2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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井上皓史氏(以下、井上):いつもより早起きしたという方、どのぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
井上:ありがとうございます。今日の朝も気持ちいいですね。「今日、朝渋に初めて来るよ」という方、どのぐらいいらっしゃいますかね?
(会場挙手)
井上:ありがとうございます。半分ぐらい。佐渡島さんの本を読んできたよという方?
(会場挙手)
井上:あっ、多いですね! じゃあ深い話ができそうですけれども。
今日は「sli.do(スライドゥ)」というアプリを使って、質問を受け付けてますのでぜひ。はい、こんな感じで、もう質問がけっこう溜まってますけれども、こちらに投稿いただければ拾いながらやっていきたいと思います。
井手:今日、モデレーターをやらせてもらいます、井手と申します。
僕が今回(モデレーターを)やらせてもらってる理由の1つとして、朝渋を去年から5時こーじさんと一緒にやらせてもらったりしつつ、佐渡島さんが主催されているコルクラボのほうにも入らせてもらっていて。
今回、このイベントを通して、たぶんみなさん「コミュニティってどういうものなのか」とか「コミュニティに対する考えを深めたい」みたいな理由で参加されてると思うので、「コルクラボでどんなことをやっているのか」とか、「朝渋もこんなことをやってます」というところをうまくつなげる存在として、うまくファシリテーターをやっていければと思っております。
井手:これから佐渡島さんに登場してもらおうと思うんですけど、コルクラボの中では、お互いニックネームで呼び合うということを風土・カルチャーとしてやっているんですね。ですので、僕はこれから「サディ」と呼ばせてもらうんですけど。
(会場笑)
井手:なんか「失礼なやつだな」と思わないでください(笑)。「サディ呼ばわりか、あいつ!」みたいな。じゃあ、これから佐渡島さん改めサディに登場していただきますので、みなさん拍手でお迎えください。
(会場拍手)
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):おはようございます。
会場:おはようございます。
井手:佐渡島さん、って言いそうになっちゃった(笑)。サディですね。
佐渡島:タメ語で。
井手:タメ語でいきましょう。
井上:2人はいつも本当にタメ語でしゃべってるんですか?
佐渡島:えっとね、井手っちがまだしゃべれてない。
井上:あっ、そうなんですね(笑)。
井手:コルクラボの話も今日していきたいんですけど、コルクラボのおもしろいところが、「フラットな関係になろう」とか、「お互い自分の感情とか思ってることをさらけ出そう」というのを奨励されているコミュニティなんですね。それなので「ニックネームで呼び合おうよ」とか、「タメ語でいこう」みたいな話をするんですけど。
みなさん、佐渡島さんってどうですかね? たぶん、すごい人とか、有名な人とか、そういうイメージが僕の中ではやっぱり強くて。ですので、ある時に、やっぱりどうしても構えちゃうんですよね。「あの佐渡島庸平さんだ」みたいな(笑)。
でもその中で「サディって呼ぼうよ」とか、「タメ語でいってみようよ」という時に、毎回こう「さぁ行くぞ!」みたいなのがある(笑)。そんな感じのやっぱりスイッチを入れる瞬間があって。
僕はコルクラボに入ったのが12月ぐらいで、今半年ぐらいなんですけど、まだしこりはちょっとあったりはするんですが、この半年間で、そのしこりはちょっとずつ……。
佐渡島:なくなってきた?
井手:はい。
佐渡島:でも、俺とじゃなくても日常でタメ語でしゃべってないでしょ?
井手:ないですね。
佐渡島:会社でタメ語しゃべんないでしょ?
井手:しゃべれないですね。
佐渡島:そんなに同期いっぱいいないよね?
井手:(いない)です、はい。
佐渡島:でしょ? 大学の友達とか高校の友達と日常的に会わないでしょ?
井手:会わないですね。
佐渡島:お店で店員さんにタメ語でしゃべらないでしょ?
井手:店員さんにも丁寧語でいきますね。
佐渡島:「水ください」って言っちゃうでしょ?
