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~セールスイネーブルメントのパイオニアが語る。これからのセールスイネーブルメント~4社対談×質問(全3記事)

トップセールスに学ぶ、“成果が上がる日報”の書き方 営業力を強化するデータ活用法

営業力の改善や組織改革の手段として今注目を浴びている「セールスイネーブルメント」。営業プロセス全体をマネジメントし、全体最適を促すだけでなく営業のディテールまで数値で見える化し、ミッション実現のための不足事項をシステム・施策・営業研修などを通して、再現性のある売れる営業・営業人材の仕組み化を目指します。本パートでは、すでにセールスイネーブルメントを推進している4社が、これからの時代を勝ち抜く「売れる営業の仕組み化」について語りました。

営業未経験層に、研修でトップセールスのエッセンスを共有

清水貴裕氏(以下、清水):このあとは最後に、私を含めて4名全員でお話をいくつかしながら。ここまでSlidoにお寄せいただきました内容を、ちょっとお話ししていければなと思っております。もしなければ私のほうで質問事項を用意しておりますので、そのお話をしていきたいなと思っております。

じゃあみなさん、どうぞこちらへいらっしゃってください。

(一同移動)

どうぞおかけください。Slidoに質問が2つ来ていますかね。まずはみなさん、いろいろお話しいただきましてありがとうございます。最大30分ぐらいで、ざっくばらんなトークをしていければなと思っております。

まずはセールス研修についての質問ですね。「中途採用メンバーに行うんですか?」、これは今井さん宛てですかね。「第二新卒、即戦力、トップセールスの引き抜きなどレベル感もバラバラだと思いますが、それぞれどのような研修をしていますか」という質問をいただいております。

今井晶也氏(以下、今井):はい。結論から言えば、一定の研修を受けます。

清水:あっ、同じなんですね。

今井:はい。セレブリックスの場合は営業の代行会社なんですけど、営業未経験層が9割ですね。むしろ営業の経験というよりは、ポテンシャル採用を大前提にしています。営業をやっていない方々にセレブリックスが持っている顧客開拓メソッドを短期間で修得させて、トップセールスのエッセンスを身につけさせることをやっていますね。

ある意味「同じ教育・同じ講師」というところはブレないようにというか。バックボーンがなんであっても関係ないですし、営業経験者だったとしてもまた改めて、そこの考え方を「刷り込み直す」と言うとちょっとおかしいと思うんですけど、そういうやり方をしています。

営業が全員インサイドセールスを経験するメリット

清水:ありがとうございます。弊社は中途の研修をまだしっかりとやりきれていないんですけど、やるとしても新卒と同じものをやろうかなとは思っています。お二人も研修はありますか?

山川周氏(以下、山川):メドレーでは、入社時の研修として会社や事業部理解の場がありますが、セールスに関してはドキュメントを読み込んだり、商談同行やベルフェイスの動画視聴が中心です。ちなみに、私が昨年7月まで勤めていた前職の食ベログでは、1ヶ月間のプログラムが組まれていて、セールス未経験と幹部候補が横並びで受けるとこはありましたね。

清水:あぁ、あるんですね。ウイングアークさんは?

久我温紀氏(以下、久我):うちもそうですね、カリキュラムか……中途向けは十分ではないですね。製品のトレーニングやセミナーがあるので、そこに参加してもらって製品の情報やプレゼンの内容をインストールしていくことはやるんですけど。新卒向けの研修プログラムは4~6ヶ月程実施しています。また、その期間は全員インサイドセールスを経験してもらいます。

清水:じゃあ実際に、現場で全員に(インサイドセールスを)させることがあるんですか?

