2024.10.01
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第34回:5歳児英語の奥村美里さんインタビュー<ラジオ「西澤ロイの頑張らない英語」>(全1記事)
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西澤ロイ氏(以下、ロイ):でも、そうやって体当たりで通訳になられたってことは、けっこう失敗体験とかもあったりするんじゃないんですか?
奥村美里氏(以下、奥村):いや、ありましたよ、けっこう。
ロイ:ほうほう。
奥村:例えば、最初に通訳デビューしたのシンガポールのセミナーで。講師の人はアメリカ人、あ、カナダ人かな。それはぜんぜん問題ないんですけど。セミナーって感想のシェアの時間とかあるじゃないですか。
ロイ:はいはい。
奥村:それがみんなシングリッシュで。
ロイ:あー。
奥村:シンガポールの訛りが入ってて、ぜんぜん何言ってるかわからなくて。もう1人いた「君ならできる」とか言った人も、アメリカに5年ぐらい住んでて、彼のほう見ると(首を強く横に振っていて)。
(一同笑)
「わかんない」みたいな言われて。それで、2人で謝りました。「すいません、わからないです、訛りが強すぎて」って言って。
ロイ:それ、しょうがないですよね。
奥村:そうですね。台本もないので、ぜんぜん何を言ってるのかわからなくて。いや、シングリッシュは本当に、5回ぐらい行かないと理解不能。今もたぶん、訛りが強すぎると理解不能だと思うんですけど。
上村:へぇ。
ロイ:僕も留学中に、南部、ジョージア州に留学したので、南部訛りがあったりとか、先生がインド人とロシア人だったりとか、けっこう訛りって大変ですよね。
奥村:そうですね。でも、すごい自信満々なんですよね、訛ってるのに。
ロイ:あー、そうそう。インド人とか、聞いてる人が誰も理解してなくても、満々でしゃべるんですよ。
奥村:そうそう。
ロイ:マシンガンで。あれ、ちょっと見習わないと。
奥村:そう。本当に見習わないといけないと思います(笑)。「わかってるかな?」とか思わないんでしょうね、きっとね(笑)。
ロイ:(笑)。
上村:あくまでも自分の気持ちを伝えてる。
奥村:そうそう、「わかるはずだ!」みたいな。
ロイ:そんな美里さんが、なぜ『英語は5歳児の日本語で考えると面白いように話せる!』みたいな話になったのか、ちょっとそのへんを教えてください。
奥村:私、セミナーとかけっこうやってまして、そこで生徒さんとかから、「これ、英語で何て言うんですか?」ってよく聞かれるんですよね。
ロイ:ほうほう。
奥村:例えば、「『魂のこもった作品』って、英語で何ですか?」とか。
ロイ:魂のこもった作品。
上村潤氏(以下、上村):よく映画とかで、熱く語る時にそんな言葉出てきそうですよね。
ロイ:じゅんじゅんだったらなんて言います?
上村:えっ!
(一同笑)
ロイ:「この映画は魂こもった作品です!」。
上村:This movie is……。
ロイ:This movie is……?
上村:魂、……soul、spirit。
(一同笑)
奥村:そうきますか!(笑)。
上村:soul spirit ガンガン、みたいな。
(一同笑)
ロイ:ガンガンって(笑)。
上村:ガンガンって、もう(笑)。
ロイ:そこでどんなふうにアドバイスされたんですか?
奥村:いや、いっぱいあるんですよ、「『牙城を崩す』ってなんて言うんですか?」とか。
上村:あ、牙城を崩す!(笑)。
ロイ:これ……。
奥村:とか、「魚の『スズキ』は英語で何て言うんですか?」とか、そういうのいっぱい聞かれて。それで、いつも「何を言いたいんですか?」っていうことをよく言うんですよ、私は。
ロイ:うんうん。
奥村:「いったい何を言いたいんですか? 簡単に言うと何なんですか?」。例えば「魂のこもった作品」だったら、「いい映画」とかじゃないですか、要するに。「いい映画」って英語で何ですか?
