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人事担当者向け勉強会【攻める人事】〜社内外に向けた採用広報について(全5記事)

「◯◯責任者クラス求む!」と書いていませんか? 求職者に響く、適切な採用広報のポイント

ダイレクトリクルーティングなど、さまざまな採用手法が登場しています。そんななか、適切なターゲットに自社を知ってもらうにはどうすればいいのでしょうか。本パートでは、サムライト・CCOの後藤亮輔氏が採用市場で起こっている「採用要件で求めすぎている問題」と、適切な採用広報のポイントについて話しました。

コンテンツ力を採用に活かす

後藤亮輔氏:みなさん、改めまして、こんばんは。よろしくお願いします。前半の菅原さんのパートは主にブランディングでしたが、僕の場合は「コンテンツで採用する」ということで、よりリアルな採用の手法をお伝えできればと思っています。

事前にみなさまから応募の際に質問項目をいただいているんですけど、広報関連の質問が半分、採用関連の質問が半分だったので、両方ぜひ聞いていただければと思っています。こちら、本日のアジェンダになります。

3つのフェーズに分けてお話できればと思っています。

まず、先ほど菅原さんのお話にあった「アセット」ですね。アセットの言語化が大事ということなんですけど、そのアセットの見つけ方がわからない会社さんも多いと聞きますので、自社の魅力の考え方・見つけ方をお話します。

次に、「適切な仕事」ですね。企業側が求職者への要望が高すぎる現象が起こっています。この点に関して、適切な仕事の採用要件についてお話できればと思っています。

最後に1番大事な「求職者と向き合うこと」。この方程式をおさえておけば、今より効果があるアウトプットになるというものを作成しましたので、最後にお渡しします。

僕はサムライトで、チーフ・コンテンツ・オフィサー(CCO)という、非常にめずらしい役職をやらせてもらっています。

チーフ・コンテンツ・オフィサーは、コンテンツにおける最高責任者です。「なぜ、そんなあなたが採用について語っているの?」と思うかもしれないですけれども、プロフィールにあるように、エン・ジャパンという会社で2年半ほど採用に関わっていました。

入社1年目では、手前味噌ですけども、一応採用成功者数では全国3位の数字を残しています。コピーライターとして入ったのですが、現場にどんどん出て、ディレクターも兼務していました。その結果、非常に上司などに怒られていて。本日もエン・ジャパンの人事の方がいらっしゃっているので、本当に申しわけなかったと思います。

(会場笑)

サムライトは、コンテンツ力が自慢の会社です。そのコンテンツ力を生かして、他社さまの採用も手伝っています。例えば、こちらはあとから事例が出てくるんですけれども、モバイルバッテリーで有名な某企業さんなどですね。あとから成功のケーススタディとして紹介しますので、お待ちください。

順番が前後してすみません、サムライトの紹介です。サムライトは「広告を情報に変える」をもとに運営しています。ネイティブ広告のテクノロジーを駆使し、邪魔な広告を価値ある情報に変えることで、クライアントとユーザーのすてきな出会いを創出するのがミッションです。

実績です。コンテンツマーケティング支援とネイティブ広告ネットワークの両軸でやっております。主にオウンドメディアの支援です。これまで、100社ほどの支援を行ってきました。

先ほどもお話したんですけれど、サムライトの強みは、コンテンツ力です。そのコンテンツ力をいかに採用に活かすかというお話を、これからさせていただきます。

やりがちな「上から目線」な求人内容

まず第一、「自社の魅力を考える」「現状把握」「課題」「USPの抽出」です。

わりとまじめな概念で、トーンとして合わないかもしれないですけれど、みなさんが出している求人で3つほど悪い例を持ってきました。胸に手を当てて聞いてください。Wantedlyなどの求人で、1ページに2〜3件あるようなクリエイティブですね。

