2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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越川慎司氏(以下、越川):クロスリバーの越川でございます。はじめの40分で「815社に対応してきた会議データの実情」と「質と量を改善するためにどうしたらいいのか」といった資料を共有させていただきます。「こうやったらうまくいくよ」ではなくて、実例でご紹介しますね。
会議の質と量の改善ができた企業が218社あるんですが、こうした企業が行ったアクションはたった5つなんです。これによって、会議時間が減ったにもかかわらず、予定されていたアウトプットが出るようになったと。この5つのアクションは再現性が高いので、それを具体的にご説明していきます。
その前に、簡単に自己紹介をさせていただきますね。私はこれまでに4つの職場で働いたことがありまして。
スライドの表にある1、2、3、4は順番で、縦軸の上が大企業、下が中小企業。横軸の左が国内中心、右が外資・グローバル企業です。
1社目に新卒でNTTに入りまして。すごいですよ。もう会議のための会議のための会議のための会議をやります。その後、2番のWebExというオンライン会議サービスの立ち上げに関わりました。その時に同僚だったのが、今日使っているZoomの創業者であるエリック・ヤンです。次に3番のベンチャー起業を経て、2005年に4番のマイクロソフトに移りました。Word、Excel、PowerPoint、それからTeamsなどの担当役員をやっていました。
そしてまた3番に戻りまして。Microsoftに11年半いた後、2017年にクロスリバーという働き方改革を支援する会社を立ち上げました。これまでに815社、延べ17万3,000人に対して、労働時間を減らして売上を上げる支援を行ってきています。
今日は日中にもかかわらず、200名以上の方にご参加いただいているんですよ。すごいですよね。これほど多くの方が、「会議をなんとかしたい」と思われているんです。みなさんは、大企業か、ベンチャーか、中小企業か、日本の企業か、グローバル企業か、スライドの表の1~4のどこかに所属されていると思います。
僕は1~4のすべてで働いたことがありますので、みなさんの苦しい現状が理解できるんです。僕も経験していますから。残りの時間、みなさんと痛みを共にしながら進めていきたいと思います。
では、みなさんに質問です。「1週間の働く時間のうち、社内会議に費やすのは何パーセントでしょうか?」。これまで17万人にアンケートを取ってきました。さて、1週間の何パーセントを社内会議に費やしているか。チャットにパーセンテージを入力してください。
「30(パーセント」とか「20(パーセント)」とか、いいですね。「25」「60」という方もいますよ。今日はこんな感じで進めていきます。「5パーセント」はいいですね。素晴らしいです。
ちなみに私のクロスリバーという会社は、全員週休3日で、週30時間しか働かないんです。社内会議も極力小さくしているんですね。コメントをありがとうございます。「40」「50」。「50」ってすごいですね。働く時間の半分が社内会議という。
では、答え合わせをしましょう。2022年3月、17万人に「社員がどのように時間を奪われるか」というアンケートを取りました。答えは45パーセントですね。
一番時間を奪われるのが社内会議で、2年前は43パーセントだったので2パーセント増えています。
みなさんも、会議が増えているのを感じていると思います。オンライン会議になると、会議室の予約もしなくていいから、もうスケジュールがミーティングだらけ。気づいたら、会議のための会議のための会議のための打ち合わせをやっている。よくありますよね。
それに影響を受けて、資料作成が14パーセント。これ、会議資料も含まれますからね。メール処理がだいぶチャットに変わってきて、前回の11パーセントから9パーセントまで減りました。でも、未だに「議事録ちゃんと作っていますか? 直してください」と、メールに添付させてチェックするなど、20年前のような働き方を続けている方もいるかもしれません。
よかれと思ってやっていたことが、実は無駄だったりするので、振り返りがすごく重要だと思います。みなさんも会議ダイエットがしたいのなら、ぜひ週に1回体重計に乗りませんか? 体重計に乗って「これぐらい会議をしたけど、これが無駄だったな」「この資料は意味がなかったな」「派手なExcelとPowerPoint、意味なかったな」と振り返ればやめられるんですよ。
ぜひ体重計に乗ってください。つまり「何に時間を費やして」「それが成果につながったのかどうか」、1週間を振り返る時間を持っていただきたいんです。そうすると、45パーセントの会議で「あれは効果なかったな」というのが見えてくるんですね。
