2024.10.10
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阿部梨園でのfreeeを活かした経理・給与計算の効率化(全1記事)
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森成徳氏(以下、森):はい。では最後ということで、よろしくお願いいたします。
最後に20分ぐらいいただきまして、実際に実務の現場でどういうふうに解決されていかれたかというところを、阿部梨園の佐川さんの方からご説明いただければなと思ってます。
最初に、freeeについて、ご存じない方もたくさんいらっしゃると思いますので、簡単に会社と製品のご紹介だけ私からさせていただきまして、その上で佐川さんの方にバトンタッチをしていきたいなと思います。
で、ちょっと勇気をだしてAgrionさんと同じことを聞きます。freeeをご存じだった方、どのぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
あ、ありがとうございます! 思った以上に割合が高かったので、とてもうれしいなと思っております。じゃあ、ちょっと製品の前に弊社のご紹介なんですけども。まず弊社は、スモールビジネスを世界の主役に、というミッションで事業をやっております。端的に申し上げますと、新しいITの力で日々の仕事がしやすい環境を、個人事業主の方であったりとか、比較的規模の小さい中小・中堅規模の企業様に提供していくということを目標にしてやっています。
とくに個人でやってらっしゃる生産者さんって、やはり美味しいものを作りたいとか、自身が作ったものをしっかりと流通に乗せていきたいという思いが強いかと思うんですけれども、それを実現するときに、後ろ側の面倒臭い作業がたくさんあるのかなと思います。農業にかかわらずですけど、我々はそういったところをテクノロジーの力で圧縮して、本当にやりたかったことに集中できる環境を提供していくということをこれまでやってきております。
それでちょっと数字のお話で、弊社はまだ上場していないんですけれども、現状161億円という金額を外部から調達しておりまして、直近ではスマホアプリのLINEさんや三菱UFJ銀行さんからも調達しておりまして、かなりしっかりとした資金の中で製品開発やサービスの提供をしております。
従業員数の話になりますと、私がfreeeに入ったのが2014年の12月で、一応52人目ぐらいの社員なんですが、いま465人くらいに増えてきておりまして、3,4年で10倍くらいの増員で、サポートの強化であったりとか、開発チームの強化とかをしてきております。
弊社では8つ以上の製品を提供してるんですけども、中でもよくご存知いただいてる3つの製品があります。まず1つ目が、会社の設立とか開業届が簡単にできる「会社設立freee」「開業freee」というのですね。2つ目が、その上で確定申告とか日々の事務や経理が楽にできる「会計ソフトfreee」。また先ほどのお話で阿部梨園さまだと雇用が発生しているということになるので、給与計算とか年末調整とかができるような人事労務系の「人事労務freee」とういうのも提供しております。
現状、マーケットの評価としては、会計ソフトと給与計算ソフトは、クラウドの中では共に一番高いシェアを頂いておりまして、会計の方では100万以上のお客様にご登録頂いているというようなかたちでございます。
ではなぜ我々が今回、農業Meetupをやったか。実は私、前職で農薬を海外へ輸出するみたいな仕事をやっていた関係で、個人的に農業に思い入れがあったため、半年前から農業専任チームというのをやらせていただいておりました。
いま少しずつチームを作り始めているんですが、その際、こういったかたちで農業に対する思いをお持ちのみなさまとお集まりしながら、一緒になってやっていきいたいうことで、今回開催させていただいているという背景がございます。
実際の製品の開発としては、みなさんも確定申告されたことがおありだと思うんですが、農業所得の確定申告のフォーマットというのが、売り上げのいくらを米でやるかとか、いくらをどこから作るかとか、そういったものを入れないといけないという少し特殊なフォーマットなんですけど、これに今年の確定申告から対応する予定でして、今絶賛開発を進めているというところだったりします。
あとは先ほどのAgrionさんとの提携で、農業向けの販売管理って少し仕組みが特殊だったりしますので、そこに特化されてる販売管理サービスともデータ連携して、一緒になって製品を提供していくかたちになっています。では時間的にもあれなので、本当にさっくりとだけ弊社の製品をご覧いただければなと思います。
会計ソフトってイメージとしては、CD-ROMを買ってパソコンに入れるイメージだと思うんですけど、弊社の製品はクラウドになりますので、IDとパスワードでログインして使うという仕組みになっています。なので、インターネットに繋がっていれば、Macbookでもどんなパソコンからでも使っていただけます。