まずは「〇〇業界を変えるスタートアップのメンバー募集」。

昨日までずっとWantedlyに載っていたんですけど、なかなかひどかったですよね。「WordPressでサイトを製作できる方」。会社のことはなにも言ってないし、「スキルだけ出すなよ」と思うわけです。

求人出身としては、わりと腹が立ったものでございました。これも、みなさんやりがちな「インターン募集。〇〇な学生求む!」です。

この3つの共通点は、すべて上から目線なんですよね。「人に来てほしい」という企業側のメッセージを出しているのに、なぜ上から目線のクリエイティブになっているのか。僕自身、採用に関わりつつ、Wantedlyやほかの求人サイトを見て思うことです。

上から目線になる理由は、先ほど菅原さんが言ったように、アセットを言語化できてないことが原因だと思います。自社アセットを抽出することは、会社の独自性や強みになります。その結果、採用におけるUSPが抽出できると考えています。

僕たちはクリエイティブな考え方ではなく、非常にマーケティング的に採用をやっていますので、そのご紹介になります。

採用マーケティングの要となる「USP」とは

USPとは、ユニーク・セリング・プロボジション。マーケティング用語の1つです。

すごく極端に説明すると「消費者に対する独自の強力な提案」という意味で、50年ほど前にロッサー・リーブスというコピーライターが定義した言葉です。その後、海外の有名なマーケターによって使われ、言葉がかなり1人歩きしてたんですけれど。意味としては、先ほどの説明で捉えてください。

USPで目立っている企業というと、ダイソンがすごくわかりやすいです。ダイソンのプロダクトにおける、他社の追随をゆるさない圧倒的な機能性。その部分をシンプルに押し出すことによって、彼らは海外だけじゃなく日本市場における地位を獲得したと思っています。

ダイソンは極端な例なんですけれども、採用におけるUSPも、やはりtoCに響くような会社の特徴を打ち出すことだと僕は考えています。

先ほどのダイソンのように、どれだけ優れた会社であっても、どれだけ優れたプロダクトを有していようとも、USPを適切に抽出できなければ、商品のマーケティングはもちろん、採用におけるマーケティングも上手くいかないと思っています。

アセットに独自性があると、USPになる

ただ、「USPをどうやって見つけるの?」というところですね。サムライトのケースからご紹介します。サムライトのUSP、思いつくだけで約7つありました。

まず、創業者の経歴です。みなさん、もしくはスタートアップのベンチャーの会社では、一番語りやすい部分だと思います。1と2がそうですね。

3番目は、オフィスの個性です。サムライトの場合、とあるインテリアECの会社の非常にカラフルなオフィスを居抜きでもらったので、よく取り上げていただきました。

4番目は、職種の特異性・希少性です。みなさんの会社だけにしかない職種が、きっとあると思うんですね。ただ、それに名前を付けていないだけです。例えば同じ「ディレクター」でも、A社は範囲が狭く、B社はもっと範囲が広い。同じ「ディレクター」という定義でも、本当に1つの言葉では語れないと思っています。

5番目は、菅原さんのお話にもありましたけど、メンバーの経歴も非常に語りやすいと思います。

6番目は、ユニークな福利厚生、待遇ですね。非常に今、働き方が注目されているなかで、一番新しく取り入れやすい部分であり、表面に出しやすい部分でもあると思っています。

7番目、サービスの特異性です。僕は、スペースマーケットというスタートアップの代表である重松(大輔)さんと仲がいいんですけど。最初、彼がシェアリング・エコノミーのサービスを考えて「やろう」というときに、同意したのがヤフーのエンジニアだったんですね。

大きく給料を落としても、サービスの特異性や独自性という部分に惚れ込んで、創業メンバーとしてジョインしたんです。サービスが偏っていれば偏っているほど、尖っていれば尖っているほど、人を惹きつけやすいというのが僕の経験則です。

このなかから僕たちの事例をお伝えすると、4番目の職種の特異性・希少性による訴求ですね。以前、こういう求人をWantedlyに出しました。結果からいうと、複数名の採用に成功しています。