井手:はい。
佐渡島:「水持ってきてよー!」とは……。
(会場笑)
佐渡島:つまり、日常的にタメ語でしゃべる場所はないんだよ。
井手:いや、そうですね。
佐渡島:そう考えると、就職してからリラックスして誰かとしゃべってる経験って、ほぼないって思うんだよ。
井手:ですね。うん。
佐渡島:もしかしたら、「そのしゃべり方、失礼だよ」とか、なんかを捕まえて、些細なところで減点されるんじゃないか、って考えながら生きてるわけじゃない。その、そもそもの社会に対する前提とか、そういうところがけっこう自分を緊張状態に置いてると思うんだよね。
井手:あ〜、そうですね。
佐渡島:そういうふうに社会をとらえてると、社会がこういうことできる場所なんじゃないかとか、自分にこういうことをしてくれるんじゃないかっていう、そもそもの発想がかなり狭められてると思うんだよね。
井手:うんうん。
佐渡島:だから、自分がどれぐらいタメ語を普段使ってないかというか、自分がどれぐらい緊張して生きているかを意識するということに、まず価値があると思うんだよね。本当にタメ語でしゃべるよりも、「実はタメ語でしゃべれないじゃん」っていう。
井手:はい、はい。
佐渡島:うん。それで、さっき「あの佐渡島さん」って言ったんだけど、結局ちょっと離れた人に対しては、みんな虚像を持ってるわけだよ。
井手:そうですね。
佐渡島:全部自分の目で確認すりゃいいやと。やっぱり僕、ホリエモンと仲良くなっていって一番びっくりしたのが、周りの人に「何かしてほしい」ということを何一つ期待していないのよ。
井手:堀江さんが?
佐渡島:ホリエモンが。だから、こういうイベントで、飲み物をもらうときに、例えば今僕がここで飲み物がなくなったとするよね。そしたら「誰か持ってきてくれねぇかなぁ。俺が飲み物ないのに気づいて」って思っちゃう人もけっこういるんじゃないかと。
「登壇してるんだから運営側が気づくべきだよね」と思う人もいるけど、堀江さんって、「ごめん、俺、(飲み物)なくなったから頼んでいい?」とか。それか自分で(取りに)行っちゃったりとか。
井手:ははは(笑)。自ら?
佐渡島:そうそう。他の人たちと飲んでる時に、「自分のお酒は誰かが気にして注ぐべきだ」みたいなことを一切思ってないわけ。
井手:あ〜。
佐渡島:うん。本当に一切思ってなくて、超絶フラット。もう完全にそういうところもしっかりとフラットで、相手のこともよーく観察してるから。
佐渡島:人と人が出会ったら、例えば今日ここでみんなと出会っても、直前にどんな仕事をしてきてるかとかさ。俺のことはもしかしたらネットとかで知ってるかもしれないけど、それだって全部知ってるわけじゃないじゃない? って考えたら、まずここで出会うところに関してはフラットだよね。
井手:うんうん。
佐渡島:だから、そこでのコミュニケーションとかはフラットであったほうが、お互いおもしろくなるだろうなと。
井手:そうですね。
佐渡島:そうそう。だから、コルクラボの中には中学生もいれば……。
井上:中学生がいるんですか?
佐渡島:1人だけね。
井手:大学生とか、高校生もけっこういますよね?
佐渡島:そうそう。その子たちに「うちの会社はこうだから」なんて言うのはまったく意味がないからね(笑)。
井手:「なんで?」とか言われますもんね。
佐渡島:そうそう。そんなのまったく意味ないから。そういうのが重要だよね。
井手:ありがとうございます。どんどん長くなっちゃいそうな感じがちょっとしたので……。今日なんですけども、佐渡島さんにお越しいただいて、たぶん自己紹介とかはもう、みなさんご存知だと思うし、本もほとんどの方が読んでいるということだったので割愛させてもらって、さっきお話ししたとおり、コミュニティについて考える会にしていきたいと思っているんですけれども。
本の中で、「既存のコミュニティが現代に対応できなくなっているから、アップデートしなければいけない」という話が主に書かれていると思うんですけども。そのコミュニティというのは、こういった第3の場所の会社でも家でもないコミュニティというのもあれば、会社とか家も含めて、既存のコミュニティをどんどんアップデートしていくという話かなと理解をしていまして。
佐渡島さん……サディが思う(笑)、どういうコミュニティというのをアップデートしていくべきなのかなというのをちょっと話せればと。(スライドを指して)あと、この「安心と自由」というところも大きなテーマとして掲げられていたと思いますので、ここについてちょっと深掘りしていきたいなぁと思っております。
佐渡島:例えば、今日ここにいる人で、コルクラボとみの編(箕輪編集室)の人以外で、僕の講演会を聞いたことある人ってどれぐらいいます?
(会場挙手)
佐渡島:ありがとうございます。じゃあ、今回ここに来るか、例えば僕がこういうの(書籍出版)に合わせてTSUTAYAでトークショーをやってるんだけれども、どっちへ来ようか迷ってこっちに来た人って、どれくらいいます?