一番わかりやすいのは、Excelっぽくないといいますか、直感的に触っていただけるような画面設計にしているところです。いろんな機能がありまして、インターネットバンキングとか、クレジットカードのWeb明細とかをもしお持ちであれば、そういったものがすべて自動的に会計ソフトの中に取り込まれていくという機能などは、多くの方にご利用いただけているところではあります。
例えば「ソフトバンクにクレジットカードで1万円払いました」という情報が画面の左側に出てくるとすると、これに対して最近流行の人工知能を使うことで「ソフトバンクだったら通信費ですよね」と勘定科目を自動的に仕訳して登録できるようになってたりします。
あとは、クラウドなんですがスマホのアプリを出しておりまして、領収書の撮影をしていただくことができるようになっております。画像の解析も一部AIを入れてるので、日付とか金額とかをスキャンしてきて、自動的に推測したりとか、あとは領収書に発行元の電話番号が載っていればそれを分析して、「タクシーであれば交通費ですよね」とういう感じで勘定科目を推測するとうことができるようになっていたりします。
今までのものと比べればかなり効率的だと思うんですけれども、こういったことをポチポチッっとやっておいていただければ、いろんな情報の分析ができるようになっております。
そういう自動化された中で入力を続けていただければ、どの月にどの品目が増えたかとか、どういったお客様に対して、いつなにが売れたかということもしっかりと分析できるようになってきますので、ここから少しずつ改善のきっかけを検討いただけるかなって思っております。
とはいえ、やはり確定申告が年度末にあって一番面倒臭いと思うんですけども、こちらも申告書が作れるようになっています。先ほど申し上げたとおり、今年、2018年度の申告からは、農業所得の申告書にも対応していきますので、ポチポチッと操作していただければ、簡単に確定申告書を作って印刷できるようになっております。ちょっと簡単なご紹介ではありましたが、弊社の製品ということでございました。
とはいえ、私から説明しても「ふーん」という感じだと思いますので、ここからは佐川さんにバトンタッチをして、実際に現場の方でどういったふうにご活用いただいたかとか、どういうふうに変わったかというところを、freeeありきとういうよりかは改善事例ということで、いろいろとご説明頂ければなと思います。
佐川友彦氏(以下、佐川):はい、改めまして、今度は阿部梨園のご紹介というよりは、freeeというサービスを利用させていただいているユーザー側の一つのフィードバックといいますか、情報提供をさせていただければと思います。
阿部梨園についてはさっき話しちゃったんですけど、(扱っているものは)ほぼ梨で、ほぼ直売でやっております。
バックグラウンドの話をさせていただきますと、私は農学部の出身で、そこから農業に接点ができました。ただ、当時は農業に関心があったというよりは、環境とか自然とかそういう勉強がしたいなということで農学部に入りまして、そこから一度、前職の化学の研究開発の仕事をして、4、5年みっちり仕事をした後に、やりたいことを探したいということで仕事を探してるうちに、阿部梨園というところを紹介してもらって今になります。
私は前職の経験からいっても、会計や経営について、ど真ん中の仕事をしていたわけではないんですね。社長室の下で働いたりとか、事業開発に関わる経験はあったんですけど。経理については、前職を辞めた後に、簿記の3級から勉強し直しています。次の仕事はなにするかわからないけど、最低限のこと知ってないとビジネスできないんじゃないかなということで、3級・2級なんかを勉強した上で、阿部梨園に入っております。
阿部梨園の改善実例は、先ほどご紹介させていただきましたとおり、インターネット上にあらかた載ってますので、もしよろしかったらご覧になっていただければと思います。実は今日、資料とかもちょっと持ってきてますので、名刺交換の際にでもお声掛けいただければ、お渡しできるかと思います。
さっそくなんですけれども、阿部梨園でのfreee活用方法ということで、先ほどもお話ししましたように、会計の仕事を阿部から巻きとるにあたって、クラウド会計のサービスというのが非常に便利で有利ということで始めました。私自身が自分のMacのノートパソコンを持ちこみで関わり始めましたので、Windowsのみのソフトではそもそも支障があり、端末を選ばないクラウド会計のサービスを導入したいなと思いました。
阿部がやってた会計をただコピーするだけではなくて、私が巻き取りながら、お金の流れですとか、勘定科目ごとの仕訳のルールとか、そういったところから見直して、今の時代に合わせた会計ですとか、会社に近いような会計とういうものが実現できれば、他の仕事にもっと専念できていいのではないかなとういうところで着手しました。
当時は2015年でしたので、最近クラウド会計が便利で流行りだしてるらしいなっていう感覚で、きっと森さんが入られた年くらいの頃かなと思います。今では、それから社員さんが10倍ということで、それだけユーザーさんとか、市場規模自体も増えてるのかと想像しております。