上村:ん、何だろう。great movieとか?
奥村:そう。それでいいんですよ、別に。だから「魂」soulとか言わなくてもいい、ってことなんですよ。
ロイ:うんうん。確かに。
奥村:「牙城を崩す」とかも、ビジネスマンの人は、けっこう大きい、big wordsって言うんですけど、なんていうか、いつも話し慣れてるから、それを英語に訳そうとして、語彙がないから挫折、みたいになるんですけど。そうじゃなくて、そもそもその日本語自体を簡単にすれば、英語にするのは簡単だと。
例えば「牙城を崩す」って言った人に、「じゃあ、何が言いたいんですか?」とかって言ったら、30秒ぐらい考えて、「『マーケットシェアを取る』ってことですよ」って言われて。
ロイ:あー。
奥村:だったら別に、get their market shareとかでいいじゃないですか、簡単に言うと。
上村:まさにそのままですよね。
奥村:そんな経緯があって。私は通訳をやってましたけど、じゃあ通訳やっていたからといって、英語辞書の単語を全部知ってるわけじゃないんですよ。でも、言いたいことは全部言えると。
じゃあ、何が起こってるかっていうと、言い換え能力が高いんだなっていうことを思ったわけですよね。なので、日本語を簡単にすることができれば、good movieとか言えるわけじゃないですか。っていう感じです。
ロイ:なるほど。
奥村:この「5歳児」って、もしかして語彙も覚えなくていいし、簡単にしゃべれるんじゃないかと思いまして、そのメソッドを公開しております。
ロイ:もともと自身でやってらっしゃったことを説明しようとしたら、こういうかたちで「5歳児の日本語で考えればいい」と、そういうふうにまとまったってことですね。
奥村:はい。
ロイ:なるほど。それで、さっきの「スズキ」、「スズキ」はどうします? この魚……。
上村:「スズキ」?
奥村:なんか「メインはスズキか豚です」みたいなことが言いたかったらしいんですよ、本人は。
上村:あー。えー、でも、……「豚かスズキ」だったら、meat or fishになりますけど。
奥村:そうそうそう。
上村:何でしょうね、「スズキ」だったら白身なんで、white fishとか?
奥村:そうです。それでいいんですよ。
ロイ:おー。
上村:「『スズキ』って英語で何て言う?」って言われると、さっぱりわかんないですけど(笑)。
奥村:そうですよね。
上村:とりあえずwhite fishとは言いますね。
奥村:それでいいんですよ。だってアメリカ人とかって、魚って、samonぐらいしかわかんないですから。
上村:そうなんです?(笑)。
ロイ:tuna。
奥村:そう。tunaとsamonぐらいですよね。
ロイ:そんな感じ。
奥村:「スズキとか言われても……」って感じだと思いますよ。
上村:逆にそう言われても、向こうがわかんないんですね(笑)。
奥村:そう、「何それ?」みたいな(笑)。そうです。
上村:あー、最終的に「white fish」って言えば、「Ah, OK」となるわけですか。
奥村:そうそう、「白身なんだ。ふーん」みたいな。
ロイ:だって、例えばファーストフードとか行くと、chicken、beaf、porkって言うけども、魚はfishしかないんです。
奥村:そうそうそう。
上村:あー、確かに。
ロイ:Filet-O-Fish(フィレオフィッシュ)みたいな。
奥村:そうそう。
ロイ:そこで魚の名前出てこないですよ。
上村:スズキバーガーとか、なさそうですもんね。
奥村:(笑)。エビバーガーとかもないですもんね。
ロイ:あ、エビ。日本人は好きですけどね。
上村:あー。
奥村:そうです。
上村:なるほど。これはロイさんの本でも、見せていただきましたけど、言い換え能力は本当大事だということを、読ませていただいて再認識しました。
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