2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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松田亜有子氏(以下、松田):みなさま、こんばんは。本日の進行役を務めさせていただきます、松田亜有子と申します。私は英語ではなく、世界共通言語である音楽を軸に仕事をしております。クラシック音楽のプロデューサーをしておりますが、私も日々仕事で英語を使ってアーティストたちと話さなければならないので、本日はみなさまと共に勉強をさせていただきたいと思っております。
このたびおいでいただきましたのは、ATSUさん、安河内先生、そして田中さん。それから、マイクロソフトのシンガポールオフィスにお勤めの岡田さんが、急遽オンラインで参加してくださることになりました。Amazonランキング第1位のご本をダイヤモンド社から出された岡田さんです。
先ほども安河内先生が「この本は素晴らしい、素晴らしい」と大絶賛されていました。岡田さん、聞こえますか? はい、岡田さん。あ、一瞬映って消えちゃいましたね。はい、チラ見せで。岡田さん、こんにちは。どうぞよろしくお願いします。
岡田兵吾(以下、岡田):どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。聞こえますか? 大丈夫ですか?
安河内哲也(以下、安河内):はい。今、しゃべってみてください。
岡田:了解です。マイクロソフトの岡田です。よろしくお願いいたします。
松田:安河内先生、ありがとうございます。本日の進め方ですが、ATSUさん、安河内さん、そして岡田さん、田中さんとそれぞれの先生方からお話をいただきまして、その後質疑応答の時間を30分ほど取らせていただきたいと思います。
では、今から4連続のリレー形式でお願いします。20分ずつで、まずATSUさんからお願いします。
(会場拍手)
ATSU:ありがとうございます。はい、みなさんこんにちは。よろしくお願いします。トップバッターのATSUです。私のことをどれくらい知っている方がいらっしゃるのかわかりませんが、今回はトピックがEnglish Communication、英語のコミュニケーションですよね。かなり広いトピックになります。
「英語で日本人が当たり前にコミュニケーションをすることを考える」ということで、残念ながら今日本人が、みんな当たり前に英語を使えるかというと、そうじゃない部分があると思うんです。
そうした現状を徐々に変えていくための道筋について、私が最初のビッグピクチャーをお話して、それから安河内さんにバトンタッチをして、より具体性を増していくつもりです。それをどんどん今回の参加者のみなさんとやっていければいいと思っています。
簡単に自己紹介をしますが、ATSUという名前で活動をしております。ちなみに私のことをご存知の方はどれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ああ、ありがとうございます。かなり知っている。ありがとうございます。一応Deloitteという会社で、メルボルンの方のマネージャーをやっておりまして、それと同時に「Atsueigo」というYouTubeチャンネルを公開しています。みなさんはそちらの方で知っていただいているのだと思いますが、こちらで英語学習法講座をやっているというバックグラウンドがあります。
今日はコンテンツがてんこ盛りなので、どんどんやっていきたいと思います。まず私が話したいことは、「そもそも英語の価値というものはなんなんだろう。どうして英語の勉強をするの? 英語はどのような本質的な価値を持っているの」というところを話していきたいと思うんですね。
これには2つあると思うんです。1つ目の価値は、グローバルにおける価値。これはどういうことかといえば、ここに書いているのはas a Global Languageということで、グローバルな言語として多くの話者が存在する言語であり、意思疎通をするためのツールとしての価値がある。
もう1つが日本社会における価値です。これはおもしろいことに、この2つのベン図、Venn diagramsというのは、一致しているべきだと個人的には思うんですが。残念ながら乖離がありまして、日本社会に於ける価値というのはas a badge Japanese Societyというように書いておりますが、バッジとしての役割があるんですよ。バッジです。