久我:してもらいます。インサイドセールスを経験すると、データ入力やWeb会議ツールを一発で習慣化できるじゃないですか。あと、マーケやインサイドセールスが作ったリードを大切にしてくれるようになるんですよ。

清水:ベルフェイスとまったく一緒ですね。インサイドセールスは基本的に全員やるような。エンジニアとかはもちろん違いますけど、基本は通過するかたちです。こういったことを研修していっているんですね。けっこう続々と(質問が)来ているんですけど、バイネームで来たのであげますね。山川さんに質問が来ています。

「入社して早々イネーブルメントに取り組まれたということで、現場感を持っていないことがネックになると思いますが、どのように現場とチューニングしていったんでしょうか」。

山川:はい。まさにそこは、一番僕自身も一番意識したところですね。大枠としては、縦軸に育成におけるオンボーディングとグループ間連携、横軸にそのプロセスなどを敷いて、いくつかのセグメントをつくります。そのセグメントごとの現場メンバーや組織に対してこまめな壁打ちを繰り返しました。総花的に取り組もうとするのではなく、セグメント分けしてそこから現場感を拾うほうが、面倒さはありますが結果的に適切なチューニングになると思ってます。

あと、やっぱりセールスの追うKPIやそれに向かうプロセスは、共通点や共通するフレームワークがあると思っていたので、商材に関わらず「営業としてどうあるべきか」といったロジックやテクニック論を持ち込みました。逆に言うと共通じゃない場所は現場感を大事にしたかったので、メンバー同士のナレッジ共有として切り出すなど、ちょっと意識的にやりました。

もうちょっと僕自身が医療業界の仕組みや、それを取り巻く環境とか、いろんなものに詳しくなれば、できることも広がると思っています。

現代の営業スタイルやITツールのリテラシーが身に付く

清水:ありがとうございます。どんどん質問が来ているので、どんどん行こうと思っているんですけど(笑)。さっきの質問に対して、追加の質問が来ていまして。

「インサイドセールスを全員通過することは、ジュニアメンバーの成長期間としての側面が強いですか?」というような相談が来ています。

ベルフェイスで言うと、もちろんジュニアメンバーの育成という面はありますが、さっき久我さんがおっしゃったようなことと一緒ですね。

Salesforceにしっかり触れるような素養であるとか、我々はインサイドセールスの支援会社でもあるので、それ自体を知らないとそもそも支援できないんです。そういった自分たちが支援していく仕事を体感する、というような要素は強いですね。

久我:あとSalesforce以外に、うちもbellFaceを使っていて。基礎的なITツールのリテラシーや現代の営業の在り方がスッと入ってきますよね。営業の移動時間は無茶苦茶無駄じゃないですか。だけど、古い営業スタイルが身についている人は直接会う以外の選択肢を持ちづらい。移動コストは削減したほうがいいんですよ。

お客さんと打ち合わせをやっていても、リアルで行くと肝心なテーマについては話が終わっても、何となくせっかく行ったし、来てもらったしということで互いに2時間使い切らなきゃ、となりがちです。

Web会議は終わったら「しーん」となるから、「じゃあそういうことで」となるので、すごく効率がいいと思っていて。そういうものが身につくので、そこを通過させるのはすごく有効だなと思います。

「気づき」が得られる日報、営業の行動を変える週報

清水:成長が早くなるということですね、ありがとうございます。データの集計についての質問が来ていますね。「日報はどんな工夫をされているんだろう」という質問です。

「セールスのデータを集計するためにどんなインプットをポイントとしているのか」みたいなことだと思うんですけど、インプットの工夫はなにかありますか? させるための工夫とか、「こういう項目にしたらいいよ」とか。今井さん、どうでしょう。

今井:セレブリックスの場合は、日報にすごくこだわるんですよ。細かいんです。セレブリックスは営業の代行会社なので、クライアントに代わって営業をやるじゃないですか。なので日報が成果物なんですよ。「今日動きましたよ」という証明書になるからなんです。

単純な成果だけではなくて、「気づき」にものすごくこだわっていて。例えばできなかったことにどういうトライをしてみて、どういう結果が見られたのかとか。

実験活動の内容みたいなものは明確に記載させていただきますし、やっぱり今日1日で出た買わない理由、それらを統計ごとに合わせてこういうパーセンテージが出たよ、といったものはアウトプットとして出せるようにしています。

それが最終的に月間のアウトプットとして紐づくようなかたちなんですよ。今やっている業界の傾向としてはどういうところが理由でネックになっているかとか、どういう理由で受注になっているかとか、数字と因果のある理由や定性な情報が表示されるようにしていますね。

