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著者と語る朝渋『どこでも誰とでも働ける--12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』(全6記事)

自分の価値を増やしつつ、人にも価値を与える「打算型ギブ」の精神

2018年4月20日、BOOK LAB TOKYOで早朝に開催されている会員制朝活コミュニティ「朝渋」の人気企画「著者と語る朝渋」にて、『どこでも誰とでも働ける--12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』を上梓した尾原和啓氏が招かれました。今回のパートでは、サロン嫌いな尾原さんがオンラインサロンをやっている理由を語る中で出た、「打算型ギブ」という考え方についてを中心にお送りします。

経験を構造化して次の世代に渡す

井上皓史氏(以下、井上):あとは簡単にですけど、尾原さんがオンラインサロンをやってるのはご存知ですかね? バリでやってるんですけども、会議が全部オンラインでやられていて、かなりおもしろくて。その中で、きっかけなどは今日は省略して、オンラインサロンのゴール設定を何に置いてるのかなって気になっていてですね。

尾原和啓氏(以下、尾原):はいはい、了解了解。こっちのゴール設定はまずね、サロンじゃないんですよ。言っとくけど、僕……コミュニティ大嫌いです。

井上:あ、そうなんですね。

尾原:僕って情報にしか興味ないんですよ。なので、人と「名刺交換してください」とか、単なる「お話してください」とかってクソで。

井上:また「クソ」出ましたね(笑)。

尾原:あ……。

(会場笑)

尾原:僕、情報が大好きなので、むっちゃエゴサーチしてるから、なんかいい質問とかいいコメントしたのには、けっこうRTしたりコメントしたりするんですよ。なので、ポコポコとコメントしてくれれば、おもしろいって僕が思ったものには反応するんで。ただ、少なくとも全部見てますから。僕、パラノイアなんで。

井上:怖いですね(笑)。

尾原:じゃあ、ゴール設定は何かっていうと、単純に言うと、自分でしか持ってない良いものが増えてきたので、それをやっぱりペイフォワードしないと。

井上:還元したい、ってことですか?

尾原:尾原家の呪いでノブレス・オブリージュっていうものがありまして。これは何かというと貴族の義務ですね。

才能のことを「gift」って呼ぶんですけども、自分の才能って神さまから預かったものなんですよね。だから、神さまから預かったものを自分のためだけに使ったら、それは神さまに対して失礼なことをしてることになるので。たまたま僕はこんなに頭がいいし、いろんな経験をさせてもらってる。

(会場笑)

ありがとう、みんな笑ってくれて。

(会場笑)

笑われなかったらつらいんだよね。

(会場笑)

尾原:こんないろんな始まりの場所にいて経験をさせてもらって。それを構造化してしゃべれるだけの能力があるから、それをちゃんと構造化して次の世代に渡していかないと、経験がなくなっちゃうじゃないですか。それはさっきの蜂と一緒ですよね。伝搬させていく。だから、これとかもたぶん3~4ヶ月で、一応本になることが決まりました。

井上:あ、そうなんですか。おめでとうございます。

(会場拍手)

尾原:あと、もうちょっときれいに動画を編集してくれる人が見つかったら、たぶん動画とかも無料で公開していきます。ただ、最初から無料でやっちゃうと、今は自分で設定してる時給があるので。その時給を割っちゃうと、生活できなくなって持続的に活動できないので、そういったことを理解してくれる人たちとやりたいなと。

だから、これすごくて。「無料でいずれ公開します」って書いてるのに、月5,000円で300人近く入ってくれてるというですね。しかも「コミュニティは設けません」と。

井上:けっこう言ってますよね。

尾原:はい。言ってるのに、会員になってくれるっていう。ただ、さっき言ったようにおもしろい質問があれば勝手にオンライン上で答えるので。そういう感じですね。

自己中心的利他のためにやる

井上:ギブの習慣のところでおもしろいワードがあったので、抜粋したんですけれども、「自己中心的利他」というところが。

尾原:そうですね。自己中心的利他って何かっていうと、人ってさっき言ったように、もう自己承認欲求の塊だし、「ありがとう」って言ってくれるのがうれしい。「ありがとう」って言ってくれることって、結局利他なんですよね。