ですから「はい、私、英語できます」というために「私、TOEICで何点取っています」、「英検です」という、そうしたバッジをみんなが胸につけることによって、日本社会では称賛されたり、より良いキャリアパスを築けたりするという、そうした価値があるんですよ。おもしろいね。
別の側面から見ると、おもしろいユニークな価値を伴うというのが現状としてある。では、それぞれどのような価値なんだろうということを、具体的に見ていくと、簡単にいえばグローバルなコミュニケーションツールとしての価値なので、今後はグローバル化していきます。今、もうすでにしていると、現在進行系だという話がいろいろと言われだしてから、もうかなり時間が経っておりますが。
今後はどんどん、外国人労働者も日本で増え、日本にいる人も、もう外国人と一緒に共同していくということは不可欠になっていくという現状で、その中でそういった人たちとコミュニケーションツールとして言っていることを理解してもらって、相手の言っていることを理解して、一緒にバリューを出していく。
そういったところで役に立つコミュニケーションツールという価値があるんです。グローバルな、それが機会の獲得にも繋がっている。それは企業レベルでもそうだし、個人でも例えば、海外移住をする、海外に就職機会を求める、今はSNSなどで個人で発信できるので、それをもってして、グローバルに自分を売り込んでいく。そうしたツールとしても使えます。
では英語をグローバルランゲージとして、定量的な部分を見ていくと、ネイティブで話している人はどれぐらいいるんだろうと考えると、こんな官庁データがあるんですね。ネイティブとして話しているものは、中国語が1番なんですよ。2番目に英語の話者がいる。ただ、実際に私たちのようなEnglish as a second languageとして、この言語を話す人というのは、15億人ほどいるんですね。
かつ、中国の人口というのは、先ほどここに10.5と書きましたが、第2言語として中国語を話す人というのは、ほとんど変わらないんです。ただ英語になると、このようにものすごく大きくなる。これは世界人口のだいたい4人に1人か、5人に1人は英語話者であるということがここからわかるんですね。
かつ、この英語を話す部分については、中国語とは異なり、かなり幅広い国にそのレンジ、幅があるわけですよね。中国語は、基本的に中国という1つの国じゃないですか。ただ英語の場合は、例えばイギリス、オーストラリア、第2言語習得者というものを含めると、例えばシンガポールやマレーシアというように、かなり幅広いところにその言語を使っている人が分布している。
そのように考えると、英語がグローバルランゲージとして認識されている。リングワ・フランカ(共通語)として認識されている背景はここにあることがわかると思いますし、言語的にも英語を学習することによって、幅広い場所での活躍機会を得ることができる可能性が高いということがわかると思います。
このようにグローバル機会の獲得の可能性というものが高まり、その結果として留学やキャリア、それから海外に移住をする、だから自分の生活レベルで選択肢が増えていく。それを実現するためには、一体なにが必要なのかと考えると、実践的な英語力が必要ですね。
ですから、TOEICで点数が取れたからといって、では留学やキャリアで海外移住ができるのかというと、そうではない。実際にプラクティカルな英語が使えるようにならないと、そうしたグローバルな価値を享受できないということがあります。
ただ、残念なことに、日本社会における英語は、先ほど言ったように、試験資格等のバッジとしての価値がメインなんですね。これが日本社会における機会獲得の可能性を高めてくれるという、皮肉なポジティブな側面がありまして、それを変えようとしてくれているのが安河内さんでもあるんですが。
もちろん人によって人生の歩み方は違うと思いますが、社会の構図的にすごくティピカルな、そうしたネガティブなコノテーションも伴うけれども、少しティピカルないわゆるレールとして、日本には大学受験という、ものすごく大きなマイルストーンが存在しています。ここで成功すると、名門大学に入ってより良い就職機会が得られるわけですよ。
大企業に入るということが、いわゆるティピカルな日本社会の成功モデルですよね。いい就職機会を得た後も、英語学習は続くんですよね。英語学習は続くんですが、そこでいったいなにが軸になるかというと、TOEICやそうしたものが軸になり、それで就職後のキャリアまでついてしまう。
