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スペシャルゲスト『2030年、ぼくらのはたらき方 』/箕輪厚介(幻冬舎)(全2記事)

箕輪厚介「ベストセラーを何冊も出せたのは、裏に箕輪編集室があったから」 謎に包まれたオンラインサロン「みの編」の全容を語る

2019年4月11日、株式会社コンカー セミナールームにて「GUILD SUMMIT 〜会社員でもない、フリーランスでもない、あたらしい働き方〜」が開催されました。会社に所属しながら、複業として他社のプロジェクトに参加したり、同じ価値観を持ったフリーランスが集まって大きな仕事にチャレンジしたりと、従来の枠組みには収まらない働き方が生まれる昨今。これからは「会社員だから」でも「フリーランスだから」でもない、自分らしい働き方とはなにかを求められるようになります。このイベントには、そんな自分らしい働き方を実践している人たちが登壇。本記事ではスペシャルゲストとして登壇した、編集者・箕輪厚介氏の講演前半の模様をお送りします。

箕輪厚介氏が語る「2030年、ぼくらのはたらき方」

許直人(以下、許):箕輪さん、今日はよろしくお願いします。

箕輪厚介氏(以下、箕輪):お疲れさまです。

:先ほど話したんですけど、「今日のイベントは何なんですか?」って言ってましたよね(笑)。

箕輪:毎回わからなくて……現場に来てから聞くという。

:まあ、なにを喋るかは、来ている方のモチベーションに応えるというところだと思うので……。

箕輪:全方位、なんでも喋りますよ。なんでも喋りますけど、(会場のみなさんが)なにを求めているか……。

:今日、箕輪さん目当てで来ている方は、どのくらいいらっしゃいましたっけ? 

(会場挙手)

箕輪:まあ少ない。

(会場笑)

:(会場を指して)箕輪さんのなにが聞きたくて? 

質問者:なんだろう、ちょっと目の前すぎてパッと浮かんでこないんです(笑)。

箕輪:急にやられてもそうだと思います。なにか……なんでもやりましょう。

社会に適合できない野良サラリーマンの集い

:そうですね、基本的にみなさんも「この集まりは何なんだ」と思っていますよね。説明します。

箕輪:お願いします。

:簡単に言うと、野良サラリーマン。社会にあんまり適合できない野良サラリーマンの集まりみたいな感じです。

(会場笑)

箕輪:なんですか、野良サラリーマンって。

:大企業で部長とかまでいったんだけど、「もう会社なんてやってられるか」と辞めてしまった人とか。

箕輪:野良サラリーマンってどうやって集めるんですか。

:あ、ちょうどそこに野良サラリーマンがいるので。(会場を指して)なぜ野良サラリーマンになって、これからなにをしていくのか。○○さん、ちょっと立って今日の会場の雰囲気を伝えていただけますか。

参加者1:すごい無茶振り……。こんにちは。僕は今日ギルドの人と来ました。でも僕はギルドじゃないんですよ。あ、そうだ、昨日まで風邪をひいていたんですよ。

箕輪:前置き長いな。

(会場笑)

すみません、嘘です。

参加者1:よかったです。今日は(許)直人が仕切ってギルドを集めるので、ずっと準備をしてきて、楽しみにしていました。

:彼はサイバーエージェントの黎明期からジョインしていて、そのままの勢いで結果を出してきたんだけど、大企業にがしっとハマってみたら「大企業に火が燃え移らないじゃないか。もう俺、自分でやれ」みたいな感じで飛び出した40歳です。

サイバーエージェントの黎明期にトップエージェントをやっていて。その後、大企業にジョインしてみたら自分の熱意と大企業の歯車が合わなくて、スピンオフだかスピンアウトをして、自分でこれから会社を立ちあげる感じです。

箕輪:これから? 