でも、それって誰かのためにやってんじゃなくて、俺は人が知らなかったことを「あ、わかりました! 尾原さん!」って言ってくれた瞬間が好きだからやってるだけで。着想が僕のストレングスファインダーにおける最高価値なんで、自己中心的に着想をするためだけに、みなさんとこうやってお話をしてるという話ですね。

井上:ギブしてるけれども、自分に還元することがかなり多いと。

尾原:だから、自分の最高価値がわかってると。最高価値を周りに提供することを、自分がめっちゃ楽しんでて。でも、それが結果的に利他につながるっていうお話なんですよ。

井上:ギブと打算って表裏一体なのかな、ということを自分で思ってたんですけど、このあたりは見せ方がけっこう打算が強いなっていう人もいたりして。その中で上手いバランスで、「この人なら返してあげたい」って思われるような、尾原さん流な今日から試せるようなことってありますか?

尾原:これね、流派があるんで。

井上:流派?(笑)。

尾原:僕は打算型ギブって言ってるんだけど、アダム・グラントさんみたいに、「いや、打算を考えてるんだったらギブじゃない」みたいな方もいらっしゃるので。それはそれぞれだと思うんですね。

アダム・グラントさんの「打算を考えた状態ではギブではない」というのは、どっちかっていうと、さっきの楠木さんの「努力の娯楽化」に近くて。自分が好きでやってることって、意識をしなくてやってることのはずだから、呼吸のようにやるよね。だから、打算とかを考えたら、呼吸のようにやってるわけじゃないんですよね。

井上:考えちゃってますね。

尾原:「とにかく呼吸のようにやれることの中のギブっていうのが、あなたにとっての自己中心的利他ですよ」という考え方の流派と、「いや、とはいえさ、やっぱりソーシャルの時代、フォロワー数は多いほうが得だしさ」とかさ。

井上:尾原流派ですね(笑)。

尾原:あと、さっきみたいにサロンでも、最終的には無料で配りたいけど、お金を集めたほうが、お金を使って資料をきれいにしたり、豪華なゲストを呼んできて、自分自身も豪華なゲストと対談しながら着想を得て、その着想をみなさんにお渡しすることってできるわけじゃないですか。

そういうふうに、「どうすれば自分の価値が増やしながら人にギブできるようになるか」ということを徹底的に計算しながら考えてやる、打算型ギブというですね。両方の流派があって。結果から言えば、両方が一致するケースってけっこうあるんじゃないかなと。なら、別でもいいかということはありますね。

ピュアに打算する

井上:打算でもまずは与えるっていうところが、大事かもしれないですね。

尾原:なんでそれを強調してるかっていうと、日本人ってなんかさ、ボランティアとか、正義とかって、金儲けちゃいけないとかさ。打算をしたら、それはピュアじゃないとかって言うけど、俺はピュアに打算してんだよ!

(会場笑)

尾原:「それは何が悪いんだ?」というふうに、みなさんも気が楽になりますよっていう話ですね。だって、こんな朝活だって、ボランティア風にして、5時からコースとか言ってるけどさ、結局パーソナルブランディングなわけじゃないですか。

(会場笑)

井上5時こーじですね、5時こーじ。

尾原:5時こーじ、失礼。それで前田裕二さんとか、普通だったら会えない人とこうやってお話させてもらえて、みたいな。

井上:はい。僕はギブ型打算ですけどね。

尾原:はい。

井上:すいません(笑)。

(会場笑)

井上:すいません。会場からコメントがあれば、ぜひ拾いたいと。

尾原:そうですね。

井上:3人ぐらい当てさせていただいて、拾ってく感じにしますか。

(会場挙手)

井上:はい。

質問者1:ネットでも質問させていただきました。

尾原:はい、ありがとうございます!

