2024.10.10
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前田鎌利氏(以下、前田):ここからは堀口から、もうちょっと具体的なTipsの話をしてもらいたいなと思います。
堀口友恵氏(以下、堀口):これまで「基本のTips」をお伝えしてきました。私からは、より速く、効率的に作れる「最速Tips」を3つお伝えしていきたいと思います。
まず1つ目が、「スライドマスターで時短せよ!」。みなさん、スライドマスターは使ったことありますか? 名前を聞いたことはあるけど、どういった機能があるかわからない人もいると思うので、細かく説明していきます。
スライドマスターとは、PowerPointデータのフォントやページ番号の設定の管理を、一括で行える場所です。まさにマスターです。ここであらかじめ自分が使いやすい設定にしておけば、新規スライドを作った時に毎回フォントを変えたり、色を変えたりする手間が一切なくなります。では、スライドマスターの機能を押さえていきましょう。
とはいえスライドマスターにも、けっこう(いろんな)機能がありますよね。前田さんは、使っていますか?
前田:はい。スライドマスター、1回作っちゃえばすごく便利だから。
堀口:そうなんですよ。
前田:これは作らないわけにはいかないですね。
堀口:そうですね(笑)。でも実は、機能を開くといろんな設定があって、それこそ1個1個決めていくと時間がかかってしまいます。なので、今日はこの4つの機能を押さえていただきたいなと思っております。
前田:はい。
堀口:「フォント」「スライド番号」「カラー」「レイアウト」、この4つを自分のオリジナルにカスタマイズしていきましょう。
じゃあ、どうやって設定していくか。まずパワーポイント開いていただくと、上にいろいろタブが出てきます。その中の「表示」をクリックすると、「スライドマスター」を設定する部分があるので、ここをクリックします。
まず「フォント」ですね。フォントを設定する場合は、この「マスタータイトルの書式設定」と書いてあるスライドの、1番上のスライドを選択した状態で「フォント」をクリックします。そうすると、お好みのフォントを選ぶことができます。
とは言っても、デフォルトで選べる機能、選べるフォントが決まっているので、この状態でホームボタンに切り替えて、ご自身がよく使うフォントを選んでいただくのがおすすめです。
堀口:ちなみに前田さん、おすすめのフォントってありますか?
前田:パワーポイントだと、「メイリオ」とか「メイリオUI」ですかね。そこらへんをけっこう使っています。あとは「HGP創英角ゴシックUB」とかも、視認性が担保できておすすめですね。
堀口:そうですね。飾り文字じゃなくて、ビジネスプレゼンでは、はっきり見えるフォントを使うことがポイントですので、「HGP創英角ゴシックUB」や「メイリオ」などを使ってみてください。
「ページ番号」は、スライドマスター設定画面の右下にあります。これが真ん中になっていると、新規作成する時も真ん中に設定されてしまいます。そうではなくて、ページ番号はできれば右下に、デフォルトで設定するようにしましょう。これはなんでですかね?
前田:人の目って、「Zの法則」といって左上から右下に流れていくんです。右下に番号があったほうが邪魔にもならないし、しっかりメモを取る時も、(目線の)最後に番号があればチェックしやすい。そういう意味でも右下が良いですね。
堀口:はい、おすすめです。3つ目は色ですね。スライドマスターの「色」をクリックすると、このようにデフォルトで表示されるカラーパレットが選べます。
デフォルトのOfficeだとちょっと色がくすんでいるので、見やすい色に設定してください。このカスタマイズについては、後ほどTips3でも具体的にご紹介していきます。
そして最後は「レイアウト」です。レイアウトというのが、この(画面)左側にバラバラバラと出てくるテンプレートに近いものなんですが、正直あまり使わないですよね。
なので、スライドマスターの時点で使わないものを消しておく。そうすると、スライドを新規作成した時に選択肢がシンプルになります。使わないものは極力消していきましょう。こんな感じで、スライドマスターをご自身の使いやすいようにアレンジしていきましょう。
堀口:プラスアルファとして、「設定したものをテンプレートで保存すると楽!」なんです。前田さんも設定していますか?
前田:してますね。
堀口:スライドマスターで行った設定を、パワーポイントテンプレート「.potx」のファイル形式で保存すると、その設定を次の新規作成時に使うことができるんです。毎回スライドマスターの設定をしなくても、保存したものをクリックすれば、今設定したものが新規作成時にも使えるんですね。ぜひみなさん、デスクトップに保存しておいて、いつでもどこでも使えるようにしておきましょう。
前田:はい。良いですね。
堀口:続いては、さっそくTips2つ目です。「よく使う図形は『規定の図形に設定』せよ!」。これ、どういうことかと言うと、ビジネスプレゼンって、使う図形は決まっていますよね。3つのポイントを示す「円」、「来客数現象▶だから対策が必要」など目線誘導の「三角」、組織図のボックスの「四角」ですね。
だいたい、○△□をよく使うと思います。みなさん、図形を使う時、「図形」ボタンを押すと、よくわからない色や線が付いたりしていて、毎回変更するのが面倒くさくないですか?