(会場挙手)
佐渡島:じゃあ、TSUTAYAで(トークショーを)やってるのは知らなかったっていう人はどれぐらい?
(会場挙手)
井上:TSUTAYAはいつやるんですか?
佐渡島:TSUTAYAはいつやるんだろうなぁ。今月末に代官山でやって、あとこの前、六本木でやったんですよ。それで六本木でやったときね、驚くほど人が少なかったんですよ。
井手:へぇ〜。
佐渡島:15人から20人ぐらいで。それでかなり親密な感じで。
井手:いいですね。
佐渡島:そこでしゃべったりしたわけですよ。それって、例えば僕のTwitterを見てたら気づく可能性はあるわけ。
井手:うんうん。
佐渡島:箕輪さんのTwitterを見てても気づく可能性があるし。そういうのでかなり気づける可能性があるんだけれども、(今回は)これだけ熱気を持って朝から来てくれている。TSUTAYAのほうは夕方というか夜だから、仕事帰りに寄れる感じだけど意外と来ない。
これって何なのかというと、情報を取るコミュニティとして朝渋を使っているということで。僕のTwitterをフォローしてくれてる人もいるだろうけれども、そのほとんどが流れていっちゃっているから、そこからは情報を取ってないということなんだよね。
井手:うんうん。
佐渡島:かなり、色々なタイプの情報というのを、みんな今は様々な経緯から知っていて。昔よく話したような「昨日の夜のあの番組見た?」とか、「あのニュース見た?」というような時って、大抵がみんな同じ(情報)。
以前皆が見ていたようなメジャーなニュース番組の時って、前の晩にそのニュース番組が特集したことが社会的問題になっていって、他のマスコミも取り上げるようになるみたいな影響力があったけど、今その番組で何か特集しても、ざっくりした感想しかみんな持たないわけでしょ? 今はもう情報の経路がいっぱいなんだよね。
例えば、「この中で、新幹線の殺傷事件について知ってる人?」って言ったら、たぶんほとんどの人が手を挙げるんだけど、そのニュースを何で知ったかがもう千差万別だと思う。
井手:Twitterであったりとか……。
佐渡島:そうそう。テレビであったりとか、新聞であったりだとか。だから、「知ってる」と言っても、情報の知り具合がどれぐらいかっていうのは、同じソースじゃないから実はわからない。
井手:うんうん。
佐渡島:だから、それぐらい、それぞれの持ってる情報が均一じゃなくなっちゃってるよね。そういう状況で、コミュニティとして何かをやっていこうとすると、まずそのコミュニティの持ってる情報が同じかどうかの確認をもっとやっていかないといけない。
あと、たぶん、ここの人たちが僕のあれ(講演会)を知ることができたっていうのは、朝渋というコミュニティから情報を得ると。「どうも朝渋は、そこへ行くといい感じの人たちを毎週呼んでくれるから、朝渋のゲストを追っておけば、なんとなくビジネス周りの今の情報が手に入るかもな」というふうな感じで、やってるんだよね?
井上:そうですね。
佐渡島:というような感じで、情報摂取の入り口をコントロールするということが、みんな起きだしているわけだよね。
井手:うんうん。
佐渡島:だからそういうふうに、全メディアが常にそこで新陳代謝を繰り返していく。
だから、「YouTubeおもしろいよね」「ネットフリックスおもしろいよね」という中で、最近だと「ネットフリックスのどれを見りゃいいかわかんないよね」という話になってきていて、ネットフリックスのお勧めを教えてくれるブログとかが必要になってきてるわけ。
井上皓史氏(以下、井上):「この人のお勧め!」みたいなやつですよね?
