2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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西野亮廣氏(以下、西野):これ(クラウドファンディングは“信用の両替機”であるということ)を踏まえたうえで、もう1回「お金とは何か」というところに話を戻します。お金とは何か。信用である。そう言われてもピンとこないと思うんですが、現代のお金を説明するうえで非常に便利な例がひとりいて、ホームレスの小谷って知っている人いますか? 正直知らないという方、どのくらいいますか?
(会場挙手)
あ、知らない方もけっこういらっしゃいますね。ホームレスの小谷というやつがいるんです。こいつはホームレスです。5年間、正真正銘ホームレスやってて、この5年で25キロ太ったんですよ。
毎日、寿司食ってるんです。好きなときに、好きなところに行ってるんです。先々週はハワイに行っていて、先週は台湾に行っていて、来週はスリランカに行くんです。なんか海外飛び回ってるんです。理由は行きたいから。
僕たちが思う、新宿かどこかで寝転んでいるホームレスのイメージとはちょっと違いますよね。好きなものを食べて、好きなところを飛び回って、なんか幸せそうなんです。ここ、ポイントです。彼、お金を持ってないんですが、お金に困ってないんです。
これって僕たちの、これまでのお金の常識とズレてませんか? お金に困っているときって、お金が無くなった瞬間だったはずですよね。でも小谷は、お金を持ってないのに、お金に困ってない。
なんでそんな離れ業が可能なのかというと、彼が現代のお金を確実に捉えていて、先回りしているからです。彼の働き方というか、どういう活動をしているかを知っていただくと、非常におもしろい生き方をしています。おもしろいというか、非常に現代的で近未来的なんです。
彼(小谷)は、なんでも屋です。「BASE」というネットショップで、自分の1日を50円で売ってるんです。例えば、あるお姉さんが「私の家の草むしりに来てください」と、朝8時から夜8時まで働いてくださいという条件で買うとします。50円で来ました。多少遅刻はしますけど、50円なんで、そこは期待しないでください。
一生懸命がんばるんです。50円で、30代のおっさんが、朝からがんばって草むしりをするんです。むしって、むしって、むしって、むしって、昼になりました。お姉さんも、たぶんシャレで50円で買ったものを、さすがに申し訳ないと思って、たぶん、昼ご飯をご馳走すると思います。
小谷、確実に食べます。おかわりもします。昼から夜まで、また草をむしり続けるんです。むしって、むしって、むしって、むしって、夜8時、つまり約束の時間になりました。朝8時から夜8時まで、50円で働きました。「時間になりました、じゃあ帰ってください」って、たぶん言えないと思うんです。
お姉さん、たぶん、夜ご飯もご馳走するんです。小谷も食べますね。おかわりもします。それで、昼も夜も共にしてると仲良くなっちゃって「ちょっと飲みに行きませんか」くらい言いだす。結局、お姉さんは昼(ご飯)代出してる、夜(ご飯)代出してる、飲み代も出してる。
でも、飲みの席で絶対に言うのはこれです。「小谷さん、今日は本当にありがとう」。やたら感謝するんです。50円でこんなにやってくれて、本当にありがとう。
これ、入口の値段設定を8,000円とか10,000円とかに設定してると、ここまでいってないと思うんです。小谷もお金を受け取らないものだから、なんか、それ以外のものを返さなければいけないというバイアスが働いて、昼ご飯になり、夜ご飯になり、飲み代になり、さらには、すげえありがとうみたいな、感謝の気持ちになった。
つまり、小谷は、お金は稼いでないけど、信用を稼いでいる。ここの働き方がぜんぜん違うんです。これまで、ほとんどの人は、労働の対価として確実にお金をもらっていたんです。
でも小谷は、労働の対価として、お金をもらうことは放棄してしまった。ホームレスが「お金、いらねえ」って言っちゃったんです。その代わり、めっちゃ感謝される生き方を選んだ。