参加者1:しゃらくさいので、自分でやろうとしています。

箕輪:なるほど。わかりやすい。

:そんな感じの人たちが集まっています。

箕輪:なんだか、僕が呼ばれた理由がすごくわかった(笑)。

:わかったんですか(笑)。

(会場笑)

箕輪:まさに僕が来るべきイベントですね(笑)。

:よかった(笑)。

箕輪:事前に共有しておくべきでしたね。(そうできなくて)悲しいです。

:柴山(由香)さんに「(箕輪氏は)絶対にこのイベントのことを知らないから、この手紙だけは渡しておいて」ということで渡しておいたんですけど……。

箕輪:SNSで「銀座・箕輪」といろいろ検索しても全然出てこなかったんですよ。でも、もうすべて理解したので大丈夫です。

熱くなりすぎた頭を冷やすためのアルコール

:了解です。自分はずっとサラリーマンをやっていて、40歳でフリーランスになって。すごく楽しい一方、不安で眠れなくて365日ずーっと飲み続けているんですよ。

箕輪:直人さん、そんなに不安なんですか? 

:不安ですね。毎日すごく飲んでいます。

箕輪:なんでですか? 

:なんでだろう。

箕輪:それはなにかを変えないと。僕も毎日飲んでいるけれど、不安というよりも脳が異常に熱くなってしまっているから、冷やさないとだめだと思って酒を飲むんですよ。酒を飲むとやる気がなくなるので。

そうしないと本当にずっと仕事をしてしまうので、もう「あ、ここで終わり」と思ったら飲むんです。だからまだ耐えられるけれど、不安で毎日酒を飲んでいたら、それはかわいそうですよ。

(会場笑)

箕輪:僕は本当にホットになりすぎるから、あくまでもシューっと冷ますために飲むんですよ。「今日は終わり」「寝るぞ」「もうあとは明日の朝」と。

:たぶん私は、箕輪さんに比べるとめちゃくちゃ気が小さいんですよね。起業して1年くらい経って、最近ようやく「なんとか生きていけるな」と思って。それでやっと3日間酒を抜いてたんですけど、イベントでは必ず酒を飲んでいる箕輪さんが来るということで飲んじゃいました。

箕輪:それはアルコール依存症です。そうだと思うけど、本当に気をつけていただければと。

(会場笑)

本当にね、健康第一だと思うので。

:ありがとうございます(笑)。

謎に包まれた「箕輪編集室」の中身

:先ほども伝えたのですが、箕輪さんに関するメディアの報道などがたくさんある中で、「箕輪編集室」はなにをやっているところなのか、よくわからないんですよ。

箕輪:そうですね。たぶん僕が説明するよりもほかの誰かが説明した方がいいぐらい、僕もよくわかっていないんですよ。わかりやすく言うと、箕輪編集室はオンラインサロンなんです。ここに来ている方だったらオンラインサロンがなにかはわかりますよね。

そこでなにをやっているのかというと、僕が編集者で、「編集室」という名前だから、やっぱりクリエイティブに興味のある人が多い。最初は本を作るとか、本をプロモーションするとかで集まったんだけど、僕自身がそこに収まらないんです。元来、編集というものは文を書いたり本を出したりすることじゃないだろうと。

動画もイベントも全部やらないといけないというこの時代を、僕の捉え方で好き放題にやっていったら、クリエイティブチームがぼこぼこ出てきて。今はイベント、デザイン、コミュニティや動画など、クリエイティブに必要な組織がいっぱいできていて、それが10個くらいあるんじゃないかな? このクリエイティブチームが1つの柱ですね。

あともう1つが地方。僕は本を出して、いろんなところでイベントをやって地方のファンコミュニティを作ってきたんです。関西チーム、中部チーム、九州チームなど、地方のチームが活発に活動をしてくれています。だから地方とクリエイティブでいろいろなチームがあって、そこでみんなが活動している。簡単に言うとそんなところです。