久我:うちは日報がなくて、SFAに入れると自動で週報が生成されるんですよ。さっき実は一瞬映していたんですけど、それで1週間の活動の成果と、その活動でモニタリングすべき指標とかが全部出てくるようになっていて。

例えば1週間で、営業が何件活動して、どこのお客さんに行って、何件受注して、パイプラインを何件増えて、パイプラインの商談の金額が上がったもの、下がったもの、商談フェーズが上がったもの、下がったもの、失注した案件、と全部バッと出てくるんですね。

営業に求められているのはアウトプット。活動件数(量)ではないんです。だから、活動は多いけど営業の成果(受注や新規案件創出、案件進捗)が増えなければ、事業としてはコストを投下しているがリターンがゼロの状態。営業の行動を変えていくためにデータが必要で、それが僕が週報に求めるものです。それを自動生成する仕組みを構築しています。

日報は感情を共有するコミュニケーションツール

清水:なるほど、ありがとうございます。ちょっと変わった毛色なんですけど、ベルフェイスでやっている日報の話で。データの話を集めるために日報してもらったり、改善のために日報することはあると思うんですけど、感情のためにもやったりするんですよね。

例えばマネージャーが部下に対して自分の思っている感情を伝えるのは、案外しづらいんですよね。日記みたいに、日報の一番下に「今日のひと言」みたいなスペースを入れていて、僕は率先してふざけるわけですよ。

そうすると、僕がどういう人であるとか、チームの雰囲気が作れたりします。僕はそういうふうに、日報はデイリーで書くので、人っぽいものを入れる。

ちょっと余談になっちゃうんですけど、会議では「チェックイン」と言うものをやるんですよ。会議に入るときに「じゃあいきなり数字ね」と言うと、なんだかせっかく集まっているのにもったいなくて。

うちなんかリモートワークもすごく多くていつも一緒にいないので、やっぱり感情の授受がすごくしづらいんですよね。なので集まったときに、最初は「今どんな感情にいるか」というのをシェアしたりするんですよ。

「昨日こんなことあって奥さんとケンカしてさ、だから今日はあんまりテンション上がらないんだよね」「でも今日はがんばろうと思っている」みたいな話をしてから会議をスタートしたり。そういうのをけっこうやっていますね。

久我:「チェックイン」みたいな概念を作っちゃうのはすごくいいですよね。

今井:どうアウトプットさせるかも大事なんですけど、アウトプットしてもらった内容にフィードバックしてあげるところがすごく大事だと思っていて。「見ていない」とメンバーから思われた瞬間、もう形骸化するというか、なんなら悪口に変わりますよね。

そうしたらもうイネーブルメントとか不可能で、「やっても意味ないけどやらされている」ということになっちゃうんです。

やっぱり本人が日報に記録を残していくと、「上司がアドバイスしてくれるためのお互いの意思疎通のツールなんだ」とか。そういう媒介をしてくれるものにしていかないと本当に無意味になってお互いの時間を奪うだけなので、そこは気をつけたほうがいいと思います。

営業組織のマネジメントに有効な「交換日記」

久我:それはチャター(chatter)でやったりします? うちは案件をSFAに登録して、案件のやり取りは基本的にチャターですが「案件取れたね、やったね!」とか、スタンプ押したりなど、感謝を伝えるのはUniposやSlackなどを利用してやっています。

今井:いいですね。

清水:うちは普通の日報はSlackなんですけど、おっしゃるとおりSalesforceで日報のオブジェクトを作って、打ったものにひと言入れて送るとSlackに飛ぶ、みたいな。

今井:あぁ、いいですね。連携するんですね。

清水:連携はしていますね、はい。

山川:ちょっと逆にアナログなことを入れちゃうんですけど、食べログのときに、けっこう最強なインサイドセールス組織を作ってマネジメントしていたリーダーがいるんですよ。そのリーダーの、彼女がやっていたのはメンバーとの「交換日記」でした。

これは普段からの接し方や、その情報の扱い方などがすごく大事なんだけど、さっきおっしゃっていただいた「感情の会話をする」という意味ではすごくよかった取り組みだと思います。

清水:そうですね。営業組織はそういうのが大事ですよね。

久我:結局人と人の意識疎通みたいなものができないと、組織のマネジメントもそうだし、うまくいかないですよね。

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