2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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司会者:すごいな、なるほどなと思いました。ありがとうございます。私もいま所長職をやっているんですが、管理職って営業職とはぜんぜん違うじゃないですか。
めちゃくちゃ売れているところからたぶん給料も落ちたと思うんです。なのになぜ、管理職になる決断されたんですか? そのあたりのお話をしていただいてもいいですか?
芦名佑介氏(以下、芦名):そうですね。給料は3,000万くらい落ちました。僕はプルデンシャル生命で最後、1位争いをしていて結局、2位になったんです。その時に来年もう1回、1位を目指そうとは思えなかったんです。というのも、その時僕が学んだのは、1位になるということは、1位になろうとしないとなれないということだったんです。
僕はずっと、お客さんのために仕事をすれば絶対1位になれると思っていました。しかし1位になるということは、そんな甘いものじゃなかったんです。お客さんのことを考えずに、家族のことを考えずに、まわりのことを考えずに、1位になるということだけにコミットしないと獲れない。簡単なものじゃないのです。
ありがたいことに環境のレベルがめちゃくちゃ高かったので、僕は翌年1位を目指すという覚悟はできませんでした。
営業所長という仕事は、全員が一番じゃなくてもいいんですよ。全員の平均の生産性を評価されるというシステムだったので、それがやりたいなというのと、入社当初、心から思っていたのは、プルデンシャルに入って、自分が男前に近づいていって、お金も稼ぐことができて、僕ができたんだから僕より優秀な東大生や京大生なんかはプルデンシャルで働けばいいのにと普通に思っていたんですよ。だから息をするように仕事ができるなと思って管理職を選びました。
司会者:営業所長は結局1年半くらいなんですか?
芦名:電通も1年半、営業も1年半、マネージャーも1年半です。
司会者:マネージャーとしても素晴らしい成績だったのは私も知っているのですが、なのにまたなぜその道もお辞めになってしまったんですか?
芦名:まあ、ただ男前になりたかっただけなんすけど。
司会者:繰り返しますね(笑)。
芦名:当時、めちゃくちゃお金を稼いだんですよ。お金を稼ぐと「お金持ち」という人種にけっこうお会いすることになるんです。
僕は「人格がすばらしくないとお金は稼げない」とずっと思っていたんです。でも、お金持ちに会ってみたら全然そんなことなかったんです。それが僕はものすごくショックでした。お金を稼ぐ人っていうのは、お金を稼ぐ人なんです。いい人だったらお金がついてくるってわけじゃないということに気がつきました。でも、とは言っても、そのお金持ちの方に何も勝てなかったんですね。お金を稼ぐ力でいったら、彼らの方が全然稼いでいるし、経営能力で言ったら彼らの方がぜんぜん上。営業も僕より素晴らしい営業はいくらでもいる。
僕は自分の能力を明確にわかっていました。周りが「若いのにすごいね」とどれだけチヤホヤしようが、「僕の能力はこのレベル」だということを僕は明確にそのトップの人と比べてわかっていました。みんなが言っているけれど、僕の能力はこれくらいしかないなということを。僕がこの金持ちの人たちに勝てることなんかほとんどありませんでした。
ただ唯一、1つだけ、これだけは勝てるなというものがあって。それが僕の「オーラと雰囲気と表現力」だったんですね。これだったら隣に孫正義がいても勝てるんじゃないかと思ったんですよね。そうなると芸能界か、テレビの世界かなと思ったんですが、電通にいた時に芸能界には枕や政治の香りを感じていたので、あまり気が進まなかったんです。
そんな時に、アメリカでNBAのバスケットボールのチアガールに挑戦している「ロサンゼルス・クリッパーズ」と「L.A. レイカーズ」のファイナリストまでいっている女の子がいて、その子が東京に帰って来た時一緒にご飯を食べていたら、たぶんふざけてだと思うんですが、僕、アッシュって呼ばれているんですが「アッシュ、私と一緒にアメリカ来ちゃいなよ!」と言われて「アメリ……。ありだな」と思って(笑)。
(会場笑)
アメリカは考えていなかったなぁと。「自分のオーラと雰囲気と表現力だけを持って舞台に立って、アメリカ人をボコボコにする」というのはハンパなく面白いなと思いまして。今度はアメリカ人を本気で殺そうと思って、アメリカに行きました。そんな感じでプルデンシャルを辞めました。
その時はさすがに僕もアホすぎると思いました。外資金融マネージャーを辞めて俳優になります、ということがちょっとおかしいなということぐらいわかっていたので、2週間くらい寝かせました。ちょっと考えようと。ただ、2週間ずっとワクワクが止まらなくてですね。2週間後に辞表を出し、その1ヶ月後に退職。その1週間後にフライトというかたちで俳優を志すことになりました。
司会者:すごく気になったんですが、常に誰かを殺しに行こうとしているじゃないですか。それはどういう感じなんですかね? その「殺す」と表現されている意味は。
芦名:ナイフを使って、殺す。ということではないですね。なんていうんですかね、こう、動物的に負けたくないという、そういう気持ちですね。
司会者:ごめんなさい。ちょっと気になったので。それで俳優になられて、その後が無職?
