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稼ぐ営業術--福山敦士&芦名佑介(全7記事)

毎月100件アポを入れ続けた男が語る営業術「自分1人でできる行動に目標を置く」

営業マン限定で開催されたセミナー「稼ぐ営業術」。登壇したのは、新卒でサイバーエージェントに入社し、子会社の取締役に就任した後、現在は株式会社レーザービームと株式会社モスキートーンを2社経営している福山敦士氏と、電通コピーライター時代にプルデンシャル生命にヘッドハンティングされ、史上最年少で営業所長になった後、ハリウッドで俳優に挑戦し舞台デビューを果たすという異色の経歴を持つ芦名佑介氏。ファーストキャリアが営業ではなかった2人が、営業の世界で圧倒的な成果を出せた理由について語りました。

やりたいことしかやっていないから人生最高の状態

司会者:お2人の話を聞いていて、ご自身のことをよく知っているための努力をされてるなというのをすごく思います。やっぱり考える時間と、自分と向き合う時間というのがないとこういう話はできないだろうなというのを感じました。

たぶんお2人は「2人だからできるんでしょ?」ってけっこう言われること多いと思うんですね。よくイチローとかも「当たり前のことを当たり前にやり続ける」って、素振りばっかりやってるとかってよく言うじゃないですか。お2人が当たり前のことを当たり前にやり続けるということ、大切にしていることというのを芦名さんからお願いします。

芦名佑介氏(以下、芦名):なんかこう強制みたいな感じではないですけど、自分がワクワクするからやっているという。それで、さっきも言ったような話なんですけど、僕は今すごく人生でいちばん最高の状態、メンタル的に最高の状態だと思うんですけど、なぜかって言うと、やりたくないことまったくやってないんですよね。やりたいことしかやってないという。そりゃ楽しいでしょという。

「それは芦名だからできるんだろ?」って言う方ももちろんいるんですけど、僕は、僕だからできると思っています。僕じゃないとできないって僕は思ってるんで。「あなただからできるんでしょ?」「うん、そう思ってる」という、そういう感じです。

そう思ってない人は、僕はできないと思ってるんで。もう「別にできなくてもいいんじゃないですか?」って僕は思うんです。

司会者:わかりました。はい。なんか、本当そうだなと思いました(笑)。ありがとうございます。福山さんお願いします。

福山敦士氏(以下、福山):僕もある種近い考えがあったので先に芦名くんに言ってもらって、違う話をしたほうがいいかなと思ったので、あえて(芦名氏を)前にしました。

人間はすばらしいソフトウェア

でもそう言われちゃうとけっこう、どうしようもなかったりすると思うので、誰でもできることに昇華させるとなると、再現性を高めるために、分析して改善していくというところに尽きると思います。そこに使える考え方がグロースハックです。webサービスとかソフトウェア界隈で言われている、グロースハックという考え方で、マーケティングの一歩進化バージョンなんですけれども。

例えば「このお水をどうやって売りますか?」という命題がマーケティングなんですね。「水か、じゃあビジネスマンかな」とか、「主婦層かな」とか、というふうに決まったものを売るというのがマーケティングなんですけれども、グロースハックというのはそのもう一歩進化版で、「じゃあ売れるためにこのプロダクトをどう改善していこうか」「ボトルのサイズを変えようか」とか、モノ自体をマーケティングに合わせて進化させるという考え方なんです。なのでインターネットとかソフトウェア界隈で言われるんですけども、人間もまったく同じだなと思っています。

今この自分をどう売るかって考えるときは、就職活動とかに近かったりすると思うんですけど、けっこう大変なんですよね。進化させなきゃいけないんですけれども、この状態で受け入れられるところがけっこう狭かったりするので。なので、自分が受け入れられるためにどう改善していくかというのを仕組みとして持ってるのがすごく大事かなと。

で、人間って、人工知能とかいろいろ言われてますけれども、すごくすばらしいソフトウェアなんで、自分がなりたい方向にどんどん身体を近づけていくということができる。ダイエットも然りですし、スポーツも然りですし。

その方法論が、僕の場合はブログに自分の成功と失敗の体験を書くと。考えたこと、そこでその時感じたこと、実際にやったことというのを包み隠さず書くというのを続けていくと、暗黙知が形式知化されて、失敗理由とか成功理由がわかっていって、自分なりの理論ができていくというか、そんなかたちかなと思っています。

たぶん営業の方法論とか、自己啓発本とかですごく感銘をうけるところもあったり、「でもそれはこの人だからできるんだよね」というのもやっぱりあると思います。

ぜんぜん違う業界ですけれども、僕の友達に薬を作ってる人間がいるんですけども、薬も実は万能じゃないという話があって。やっぱり自分に合った食べ物とか薬とか方法論とかやり方というのは、たぶん人それぞれで本当に違うはずなので。

やっぱり、難しい話ですけれども、自分なりの方法論を確立するというところが最終的にはゴールなのかなと考えております。

本質から遠ざかるほど人が集まる

司会者:ありがとうございます。今回のセミナーのテーマが「稼げる営業術」じゃないですか。それで、稼げる営業術って、どんなふうに考えてお題をつけたのかというのを聞きたいなと思っていて。

(会場笑)

司会者:明日からこれやったら稼げる、これやったらできるかもみたいなものを持って帰ってもらえたらすごいうれしいなと思うので、「稼げる営業術」とはなぜか、聞かせていただいていいですか?

