2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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足立光氏(以下、足立):さて、次のテーマは「成長し続けるコツ」ですね。成長というのは、みなさん意外と意識していないんじゃないかと思っている要素なんですよ。
みなさん、なんとなく普通に仕事を続けていらっしゃるんですが、自分の成長にコミットして、自分が3年前と比べて何が成長しているのかを見直しているのかな? というのは、実はけっこう疑問だったりします。その辺はいかがでしょう?
三浦崇宏氏(以下、三浦):おっしゃるとおりですね。成長って、めちゃくちゃおもしろい概念だと思っています。できないことができるようになる、あるいは今までできたことをよりスムーズに、より成果を出すことができるようになっていくことを、自分の中でちゃんと計測できているか。
特に今回、マーケティング・販促の専門家の方や関係者の方が多いと思うんですが、当然僕らの業界も、流動性がすごく高まっています。例えば足立さんのように、いろんなところを渡り歩いて、それぞれで成果を出していくスタイルもあれば、僕みたいに自分の会社を持って、そこで成果を出し続けていくやり方もあると思うんですけど。
足立:同じ会社にずっといて、成長する人もいますからね。
三浦:もちろんです。僕自身もずっと博報堂の中で「一刻も早く、同期よりちょっとでも先に行きたい」という、下品な気持ちを持ってやっていたんですが(笑)。自分が今、何ができていて、何ができないのか。そして「何ができるようになると、より自分の価値が高まるか」ということは、常に俯瞰して見ておいたほうがいいと思っています。
三浦:僕、最近すごく感動したことがあって。青木真也さんという世界レベルの格闘家がいるんですけど、うちのGOという会社で彼のことを応援しているんです。
足立:なるほど。そういえば、三浦さんは格闘技好きですもんね。
三浦:そうなんですよ。もともと僕も柔道をやっていたんですけど。彼はもう37歳で身体能力的にはベテランなんですが、技術においては日本で圧倒的すぎて、彼の技術に関して教えてくれる人がもう誰もいないんですよ。
「先生もいないし、切磋琢磨し合える相手もいない。青木さん、どうやって練習しているんですか?」と聞いたら……僕は青木さんに「みちゅ」と呼ばれているんですが(笑)。
「俺さ、みちゅと話したり、NewsPicksの記事をちゃんと読んだりとか、自分の他の分野のことを学ぶと結果的に強くなるんだよね」と言っていて。彼は、NewsPicksのプロピッカーもやっているんです。
「どういうこと?」ってなって。それはつまり、さっき言った「マーケティングは、目的は言葉で設計して、目標は数字管理するんだよ」みたいな話です。
別の分野の専門性の高いことを自分の中にインストールして、それを自分の競技に展開すると、どういうことが言えるんだっけ? ということを常々考えていると、視点や思考の仕方が変わる。そうすると、身体の動かし方が変わってくると彼はおっしゃっていて、めちゃめちゃおもしろいなと思ったんですよ。
つまり、自分の分野の中だけでなにかを学んでいると、技術はちょっとずつうまくなっていくと思うんですが、結局イノベーションはないんですよね。それに対して、ぜんぜん違う分野の専門性の高いことを学ぶと、そこで学んだなんらかのコツや視点が、自分の仕事の中でものすごく生きるようになることがあります。
やったことがないこと、あるいは自分が今まで触れてこなかったものに対して、常にマーケティングや自分の仕事の視点を持って向き合うことは、すごくいいことだなって思いました。
足立:なるほど。成長って、技術的な成長と人間的な成長の両方があると思っているんです。技術的な成長に関しては、その分野をずっと突き詰めていくのはもちろんありだと思うんですが。技術という意味でも、例えばデジタルマーケティングがいい例です。
クリックとかの効率を上げていくじゃないですか。いずれ、どこかで行き止まるんですよ。そうすると、その次はまったく違うことを考えなくちゃいけなくなるんです。そのためには、技術という面でもまったく違う世界を見なくちゃいけないと思っていて。
そういう意味では、今もまさにそうなんですが、ふだん自分が生活したら絶対に会わないような、違う業界や違う年代の方々に一生懸命お会いして、いろんなお話を聞いておくと、いろんな刺激がありますよね。
三浦:そうですね。僕らはありがたいことに、自動車会社、飲料会社、スタートアップ、投資家と、本当にクライアントがさまざまなので。毎回毎回、あらゆる違う専門分野の悩みを相談されるので、仕事を聞いているだけで成長するきっかけがもらえるというのは、我々マーケティングやクリエイターという、外部の専門家の強みだと思っています。
足立:見ている方の中には、比較的同じ会社にずっといる方もいらっしゃると思うんですけど、そういう方はどうやったらもっと成長できると思いますか?