芦名:はい。
司会者:なるほど。無職を選ばれたんですか?
芦名:はい、そうですね。まあ、俳優の話はいったん置いておいて。無職になった経緯は、ロサンゼルスにいた時にとあるアパレルカンパニーで経営コンサルをお願いされまして、やっていたんですね。『レオン』とか『サファリ』といった雑誌に載っているアパレルをロサンゼルスで仕入れて日本に売るという会社があったんですが、ここの経営を見てくれないかということで、3日間見ていました。その時に僕は完璧な解決策を提示したんですね。
こういう課題で、ここをこう解決したら御社はこうなりますよ、という。僕は自分的には300万円くらいの仕事をしたなという感覚だったんです。でもその時に、「芦名君、本当にありがとう」と言って500ドル、6万円くらいですかね。渡されたんですね。その時に「え?」って思っちゃったんです。お金を貰ったら普通嬉しいじゃないですか? 僕もお金を貰うってすごく嬉しいことだなと思っていたんですが、お金を貰って不幸になることがあるんだなということをすごく実感しました。
その時「お金は貰わないでタダでやってあげた」という気持ちになったほうが僕は幸せだと思ったんですね。自分がやっていることに価値があると思っているからこそ、中途半端にお金を貰うと、自分に値段をつけられたようで、僕自身が不幸になるということに気がついたんですね。だから貰うんだったら納得する額を貰いたいし、貰わないんだったらもう一切貰わないというスタイルになりました。そんなことがキッカケで、無職というか無報酬の生活が始まりました。
また無職だった理由はもう1つ、僕がアメリカで感じたことがあったからなんです。
アメリカに行ったからといって、アメリカのことがすごくわかるというわけではありません。アメリカに行って何がわかるかというと、逆に日本のことがすごくよくわかりました。僕が今まで常識だと思っていたことは、外国の人には通じないんだなということが。これって日本が作った常識だったんだなということに、たくさん気がつきました。
例えば、日本人って、年齢がわからないとコミュニケーションが取れなかったりするんですよ。「おいくつですか?」というところから日本人は会話が始まるんですね。それから「何年アメリカにいらっしゃるのですか?」という話をして、英語力がどれくらいかを探り合うんです。それで、英語が上手かったら偉いんですよ。英語が下手だったら弱いんです。その次に聞くのは「ビザは何で来ているんですか?」という話。それがグリーンカードという永住権だったら偉いんですよ。
でも僕は当時、エスタという旅行カードで行っていたので、めちゃくちゃ弱かったんです。それで「あ、弱いんですねー」みたいな感じで見られるんですよ。だから日本人と喋っていると、めっちゃそれを聞かれるので、ストレスが溜まるんですよね。もっと人としてみろよ、みたいな。そんな感じでしたから、アメリカ人と喋っている方がストレスを感じませんでした。それは単に英語がわからなかっただけかもしれませんが。
(会場笑)
その時に思ったのが、日本ってすごく人から生まれる不幸が多いな、ということです。僕が今、会社で掲げているのも「人から生まれる不幸をなくしたい」ということなんです。どういうことかというと、僕自身そうだったのですが、やりたいことをやると、やるなと言われるんですよ。そして、やりたくないことをやると、すごく褒められるんです。
これ、おかしくないですか? これ、すごくおかしいなと思いまして、だからそんな人から生まれる不幸がある世界をなくしたいなと思ったんです。
そんな時に「愛」という解決策にたどり着きました。まさか僕がここで「愛」の話をするとは思わなかったんですが、みなさん「愛」ってなんだと思います? ちょっと照れくさいですが。
参加者1:相手を思いやる気持ち。
参加者2:利害関係がない。
芦名:愛の反対ってなんだと思いますか?