佐渡島:そうそう。「オリジナルの中でもこれがいいよ」みたいなブログを持つ人が価値を持ってたりだとか。YouTubeのどれを見るべきかという編成とかは今はないわけ。
だから実は、新しいビジネスとしてYouTubeの番組表を作って、それを自動再生するだけのアプリみたいなものだって、けっこうビジネスとしてイケるはずなんだよね。
そっちはキュレーションで、スポーツだったらこれ、音楽だったらこれ、ドラマだったらこれ、お笑いだったらこれって感じで4チャンネル作っちゃう。それでいきなりAbemaTVみたいなアプリを動かすということだって十分可能。
というか、そっちのほうがYouTubeよりも濃いファンがついていて、ここで取り上げられるほうが実際にはお金が回りますみたいなことが、もう起きる時代が来だしてるんだよね。
井手:うんうん。
佐渡島:この情報が増えていく量というのが、昔だったら、今いる人間の活動量があって、決められてて、なんか1.1倍ずつぐらいしか増えていってなかったのが、デジタルの中だと圧倒的な勢いで増えていってる。だから1年経つと、もう倍じゃ済まないぐらいに増えてしまっているというような状態があって。
さらにAIみたいなものが現れてくると、人間じゃなくて、情報が情報を作り出したりということが起きるわけだよね。だから、例えば、今回この中でどれぐらいの人がこれをツイートしながら見てるのかわかんないけど、まず僕の本がありましたっていって、今までだったらそれで情報「1」だよね。それで終わり。でも今は次の僕の本が出るまで3年間ぐらい、打出の小槌みたいな……。
(会場笑)
井上:内側からなんかいっぱい出てくる(笑)。
佐渡島:3年後にまた「1」の情報が足される、みたいなかたちで情報が増えていたのが、僕の本があると、それに対してブクログとか読書メーターとかAmazonにみんながまずコメントつけたりして、僕の本の派生情報が生まれます。
さらに、それがTwitterみたいなかたちでみんなの情報が生まれます、noteみたいなものにまとめられて(情報が)生まれます、という感じで、1個をきっかけに波紋みたいに情報が広がっちゃってる。この全体の情報をどういうふうにコントロールしていくのか。それがみんなわからない、ということなんだよね。
それをコントロールしていくために、コミュニティをどう使っていくのか。コミュニティの仕組み自体も、コミュニティの選択の仕方も、両方ともアップデートしていかないと、完全に情報に溺れてしまう。
佐渡島:そして、溺れてることにほぼほぼ気づかず、情報に溺れてるのは自分なんだけど、「情報をうまく渡してくれてない誰かが悪い」「会社が悪い」「上司が悪い」というような生き方になっていくだろうな、と思ってるというところがあります。
井手:なるほど。情報の取捨選択をするときに、それが個人だったりとか、それが属してるコミュニティだったりとか、どういう指針で自分が考えていくかというところの指針づくりとして、どこのコミュニティにいたほうがいいのかといった話ですよね?
佐渡島:そうそう。例えば、じゃあホリエモンのコミュニティに入ったとします。そうしたときに、ホリエモンもいろんなことを言ってるわけですよね。じゃあホリエモンの言ってることを盲目的に信じるのかっていうと、ちょっとわからないなというふうになって。
それで、「ホリエモンの周りの人たちもみんないいって言ってる」「ホリエモンコミュニティの中で全員が動いてるやつだったら、その中でもさらに正しい情報じゃないか?」というふうに判断できるわけだよね。
実際のところってさ、今までの既存の情報に対する選択の仕方も、ほぼほぼそういう感じで、みんな流されてたと思うんだよ。その流され方を選択しに行っておかないと、本当に危険になっちゃうよというか。
さらに、今みんなが信頼してたメディアというのが、昔はアクセス不可能な情報にアクセスしていて、それによって彼らの言っていることが価値を持ってたんだけれども、今はアクセス不可能な情報というのがなくなってしまっている中で、どの情報に価値があるかをみんなが握ってるわけだよね。
どの情報に価値があるのかということに対して、マスコミはある種、会社のバイアスとかがかかって選択しだしちゃってるから、気づくのが半年から1年ぐらい遅くなっちゃってるんだよね。
昔は例えばテレビが取り上げるのがヒットの始まりだったんだけれども、今ってテレビのバラエティ番組で取り上げるのが最後の盛り上がりみたいな感じになってるという状態。だから、テレビで盛り上げられると、その後にヒットを作りづらくなるわけだよね。
井上:この間「ZIP!」でゆうこす(菅本裕子)さんが取材されていて、僕としては「遅いなぁ」と思って。もっとネット界隈だったら、半年前ぐらいから盛り上がってるのに、「ようやくテレビに出たか」みたいな感じですけど。そういった話ですかね?
