2024.10.01
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第53回:東京オリンピックで英語ボランティア(ガイド・通訳)をしたい方へのアドバイス(明海大学非常勤講師・野上文子先生)(全1記事)
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西澤ロイ氏(以下、ロイ):今日、1番お聞きしたい話は、これから東京オリンピックがきますけども、ボランティアでガイドをやりたい、通訳をやりたいという方は、けっこういらっしゃると思うんですよ。
野上文子氏(以下、野上):はい。
ロイ:たぶん人には言えないけど内心思っている方は多いと思うんですよね。そんな方へのアドバイスをぜひお願いしたいと思ってます。
野上:たくさんの方からそういうお話を質問で受けたりするんですけど、ボランティアガイドに限らず、さきほど、じゅんじゅんがおっしゃってたように、もしかしたら道端で話し掛けられるかもしれない。「ここにどう行ったらいいですか?」とか、あるいはサインボードの前で迷っている人がいるかもしれない。そういう人たちに、さきほどのお話はすごくよかったですよね。
上村潤氏(以下、上村):ありがとうございます。
野上:話し掛けてくださいオーラを出せるように、別に「Welcome」「どうぞ聞いてください」というオーラを出せるようになってもらうと、日本中でおもてなしができるようになると思います。1つ目のポイントは「目的を持って勉強していって欲しい」なと思います。
勉強と言うと丸暗記しなければいけない、英会話学校に通わなければいけないと思うかもしれませんが、まずは目的をはっきりすること。どんなことがしたいのか、どんなガイドになりたいのか。明るいガイドだったり、知識豊富なガイドだったり、目的がはっきりすれば、自ずとどんな英語が使いたいのかが見えてくると思います。明るいガイドだったら、じゃあ英語だけじゃなくて、歌も歌っちゃおうかなとか。「Country road」(カントリーロード)とか歌うものいいかなとか。
知識が豊富だったら、私はここに特化して、これを強みにして、じゃあ日本の建物について英語を勉強してみようとか。目的がはっきりすれば、どの英語を勉強すればいいかがはっきりしてくると思います。ぜひ、そこを意識して欲しい。
ロイ:ついつい英語知識が豊富にないとダメじゃないかと思いがちなんですけど、そうじゃなくて目的なんですね?
野上:そうですね。英語知識を高めていった場合、どういうガイドになるかなと考えてみてください。みなさんが海外旅行に行った時に、ものすごい知識豊富なガイドさんと、知識はそこそこなんだけど、とっても楽しいガイドさんのどっちを選びますか、ということになるとやっぱり答えは明らかだと思います。知識だったらwikiでも何でも調べられますので、それよりは人間性ということが大事になってくるかなと思います。
ロイ:なるほど。1個目が目的。
野上:そうですね。
ロイ:2つ目のポイントをお願いします。
野上:2つ目のポイントは「ないたい自分になってみよう!(日本語で)」ということですね」。
ロイ:あっ(日本語で)というのはどういうことですか?
野上:こういうガイドさんになりたいな。明るいガイドさんでいきたいなと思ったら、まずはそれを日本語でやってみてください。
ロイ:おお、確かに、確かに。
野上:それを冷蔵庫相手にでもいいですし、ご家族の協力を得てもいいですし、お友だちでもいいですし、日本語で「こんな感じのガイド」というのをイメージしてください。そしてそこに英語を乗せていく。英語はあくまで借り物ですから、みなさんがなりたい自分を、まずは体現してみる。そしてそこに英語を合わせていくという考え方ですね。ご自分がどうなりたいということがイメージできれば、そうすればどんな英語が必要になってくるのかがわかってきますね。
ロイ:確かに日本語でできないことを英語でできるわけがないですからね。
野上:そうなんですよ。ついつい私たちは英語って特別なものと思って考えてしまいますけども、あくまでも英語は使うものであって、ご自分がどんな自分になりたいか。そこのところで英語を使ってこういう自分になりたいということをイメージしてもらいたいですね。
ロイ:いやあ、本当にそうですよね。例えば、英語ができるようになったら海外に旅行へ行きたいという人とか友だちを一杯作るんだという人とか、じゃあ、日本で一杯旅行してたり友だち作ってたりするかというと、そうじゃないケースがありますもんね。
野上:そうなんですよね。なのでもう英語はあくまで借り物だと思っていて、自分の言語ではないですし、やっぱり追求すべきは自分の言語での思考の深さとか、知識ですとか、そういうことを深めるべきだと思っています。英語に関しては、なりたい自分に英語を乗せていくようなかたちで、あくまでも借り物として英語を学んでいけばいいんじゃないかな。そうすると、完璧主義の日本人の肩の力がちょっと抜けて、楽に英語学習が進められるんじゃないかなというふうに思います。
ロイ:なるほど。英語は後から上に乗っければいいと。
野上:そうです。あくまでも借り物。これはね。自分は自分。そこを明らかにして欲しいですね。
ロイ:はい。じゃあ3つ目のポイントをお願いします。
野上:3つ目のポイントとしては「もう、やってしまえ!」ということですね。実際にボランティアガイドになるとか通訳ガイドになるということを待たずして、街の中には外国人の方たちがとても増えてきています。どこにでも大学の中にも留学生が居るとか、地域で国際交流センターですとか、そういうものができていて、外国人の方と交流する機会はたくさんあります。