実際に我々クロスリバーがクライアント企業815社に対応させていただいた際に、会議室に360度カメラを付けたり、オンライン会議をレコーディングしたりして、延べ2万7,000時間の記録を行いました。「寝ている人がどれくらいいるのか」「内職している人がどれくらいいるのか」「アウトプットが予定どおり出ているのかどうか」など、全部AIで分析するんですね。
そこで、「うまくいかない5要素」というものがあります。会議は5つの要素が揃っていないと成功しないのですが、それが「ない」ということです。みなさんも(スライドの空欄の部分を、)ちょっと考えてみてください。この5つが全部揃っていないと、会議の成功率が5分の1以下になるんですね。
「①目的が明確でない」。当たり前ですよね。頂上が決まっていない山登りほどきついものはありません。「②事前情報がない」「③〇〇意識がない」「④意見が出ない」シーン。質疑応答でシーンみたいなやつですね。「⑤〇〇で終わらない」。
さてみなさんに質問です。③番に関して、「〇〇意識がない会議」ではアウトプットが出ないのですが、この空欄は何でしょうか? チャットでお答えください。
「ゴール」「当事者」いいですね。「参加意識」「コスト意識」本当ですよね。だいたい社内会議の平均参加人数は7.2名なので、1人5,000円換算だと1会議に3万6,000円使っていますからね。「改善意識」がない。「問題意識」がない。ありがとうございます。さまざまな定義があると思います。
この5つの要素は、ヒアリングや匿名アンケートの結果に、テキストマイニング(テキストデータから必要な情報を抽出すること)や感情分析を行い、AIが導き出したものとなっています。
「時間内に終わらせる意識がない」という回答もありますね。長くてこの枠に入らないかもしれませんが、確かにそうですね。
ちなみに⑤番は何だと思いますか? 「時間内で終わらない会議」と書く方が多いですが、時間内で終われば成果は出るんでしょうか? 時間内に終わればいいというものではないですよね。「結論」で終わらない。じゃあ「結論とは何か」と考えてみるといいと思います。
では答え合わせをしていきましょう。みなさんの答えも、どれも合っていますよ。でもAIが導き出した答えはこれです。③番は「当事者意識」がない。これ、すごく重要ですよ。当事者意識がないと、会議室の椅子に座ることが目的になってしまいます。
参加することが目的だから、オンライン会議でビデオをオンにする人が少ないんですよね。調べてみたら、日本ではビデオをオンにする人は21パーセントしかいないそうです。だから、伝わるように話してもなかなか伝わらない。そして会議が増えてしまう。
⑤番は「『アクション』で終わらない」です。
これ、すごく重要ですよ。社内会議って、そもそも何のためにやるんでしたっけ? 行動を促すためです。(スライド)左の実行者と右の決定者が同一人物ではない、もしくは離れているから会議が必要なんですね。
実行者が情報共有して、みんなでアイデアを出して意思決定する。それを決定者に「決定」と決めてもらって、行動量を増やしていく。「決定の量とスピード」「実行の量とスピード」が肝なんです。会議の成功の定義は、「実行量が多くなる決定をしている」ということです。それも短い時間で。これが会議のアウトプットです。「そのためには、どういう会議を設計していけばいいか?」ということなんですね。
社内会議は、簡単に分けると3種類あります。「情報共有」「意思決定」「アイデア出し」の3つです。
情報共有の中に教育・啓蒙が含まれるのなら会議をやるべきだと思いますが、右から左にデータを流すだけであれば、Slackやチャットで済みますよね。だから情報共有だけの会議はリスクが大きい。
200社で情報共有だけの会議をやめました。でも、まったく成果に影響はないんです。振り返ってみると必要がないことが見えてきますよね。
また、みなさんの会議でこういうことはありませんか? 偉い人が「イベントやウェビナーで集客数を増やすために、何かいいアイデア出せ!」と言います。
それに対して「じゃあ、こういうキャンペーンを行うといいと思います」とか「参加者にAmazonギフトをあげるといいと思います」と答えると、「いや、そんな予算がないから」「いや、もう間に合わないから」「いや、他社がやっているから」とダメ出しされる。それではうまくいかないですよ。
多くの企業でアウトプットが出ないのは、画面に表示している②番の「意思決定」と③番の「アイデア出し」が同時に行われているからなんです。アイデア出してダメ出し、アイデア出してダメ出し。これでは絶対にアウトプット出ませんから。
だまされたと思って、今日の午後から「アイデアを出す会議」と「意思決定をする会議」、アジェンダを分けてください。アイデアを出す会議では、何でもいいからアイデアを出す。そして、意思決定者は評価軸を定めた上で、出たアイデアの中から決める。
「アイデア出し会議」と「意思決定会議」を分けるだけで、なんとみなさんの社内会議は11パーセント減ります。そういうことなんですよ。事前の整理が必要なんです。
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