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『Sales Is』今井晶也式BtoBセールスメソッド【#2 成果をコントロールする営業の真実】(全1記事)

「失注」の多い営業は、金脈に近づいている 顧客の「買わない理由」で分かる、成果への足がかり

新規開拓営業の研究を行うセールスエバンジェリスト今井晶也氏が、自著『Sales is ~科学的に成果をコントロールする営業術~』をテーマに、効果的な営業活動の進め方や注視すべきポイントを語っています。 営業手法の「よくある勘違い」や、法人営業における「買わない理由」への対策などを、営業担当のビジネスパーソンに向けてわかりやすく解説しています。 ■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

新規営業でのよくある勘違い

今井晶也氏:この動画では、プッシュの新規営業で成果をコントロールする方法を、みなさんと学んできたいと思います。動画の内容は2021年8月27日発売の『Sales is ~科学的に「成果をコントロールする」営業術~』と補完関係にありますので、詳細が知りたい方は、ぜひ書籍もチェックしてみてください。

世の中には、営業で成果を上げるための方法として「勘違いされていること」がけっこうあります。その幻想に、23年の実績と体験で裏付けられたメソッドで一石を投じてきたいと考えています。

例えば新規営業で成果をコントロールしたいのであれば、1つ目、まず「売れた理由」よりも「買われなかった理由」を対策するほうが大切です。2つ目、新規営業でいう「見込み顧客」は、数字で表すと実はそんなに購買見込みが高くないという真実があります。

3つ目、お客さまが契約するのは商品でも課題解決でもありません。しいて言うなら「可能性」です。4つ目、いま営業で成果に影響力を及ぼすのは、「状況対応力」ではなく「コンテンツ力」です。そして「営業は結果がすべて」か?……いやいや、そんなことはありません。定期的に、かつ継続的に結果にこだわるのであれば、プロセスを整えるほうが効果てきめんです。

これらを本書では「成果をコントロールする営業の真実」として、このような目次で解説をしています。中でも今日は上の2つ。「重要なのは『売れた理由』ではなく『買われない理由』、そして「お客さまの『82パーセント』は買おうとしていない」という話についてみなさまにご紹介したいと思います。

私はお客さまからよくこんな質問をいただきます。「今井さん、どうやったらもっと売れるようになるかね?」……このように相談をいただくと、大抵私は「売り方に固執するのやめませんか?」と言っています。この回答は、果たして乱暴でしょうか。いえいえ、実はそんなことはありません。

もちろん売れた理由や売れた方法に意味がないとは言わないです。とても大事なので、兆しには着眼する必要があります。ただ、売れた理由にはけっこう、運やタイミングといった偶発的な理由が含まれるんです。例えば「共通の知人がいて会話が盛り上がったことによって、一気にお客さまに信用してもらって営業しやすくなった」とか、こういう話はよくあったりします。

法人営業における、お客さまの「買わない理由」への対策

一方で「買わない」と決めた理由を想像してみてください。みなさまもなにか営業されて、モノを買わないと決めた時があるはずです。その理由を想像してほしいんですね。

例えば法人営業の「買わない理由」の一部をご紹介させていただくと、「今使っているサービスから切り替えた時に発生するコストがもったいないよね」とか。「現サービスの残りの契約期間がまだ8ヶ月もあるから今は契約しないよ」とか。「いや、ライバルの商品のほうがうちに合ってるんじゃないかな」とか。あとは「商品を導入しても、本当に自分たちの困ってることが解決できるイメージがわかない」とか。このように「買わない」には、なにかしらの理由が挙げられることが多いです。そして当然ですが、理由があることのほうが対策しやすいという性質を持ちます。

例えば「今使っているサービスのスイッチングコスト」が理由であれば、コストシミュレーションなどを提示することによって損益分岐や、どうやってコスト回収をするのかを明示して、不安要素を払拭できるかもしれません。

