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無駄な会議の削減と「質の高い会議」実践の秘訣(全4記事)

1つでも該当すると、「会議の成功率」は5分の1以下 AIが導き出した、会議の成功を阻む5要素

働き方が多様化した時代にも柔軟に対応し、最短距離で成果を最大化する「チームマネジメント」について、3回にわけて特集した株式会社SmartMeeting株式会社SmartHRのセミナー。 本記事では、「成果を上げるための会議」をテーマに、『超・会議術~テレワーク時代の新しい働き方』の著者・越川慎司氏が登壇した、3回目のセミナーの模様をお届けします。日本企業における労働時間に占める社内会議の時間割合や、「会議の成功」の定義、そして会議でアウトプットが出ない理由など、さまざまなトピックが語られました。

延べ17万人超の労働時間を減らし、売上を上げる支援

越川慎司氏(以下、越川):クロスリバーの越川でございます。はじめの40分で「815社に対応してきた会議データの実情」と「質と量を改善するためにどうしたらいいのか」といった資料を共有させていただきます。「こうやったらうまくいくよ」ではなくて、実例でご紹介しますね。

会議の質と量の改善ができた企業が218社あるんですが、こうした企業が行ったアクションはたった5つなんです。これによって、会議時間が減ったにもかかわらず、予定されていたアウトプットが出るようになったと。この5つのアクションは再現性が高いので、それを具体的にご説明していきます。

その前に、簡単に自己紹介をさせていただきますね。私はこれまでに4つの職場で働いたことがありまして。

スライドの表にある1、2、3、4は順番で、縦軸の上が大企業、下が中小企業。横軸の左が国内中心、右が外資・グローバル企業です。

1社目に新卒でNTTに入りまして。すごいですよ。もう会議のための会議のための会議のための会議をやります。その後、2番のWebExというオンライン会議サービスの立ち上げに関わりました。その時に同僚だったのが、今日使っているZoomの創業者であるエリック・ヤンです。次に3番のベンチャー起業を経て、2005年に4番のマイクロソフトに移りました。Word、Excel、PowerPoint、それからTeamsなどの担当役員をやっていました。

そしてまた3番に戻りまして。Microsoftに11年半いた後、2017年にクロスリバーという働き方改革を支援する会社を立ち上げました。これまでに815社、延べ17万3,000人に対して、労働時間を減らして売上を上げる支援を行ってきています。

労働時間に占める、社内会議の時間割合

今日は日中にもかかわらず、200名以上の方にご参加いただいているんですよ。すごいですよね。これほど多くの方が、「会議をなんとかしたい」と思われているんです。みなさんは、大企業か、ベンチャーか、中小企業か、日本の企業か、グローバル企業か、スライドの表の1~4のどこかに所属されていると思います。

僕は1~4のすべてで働いたことがありますので、みなさんの苦しい現状が理解できるんです。僕も経験していますから。残りの時間、みなさんと痛みを共にしながら進めていきたいと思います。

では、みなさんに質問です。「1週間の働く時間のうち、社内会議に費やすのは何パーセントでしょうか?」。これまで17万人にアンケートを取ってきました。さて、1週間の何パーセントを社内会議に費やしているか。チャットにパーセンテージを入力してください。

「30(パーセント」とか「20(パーセント)」とか、いいですね。「25」「60」という方もいますよ。今日はこんな感じで進めていきます。「5パーセント」はいいですね。素晴らしいです。

ちなみに私のクロスリバーという会社は、全員週休3日で、週30時間しか働かないんです。社内会議も極力小さくしているんですね。コメントをありがとうございます。「40」「50」。「50」ってすごいですね。働く時間の半分が社内会議という。

では、答え合わせをしましょう。2022年3月、17万人に「社員がどのように時間を奪われるか」というアンケートを取りました。答えは45パーセントですね。

一番時間を奪われるのが社内会議で、2年前は43パーセントだったので2パーセント増えています。

無駄な会議をなくすための振り返り

みなさんも、会議が増えているのを感じていると思います。オンライン会議になると、会議室の予約もしなくていいから、もうスケジュールがミーティングだらけ。気づいたら、会議のための会議のための会議のための打ち合わせをやっている。よくありますよね。

それに影響を受けて、資料作成が14パーセント。これ、会議資料も含まれますからね。メール処理がだいぶチャットに変わってきて、前回の11パーセントから9パーセントまで減りました。でも、未だに「議事録ちゃんと作っていますか? 直してください」と、メールに添付させてチェックするなど、20年前のような働き方を続けている方もいるかもしれません。

よかれと思ってやっていたことが、実は無駄だったりするので、振り返りがすごく重要だと思います。みなさんも会議ダイエットがしたいのなら、ぜひ週に1回体重計に乗りませんか? 体重計に乗って「これぐらい会議をしたけど、これが無駄だったな」「この資料は意味がなかったな」「派手なExcelとPowerPoint、意味なかったな」と振り返ればやめられるんですよ。

ぜひ体重計に乗ってください。つまり「何に時間を費やして」「それが成果につながったのかどうか」、1週間を振り返る時間を持っていただきたいんです。そうすると、45パーセントの会議で「あれは効果なかったな」というのが見えてくるんですね。