ですから、学生のときから、まず大学受験という大きなマイルストーンがあり、それが将来の就職機会にも繋がって、就職後も英語は必要なんだけれども、でもそこで見られるのはTOEICの点数。そんな表層的部分が多いのです。ですから、まず日本の英語教育にはこうした構図がどうしてもあるから、ではこれが成功なのであったら、この成功に導いてあげるためには、なにをすればいいんだろうという英語教育になってきますよね。
そうすると、学校の英語教育というのは、はい、ではまず、受験。これ一番最初の大事なマイルストーンだから、ここを飛び越えてあげられるようにするために、受験で成功するための英語教育をしましょう。自然になってしまいますよね。その後に名門大学に入ってから就職して、それからキャリアを築くとなったときに、TOEICの点数が大事なんですと言われると、やっぱりみんながそうした資格試験に対する学習を始める。
自然としだしますよね。自然としだすとどうなるかというと、ではそれを教えてくれる学校が増えたり、教材が増えたりしていくわけです。そうすると社会の流れ的に、TOEICに向けて学習する、英検に向けて学習するといった、そうした学習のアプローチや方向性が、いわゆる英語学習なんだという固定概念ができてくるんですよ。
でも、実際にそれってどうなんだろうということが、今ある問題なんですよね。これがいわゆる日本の英語教育のフォーカス、ここは自然となってきてしまっている。
では英語試験資格は無駄なのかというと、無駄ではないと思うんですよね。それには一応3つの価値があると思っています。日本社会でその英語試験資格はバッジとして使える、それは客観的な事実としてあるのでだから、使える間は使っちゃえばいいと思います。
ですから私もTOEIC、例えば大学生のときに970点ぐらい取りましたが、それを取った理由というのは、もし日本で自分が就職するとすれば、そういったものをバッジとして見てくれるという認識があったからやったわけであり、それでより良い結果が出るのであれば、私は別にそれはそれで享受した方がいいと思うんですね。
そういった価値もあるし、あとは試験というのは、測定可能性がある程度伴います。というのはどういうことかといえば、英語というものは、やっぱり生き物のようなものなので、それよりもでは、この人の英語はなんぼだということが、なかなかその人の対人レベルだとすると、難しいと思うんですね。
そんな中、英語学習者はとくに自分の英語レベルは一体どれくらいなんだろう、英語の将来の世界はどのように広がっていくんだろうということはイメージしにくい。ただそんな中で試験を使うと、ある程度はそれが定量化できるようになってくるので、目標設定もしやすくなる。
もちろん目標設定をしやすくなるとどうなるかというと、モチベーションを保ちやすくなるわけです。では次のマイルストーンとして、この点数を目指そう、その結果英語学習の継続力に繋がっていくという側面もあるわけです。
英語学習のソースと英語学習法。この2つと継続力というのが、自分は英語学習において一番重要なことだと思っておりまして、そのうちの継続力を提供してくれる1つのツールとして、私は英語試験は存在していると思います。英語試験に対して、みなさんが今、勉強をしていること、それに対して「いや、それは無駄ですよ。やめてください」と言っているわけではありません。
Three critical elements necessary to improve English(英語力の改善に必要な3つの重要な要素)というものは、今言いましたが、英語学習のソースをインプットして英語力の向上に繋げるためには、これはもちろん本を買っただけではみなさん英語力伸びないですよね。それを使わないといけないわけです。ですから、使うためにそれを継続的に使わないといけない。
3日間使って終わりなどと、そういうものではなく、単語帳であれば100周くらいしなければいけないし、TOEICの模試を解くのであれば、それを5回くらい解き直した方がいいんですよ。ですから、そうした継続力がどうしてもこの学力を伸ばすという意味では必要になってきます。それに加えて、英語学習方法。
どういった学習方法でこの英語を習得すればいいのか。ですから、英語学習のソースがあり、それを使って英語力を伸ばすとなったときに、ではその教材をどのように使えばいいのかという、その英語学習方法。これは、自分がAtsueigoなどで発信しているんですが、そういったものをロジカルに組み立てて、それで英語力の向上に繋げていくということが私は大事だと思っています。