質問者1:ちなみに尾原さんフリークで。

尾原:フリーク! ありがとうございます。

質問者1:いろんなイベントに行かせていただいたりしてます。よろしくお願いいたします。

尾原:ただ僕、フリークって言われることにまったく興味ないです。

(会場笑)

質問者1:勝手についていきます。

尾原:コメントとかいい質問だけがあれば、うれしいです。

質問者1:がんばります。尾原さんが抱いたことがない感情かもしれないんですが、妬まれたりとか嫉妬されたりってありますか? というのも、先ほどおっしゃられたようなことをやれて、役立ったりしても、日本の会社だと、それを「何だよ、おまえは若いのに調子乗って」っていう……。

尾原:はいはい、了解です。

質問者1:それで困ってます。そういう時、どうしてましたか? お願いします。

尾原:これは僕が異常すぎて、あんまり答えにならないんです。というのは、妬みとか嫉妬って、自分がほしいものを誰かが独占するから起こることなので。僕、お金と出世に興味ないですから。もっと言うと、会社からもらえるお金に興味がないので。

だから、僕の場合はむしろ逆で、妬みとか嫉妬って、だいたい会社の中の出世と、会社の中でのお金に拘泥される方に多いので、僕を味方にすると、僕って絶対飽きて、1年か1年半ぐらいでいなくなるんで、その手柄を全部独占できるんですよ。

井上:あ、尾原さんの後継者に。

尾原:かつ、「俺がやった」って言わないので、むしろそういう人に対しては。だから、むしろ妬み、嫉みを持つ人であればあるほど、僕にすり寄ってくるっていう構造をつくってるんで。もしそういうことがみなさんができるんだったら、1つのやり方ですね。

井上:できないケースも多いと(笑)。

モノポリーの勝ちパターン

尾原:ただ、大事なことは、こういうことをゴールシンキングという言い方をします。ディールの中で。

つまり、要は妬みや嫉みって、1つのリンゴを「俺が取るんだ!」「おまえが取るんだ!」って言い合うから起こるわけで。だから、さっきの出世レースといったって、会社の中で山ほどポジションがあるわけですよね。「おまえはあっち行きたいんだったら、俺はこっちだ」っていうのも別にいいわけで。

いや、そりゃ『課長 島耕作』の世界みたいに、「あいつは俺より1ヶ月先に課長になった」みたいな、そういうレベルは別に譲りましょうよ。だって、自分にとってのゴールって、1ヶ月先に課長になることではなくて、自分が望みたいポジションの中で課長になることなんだから。

そんなふうに、ゴールというものが、一見すると同じものを奪ってるように見えるんだけど、高解像度に見ていくと、実はゴールって複数に分けられて、お互いがゴールできるものになった途端に、相手にゴールを立ててあげられるんですよね。

さらに、もっと大事なことで、「モノポリーの勝ちパターン」って僕は言ってるんですけど、人生のゴールって1回じゃないんですよ。複数あるんですよ。モノポリーって、家を周回して集めていって、ある場所を3つカードそろえると、すごく高くお値段が取れるようになって。それで他人が泊まると破産に追い込むというですね。もっとも友達をなくすゲームって言われてますけど。

(会場笑)

尾原:これなんかも、土地の色を人と交換してってそろえていくんですよ。これ、みんな1回でそろえようとするんですよね。でも、2回、3回ってディールをする中でそろえていけば……。

逆に言うと、「じゃあ、赤とオレンジ、どっち交換したい?」ってなった時に、向こうに選ばせてあげていいんですよね。僕はオレンジを選ばられたら、次はこいつとこういう交換をする。赤を選ばれたら、次はこいつと交換するっていうふうに、両方のシナリオを持ってるから、どっちでもいいんですよ。そうすると、相手は「え、譲ってくれんの? ありがとう」みたいな感じでやれるから。

1回の取引で相手より勝らなくても、2回目、3回目の取引で勝ればいいし、ましてやそれが最初見えなかったとしても、少なくとも相手と交換するだけで、他の人よりはほんのちょっと有利になれてるわけだから、他の人とまた別の交換ができる可能性が増えてるんですよね。そうしていくことで、そこそこ妬み、嫉みをズラせるということですね。これ、質疑応答長いね。

井上:いえいえ、とんでもないです。

質問者1:ありがとうございました。

尾原:ありがとうございます。

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