AIが導き出した、会議の成功を阻む5つの要素

実際に我々クロスリバーがクライアント企業815社に対応させていただいた際に、会議室に360度カメラを付けたり、オンライン会議をレコーディングしたりして、延べ2万7,000時間の記録を行いました。「寝ている人がどれくらいいるのか」「内職している人がどれくらいいるのか」「アウトプットが予定どおり出ているのかどうか」など、全部AIで分析するんですね。

そこで、「うまくいかない5要素」というものがあります。会議は5つの要素が揃っていないと成功しないのですが、それが「ない」ということです。みなさんも(スライドの空欄の部分を、)ちょっと考えてみてください。この5つが全部揃っていないと、会議の成功率が5分の1以下になるんですね。

「①目的が明確でない」。当たり前ですよね。頂上が決まっていない山登りほどきついものはありません。「②事前情報がない」「③〇〇意識がない」「④意見が出ない」シーン。質疑応答でシーンみたいなやつですね。「⑤〇〇で終わらない」。

さてみなさんに質問です。③番に関して、「〇〇意識がない会議」ではアウトプットが出ないのですが、この空欄は何でしょうか? チャットでお答えください。

「ゴール」「当事者」いいですね。「参加意識」「コスト意識」本当ですよね。だいたい社内会議の平均参加人数は7.2名なので、1人5,000円換算だと1会議に3万6,000円使っていますからね。「改善意識」がない。「問題意識」がない。ありがとうございます。さまざまな定義があると思います。

この5つの要素は、ヒアリングや匿名アンケートの結果に、テキストマイニング(テキストデータから必要な情報を抽出すること)や感情分析を行い、AIが導き出したものとなっています。

「時間内に終わらせる意識がない」という回答もありますね。長くてこの枠に入らないかもしれませんが、確かにそうですね。

ちなみに⑤番は何だと思いますか? 「時間内で終わらない会議」と書く方が多いですが、時間内で終われば成果は出るんでしょうか? 時間内に終わればいいというものではないですよね。「結論」で終わらない。じゃあ「結論とは何か」と考えてみるといいと思います。

「会議の成功」の定義

では答え合わせをしていきましょう。みなさんの答えも、どれも合っていますよ。でもAIが導き出した答えはこれです。③番は「当事者意識」がない。これ、すごく重要ですよ。当事者意識がないと、会議室の椅子に座ることが目的になってしまいます。

参加することが目的だから、オンライン会議でビデオをオンにする人が少ないんですよね。調べてみたら、日本ではビデオをオンにする人は21パーセントしかいないそうです。だから、伝わるように話してもなかなか伝わらない。そして会議が増えてしまう。

⑤番は「『アクション』で終わらない」です。

これ、すごく重要ですよ。社内会議って、そもそも何のためにやるんでしたっけ? 行動を促すためです。(スライド)左の実行者と右の決定者が同一人物ではない、もしくは離れているから会議が必要なんですね。

実行者が情報共有して、みんなでアイデアを出して意思決定する。それを決定者に「決定」と決めてもらって、行動量を増やしていく。「決定の量とスピード」「実行の量とスピード」が肝なんです。会議の成功の定義は、「実行量が多くなる決定をしている」ということです。それも短い時間で。これが会議のアウトプットです。「そのためには、どういう会議を設計していけばいいか?」ということなんですね。

会議でアウトプットが出ない理由

社内会議は、簡単に分けると3種類あります。「情報共有」「意思決定」「アイデア出し」の3つです。

情報共有の中に教育・啓蒙が含まれるのなら会議をやるべきだと思いますが、右から左にデータを流すだけであれば、Slackやチャットで済みますよね。だから情報共有だけの会議はリスクが大きい。

200社で情報共有だけの会議をやめました。でも、まったく成果に影響はないんです。振り返ってみると必要がないことが見えてきますよね。

また、みなさんの会議でこういうことはありませんか? 偉い人が「イベントやウェビナーで集客数を増やすために、何かいいアイデア出せ!」と言います。

それに対して「じゃあ、こういうキャンペーンを行うといいと思います」とか「参加者にAmazonギフトをあげるといいと思います」と答えると、「いや、そんな予算がないから」「いや、もう間に合わないから」「いや、他社がやっているから」とダメ出しされる。それではうまくいかないですよ。

多くの企業でアウトプットが出ないのは、画面に表示している②番の「意思決定」と③番の「アイデア出し」が同時に行われているからなんです。アイデア出してダメ出し、アイデア出してダメ出し。これでは絶対にアウトプット出ませんから。

だまされたと思って、今日の午後から「アイデアを出す会議」と「意思決定をする会議」、アジェンダを分けてください。アイデアを出す会議では、何でもいいからアイデアを出す。そして、意思決定者は評価軸を定めた上で、出たアイデアの中から決める。

「アイデア出し会議」と「意思決定会議」を分けるだけで、なんとみなさんの社内会議は11パーセント減ります。そういうことなんですよ。事前の整理が必要なんです。

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