佐渡島:そう。でも、さらにゆうこすもそこでテレビにどんどん出だすと、自分のコントロールがまた離れ出しちゃって、ある種、人気っていうもののサイクルがまた変わっちゃうということなんだよね。
井上:なるほど。おもしろいですね。
井手:そうしたらですね。今日僕はサディに「コミュニティを理解する」というところでいうと、やっぱり運営しているコルクラボのことを深く知るということが、一番具体例としてわかりやすいと思ったので、コルクラボだとか、あと、個人の変化を聞きたいと思います。
あと、今ちょっと話したような、「会社」とか「家族」みたいな既存のコミュニティがこれからどうなっていくのかとか。あとはそういったことを受け入れるにあたって、教育とかがどういうふうに変わっていくのか、みたいなことを僕は聞きたいなと思っているんですけど。
今日はせっかく集まっていただいているので、みなさんが聞きたいことをサディに聞いていくということにも触れていきたいと思っていまして、このスライドゥを使って、何か質問したいことがあれば。
さっき、5時こーじが言ったように、「slido」でGoogle検索とかしてもらえると、サイトが出てくるんで、この「#SADY」というハッシュタグを入れてもらえると、質問ができる画面に行くので、ぜひちょっとそこで聞いてみたいことがあれば気軽に入れてほしいです。
あとは、ちょっと遅くなっちゃったんですけど、1回声を出してもらったほうが質問がしやすくなるというところは、傾向としてあるなぁと思っていて。
井上:確かに。眠い方もいらっしゃるかもしれない(笑)。
井手:朝ということもあるので、ちょっと3分ぐらい時間を取るので、席が近い方2〜3人とかでいいので、お名前と、今日の参加理由と、どんなことを聞いてみたいかということを、簡単にシェアしていただいてもよろしいですか?
井上:スライドゥとかでつぶやいてもいいですよね?
井手:ちょっとチームで盛り上がったこととかあれば、スライドゥに書き込んでもらえたりすると、すごくうれしいです。じゃあ、3分ぐらい時間取りますので、みなさんよろしくお願いします。
(参加者同士でトーク)
井手:じゃあ、ここまででお願いします。盛り上がってますね(笑)。じゃあ、今何かグループで話してて、「ちょっとここ聞いてみたい」と盛り上がったネタがあれば、ぜひスライドゥのほうに落としてもらえるとうれしいです。
井上:「佐渡島さんはどこから情報を収集してるのですか?」という質問が来てます。
佐渡島:僕はまず、人を絞ってますね。
井上:なるほど。
佐渡島:最近どこかで書いたかな? 刑務所に入ってた時のホリエモンのメルマガの科学技術についての情報が、僕より早かったんですよ(笑)。
(会場笑)
井上:え〜?
井手:すごい。どこから情報が来てたんだろう。
佐渡島:そう。「すげえなぁ、ホリエモン」というか。じゃあ、堀江さんは刑務所の中でどうやって情報を得てるかというと、Webサイトのプリントアウトと、マンガとかだけなんですよ。
それで、さらに自分が情報に溺れてて、もうコントロールできなくなってるんだなって思ったのが、ホリエモンが「モーニングの増刊を送ってくれ」って僕に頼んできて、その増刊の存在を僕が知らなかった。モーニング編集部にいたのに。
(会場笑)
井手:同じ社内なのに(笑)。
佐渡島:そうそう。モーニングの中にピラッと1ページ、増刊の広告が入ってて、それにホリエモンが気づいたんだなって。同じ社内というか、45人ぐらいの編集部で、誰かがやってる作業だけど、発売日とかを僕が知らず、ホリエモンが知ってて。(笑)。
井手:こと細かに(笑)。
佐渡島:でも、それぐらい情報に埋もれてるわけ。埋もれてて、気づけていないわけ。だから、誰からの言葉を信頼するのか。
僕がレーシックをしたのも、レーシックの情報を自分でいろいろ集めてると、やっぱり「レーシックはまだわからない技術で、年取ったら(どうなるか)わからん」とか、いろいろなことを言ってる人がいて、怖くなったりもして、逆に選びきれなかったんだよね。
でもホリエモンは、「いや、もうこれは年取っても大丈夫な技術ってよくわかってるから受けろよ。もう人生変わるよ」と。老眼が始まっちゃったらレーシックの価値が一気になくなるから、できるだけ30代の早い時期に、視力が安定した25歳以降ぐらいからやったほうがいいんだと言われて、「じゃあ、やります」って言って、その場でもう予約。
井手:なるほど。「何を言うかより、誰が言うか」みたいなことですよね。
佐渡島:そうそう。それで「誰が言うか」ということだったら、なんかその人が責任を持って言ってたものという気がするんだけど、じゃあ、どこかの団体を信用するかというと、全体的にはそこの団体の……例えば、「○○のニュースっていいよね」って全体的には思っていても、どこかでやっぱり「組織の中で歪んだ意思決定が行われるかもしれない」と思うから、最終的には個人のほうが信頼できるよねと。