三浦:それこそマーケティングって、あらゆるところにヒントがあります。例えば僕がよく言っていたのは「他業界の常識は、自分の業界では圧倒的なイノベーションだったりする」ということ。
博報堂にいた時に、ある自動車会社のマーケティングを5年くらいずっとやっていた時期があるんです。僕の場合は他のクライアントさんも担当するので、携帯会社に「親子割のサービスがうまくいってないんですよ。三浦さん、どうすればいいですか?」と言われて。
「考えます」と言ったその足で、車会社に「親子割というのはどうでしょう?」というメールを打って。そのまま実施されたんですけれども(笑)。自分の業界の中だけで視野を狭く持たないことは、すごく大事だと思います。
三浦:あともう1個、最近僕がすごく大事に思っていることがあって。合理の反対は非合理じゃないってことなんですね。
足立:何でしょう。“理合”ですか?
三浦:ん?
足立:いやいや、まあいいです(笑)。
三浦:理合ね(笑)。合理の反対は「超合理」って考えたほうがいいんじゃないかと思います。これは具体的なクライアントさんの名前とか言っちゃいけないですけど、例えばある外食のお店があります。そのお店が、何日間か全店休業するということをやったんですよ。
足立:それ、どこかわかりましたね。まぁいいや。
三浦:秘密です。
足立:あはは(笑)。
三浦:それが、一般の経営者の方や他のマーケティングの方から「そんなことをやってすごいですね」と、すごく褒められるわけですよ。
「利益が減るってわかっているのに、従業員のためにそんな意思決定をするなんてすごいですね」「ある意味、これからはこういう非合理的な決断が重要ですよね」ということを言われるんですよ。
足立:でも、これは非合理なのかなって話ですよね。
三浦:そのとおりです。中長期的に考えたら、まずはお客さまがいい会社だなと思ってくれたり、メディアで報道される価値がある。そしてなによりも、現場の従業員の方のモチベーションが高まることによって、中長期的に3〜4年で見たら、利益が上がっている可能性がかなりある。
合理の反対をみんなはすぐ非合理だと言って、ちょっと変わったことみたいに言うんですが、より高い視野・より長い視点で考えると、実はすごく合理的なことが多くて。
自分のやっている意思決定が、短期の合理なのか、より大きい視点に立った時には実はこっちのほうがはるかに合理的だった、ということがあります。合理の先の「超合理」という視点を、一人ひとり持つことが大事なんじゃないかなと思います。
足立:たぶん、見ているみなさんの一番難しいところは、短期の非合理はすぐに計算できてしまうんですが、長期の超合理は「じゃあ、数値目標だ。数値で出せ」と言われたら出せないと思うんですよね。そうすると、提案できないんじゃないかと思うんですよ。
なので、トップダウンでそれ(長期の超合理)が決められる会社だったらいいんですけど、それをマネージャーとかの方々が提案していくのは、けっこう難しいんじゃないでしょうかね。
三浦:そうです。僕が今、この話をしたかったのは、実は自分自身の成長においてはこの視点が必要だなと思うんですよ。
足立:なるほど。
三浦:例えば、転職する時に給料が下がってしまう。でも、本質的に5年後の自分がより価値のある存在になるんだったら、どうなんだろうか。あるいは、目の前の上司と揉めると気まずいけど、結果的に上司とより深い関係を築くきっかけになるかもしれない。
自分のいるポジションの中で、手が届く範囲の合理的な意思決定だけではなくて、自分を成長させる。あるいは、自分を業界や社会の中に築けた時の超合理的な意思決定は重要かなと思います。
足立:なるほどね。まさに給料の話をしましたけど、僕は転職をするたびに給料が下がっていくので、いい会社があったら教えてください。
三浦:あはは(笑)。すごいキャリアだったじゃないですか。自分の給料が、毎回全部V字回復していくんですか?