クラウド会計のサービスというのはいくつかあるんですけれども、freeeは単にどんなパソコンでも使えるというだけではなくて、クレジットカードとか銀行口座のインターネットアカウントから自動で会計データを取得してくれる機能があります。つまりレシートを一件ずつ自分で入力して間違えたり、時間かかったりするのをかなり省略できるという部分ですね。先ほど紹介があったように、スマホのカメラでレシートの数字を自動で読み込んでくれたりとか、そういうこともできます。
あとは僕自身が一番気に入ってるので、自動仕訳機能というのがあって、ENEOSさんとかで給油した時に、クレジットカードで決済すると、freee上でENEOSからクレジットカードで何千円引き落とされましたっていうのを、燃料費ですね、とか車両費ですねとかってかたちで自動推測してくれたりですとか、あとは自分でルールを決めて、ENEOSっていう文字の入った会計情報が入ってきたら自動的に燃料費にするとかいろいろできて、そういう設定がきちんとできると、仕訳を間違えたりしなくなるんですね。
去年と今年で違う仕訳をしちゃったとか、あるあるじゃないかなと思うんですけど、そういった会計の一貫性も保てますし、これは何費だっけといちいち考えなくて済むようになりますので、この辺でかなり時間短縮できてるのかなと思います。ちなみに、その辺の機能を鍛え込んだ結果、私が初年度預かった時に比べて、かけてる時間自体は5分の1とか6分の1くらいにはなってるんじゃないかと思います。
先ほど説明したようにビジネスの方も伸びてるので、本来は会計の処理量も増えるはずなんですけれども、逆に圧縮して余りあるくらいの時間で、1年分の経理が済んでるかなって思います。クラウド会計のサービスが幾つかあるのはご存知の方が多いと思うんですけれども、私自身としてはいくつか試して、freeeさんが一番いいなと思って選びました。
自分にとってなにが一番好きだったかというと、タグを付けて分類したり、部門を自由に設定したりして会計の情報を分けたりできるところが非常に良くて、つまり、これは何費ですとか分けるだけでなくて、どこの取引先の、どの商品にかかったコストとか、そういうところまで細かく分けています。
そうすると、こういうカタログ企画での収支ですとか、梨以外の米や野菜の収支を部門別でみたりですとか、そういったことができるようになって、なにか赤字っぽい部分、ビジネスとして足を引っ張ってる部分を細かく分析できたりとか、次の対策を打てるようなったりするので、とにかく分類を細かく、サクサクできるっていうのを第1条件に探して、それがfreeeさんだったなという感じですね。今もこれは非常に満足しています。
あとは画面設計が非常に良かったという部分ですね。UI、UXとか、使い勝手の部分なんですけど、本当に直感的に操作できて、会計の収支やその推移といったものが、グラフとして画面上でいい感じに出てくれたりするので、その点で非常に気持ちよく使えるというのが気に入って使い始めました。私自身も簿記の勉強をしたとはいえ、経理の未経験者なので、この辺でハードルがあるとなかなかできないので良かったかなと思ってます。
このように、いろんな会計の情報を取り込んでます。銀行とかクレジットカードのデータも取り込みながら、販売に使っているようなシステムと外部連携して、データを取り込んでやったりしています。下準備としては、現金決済をとにかく撲滅するということですね。インターネットで買う、クレジット決済使う、銀行の引き落としを多用するというところから、手打ちの入力が減るかなと思っています。
あとは会計のルールをきちんと作るということで、私と阿部の間でもいろいろ相談しながら、これは何費にする、こういうお金の使い方はやめましょうとか、そういう部分から細かく見直しています。混乱したままの会計だとクラウド会計の真価を損なうということですね。単にグチャグチャしたものをクラウド上に載せたからって急に綺麗になるわけではないので、お金の流れのほうからきちんと見直して、こういうサービスが使われていったらいいんじゃないかなと思います。
効果としては、(今日の会場には)会計事務所さんとかもいらっしゃるので、そこまでのレベルではないんですけれど、個人経営としてはやりすぎなくらい会計のルールを見直せたと思っていますし、お金の出し入れも見える化されて非常に良かったかなと思っています。また、代表の阿部が会計や経理作業から解放されたことによって、梨作りにさらに時間が充てられるようになって、より美味しい梨になったんじゃないかって思いますし、それがお客様に喜んでいただければビジネスにも跳ね返ってくるものがあるんじゃないかと思っています。
クラウド会計を使ってどうだったっていう話も「阿部梨園の知恵袋」の中で、記事として紹介していますので、ご覧になっていただければと思います。以上です。
(会場拍手)
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