芦名:「稼ぐ営業術」というタイトルを今回つけたのは、本当のことを言うと、おっしゃったとおり、テクニックじゃないんですよね。

まさにグロースハックの考え方だと思うんですけど、自分をどう進化させていくか、自分の価値観をどう作っていくかという。これが営業というか、人間だと思うんで、そんな本質的な話をすると、人が来ないという。

(会場笑)

芦名:「稼ぐ営業術」というのは人が来そうじゃないですか?

(会場笑)

芦名:で、これは僕のマーケティング理論なんですけど、本質から遠ざかれば遠ざかるほど、人って増えていくんですね。本質ど真ん中って、人ってあんまり来ないんですよ。

例えば最近だと、イーロン・マスクとかが、宇宙開発をする、人間は強くなる、みたいなのを言っていても、わかんないから人なんか集まんないわけですよ。それよりも、なんか「ワンクリックで1億稼ぐ方法」って言ったら、「おー」って人が集まるわけですよ。

(会場笑)

芦名:あとはかわいい子がいたら、「かわいいね」っていって人が集まるわけですよ。つまり本質から遠ざかって、外身になればなるほど人が集まっていくという。それが僕のロジックなので、そんなタイトルを今回つけたというところです。

で、まぁそんなこと言ってもしょうがないんで、今この場で明日から使える営業術がなにかあるかというと、それは福山くんから……。

(会場笑)

福山:はい。まさにタイトルをつけたのは芦名くんで、芦名くんはもともとコピーライターをやってたので、そういう、どうやって言葉によって人が動くかというのをすごく分析していて、たぶんそうつけたと思います。

僕はもともと「若手営業マン向けセミナー」みたいなすごいのっぺりしたのを提案したんですけど、「いや、『稼げる営業術』だ」と返ってきて、なるほどなあと思ったんですね。

(会場笑)

テクニックから入るほうが自分を進化させられる

福山:けっこう近い考え方はあって、近いかな? 本質から遠ざかったほうが人が集まるというのは確かにそうなんですけれども、ただテクニック論から入って、自分の本質を見つけるというのもありかなと思っています。

そこは、あまりにも本質的なことばっかり言われちゃうと、自己啓発本とかそうだと思うんですけども、まっとうなことばっかり言われても、どうしていいかわからないというケースはすごく多いと思うんです。じゃあ例えばですけれども「1ヵ月に100件アポ行ってみましょう」って言われたら、「まあやってみようかな」とか。

ちょっと動いてみると絶対に真似できないところがあったりとか、逆に「あ、俺できるんだ、これでやってみよう」とか、やってみた結果、「自分はもっとこうしたほうがいい」とか、「意外と200件くらい行けるかも」みたいなのがあると思うので、行動を変えるきっかけとしてテクニックから入るというのは十分あるかなと思ってます。

また野球の話で恐縮なんですけれども(笑)、僕は松坂投手に憧れてピッチャーやってたんですけれども、彼と同じ投げ方をがんばってマネしても、どうしても真似できないところはあって。それで、どうしたらうまくいくかなという葛藤を続け。「意外と僕は速球派じゃないんだな」とかいろいろ考えたんですけども、そのスタートって結局真似するところから始まっていて。

さっき芦名くんが言った、先輩のことを完コピするというところから、まず一歩目が入っているので。一歩も動かないまま、「なるほどな、そんな考え方があるのかー」って言って感銘を受けるよりは、とりあえずマネしてみるみたいな。「まずやってみる」という意味だと、テクニックから入るというのは、すごく自分を進化させるという意味では有効な方法かなと思います。

逆に自分がマネジメントの立場になった時も、本質的なこと言っちゃったりとか、世界観を語るマネージャーの方もいると思うんですけど、それよりは、自分がうまく成功した理由を1個1個How toとして話していったほうが、その営業メンバーの進化につながったりとか。

「先輩の言ったことがうまくできません」とか、「提案の仕方、ヒアリングってどうやってやるんですか?」みたいな。「俺はこうやって聞いてるよ」とか、「僕の場合はシートを渡して記載してもらってます」とか、いろいろあると思うんですけど、そういう方法論を聞いちゃってマネしたほうが、実は自分の行動が進化するというのはすごくあると思います。

そういう意味で、稼げる営業術という話が今日できればなと思って。なかなか、けっこう小出しにしちゃってるので(笑)。100件の話をしたほうがいいかな?