ベストセラー続出の裏に、箕輪編集室あり

箕輪:一番の強みというか、ほかのオンラインサロンとなにが違うかというと、箕輪編集室はガチで優秀なやつが多い。これはちょっと問題というか弊害でもあるんだけど、そういうイメージが強いですね。大学のサークルでガチ系とかアットホーム系とかがあったじゃないですか。ガチ系だから、本当に結果を出すんですよ。

「西野サロン」とか「堀江サロン」とか、オンラインサロンにはいろんなオーナーがいるけれど、メンバーがガンガンやるところは、そんなにないと思うんです。うちはメンバーがすごくがんばるので、けっこうガチなやつじゃないと居られないような空気があって。僕はそこをちょっと変えたいんだけど、今は基本的にはそういう場で、みんな超優秀です。

だから僕がどうしてこんなにベストセラーを出せたのかというと、裏にはやっぱり箕輪編集室があって。僕が本を作って「よし、この本はマジで売るぞ」となったら、その一言だけで全部が連動して、動画をばんばん作って、記事をばんばん上げて、イベントをばんばん企画して、PRチームはTwitterとかでガンガン煽るとか。もう鬼のような連動を勝手にするというすごい組織になっているのが現状かな。

オンラインサロンはちょっとファンクラブチックな部分があると思うんだけど、うちの実働部隊は本当に迫力があるんですよ。やっぱり僕ができないことをできると思うメンバーが多いから、オンラインサロンがなくなってしまうと僕はなにもできなくなるかもしれない。そのくらい頼りにしてるやつらですね。たけし軍団みたいなものなんです。

(会場笑)

:そうなんですね(笑)。

箕輪:だと思う。俺がいきなり『FRIDAY』じゃないけど(注:1986年にビートたけしとたけし軍団が写真週刊誌『FRIDAY』の編集部を襲撃した事件に例えて)、どこかを襲撃すると言ったら全員行くと思う。そういう集団です。

やりたいことを「やりたい」と言える集団であり続けたい

:私も箕輪編集室のFacebookグループに入れていただいて様子を見ているんですけど、本当に箕輪さんが「東京のタクシーはだめだから、別の乗り物を作ろうぜ」と言ったら「じゃあやります」みたいな感じで手を上げて作りはじめる人がいたりしますよね。本当に指示しないで、方向だけを示すようなことが起きているのを目の当たりにしました。

今日ここに来ている人たちはわりとガチというか、ビジネスをやっている方や大企業の社員の方もいらっしゃっています。その人たちが気になるのは、「箕輪編集室は大企業やクライアントからのオーダーに耐え得るような、いわゆる会社がやっているような仕事もできるのか」「プロとしての仕事はできるのか」というところかなと思うんです。

箕輪:それにはたぶんフェーズがあって。企業と同じようなところだと、僕がお金を払っているわけじゃないからクオリティを要求できないし、行動量も要求できないんですよ。要は「好き」というもので結びついているから、俺が「これをやってくれない?」と言って相手が「やりたい」と言ったら成立するという、感情の報酬で動いている。

だから最初はレベルが低かったです。でも感情の「やりたい、好き」で動いていたら勝手にクオリティが上がり続けて。普通にナショナルクライアントレベルからの発注が続いている状態です。

でも、僕らはそれを狙ってはいないんですよ。俺らが好きでやっているところに、勝手に発注してくるんです。そのレベルにはもうなったけれど、それで「俺らクオリティ高いぜ、プロと同じだぜ」と誇るつもりはなく、できれば裏切り続けたい感じですね。

そもそも別に商業目的でやっているのではないので、「お金はいらないので、好きなことをやらせてください」がベースにあることは見誤りたくないですね。博報堂とかから300万円や500万円の仕事が来ることは求めていないんです。0円でもやりたいことを「やりたい」と言える集団であり続けたいと僕は思っていますね。

前田裕二氏がストイックなまでに「無駄」に取り組む理由

:僕はクリエイティブのことは全然わからないんですけど、最近カメラマンの方と仕事をすることが多くて。そこで「撮っている写真はあんまり変わらないように見えるんですけど、プロとアマの違いは何なんですか?」みたいなことを聞いた時に、「アマチュアは自分の撮りたい写真を撮る。プロはクライアントの撮りたい写真を撮る」というのを聞いたんです。