参加者3:無関心。
芦名:無関心。そうですよね。以前、マザーテレサが「愛の反対は憎悪じゃない、愛の反対は無関心だ」という話をしていました。僕は直接彼女から聞いたわけではありませんが。
僕は違うと思うんですよね。じゃあ、Facebookに「いいね!」を押すのが愛か? という話です。Instagramに「かわいいねー」とコメントするのが愛か? という話です。「愛の反対は無関心」なんていうのは、それは昔の話だと思うんです。今は関心を持ったら愛かというと、まったく違うと思います。
なんでかというと、まわりに「関心を持っていますよ」というフリをして「愛を持っていますよ」ぶっている人がめちゃくちゃいるので。僕はそういう「嘘つき」の大人にすごくたくさん会って来ました。ほとんどがそうでした。
「関心がありますよ、大事にしていますよ、優しいですよ」ぶってくる人がすごく多いですね。僕は愛の反対は、見栄だと思いました。
僕が思った愛というのは「等身大をさらけ出す勇気」と「違いを受け止める勇気」です。
ほぼすべての人間関係の問題は、これで絶対解決すると僕は思っていて。自分が等身大になる勇気を持って、周りにいる人が違いを受け止める勇気を持てば、絶対人から生まれる不幸はなくなるんです。そしたら自分がやりたいことがやれるし、やりたくないことはやらなくていいという世界になるじゃないですか。
「見栄を張る」ということ自体が、自分の等身大を隠す行為ですよね。僕が唯一決めている、この人とは絶対一緒に仕事をしない基準というのは「見栄を張る人」です。というのは、その人の等身大がわからないから。その人はそもそも自分に嘘を付いている人なんですよ。
以前の僕がそうだったので、よくわかります。自分の等身大。自分がどうしたいか、ということよりも、社会からどう思われたいかということをすごく優先していました。自分が住みたい家よりも、周りに「いい家だね」と言われる家に住んだり、自分が乗りたい車よりも周りから羨ましがられる車に乗ったり、自分が食いたいメシよりも、周りが「すごくいいレストランだよね」という店を選んだりとか、自分が飲みたい酒よりも「わーすごいですね」と言われるシャンパンを飲んだりとか、そういうことばかり選んでいました。そうするとお金がいくらあっても足りないです(笑)。
まぁ、そんなことにも気がついたので、そういうことをなくしていきたいなと思いまして。
あとは、日本に帰ってきてからいろんな所に呼ばれてお話しをさせてもらう機会が増えていきました。その時に、僕はお金のことがよくわからなかったので、僕が喋るのに別に原価はかからないんですよ。右足を仕入れるのに20万かかるので、今回25万でいかがでしょうか、みたいな話はできないんです。ですから「金額なんかいいです。無料でいいですからやらせてください」と。
僕は自分に価値があると思っているからこそ、できるだけ多くの人に僕のことを知ってもらいたいし、伝えるべきだと思っていました。だから金とかどうでもいいからとりあえずやらせろと、いろんなところに呼ばれて行ったんですね。
そうしたらですね、プルデンシャルを辞めた時にはギリギリ、1年半から2年間くらい生きていくお金は用意してあったんですが、気づいたらお金がなくなっちゃったという。
でも「お金がなくなっちゃったからやることが変わる」のは僕、イヤだったので、借金をしようと思ったんですね。ところがお金がなくなった状態で個人が借金するのは厳しいなと思いまして、法人を作っちゃえと。法人を作ったら借り入れができるんじゃないかって。だから、借金をするために会社を作ったというのが、芦名表参道です。どうぞよろしくお願いします。
司会者:そうなんですね。なぜ会社を作られたのか聞こうかと思っていたのですが。プルデンシャルの営業所長の仕事が終わられてから、無職の段階で俳優をされていましたよね。その頃に芦名さんの感性がより研ぎ澄まされたような印象を受けましたが、アメリカに行っていた時に自分の感性をくすぐられるような経験はありましたか?