5年前にその生き方をスタートさせて、毎日、毎日、自分の1日を50円で売り続けた。売り続けて、売り続けて、売り続けて、とにかく毎日、「ありがとうございます」「ありがとうございます」「ありがとうございます」って、いろんな人からとにかく感謝されるだけの生き方をした。
50円で売り続けて半年たったある日、あいつ、結婚しやがったんです。乞食のくせに。やばいですよね。乞食と結婚しちゃった。
小谷は主に東京をうろうろしているんですが、あるとき、Twitterで女の子から「鬼ごっこの人数合わせで、名古屋まで50円で来てください」っていう依頼があったんです。それで小谷が、名古屋までヒッチハイクで行って、初めて会ったその子と丸1日さんざん鬼ごっこやって、翌日東京に帰ってきて、そこで籍を入れちゃったんです。
お察しの通り、この物語で一番頭がおかしいのは、小谷じゃなくて、小谷の嫁のほうです。この嫁の話は、また今度します。とにかく、結婚しちゃった。
その夜、この夫婦が、僕の家に泊まったんです。そこで小谷に、「奥さんに結婚式と披露宴をプレゼントしてあげたい」って相談されたんです。「そりゃそうだ、お前みたいなのと結婚してくれるんだから、盛大にやってあげたほうがいいよ」って話になったんですが、結婚式も披露宴も高い。200万円とか300万円とかする。
小谷は自分を1日50円で売ってるんで、1ヶ月マックスで働いても1,500円なんです。ぜんぜん足りない。やばいね、どうやって200万というお金を集めようかとなって、じゃあクラウドファンディングで集めようという話になった。
浅草の花やしきを貸し切って、ホームレスの小谷が結婚式をしますから、1口4,000円支援してくださったらこの結婚式に参加できますよ、というリターンを設けてクラウドファンディングをやったところ、2週間で250万円集まった。2週間で250万円ですよ。
ちなみに、5年前のホームレスの小谷を知っていた方、どのくらいいらっしゃいますか? ひとりも知らないんですよ。誰も知らないホームレスの小谷が2週間で250万円集めて、ロンドンブーツの淳さんが3ヶ月間で200万しか集まってない。
じゃあ、誰が小谷を2週間で250万円も支援したかというと、これまで小谷を50円で買った人たち。あの小谷さんが結婚するっていうなら4,000円ぐらい入れるよって、みんな4,000円、4,000円、4,000円って入れて、結果、2週間で250万っていうお金が集まった。
つまり、小谷は、お金持ちではなかったけれども、信用持ちだったということです。毎日信用を稼いで、信用の面積がバカでかくなっていたから、クラウドファンディングという信用をお金に両替するための両替機があったときに、お金を作ることができた。
それ以降も、小谷は20回も30回もクラウドファンディングをやっていて、全部成功しているんです。当然なんですよ、失敗なんてない。だって、小谷がやっているのは集金じゃなくて両替だから。
クラウドファンディングで失敗している人は、集金しちゃってるんです。ロンドンブーツの田村さんは、集金しちゃってた。小谷は、ただ両替しているだけ。自分でその両替する元手を、毎日稼いでいた。つまり、信用持ちは現代の錬金術師である。信用さえあれば、お金も作れるようになってきた。
これまで、クラウドファンディングみたいな、信用をお金に両替する両替機ってあんまりなかったんですが、ここ最近、けっこう出てきましたよね。去年でいったらVALUとか。つまり自分の株式会社の株式を売買するVALUとか、タイムバンクとかですね。
オンラインサロンもそうかもしれません。僕も月額1,000円くらいのオンラインサロンをやってるんですが、そこでは次に作るサービスのたたき台だとか、絵本のたたき台とか、映画の台本とか、ストーリーの台本というものを発信して議論しています。
そんな感じで情報提供して、会議をしたり、たまにオフ会みたいなもので会ったりしてますが、それって、西野に1,000円送ったらそれ相応のものが返ってくるだろうという信用があるから、それがお金になってくるわけですよね。
そういう信用をお金に両替するための両替機がバンバンバンバン出てきていて、投げ銭アプリがどんどん出てきている。それもそうですよね。誰に投げ銭するかって、もちろん信用ある人にするから、信用さえ持てば、お金も作れるようになってきた。
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