なぜこんなクリエイティブにしたかというと、近年はキュレーションメディアの台頭によって著作権無視が横行しています。

編集者の方も、クラウドソーシングに1日30本投げて30本返ってきたものを編集したり、「てにをは」を直して定時に帰ったり、わりと魂のないような仕事をされている方がけっこう多いと聞いています。しかし、そういう仕事をされている方のバックグラウンドとして、雑誌での編集経験をお持ちの方が意外と多かったんですよね。

それは非常にもったいないので、「僕たちのような、一応意思を持って魂をこめてコンテンツを作っている会社で働きませんか?」というメッセージにしました。非常にターゲットと狙いに沿った広報ができて、結果、経験者を複数名、採用することに成功しました。

これはエンジニア募集でも使えると思います。現実的には制度を変えられるかわかりませんが、サムライトの場合、エンジニアにおいて完全リモート勤務が許されています。あとは、Common Lispという非常にマニアックな言語を使っています。

この2点の訴求だけで、先週の掲載からすでに、採用が厳しいエンジニアで4人の応募を獲得しています。

いきなりなんですけれど、みなさん仕事帰りで、お話を聞いているだけでは眠くなりますよね。ぜひ、隣に座られている方に、自身の会社をご紹介していただければと思います。それぞれ2分ずつ。聞き手となる方は2分後に、相手の会社の長所や特徴、USP、いいなと思う部分を素直にフィードバックしてみてください。

よろしくお願いします。スタート!

(参加者による自社の紹介開始)

そろそろ終了です。意外と、自社の長所にほかの方が気付いてくれるケースが多くなかったですか? こういった意見を聞くのはとても大事なので、いろんな交流の場でUSPを導き出してください。

おさらいです。アセットに独自性があると、USPになります。アセットを見つけて言語化するということは、採用における、まず最初の鉄則です。

採用市場で起こる、求めすぎている問題

パート2は「適切な仕事を考える」ですね。先ほどお伝えしたとおり、「求めすぎている」が今、採用の市場で起こっています。そこをちゃんとチューニングする考えをお伝えします。

こんな応募要件をやっていませんか? 「〇〇の責任者」「マーケティングの責任者クラス」、よく見ます。

「事業会社でサービスの立案・運営経験をお持ちの方」、これはもう、コンサルのレベルだと思います。

「Webマーケティングの経験5年、オウンドメディア運用経験、UI/UXデザインの知見」、求めすぎです(笑)。

(会場笑)

採用領域は、大手も競合です。大手がいる競合の中で高望みをするのは、非常に厳しいと思っています。では、なにをすればいいか。採用要件の因数分解です。

例えば「Webメディアの企画・運営経験」。これも今日のWantedlyの1〜2ページ目くらいに出ていた応募要件です。「企画」「運用」では、まったくフェーズが違います。因数分解すると「企画」と「運用」で、まず分かれますよね。

「企画」の中には、「コンテンツの企画」もありますし、「マネタイズの企画」もあります。ほかにもたくさんあります。コミュニティを作るというのも、企画になります。「運用」になると、Google Analyticsを通した分析・改善も運用です。日々のコンテンツ更新や、クラウドソーシングの発注も運用です。ただ、クリエイティブ業務と事務的な業務が混同するのは、なかなか厳しいと思っています。

もう1つ、事例があります。多いのが「法人営業の経験3年以上の方」です。今、少しみなさんの頭の中で考えてもらって、どういうレベル感の方を求めていると思いますか?