芦名:そうですね。僕は比較的感性が豊かな方だとは思いますが。感性が豊かじゃない人の特徴というのは、すべてを論理で捉える人です。僕はアメリカに行った時に、論理のすべてをブレイクされたんですね。
僕がプルデンシャルの時は、お金を稼ぐやつがすごくて幸せなんだと教わっている気がしました。実際に、年収が2,000万くらいで満足している社員には辞めてほしいんだよねと上司にも言われていましたから。そういう文化でした。いま思うとひどいと思うんですが。
ところがアメリカのカリフォルニアに行った時に……カリフォルニアにいらっしゃった方いますか?あ、いますね。めちゃくちゃ天気がいいんですよね。ハワイとは比にならないくらいめちゃくちゃいいんですよ。ハワイをすごく都会にした感じで。そこに住んでいる時にめちゃくちゃ幸せだったんですね、無職なのに。「あれ? お金を稼いでいないのに幸せだな」ということに、急に気がついたんです。
昔は「お金を稼いだら幸せだ!」という解釈だったんですが、「あれ? お金を稼いでいないのに、天気がいいだけで幸せだぞ、おや?」と思って。それが、「あれ? いままで教わってきたことって全部違うんじゃないかな」と思う経験というかキッカケになりました。それからいろんなことを考えて、日本を出た時よりも感性がかなり大きく変わりましたね。
司会者:ありがとうございます。いろんな経歴を経て芦名さんがここに立っていると思うんですが、会社を作ってどんなことをしていきたいと思っていらっしゃるんですか?
芦名:人から生まれる不幸がなくなればいいなと思っています。僕自身がやりたいことをやりたい。ちょっと偉そうな言い方をすると、僕から見たらなんでそんなことで悩んでんだ?という人がすごく多いんですよね。「やりたい」、ならやったらいいじゃないか?ということを、すごく思うんです。結局は最後なにかというと、やりたいことをやるという、ただの勇気の問題なんですよ。
そういう人が勇気の一歩を踏み出せるきっかけになれればいいなと思って仕事というか生きています。僕の言葉や活動を通じて勇気を出してもらったら嬉しいですし、勇気が出てさらに行動ができたらもっと嬉しいですね。
あとは僕がやっている行動。これから何をしようかと思っているかというと、「言葉の個展」というのをやろうかなと思っています。それにアパレルをひとつ、もうひとつは和菓子屋さんをやろうと思っています。別にうまくいこうがいくまいがやりたいんで。「芦名アイツ、やりたいことやってんな」と思ってもらって「俺もやろうかな」と思ってもらえればそれでいい、ぐらいの感じですね。
司会者:和菓子が好きなんですか?
芦名:いや、和菓子はそんなに好きじゃないんですよ。最中がすごく好きなんですよね。芦名表参道という字面がすごく和菓子屋さんっぽいじゃないですか。すごい老舗の和菓子屋さんぽいというか。
(会場笑)
京都で、もう300~400年くらいやっているお店なんですね。海外ではニューヨークとカリフォルニアにしか店舗展開していないんです。京都のお店は一見さんお断りなんですよ。そんな和菓子屋さんが今回やっと逆輸入で東京に進出してくる。
というイメージの和菓子屋さんです。
(会場笑)
司会者:ほんまにあるんかと思いました! ありがとうございます。
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