個人っていうものが、その個人から逃げることはなかなかできないからね。組織は中の人が入れ替わっていったりするけども。組織っていうのは、同じ名前でありながら別物になることが起こり得るけれども、個人っていうのは、その人の価値観が緩やかに変化していくことはあるけど、その人がその人であることは変化しないから。
佐渡島:そういうことで、いろんな信用というものが、組織から個人へと移動していく時代になってるわけだよね。だから「個」がパワーを持つというふうになって、インフルエンサーの時代になってきてるわけだし、だからこそ、個人がエンパワーされる時代になってきてるんだよね。
井手:なんか今話聞いててちょっと思ったんですけど、個人もあれば、コミュニティというのを判断軸の1つにするみたいなやつもあったじゃないですか。
なんかコルクラボに入ってると、コルクラボのメンバーが「この本すごくよかったよ」とかオンラインでどんどん書き込んでくれて、それをサディとかが読んで、「こういう理由ですごくよかった」みたいな感想があり、「じゃあ読もう」みたいなことが最初にあって。
それが繰り返されるうちに、サディのとこまで行ってなくても、「コルクラボのメンバーがおもしろいって言うんだったら、たぶんおもしろいんだろうな」みたいな感じで読み出すように、今なってきていて。なんかそれが、個人のインフルエンサーからちょっとコミュニティに拡張していくみたいなことなのかなぁと思ったんですけど。
佐渡島:そうだと思うよ。「朱に交われば赤くなる」って本当で、今の話って、「いい情報を得たい」と思ってるわけだよね。
佐渡島:そういう話があったりするのと同じで。ラボじゃなくてコルクの中に、すぐそこにある「蒙古タンメン中本」が大好きなエンジニアがいるわけ。
井手桂司氏(以下、井手):ラーメン屋の?
佐渡島:そうそう。辛〜いやつね。その中本が大好きな彼女が、「中本がおいしい、おいしい」っていつも言ってるんだよね。それで、その中本の写真をコルクの社内掲示板にしょっちゅう上げるわけ。
(会場笑)
佐渡島:それで、なんか周りもちょっとずつ中本に行きだしてて(笑)。
(会場笑)
佐渡島:3ヶ月ぐらい「中本、中本」って言ってると、「俺も1回ぐらい中本に行ったほうがいいかな?」ってこっちも思うんだよね。
(会場笑)
井上皓史氏(以下、井上):洗脳に近いかもしれないですね(笑)。
佐渡島:そうそう。けっこうね、そういうもんだよ。だって、ホリエモンの周りで「サウナ、サウナ」って言ってたら、ホリエモンもサウナに行ってたからね。
(会場笑)
井手:なるほど。
佐渡島:そういう感じで、やっぱり人って、周りの人たちから影響を受けながら生きているから、どういう影響を受けながら生きるかっていうのは、すごく重要で。だから周囲のすごく濃く影響を受ける5人とかは、やっぱりポジティブな影響を与える人にしていく、という考え方はけっこう重要だよ。
井手:そういう意味では、どこのコミュニティに属しているのかというのは、すごく意識的に考えていく必要があるということですか?
佐渡島:モチベーションというものは、自分で自分の人生に対するミッションを決めて、それで持っていくものだと思うんだよね。それに対して、テンションっていうのは、周りに影響されるから。だから、それはけっこうコミュニティの影響を受けちゃうよね。それはけっこう重要だなと思う。
井上:朝渋でも、朝渋以外にも他にコミュニティに入ってますみたいな人もたくさんいるんですけれども、コミュニティって3個も5個も入るもんじゃないんじゃないかと僕は思ってるんです。情報の取捨選択が多くなりすぎちゃって、「逆に疲れちゃうんじゃないの?」って思っちゃうんですけど……。
佐渡島:10個も20個も入るもんじゃないけれども、5個ぐらいは入るもんなんじゃないかな? 基本的には、まず仕事をする上で絶対にコミュニティに入らざるを得ないというのがあるから。
井手:「会社」というのもありますね。
佐渡島:そうそう。会社も1個のコミュニティだよね。フリーランスだとしても、例えばライターだったら「ライターコミュニティ」というものが存在していて、ノンフィクション系のライターなのか、どういうタイプのライターなのかがあって、それはきっと周りにいる人たちから仕事が発注されてるから。
枠が強烈にあるか、緩くあるかというだけであって、確実にコミュニティには入ってるんだよね。それで仕事のコミュニティが絶対に存在して、プライベートのコミュニティが存在する。
井上:はい。
佐渡島:それで、ほとんどの人がこの2つになってしまってるわけだよ。「地域コミュニティ」っていうのが昔存在したんだけど、それがすごくしんどくなってると。最近聞いたおもしろい例だと「ポケモンGO」のコミュニティ。誰かこの中でポケモンGOをやってる人いますか?