これには2つ罠があります。まず、法人系営業です。法人営業と言ってもさまざまで、Webサービスの会社もそうですし、メーカーの営業もそうです。営業の一番重要な新規開拓も、リテール営業も、すべて法人営業です。

もう1つの罠です。「経験3年以上」ですね。いわゆる9〜17時(定時)の超ホワイト企業で3年務めた方と、ベンチャーで……うちの会社とかもそうなんですけど、18〜22時くらいまでバリバリ働いている人。

みなさんはどちらがほしいですか? ここにお集まりの方なら、おそらく前者を求める方がほとんどだと思っています。パート2のおさらいとして、要件を因数分解することで、適切な採用要件を導き出せます。

各職種ごとのメリットを明確化する

最後のパートです。「ターゲットのインサイトを考えよう」ですね。

効果の出る方程式をお伝えします。ここからわりとざっくりしていて、話すと長くなるので、各職種ごとのメリットをまとめました。おそらく、こういうことかなと思います。

これは「マズローの5段階欲求」に基づいてます。事務系などは社会的な欲求という部分で、社会や家庭との両立など、社会的な欲求を求める方が多い印象があります。セールスに関していうと、承認欲求ですね。売ることによって認められる。数字を上げることによって認められるのが、セールスの最大の喜びかなと思っています。

ここから変わってくるのが、マーケですね。マーケも、自分の企てによって数字が残せて、会社が伸びる。そういった自己実現でもあり、承認欲求をくすぐるようなアウトプットをすると、マーケはひっかかりやすいと思います。

この2つ、実行の難易度が高いのは、クリエイティブ職とエンジニア職ですね。それぞれ高待遇になってきている職種です。彼らは、昔は待遇に関してそれほど気にしなかったんですけど、いろんな会社が出てきた今は、給料も上がってきています。

まず彼らのなかには「どんな言語で作れるか?」「どんなサービスが作れるか?」「どんなデザインができるか?」「どんなメディアを運営できるか?」があります。最後にインサイトのメリットですね。

「この会社に入るメリット」を紐解く

要素が揃ったので、方程式をご紹介します。すごくシンプルです。「USP×転職することで得られるメリット=採用において最も効果の出やすいクリエイティブ」だと僕は思っています。あくまで僕の経験則にともなって作り出したものなので、100点ではないと思いますが、ぜひ参考にしてください。

どういうことかというと、会社のUSP、アセットを前面に打ち出すのはもちろん大事です。とはいえ、あくまで求職者には来ていただくこと、下手に出ることが大事なので、ここは「メリットファースト」という言葉で強調します。

そして、最初に紹介した事例につながります。モバイルバッテリーで有名な企業さんの事例でケーススタディさせていただきます。この事例では、1,000万円クラスのマーケターの採用に成功しています。

まず、「この会社に入るメリットを紐解くと、なんだろう?」を考えました。この会社のマーケットはモバイルバッテリーという、意外とまだ開拓されていないものです。また、グローバル企業なので、マーケットが日本だけではありません。今扱っているモバイルバッテリーですね。この市場もまだまだ成熟していないので、非常にブルーオーシャンです。

そんな同社に転職するメリットは、マーケターです。マーケターが転職するときのメリットの1つに、「未開拓の巨大マーケットにチャレンジできるし動かせる」があると思っています。そして、このクリエイティブです。まだ5,000万人の方が使われていないので、「ターゲットが5,000万人強」は日本を指しています。

さっきの話に戻ります。「未開拓巨大マーケット・USP×そこの開拓ができる」という承認欲求と自己実現欲求を刺激することで、結果、1,000万クラスの人材の入社にいたりました。

最後に、採用広報と採用設計ですね。非常につながっていると思っています。今、僕たちのビジネスモデルでコンテンツを作っても売れない、コンテンツを作っても売れない。これを求人に置き換えると「求人を作っても見てもらえない」が起こっています。では、どうするか。PR、もしくは広報です。

採用広報を適切に組み合わせて、まずブランディングすること。そしてリクルーティングで獲得することが、採用における大事な2つのフェーズです。本日の菅原さんのお話と僕のつたないお話でしたけれども、これを参考にしていただければと思っています。本日はありがとうございました。

(会場拍手)

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