足立:毎回毎回、リセットしているんですけどもね。それはともかく。
三浦:おもしろいですね。まさに超合理的な意思決定ですよね。
足立:やっぱり、お金をなんとか維持しようとすると、おもしろいポジションやおもしろい仕事ってなかなかないんですよね。正直そこ(お金の問題)よりもおもしろさとか、経験のない仕事をした方が、絶対に自分の成長になると僕は思っています。そういう意思決定をしている感じですね。
三浦:目先の給料は下がるけど、個人の価値は高まっていくので、長期スパンで見ると、結果的にお金的にも大丈夫になったと……。
足立:と、信じております。
三浦:「無双塾(足立光氏のビジネスサロン)」で検索。
足立:あはは(笑)。
足立:さて今日は「圧倒的な成果を生み出す仕事術」というテーマで、「そんなものはねぇんだ」と、いきなり言っちゃいましたけど。
三浦:そうですね(笑)。
足立:最後にせっかくなので、見ていらっしゃる方々に、なにかメッセージや言い残したことがあれば、ぜひお願いいたします。
三浦:ありがとうございます。マーケティング・販促って、現実を変える仕事ですよね。普通に考えたら100人にしか届かないものが、1万人に届くという。これによって、もう現実ってガラッと変わっちゃいますよね。ものすごくおもしろい仕事だと思っているんですよ。
僕はクリエイティブで、広告やPRを中心にやっていますが、マーケティングや新商品を作るとか、いろいろやっています。目の前の景色がガラッと変わる、こんなにエクスタシーのある愉快な仕事ってたぶんないので、ここにいらっしゃるみなさんは本当に素晴らしい仕事・素晴らしいチャンスを得ていると思います。
どこかの仕事の現場でご一緒する機会もあると思うので、その時は一緒に、めちゃめちゃワクワクするマーケティングという“冒険を”ご一緒させてください。今日はありがとうございました。
足立:ありがとうございました。マーケティング、確かにおもしろいですよね。究極的には販促もマーケティングの一部なんですが、なにかしらをして相手の心を変えて、行動を変える。だから売れるんですが、この一連のプロセスがまさにマーケティングなんですね。
口説いている女性がもしこっちを振り向いてくれたら、すごくうれしいじゃないですか。まさにそれと同じことを、みなさんは仕事でやっていらっしゃるんですよ。楽しんでくださいということで、今日のお話は終わりにしたいと思います。
足立:最後に……(両者が)ぜんぜん違うキャリア、ぜんぜん違う年齢、体型とかも違う……。
三浦:そうですね。「大と小」みたいになっていますけど(笑)。
足立:自分は別に痩せてはいないんですけど、(三浦氏と)並ぶと痩せて見えるのがすごくうれしいんですが。
三浦:こちらこそありがとうございます(笑)。
足立:実は1つだけ、昔から共通点があるんですよね。
三浦:ありますね。
足立:「せーの」で見せて、終わりにしますかね。
三浦:見せて終わりにしましょうか。じゃあ、足立さんと三浦の共通点。せーの。
足立:……ということで、実は同じ時計を愛用しております。
三浦:意外、というかね。
足立:色もモデルもまったく一緒でびっくりしました。ということで、こんなどうでもいいトピックで、本日の内容を終わらせていただきます。
三浦:でも、このG-SHOCKを選ぶのが超合理的だということに、マーケターなら気づくはず!
足立:あはは(笑)。というわけで、どうもありがとうございました。
三浦:ありがとうございました。
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