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本の“新しい”読み方~BOOK TECH~(全6記事)

本好きが作った読書サービス「ブンゴウメール」 1日3分で読める名著の楽しみ方

外出自粛や在宅勤務などで自宅で過ごす時間が増えている中で、読書の時間を増やしたいという方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、ミレニアル世代のためのビジネスメディア『AMP』主催の「本の“新しい”読み方 ~BOOK TECH~」をお届けします。「要約」「分割」「聴く」など、本の“新しい”読み方を提供する3名のゲストを迎え、読書のアップデートについて考えます。本パートでは、毎日メールで文豪の名著が届く「ブンゴウメール」の魅力を語りました。

本好きが立ち上げた読書サービス「ブンゴウメール」

木村和貴氏(以下、木村):続いて大西さんお願いします。

大西智道氏(以下、大西):こんにちは。「ブンゴウメール」というサービスを提供しております、NOT SO BAD(ノットソーバッド)の大西と申します。よろしくお願いします。自己紹介の時間を間違えて資料を作りすぎてしまったので、ちょっと巻きでいきます。

私は今合同会社NOT SO BADという会社を1人でやっていまして。もともとはリクルートという会社のグループ企業で、Webの新規事業や海外事業の立ち上げなどをやっていました。そのときから自分でインターネットサービスを作って運営していて、そっちが楽しくなりすぎてしまってそのまま独立したような感じです。今も1人でスタートアップとしてがんばっています。

今日ご紹介するブンゴウメール以外にもいろいろサービスを作っていまして、自分が本好きなので、読書系のサービスをいろいろ作っている感じです。今日ご紹介するのはブンゴウメールというサービスなんですけど、著作権の切れた昔の有名な文豪の作品が無料で読める「青空文庫」というインターネットサービスがありまして。

今の時点で、夏目漱石や芥川龍之介など、だいたい16,000タイトル登録されています。でもやっぱりみんな忙しいし、その中から自分の好きな作品を選んで読むのはなかなか大変だという状況がありました。

私がやっているブンゴウメールでは、毎月青空文庫の作品の中から1冊ピックアップして1ヶ月ちょうどで読み切れるように分割して、毎日ちょっとずつメールでお送りしています。

ちょっとイメージがつかないと思うので、具体的にどんな感じか説明します。例えば最初は、ベタなんですけど、太宰治の『走れメロス』を配信しまして。31分の1と書いてありますけど、こんな感じのメールが毎朝届きます。

『走れメロス』は短めの作品なので、400字で目安1分と書いてあります。今はもうちょっと長くて2分~3分くらいで読めるような作品などを配信しています。

完全にどうでもいいところなんですけど、文章を書いた作家の名前でメールが届くので、受信箱が楽しいことになります(笑)。

自分では選ばなかった本との意外な出会いが楽しめる

大西:ちょうど今1年半くらいサービスを運営していまして。5月から始めて配信した順番に並べてみたんですけど、太宰治の『走れメロス』から始まって、夏目漱石、芥川龍之介、夏は江戸川乱歩のホラーのような作品を入れてみたり。

あとは海外作家を配信したりしています。年末は樋口一葉の『大つごもり』みたいな大晦日の話をちょうど12月に来るように配信してみたら、旧仮名遣いでけっこう読みづらくてTwitterでめっちゃ文句を言われるということもありました(笑)。

無料なので、ぜひみなさんに使ってみていただきたいなと思います。使っている方がどんな感じで楽しんでくれているのかを何個かご紹介すると、一番はやっぱり短く区切っているので、忙しくても気軽に読めるというところで楽しんでいただいています。

これは作る前から考えていたことでもあるので、一番王道なんですけど、実際にやってみるとそれ以外にも楽しいポイントがあったみたいで。例えば、短いので丁寧に読める。

読むのが速い人ほど、読んでいるとサーっと飛ばして読んだりしちゃうと思うんですけど、配信だと物足りなくて少しずつ何回も読み直したり、ふだんなら読み飛ばすような細かいところを気になって調べたり。そういう読み方をしてもらっています。

あと同じ作品を同時にみんなで読むという環境になっているので、Twitterなどでみんなが感想をつぶやいたりもしていまして、その感想が楽しい。

『走れメロス』だとみんなけっこう盛り上がって、「メロス寝てる場合じゃないんじゃないか」「さすがに間に合わないのでは?」というようなつぶやきがけっこうあったりして。

あとは一番意外で大きかったのは、「自分では選ばない本を読める」ということです。好きな人ほど自分で本を選ぶので、わざわざ今さら古典を選ばなかったりすることもあると思うんですね。

これは半強制的に選んだ本が届く状況なので、「自分なら読まなかったんだけど、まあ来たから読むか」みたいな感じで読んでもらって、「意外とこの作家も好きだな」と。そういう本との出会いとしても楽しんでもらっています。

リリースから1年半経ってメディアなどでも取り上げていただいて、今はだいたい1万人強くらいの方に使っていただいています。

次に読む本を探すサービスなど、新サービスも続々企画

大西:仕組み自体はすごくシンプルなサービスなんですけれども、新しい取り組みとしては「これをきっかけに文学作品も読むようになりました」から「次になにを読めばいいかなぁ」というときに探すためのサービスも作っていきたくて。

例えば、青空文庫で5分以内で読める作品だけ調べるとか、10分以内で読める芥川龍之介の短編を調べられるような姉妹サービスを作ったりしています。

あとは文学作品にちなんだゲームとして、最近人気の『ALTER EGO(オルターエゴ)』というゲームとコラボしています。

この文学少女エスちゃんというのがいて、対話しながら文学作品を読み解いていくみたいなゲームなんですけど、このエスからメールが届いてエスがコメントもしてくれるので、ファンの方はすごく楽しんでいただいています。

あとは一部ビジネス書も試しています。この『ビジネスモデル2.0図鑑』ですね。ビジネスモデルをわかりやすい図解で紹介してくれる本があります。こことコラボして、公式チャネルとして配信したりもしています。

これは実際に図解の画像入りで毎日メールが届きます。ちょうど100図解あるので、毎日1モデルずつ紹介して、100日間かけて配信していました。

今は1ヶ月で1冊読めるペースで配信しているんですけど、今後のチャレンジとしては半年から1年かけて長編を読んでみようよ、とか。海外でも同じように著作権が切れた小説があるので原書で読んでみましょうという、ストイックな企画をやってみようかと考えています。ということで、今日はどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

(会場拍手)

木村:ありがとうございます。

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