「残りのサービス期間が8ヶ月ある」ということであれば、商談時期を別の機会に設定することによって、お客さまが興味あるタイミングで営業ができるという裏を取れることになりますよね。

そして3つ目、「競合他社の製品のほうがマッチしている」といった場合は、お客さまに対して競争優位を発揮できるニーズや課題を設定しにいく、というコミュニケーションが取れると思います。

そして「商品を導入しても問題が解決されるかどうか不安」といった場合には、例えば顧客の導入事例や利用事例、そして問題解決の仕方を目に見えるようにして、これをフックに利用イメージを訴求する。こんな対策ができるわけです。

こうした「買わない理由」の対策は、再現や真似がしやすいという利点があります。一方で先ほどお話ししたとおり「売れた理由」というものは、共通の知人とか相性といった真似の不可能な“ファンタジーな要素”が含まれるので、私たち営業はコントロールが可能な対策に集中しましょう。

お客さまに「断られた回数の多さ」は、金脈につながる

そもそも新規営業は「買おうと思っていない相手に営業している」と考えたほうが得策です。当然ですが新規営業する相手、お客さまがもともと商品を購入したいと思っていたら、相手側から問い合わせをしてくれたり、モノをすでに買ってるわけですよね。なので買っていないお客さまに営業するという時点で、相手は買おうとしていないわけです。

この表を見てください。

こちらはセレブリックスがここ3年間で支援した営業代行のさまざまなプロジェクトを、ちょっと強引ですが1つにまとめて統計を取った社内データになります。すぐに決断を迫れる「クロージング型の商品」と、企画や提案を前提にしている「大型提案」の大きく2つに分けて、上と下に記しています。上が即決可能なクロージング商品、下が複数回にわたって提案していく提案型の商品というイメージです。

今回は一例として、下段の提案型の商材を見ていただきたいと思います。プロセスの左側から、コール……これは電話の数とかメールを打ったりする数、アタック数というところになりますが、今回は電話で置いています。例えば、3ヶ月かけて1,200件電話をしたとします。そうすると204件の責任者につながって、アポイントを獲得できる確率は平均すると31件という数字になっています。これは新規のアウトバウンド、プッシュ型の営業のデータです。

つまり1,200件中31件アポが取れたということは、逆に言うと1,170件は断られているか、今アポイントにはなっていないので、また電話をかけるという企業になるわけですね。同様に、その31件の中から28件を商談したとしても、2つ隣にある受注数でいくと、最終的には5件しか受注できていないんです。

つまり商談から受注に至るのは18パーセント。逆に言えば82パーセントは「今買わない」という選択をしているわけですね。なので前提として、断られている数のほうが圧倒的に多いんです。

ただ、断られた数が圧倒的に多いということは、断られた理由のサンプル数も多くなるので「データに信憑性がある」ということが言えるんじゃないでしょうか。こうした観点から、営業活動における顧客の失注理由というのは、考え方によっては金脈、宝の山とも取ることができます。

また、買わない理由というものは特性上、そんなに多くあるわけではないので、1つ改善すると芋づる式に、ほかの企業のNG理由を解消することができ、「1個改善できた時のインパクトが大きい」という魅力があります。

そして同様に、電話をかけるところから契約書を回収するまで、全部の営業活動のプロセスをひもといていった時、契約は最後のプロセスまでいった時ですが、失注は契約よりも必ず前にきます。なので、買わない理由を対策したほうが「改善のサイクルが早くなる」という点でも魅力的です。

したがって営業活動では「買わない理由を回収できるようにする」ということがとても重要で、この本ではセレブリックスが貯め込んだ、買わない理由となる判断基準と対策が手法、メソッドとなっていますので、ぜひ活用いただいて、買わない理由がない営業活動、営業プロセスを目指していってほしいと思っています。

以上が「成果をコントロールする営業の真実」についてのダイジェストとなります。

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