これを自分がよく使う枠線にあらかじめ設定しておくことで、新規作成の時にもその設定で図形が作れるようになるんです。
例えば、□では、塗りつぶしなしの、黒い線のボックス(をよく使いますよね)。これをデフォルトに設定したい時は、その図形を作って、右クリックして「規定の図形に設定する」とします。これで次回、新規作成した時も白抜きの黒枠の図形をどんどん作ることができます。これ、あまり知られていない機能なので、ぜひみなさん、やってみてください。
堀口:最後に、最速Tips3つ目。「オリジナルのカラーパレットを作るべし!」。けっこう色の悩みって聞きますよね。
前田:うん。けっこうみんな悩んでいるよね。どれを使ったら良いのかな。
堀口:そこなんです。先ほどもお伝えしたとおり、基本3色以内に抑えるのがベストです。「文字は黒」「ポジティブメッセージは青」「ネガティブメッセージは赤」と設定してしまうと楽なので、これを覚えておいていただけると良いと思います。
あとは、コーポレートカラーはけっこうおすすめです。企業でトーン&マナーを合わせる場合なんかは、メインの色をコーポレートカラーにする。Eightさんだと水色ですかね。
前田:そうですね。
堀口:(水色に)設定して、それに付随してサブの色は同系色の濃い色や薄い色にします。もしくは、色相環で逆の補色などを設定しておくと、バランスの良いスライドになります。色のベースとして、まずはこれを覚えてください。
その色をパワーポイントのカラーパレットに、デフォルトで設定しておきます。これで、毎回色相環を開いて色を選んで「ああ、ちょっと違った」なんていう手間もなくなります。カラーパレットをご自身で設定しておくとすごく便利なので、ぜひやってみてください。
作り方は、まずスライドマスターの「色」の一番下「色のカスタマイズ」をクリックします。すると、「どこで何色を使いますか?」のような選択肢が出てくるので、ご自身の好きな赤、青、コーポレートカラー、その反対色などを選択しておきます。これで次からは迷わずに一発で色を選ぶことができます。
以上、3つですね。「スライドマスターをカスタマイズする」「よく使う色・線で規定の図形を設定」する。「オリジナルカラーパレットを作る」。この3つをやるだけで、みなさんのパワーポイント作成スピードがグンと上がりますので、今すぐにでもやってみてください。では、いったん戻します。
前田:ありがとうございます。たぶん、みんな使いたくなったよね。
堀口:本当ですか。良かったです。
前田:Tipsが3つありましたが、そんなに難しくないし、一回設定してしまえば楽ですから、ぜひチャレンジしてもらいたいなと思います。
あっという間ですがまとめに入りたいと思います。最後に「あなたにとってプレゼンテーションとは?」というお話をします。どうですかね。みなさんにとって、プレゼンテーションとはなんでしょうか?
冒頭に「僕は書家です」とお話ししましたが、僕は書でもプレゼンでもまったく同じことをやっています。何をやっているかというと、「念(おも)いを伝える」ことです。ツールが違うだけです。
例えば、Jリーグで、「アジアチャンピオンズリーグ絶対突破」と書かせていただいた時には、村井(満)チェアマンの念いが入っています。ソフトバンクでは孫さんのプレゼン資料を、僕も何回か作らせていただきました。その時は孫さんの伝えたいことが明確にあって、それがどうやったら伝わるか考えました。まさにツールが違うだけです。
大事なのは、それを書いた人、その人の「念い」の部分ですね。それが僕は大事だなと思っているんです。でも、伝えてもなかなか届かないこと、叶わないこと、いっぱいあります。ところが、今日ご参加のみなさんも、100パーセント(念いが)伝わっていた時もあるんです。
これ、いつかというと、赤ちゃんの時ですよね。この時は100パーセント伝わっています。(赤ちゃんは)お腹が空けば泣いちゃうわけですよね。泣けばご飯がもらえる。おしめが濡れても、泣けばおしめを替えてもらえる。寂しくても、泣けば抱っこしてもらえる。こうやって赤ちゃんはどんどん大きくなっていきます。
前田:今日は限られた時間でしたが、僕がお伝えしたことは、泣き方を整理したというところですかね。新しい泣き方、「こう泣いたら伝わるよ」みたいな部分です。ぜひ引き出しをちょっとでも増やしていただいて、より多くの方に伝わるようにしてもらいたいなと思います。
「コーヒーください」と言っても水しか出てこない。これね、行動が相手に伴っていないわけですよ。言っているんだけれども、伝わっていない。水しか出てこない場合は、声が小さいのか、そもそも「水」と言ってしまっているのか。いろいろ考えられます。
ぜひ相手の行動を促して、自分が「欲しいんだ。これください」と言えばちゃんと出てくる。そんなモデルを描いていただきたいなと思います。