ぜひ、もう自分がガイドになったというつもりになって、「私はもうガイドなんだから実際にやってみよう!」ということで、あちこちに出かけていって、みなさんのお手伝いをしてもらえば、これが正しく実践であり、それが2020年に繋がっていくと思いますので「もう今からやってしまおう!」というのが3つ目のポイントですね。
ロイ:なるほど。確かに2020年にガイドになると思っちゃうと、それまでやっちゃいけないみたいな。それまでは準備期間にしてしまいそうですよね。
上村:わかります。まさにそれです。僕。
野上:そして準備に準備を重ねて、だんだん余計に自信がなくなっていって、「やっぱり止めようかな」なんてなってきてしまいます。でも実際にやってしまえば、人の役に立つこと、それからコミュニケーションをとることの楽しさ。そういうことを実感しながらの勉強でしたら、そんなに「がんばろう!」という気持ちでなくても、自然と勉強していくと思います。
私がそういう資格試験において、がんばらなくてもテストに受かったというのは、実は自分でねじり鉢巻して、「これを絶対にやるんだ!」というがんばり方はしなかったですけど、英語の勉強を勉強とも思わず、自分の楽しみでしたので、量としては英語に触れている量はとても多かったと思います。英語を聞く話す読む書くということを自分で物語を書いてみるとか。
誰も添削してくれる人がいなくても、誰も直してくれる人がいなくても、それこそが自分の楽しみだったので、そういうかたちで英語力をつけてきました。いやまだまだですけど、そういうふうに思ってます。
ロイ:なるほど、なるほど。いやあ、いいアドバイスをありがとうございます。
野上:ありがとうございます。
上村:心に染み渡りました僕(笑)。
(一同笑)
ロイ:じゅんじゅんの潤は準備の準じゃないよと(笑)。
上村:そうです。
(一同笑)
上村:潤いますよ。僕は。
ロイ:あとは、既に「私。日本語でガイドやってます」と。「私に必要なのは英語力なんです」という人にアドバイスはありますか?
野上:ああ、そうですね。そうしたら日本語でガイドされている人は、もうきっと知識も豊富ですし、それから、おもてなしのし方も、もう十分に長けている方だと思うんですね。その方にアトバイスするとしたら、「お気をつけください。そのまま英語にしてはいけませんよ」ということですね。
ロイ:直訳ということですか?
野上:直訳するとか、自分がこれぐらいの人間だと思ったら、そのまま英語になっても、このまま行けるかというとそういうこともなく、さきほどから申し上げてますように英語は借り物ですから、ちょっと今の自分よりは少し「話すスピードが遅くなるかな」あるいは「おもてなしの仕方はもっともっと上手くできるのに、ちょっとそこまで気が回らないかな」そういう状態が出てくるのは当然のことです。
どうしたって英語ということになると、「あら? 計算のスピードが遅くなった」というのはあります。英会話学校で、プレースメントテスト(レベル分け試験)の時に、折り紙を折りながら英会話をしてもらいますと、簡単な言葉でも「How you doing?」その後に答えるのに、ぱっと手を止めてから、折り紙の手を止めてから「あっ、I'm good. Thank you.」というような形になって。
そして「What do you do in your free time?」なんて聞いたりすると、ぱっと折っている手が止まって「I like traveling.」とかね。そういうふうになるわけですね。同時進行ではなかなかできなかったりしますので、目標とするのは何かをしながら、英語ができる。英会話ができるというところを目標にするのは大事なところなんですけど、でもそれと同時に「完璧にはいかないんだな」と。
今の自分をそのまま英語ですべて表現するというのは、なかなか難しいということを踏まえた上で、それでも自分にOKを出してあげられる。「これでいいや」というふうに思ってもらって、ぜひ英語ガイドのほうも楽しんでもらいたいなと思います。
ロイ:もう、言うことないですね(笑)。コメントのはさみようがないぐらいまとめていただきました(笑)。
上村:まだまだ僕がお話を聞いていたいところではあるのですが、もうそろそろお時間が近づいて参りましたので、本日スタジオ前にご家族の方も来ていただいていますし、今、電波に乗って世界中の方が聴いていますので、リスナーに向けて一言メッセージをお願い致します。
野上:メッセージですね。Imagine, what kind of tour guide you want to be. If you can do it, then, you will be where you are. You will be where you want to be. どうぞどんな自分になりたいか、イメージしてそしてそこに向かって進んでいってください。ありがとうございました。
上村:はい。というわけで本日ゲストにお迎えしましたのは、明海大学非常勤講師であり、0歳児から70代まで幅広く英語を教えている野上文子先生にお越しいただきました。どうもありがとうございました。
野上:ありがとうございました。
ロイ:ありがとうございました。
(一同拍手)
上村:以上、西澤ロイの「頑張らない英語」お届けしましたのは、ナビゲーターの上村潤と。
ロイ:西澤ロイでした。Thanks for a lot for listening. See you on March 19th. Bye bye.
野上:Bye bye.
上村:Bye bye.
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