では、英語の本質的な価値、私たちの英語学習の方向性というものは、どっちに向いていくべきなんだろうと考えたときに、一方で日本社会で機会獲得の可能性を生んでくれるという価値があり、もう一方ではグローバルな機会獲得の可能性がある。どっちを取ればいいんだろう、どっちに向けて勉強すればいいんだろうというようになってくると思うんですね。
個人的には、就職後のキャリアとして、今、TOEICの点数を取れるだけで、今後こういったキャリアパス、より良いキャリアパスを得られるというものがあると言いましたが、今までかなりいろんな大きい会社の人事の方とお話をする機会がありましたが、そうした中でみなさんが口を揃えて言うのは「TOEICの点数はいいんだけれども、しゃべれなくて現地に送ったら使いものにならない」と。
こてんぱんにやられて帰ってくるというのが1つ問題としてあるとおっしゃっています。それは、大きな企業のどこの人事の人であっても、それが問題の共通認識としてある。ということは、現実問題に、英語というものが、最終的にその人のキャリアとしてプラスとなっていくためには、やっぱりプラクティカルに使えるという部分が重要になってくるんじゃないかと思っています。
では、英語学習のアプローチとして、今までは2パターンあったんですね。これは大学受験、TOEICに向けて、ここをゴールとしてやる学習と、その先にあるもの。英語学習から大学受験に向けてやるのと、その先に向けて英語学習をやるという2パターンがあったんですが、このどちらが効率的なのかという話を、みなさんにどんどん伝えていきたいと思っていることから、Atsueigoでも言っていますが。
結局のところ、大学受験やTOEICに向かってやる勉強より、実際に使える英語を伸ばそうと考えた上で受験勉強をするというようになった方が、明らかに効率はいいんですよ。私の場合も、例えば今までは受験勉強のときから、正直英語は趣味だったので、受験に受かりたくて英語を勉強していたわけじゃありません。英語を使えるようになりたいと思ったから勉強をしていたんですね。
そうすると自然に、では単語を覚えるときは、書いて覚えるんじゃなくて、音で覚えよう。きちんと発音して覚えようというように、その音がどのように変化するのか、その理論を知ってみようといったように、オンライン英会話を始めようなど、そうした学習になってくるわけですよね。
結果としてどうなるかといえば、私は今までいろんな試験を受けました。TOEIC、英検、IELTSも受けましたし、TOEFLも受けたんですが、それぞれ目標の点数にいくために何度も何度も受験した経験は1回もないんですね。
それはどういうことかというと、もう実践的な英語力を伸ばすための学習をしていたので、あとはその試験のフォーマット等に慣れるため、単純に練習をすればいいというだけであり、結局この実践的な英語力を伸ばすために学習をしていたからこそ試験がめちゃくちゃ楽だというように思ったんです。
効率的であると。周りにはTOEIC700から800に伸ばすために1年2年、何十回もTOEICを受験してるような人がいる。それを見ていると、非効率だと思うわけですよ。そうしたマインドセットを持つと、例えばTOEICだけを乗り切れればいいような感じでやると、それであれば単語もとにかく丸暗記しよう。とにかく書こうということになります。
実践的な英語力を伸ばすために勉強した方が、最終的には短い時間で済むということがわかっていれば、それであれば音で覚えよう、文章を作って自分で使えるようになりながらやろうということがわかってくる。
そうしたことを、日本の英語教育でも、ムーブメントとして自分は起こしていきたいと本当に思っているので、そのためにやっぱりAtsueigoのYouTubeなどでそうした発信をしたり、他にもいろんなイベントでこうした情報を少しでも多くの人に知ってもらうことによって、みなさんの英語学習のマインドセットが変われば嬉しいと思っています。
この英語学習は、本当に具体的にどうすれば話せるようになるんだろうね。日本人が話せるようになるというのは、一体どういうことなんだろうかと、今これを見ると思うんですが、そこはこちらにいらっしゃる……。
安河内:え?
(会場笑)
松田:はい、安河内先生お願いします。
安河内:まだまだ。
ATSU:私はこれで終わりなので。
松田:ATSUさん、ありがとうございました。
(会場拍手)
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