(会場挙手)
佐渡島:もういない。意識高いから、みんなやめちゃった?
(会場笑)
佐渡島:この前、僕が昔担当してた作家さんと会って一緒に飯食ったら、なんかもう僕と飯を食ってる間もスマホとiPadを両方出して……。
(会場笑)
佐渡島:ずーっとLINEも確認してるし。しかも、わざわざここ(手首)にポケモンのバンドを2つしてるわけよ。
(会場笑)
佐渡島:(その作家が)赤堤に住んでるの。赤堤のポケモンのジムを守るために……。
井上:守るために?
佐渡島:守るために、赤堤に住んでる人たちだけでLINEグループを作ってるわけ。
会場:へぇ〜!
井手:自警団みたいなものかもしれないですね。
佐渡島:そうそう。完全に自警団なの。それで10代から80代まで、全部を配していて。
井手:すげぇ(笑)。80代もいるんですね。
井上:何人ぐらい?
佐渡島:30人ぐらいって言ってましたね。それでいつもジムを守り続ける。誰かがずっと関われないときは、「誰々やって」って言って。結局、ポケモンGOが地域コミュニティを活性していることに、俺すげぇびっくりして。駅のすぐ前に唐揚げ屋さんがあるんだけど、「唐揚げ屋さんもこのコミュニティに入ってるの」とか(笑)。
(会場笑)
佐渡島:でも、それこそ商店街の復活だよね。
井上:確かに。会話の共通言語がわかるしというので。
佐渡島:そんな感じで、地域コミュニティもまた違うかたちで復活しようとしているけれども、もともと持ってる地域コミュニティというのは、ほぼほぼなくなってしまっていると。
井手:うんうん。
佐渡島:この中で子育てしてる人って(います)?
(会場挙手)
佐渡島:女性は……ほとんど男性か。ありがとうございます。子育てで、産休の時の女性ってさ。今手を挙げた人が少ないから、例えがわかんない人が多くなっちゃうかもしれないけど(笑)。産休の女性がすごくしんどくなってしまうのってなんでかというと、赤ん坊って人格がほぼまだないわけだよ。そして子育てしてる時って、会社というコミュニティもなくなってしまうわけだよね。
そうすると、出せる自分というか、コミュニティに対して出せる顔がさ。会社と地域と家族で、コミュニティで出す顔が違うじゃない。種類が。その出す顔が1個だけになっちゃうわけ。
それで自分の出せる……。平野啓一郎の『私とは何か』という本で「分人主義」というのがあって。それを「分人」っていうんだけど、出せる分人が1つだけという状態がむちゃくちゃつらくなるって。
この平野啓一郎が分人という考え方を考え出したのが、『ドーン』という小説の中で、人類が初めて火星に行きますと。火星を往復する2〜3年の間に、いろんな宇宙飛行士のサイエンスフィクションがあるけど、なぜか超絶エリートたちが2〜3年隔絶されると、互いにいがみ合ったりとか、変なことが起きるっていう物語をみんなが書くわけじゃん。
それがリアリティがあると思っちゃうし、なんでそういうことを発想するんだろう? というところで、実は分人がずーっと2〜3年固定されると、すっごくストレスなんだって。
井手:なるほど。
佐渡島:だから、いろんな顔を見せれるから、人って安心するところがある。今度はいろんな顔を見せすぎると疲れてしまう。そういった時に、3〜5個ぐらいはないとしんどい。だから、退職後の男性のストレス状態というのは、2つしかコミュニティがないことで。
井上:家と?
井手:家族?
