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
第820回 『読み手の負担を軽くできる、やりとりの工夫』(全1記事)
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本山裕輔氏:グロービス経営大学院の本山です。今回は「仕事のやりとりをする時の文章の書き方」をテーマにお送りします。ふだん何気なく使っている表現をちょっと変えるだけで読み手の負担を軽くできる。こんな工夫について、2つお話しできればと思います。
まず1つ目が、「確認をお願いします」。この表現にもう一工夫加えるというお話です。例えば、上司や同僚に「この資料の確認をお願いします」と書いて依頼をする時に「確認をお願いします」とだけ書いて依頼をすると、確認を頼まれた側からするとちょっと不親切な表現になります。
と言うのも、「いったい何を確認すればいいんだろうか」と悩ませてしまうからです。なぜこれで悩むかと言うと、読み手によって持っている権限や知識量が異なるからですね。
例えば来週の営業進捗を報告するミーティングの資料を作っていたとします。この時に上司に、「資料ができましたので、確認をお願いします」とだけ依頼するとどうなるでしょうか。
上司からみると、資料の誤字脱字があるかどうかを確認すればよいのか。それとも資料に使っている営業数字が合っているかどうかを確認すればよいのか。それとも営業進捗会で議論したい論点が定まっているかどうかを確認すればよいのか。何のポイントを確認すればよいかわからない場合があります。
また、資料が50ページぐらいあったとして、全ページを確認すればよいのか、それとも冒頭の数ページを確認すればよいのかなど、確認すべき範囲がわからない場合もあります。
誤字脱字のチェックであれば、別に上司じゃなくても可能ですし、資料に使っている数字が合っているかどうかの確認であれば、上司よりもむしろシステムやデータに詳しい人に確認したほうがいい場面もあるかもしれません。
このように、確認してほしいポイントがどこか、範囲はどこまでかによって、確認をお願いする相手も変わってくる。「確認をお願いします」という言葉は10文字ぐらいですけど、この10文字にはいろんな意味が込められているんですね。
なので、ただ「確認をお願いします」と書いてお願いをする前に一度立ち止まって、まず何を確認してほしいのか。必要な情報と権限を持った相手なのか。この2つを明らかにしておくと良いでしょう。
その上で、依頼文に「具体的に何を確認してほしいのか」まで書いておくと、確認をお願いされた側もスムーズに確認ができるのではないかと思います。
読み手の負担を軽くする2つ目の工夫は、「補足」という表現をなるべく使わないことです。よく「補足」という表現をいろんなメールとかチャットで見かけるんですね。ただ、「補足」という言葉は読み手に解釈の負担をかけてしまうことがあります。
と言うのも、「補足」という言葉は、「文章のどこに書けばいいかわからないから、とりあえず『補足』のところに書いておくか」という時に使うと思います。要はうまく分類できない時とか、うまく章立てや項目を作れない時にやむを得ず「その他」みたいな扱いとして書くものが「補足」になります。
例えば仕事の依頼のメールに、3つのことが書かれていたとします。1つ目に「お願いの背景」、2つ目に「お願い事項」、そして3つ目に「補足」と。この場合、3つ目の「補足」が1つ目の「背景」に関わっているのか、2つ目の「お願い事項」に関わっているのか、はたまた何も関係ないことなのかを、いちいち読み手が解釈して埋め合わせないといけません。
解釈が必要であればあるほど、文章を読み解く負担が上がっていきます。なので「補足という言葉はなるべく使わない」「補足に逃げない」。こういう意識を持っておくと、「文章をもっと整理してわかりやすく書こう」という意識にもつながると思います。
今回は、ふだんつい使いがちな「お願いします」や「補足」という言葉についてお話ししてみました。学びになる点があれば、とてもうれしく思います。
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