今の話を聞いていると、博報堂などのプロフェッショナルを相手にしているクライアントが裏切り続けるというか、自分の思い通りにならないものを発注したり、ビジネスをやったりしているのはおもしろいですね。

箕輪:博報堂の担当者がどこまで考えているのかはわからないですけど、僕が本を出している一流の起業家とかが常々言っているのは、「もう不合理にしか正解がない」と。前田裕二とか、アカツキという会社の塩田さんとかと話すと、あの人たちは異常にストイックなんですよ。一秒も無駄にしたくないと思っている。

僕が出会った5年前とかは本当にそんな感じで、「その飲み会は意味がないので行きません」みたいなやつだったんです。でも今は無駄な飲み会とかにものすごく行って、地方のスナックで飲むためにわざわざ飛行機に乗って日帰りで帰るみたいなことをやっていて。

これは彼らが仕事に飽きたとか、安定フェーズに入ったとかではなくて、同じようなストイックさで真剣に無駄を取り入れているんです。僕はただ楽しいから無駄なことをやっているんだけど、前田裕二とかは必死に歯を食いしばりながら無駄なことをやっているんですよ。人間の心を持ったAIみたいな感じなので、「大丈夫か⁉」と。

(会場笑)

自分が熱狂していないと、誰も人はついてこない

箕輪:昔は飲みに行かずに「ちょっとミーティングがあるので」と言っていたのに、もう鬼のような変化で。それを前田裕二に言ったら「それは本当に自分が熱狂してるものがないと、人がついてこないから」と。

「自分が熱狂していてそれが外に伝播しないと、企業にファンが付かないからビジネスにならない」と言うんです。計算して好きなことをやっているのを、そう見えないように計算しているという、謎の2段階設定をしているくらい必死で。

アカツキというゲーム会社を上場させてガンガンやっている塩田さんも「遊びしかやっていない」と言っていて、前田裕二とまったく同じなんです。彼らはディー・エヌ・エーから起業していて本当にガチ系でストイック系なんだけど、「なんで?」と聞いたんですよ。

そうしたら、「昔、3年くらい前は『これが当たるよね』という型をみんなで出し尽くしてそれをやれば当たったんだけど、今は全然当たらない」と。「でも若手が『本当にやりたいんです』と言って目がきらきらしていて、とりあえず任せてみたら当たる」と。そうなってくると、もうなにが当たるのかわからないんですよね。

これはなにかというと、成熟すると型が出尽くしてしまうんです。そこで1人が変なことをやると、そこに懸けるしかないと。だから経営者がやることは、それぞれが創造性とモチベーションを100パーセント発揮できる場所を作り、異常な種をビジネスと結び付ける文脈を作ること。この2つだけだと言っていて、僕もそう思っています。

“うさんくさい”オンラインサロンが変わるタイミング

箕輪:箕輪編集室は幸いなことにお金が発生していないので、元々好きで熱狂していなかったら居ないんですよ。だからそのマネジメントをする必要もなく、みんながやりたいことをできる。さらにうちは企業じゃないから、ビジネスに結び付けるような必要もない。

だから「やりたいならやれば? おもしろいじゃん」でできるんです。今後はたぶんうちのやり方が勝つなと思う。要はビジネスに結び付ける必要がないから、本当にクズなものも生まれるけれど、本当に良いものも生まれる。

このクオリティの高まりは半端ないですね。1年前のみの編(箕輪編集室)のアウトプットのものと、今のものって本当に違うから。さらに1年後にはどうなっているか、それをおもしろいと思っているのが1つ。

そうなった時に、今は「うさんくさい」「大学のサークルっぽい」と言われているオンラインサロンが一気にがらっと変わると思っています。だから僕はそこを目指して今やっていますね。

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