佐渡島:それと会社。家のほうのコミュニティは相当疎かにしてて、さらに子どもたちもいなくなってしまってて。そうすると、ほぼ妻と1対1の関係性みたいなかたちで、コミュニティとは呼びづらくなってると。コミュニティって、やっぱり3人以上じゃないと難しいかなとは思っていて。
となると、退職後のショックみたいなのは、コミュニティをロスしてる状態なんだよね。
3〜5つぐらいのコミュニティのどれにも入ってて、すべての場所に感じる必要はないけど、どこかに居場所を感じてると、それなりに充実するし、どれかがなくなっちゃったときも、別のところに集中しだすと、また居場所というものを見つけられる。そういうことが起きるんじゃないかなと思います。
井手:ありがとうございます。そしたら、ちょっとコルクラボについてお話ししていきたいなと思っているんですけど。コルクラボって何をやってるのかみたいな話なんですが、僕が入った時に、最初に説明されたのはこのテキストだったんですよね。「学校ではない」と。けっこう自律というか、主体性がすごく求められるみたいな。
ちょっと読んでもらえばわかるんですけど、これ、読んでもよくわかんないと思うんですよね。「たくさんのことを学べるけど、同時に何も学べない場であります」みたいな(笑)。
(会場笑)
井手:禅問答みたいな感じの文章だなと思ったんですけど(笑)。「自分の覚悟次第、主体性次第でどうとでも変わっていきます」みたいなものを最初に説明いただいて。
理念は、当時12月ぐらいの時の資料から抜粋してるんですけど、「仲間と無駄なことをやりすぎて、ぜいたくな時間を過ごそう」みたいな話で。
井上:めっちゃいい言葉ですね、これ。
井手:あとは行動指針ということで、最初に立てたのはこの5つですね。「1. やりたくないことはやらない」「2. さらけだす」「3. やりすぎる」「4. まきこむ」「5. やすむ」という5個。
※取材時点の行動指針。後にアップデートされ、掲載時点では「1. 自分の安全安心を知る」「2. 自分の言葉を紡ぐ」「3. 好きなことにのめり込む」「4. 頼り方を知る」となっています。
最初コルクラボに入会すると、渋谷にあるコルクのオフィスに行って、ちょっとオリエンテーションみたいなかたちで、サディからこういった話を、他のコミュニティを運営してるメンバーと一緒に教えてもらう会があったりするんですけど。コルクラボも今、去年の1月ぐらいからで、ちょうど1年半ぐらい?
佐渡島:そうですね。
井手:そういう中で、これってどんどんアップデートされていったのか。特にここ(行動指針)は、やっていく中でこういう行動指針とかが決められていったのかなと理解しているんですけど、こうなった背景とかをちょっと教えてもらってもいいですか?
佐渡島:背景というか、コルクラボ自体はまず僕の中でさまざまで。なんだろうなぁ……みんなが意識してなかったけど、存在してたコミュニティが壊れてきているっていうので。見城(徹)さんの『読書という荒野』の中に、見城さんがヒットするための条件に「癒着せよ」って言ってるんだよね。
その「癒着せよ」ってどういうことかというと、「コミュニティを探してこい」ということなんだ。公文コミュニティを使って、見城さんは1発目のヒットを作った。そのあと見城さんは、新人作家じゃなければ、すでにコミュニティを持ってる作家を口説くということをやってたんだよね。
だけど、今やコミュニティを自分で管理してる人がいないから、コミュニティが崩壊していってる時代の中で、癒着先がなくなっちゃったじゃんと。だから僕が『ドラゴン桜』を売るときに、参考書コーナーに置いてもらうようにして、結局、書店と癒着しようと。
どう書店を巻き込んだかというと、僕が本の帯とかで「これは勉強に役立つ」って一生懸命言っても意味なくて、書店員さんが「この本は勉強に役立つ」って言ってくれると勝てるなって思ったから、書店員と癒着しようっていう戦略をとったんだけど。
今や、書店も本が溢れちゃってて、書店員さんと癒着してもどういう本かということが伝わらなくなってきてるから。今はどうすればいいんだろうっていうふうに、癒着先が完全になくなってきてしまっていると。
それで、作家ごとにファンコミュニティを自分で管理しなきゃいけない時代が来てしまっているなと思って。ファンコミュニティ・ファンクラブの管理というのは、ジャニーズが最も先見の明があって、すごくうまくやってるとは思います。
一方で、そこにあるファンコミュニティみたいなものは、非常にアナログで、ライブを中心としたオフラインの場で会うことによって醸成されるコミュニティでしかないと。僕らはそこに対して、オンラインで醸成されるコミュニティというのを作っていかないといけないなっていうふうに考え出した。
というか、オンラインとオフラインを分けずに、オンラインとオフラインが滑らかに接続しているコミュニティを作らないといけないなっていう仮説を持って、そのための知見を貯めるために、コルクラボを作りましょうと。そこで得た知見を持って、作家のコミュニティをガーッと横展開していこうとして、コルクラボというのをまずは作り出しました。
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