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第4回:英文法は暗記すべきものではない<ラジオ「西澤ロイの頑張らない英語」>(全1記事)

「Pleaseをつければ丁寧になる」は大間違い!? イングリッシュ・ドクターが語る、受験英語の問題点

西澤ロイの頑張らない英語。このラジオは、英語が上達しない原因を根本から治療するイングリッシュ・ドクターの西澤ロイ氏が、英語の効果的な上達法・学習ノウハウ、英語を使って活躍している方のインタビューなどを伝える番組です。今回は、英語学習カウンセラーとして活躍する西澤ロイ氏が、日本の英語教育の問題点について語ります。

受験英語の偏っているところ

上村潤氏(以下、上村):これは、そうですね、例文としてなにか、あったりします?

西澤ロイ氏(以下、ロイ):そうですね、ちょっと例があったほうがわかりやすいですよね。例えば。

上村:はい。

ロイ:受動態ってありますよね。例えば、「He took this photo」は「彼はこの写真撮った」ですけど、これを受動態にしたら「この写真は彼に撮られた」って日本語だと言えますよね。

上村:はい。

ロイ:これを英語でいうと、潤さん。

上村:えー! もうHe took this photoで、かなり危険領域でしたけど(笑)。

ロイ:(笑)。むちゃぶりだとわかってました。これを受動態にすると、「This photo was taken by him」みたいな感じで、tookだからwas takenにして、彼が撮ったのがby himにする、みたいに習うじゃないですか。

上村:はい。

ロイ:でも、このThis photo was taken by him. とはネイティブはほぼ言わないんですよ。

上村:うーん。

ロイ:これは文法的には正しい。ですけど、意味的には正しくないんですね。もし彼が撮ったんだって言いたければ、「He took this photo」というふうに、普通のかたちで言うものであって。受動態にはしないんですよ。受動態にするときには、受動態を使うなりの理由があって。

例えば、受動態使うときって、誰がって言わない場合が多いんです。言いたくないとか知らないとか、いろんな理由があるんですけど。例えば、This photo was taken Australia. って言えば、「オーストラリアで撮ったんだよ」って。こうするとすごく自然な英語になるんですよ。でもそれを、イコールだっていうふうに習ってしまっていて、書き換えて。どっちもイコールだって習ってしまっている。そういうのが、ちょっと……受験英語の、偏ってるというか。

上村:なるほどねー。

英語の教え方が全く進化していない

ロイ:そういうのをいろいろ大学時代に組みなおして学んで。

上村:はい。

ロイ:いろんな本を読んだりとか、ネイティブの感覚とかがわかるようになって。それを、みなさんに知ってほしいなってすごく思うんですね。僕、中学生相手に、ちょっと英文法を教えてたことがあるんですけれども。そのときに、15年前と今と、教え方がまったく変わってないな、ってことに愕然としたんですよ。

僕がその英語感覚であったのが15年前なんですね。それで、本とかも最近はいっぱい出てるんですけども、中学生は今まで通り習っていて。例えば、命令形でGoって言ったら、「行きなさい」pleaseつけたら、「行ってください」になる。

上村:はい。

ロイ:本当はpleaseは、そういうことではないんですよ。pleaseつけるから丁寧になるって、勘違いしてる人が多いんですけど、実際違うんですよ。

上村:ほおー……。なんかその、無駄に敬語を重ねてるみたいな感じで……つい使ってしまいがちというか。pleaseつければ、こう……。

ロイ:そう、pleaseで丁寧になる場合もあるんですけど、pleaseって「お願い!」って感じなんですよ。だから、場合によっては押しつけがましくなってしまう場合もあるので。丁寧になるとは限らないですよね。

上村:なるほどね……。やっぱりちゃんと学ばないとだめですね(笑)。なんでもかんでもpleaseをつければいいわけじゃないですね。

ロイ:そう。だから、昔英語を、そうやって受験英語で学んだ大人の人もそうだし、英語教えてらっしゃる先生もそうだし。今、英語学んでる中学生以上の人、もそうだし。そういう、いろんな人に読んでほしいと思って、この『頑張らない英文法』、書かせていただきました。

上村:なるほど……それについても、触れられているということで。

ロイ:命令形の話はですね、次の刊になって。

上村:書きすぎて!

(一同笑)

上村:入りきらなかった部分に。

ロイ:入りきらなかったんですよ。

上村:すばらしい。次につなげていく。

ロイ:(笑)。でも本当に、この『頑張らない英文法』、今回は売れてくれないと、次の原稿お蔵入りしてしまうので(笑)。

上村:あららら。

ロイ:ちょっとそれだけは避けないといけないと。ぜひみなさん、応援をよろしくお願いします(笑)。

上村:いえいえ、頑張っていきましょう。どんどん宣伝していきましょうよ。

ロイ:そうですね。読む方がんばらなくていいんですけど、僕らがんばらないとだめですよね。

上村:そうですね、はい。宣伝部長として(笑)。

ロイ:(笑)。

上村:私、CMもつくりましょうか?

ロイ:ぜひ。潤さんお願いします。

「犬」を説明されて理解する人はいない

上村:はい(笑)。そして、もう1つ大事なことが。

ロイ:はい。感覚、なんですけども。どうしても、文法を説明でいろいろ教わってしまうんですよね。でも説明しても、結局わからないんですよ。

上村:はい。

ロイ:その、感覚でつかむしかない。最終的にはそういうものなんですね。だから例えばなんですけど、僕がよく例に出すのは犬の話なんですけど。

上村:犬の話。

ロイ:はい。「犬をみなさんどうやって理解しましたか?」って、聞かれたときに、例えばですけど、「犬という動物がいてね。ワンワン吠えるんだよ」とか、「おすわりするんだよ」とか。そういうことを、説明されて知った人はいないはずなんですよ。みんな、犬を見て、見たりして、映像の場合もあるかもしれないですけど。見て、実際に出会ったりして、触れながら、体験しながら知ったはずなんですよね。

英語も同じように、体験して、感覚的にわかるべきものなんですよ。それを、いろいろ、こういう言い方はしないとか、こういう用法があってね、みたいに。ぜんぶ説明で入ってしまっているので。

上村:そうですね。僕なんかはとくに、僕らのころの世代って、教科書渡されて、まず読み書きからはじめるっていうのが常でしたからね。リーディングの授業とか、かなりあとになってからはじまりましたからね。実際英語を聞くようになったっていうのはちょっと遅かったですね、僕らは。

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