今日、「おもい」には「念」(という字)を使いました。漢字をばらすと「今の心」です。ぜひみなさんが心の底から思っている大事な気持ち。これをぜひ自分のものにしてお伝えしてください。
僕は17年、いろんな企業に所属してきましたが、(特に)ソフトバンクではたくさんの学びがありました。その時、孫さんから「脳がちぎれるほど考えよ」と言われました。「脳がちぎれるくらい考えろ」と言われて考えて(みても)、ちぎれるほどは考えられないんです。要は自分が提案した内容は脳がちぎれるぐらい考えたか。
大事なのは、テクニックよりも中身です。中身がしっかりしていなければ通らないんですよね。ぜひご自身が何を伝えたいか(を大事にしてください)。僕がソフトバンクにいた時は、「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を、絶えず腹落ちさせてお伝えしていました。
前田:企業理念には「念い」が入っているんです。創業者はじめ歴代の社長さんだったり、役員の方々だったり、それぞれが持つ理念、念いがあります。それを受け継いで、またそれを伝えていく。これが大事なポイントになるのかなと思います。
みなさん。「念いは伝えていますか?」。伝わっていますかね。もし今日のお話を聞いて、「ちょっとでも変えたいな」「変えたらもっと伝わるんじゃないかな」と思う方は、ぜひトライしてみてください。コーヒーが出てくる。そんなプレゼンにしてもらいたいと思います。
ざっと駆け抜けてきましたが、さらにプレゼンのことを勉強したい、学びたい方のために、一般社団法人プレゼンテーション協会のご案内も最後、少しだけさせていただきます。
協会の理念は、「念いが伝わる世の中へ」ということで、ぜひみなさんの「念い」を世界中の方に届けていただきたいと思っています。そのために毎月1回、「伝×伝(ツタツタ)」というイベントを行って、いろんなゲストの方をお呼びしてお話をいただいています。
これまでに、Apple Japanのトップを張られていた前刀(禎明)さん、ファッションの現場から政近(準子)さん、鯖江市の佐々木(勝久)市長など、いろんな方がお見えなりました。ご自身のお仕事、活動を通して何を伝えているのか、どう伝えているのかを学ぶ機会となっています。よかったらお越しください。
その他、イベントもいっぱいあります。あとは学ぶ場として講座などもありますので、興味があれば見てみていただければなと思います。
その他、検定事業も行っています。これもいろんな会社さまで導入していただいています。社員のプレゼンスキルを初級、中級、上級と測定したり、検定を通じてスキルアップをされている会社さんもあります。
今、たくさんの会員企業がジョインされていますが、みなさんが所属されている会社でも、当然問い合わせていただくことが可能です。参加もできますし、まだ登録されていない企業の方もお越しいただきたいと思います。個人の会員も募集していますので、よかったらどんどん聞きにきてください。
前田:あっという間でしたが、以上でお伝えすることは終了となります。堀口さん、今日は駆け足でしたけれども、どうでしたか?
堀口:そうですね。ギュッと濃縮されたお時間をみなさんに届けられたのではないかと思っておりますが、どうでしょう(笑)。
前田:スピーディにお伝えして、ついてこられない方もいらっしゃると思いますが、ぜひ別の機会でお話しをさせていただきたいと思っております。みなさん、本日はお付き合いいただきましてありがとうございました。
堀口:ありがとうございました。
前田:よかったら、Eightの登録をしていただいて。
堀口:お願いします。
前田:何か質問などがあったら、直接Eight経由でダイレクトに聞いていただければ、僕からもコメント返します。ぜひ、遠慮なく質問してもらえればなと思います。では、またお会いしましょう。バイバイ。
堀口:さようなら。
司会者:前田さん、堀口さん、本日はありがとうございました。前田さんの「念いが伝わっていますか?」という最後のメッセージ、私もすごく刺さりました。そして堀口さんのすごく具体的な、合理的なパワーポイントの作成術。私は知らないことがいっぱいだったので驚きました。ありがとうございます。
ご視聴いただいたみなさんも、すごく実りのある時間だったのではないかなと思います。ぜひ今回お話しいただいた内容を持ち帰って、日々の業務に活かしてください。
そして最後、前田さんもおっしゃっていましたが、何かご質問がある方は、ぜひ前田さんに、Eight上でメッセージを送っていただけたらと思います。それでは、本日はみなさま、ご視聴いただきましてありがとうございました。
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