司会者:あ、じゃあそろそろ100件の話をいただきましょう(笑)。お願いします。

できることにフォーカスする

福山:じゃあ続けて、100件アポの話なんですけれども、100件アポに行き続けて今3年半ぐらい経って、毎月ずっと行き続けていて、途中何回かケガとか腰痛めたりとかして(笑)。病気になったりとかもして、けっこうしんどい作業です、正直言って。

ついこのあいだもけっこう胃潰瘍になったりとか、扁桃腺炎になったりとかして、けっこうキツいです。

なんでかというと、営業って、たぶんわかる方いると思うんですけど、営業に行くだけじゃなくて、提案資料を作って、アポ調整して、会食が連日続いてとか、やることいっぱいあると思うんですね。なので、日中5、6件人と会って、営業時間後に資料作成とか雑務こなして、というのを続けていくと、労働時間ってあっという間に12~16時間くらい行くので、実は毎月100件行き続けるというのは本当に過酷なことです。自分で言うのもなんですけれども。

テクニックから話しますと、100件を分割すると、1週間に何件行けばいいかなと。だいたい20件から25件なんですけれども、そうすると1日何件行けばいいかというと、5件か6件か、みたいな。

そういうふうに営業の目標を逆算して、自分の行動に目標を置くことというのが1つポイントです。受注することってなかなか自分1人じゃできない、お客さんありきのことなんですけれども、動くこととかアポを取るということは、お客さん関係なく、限りなく自分1人でできることです。

お客さんのところに行くというのもアポに数えていいと思うんですけど、そういうことも、たぶん自分1人でできることなんですね。

実は野球もけっこう似ていて、3割打とうとすると、そこにいろんな要因があり、自分1人では結果をコントロールすることはできないんですけれども、狙い球を絞るとか、自分のタイミングでバットを振るとか、凡退しても1塁まで全力疾走するとかいうのは、相手関係なく、結果に関係なくできるんですね。

なので、僕の場合100件行くというのはあくまで1つのかたちなんですけど、「できることにフォーカスする」というのが実は裏のテーマにありまして。最低目標とも呼ぶんですけど。

例えば夕方にアポ行って、「疲れたな」って言って、「明日の朝にお礼メールを送るか」という時に、その日のうちにメールを送るということをやっておけば、どんどんタスクが減っていくと思うんですけども、そういう自分ができることをちゃんとやるということを積み重ねるという話が実は一番伝えたかったことだったりします。

1ヵ月に100件アポを入れるには

話を戻すと、100件だと1日5件とか6件。それで、5件とか6件って物理的に難しかったりするんですね。10時~11時、12時~13時、14時~15時、16時~17時、18時~19時、ギリギリでちゃんとはまればいけるんですけど、そんな自分の思いどおりにはアポが入らないこともあると思います。

プルデンシャルの営業マンとかだと、「じゃあこのホテルに来てください」「このラウンジで待ってます」みたいな営業が多いと思うんですけれども、なかなかそうもいかないケースも多いと思うので、移動時間とかも込みで考えると、だいたい5件か6件がけっこう限界です。

なので土日に入れるとか、夜遅くでも会ってくれる人にアポを取るとか。というかたちで、5件とか6件をなんとか行けるようにがんばってコミットしていくと、勝手に足が動くので、そこで気づきがあったりとか、そこで思いもよらない仕事をもらったりとか。

例えば1回だけ「じゃあ11時にアポお願いします」って、電通の方に言われたことがあって、「はい」って。「11時って今日ですか?」って聞いて。(その話をしている時は)18時ぐらいなんですけど、「23時のことですか?」って言って、23時からアポというのもあったんですけれども(笑)。

業界によっては時間があんまり関係ない会社もあったりとかするので、そういうのも含めて。なにが言いたいかというと、1日8時間労働というのは別に誰かが決めているものでもなくて、会社で便宜的に決めるだけなので、営業時間以外にアポを取るというのもぜんぜん方法としてはあるかなと。

で、オススメは休日と、平日の朝早くとかにカフェで話したりすると、意外と本音で話してくれたりするので、そういうかたちで行動に目標を置くというのが1つポイントかなと思っております。

司会者:お願いします。

芦名:アポイントの話、すごい似てると思うんですけど、テクニック的な話です。3時間で3つのアポを入れれるかどうかだと思っています。けっこういろんな方の手帳を見るんですけど、手帳を見た時に、すごく疲れる手帳の人がすごく多いんですね。13時に1件アポがあって、17時に1件アポがあって、19時に1件アポがある。それで、これ、3件じゃないですか。

これ、3件の所要時間が長いんで、すごく仕事した気になるんですけど、僕はこれを常に10時から、11時から、12時から、これで3件アポを入れるようにしました。

例えば五反田でアポがある。それで、五反田に今日1件アポが入っちゃったら、このあと3つぐらい五反田でアポ入れるんですよ。今日もそうだったんですよ。

いまだにそのアポのやり方というのは変わってなくて、じゃあこの日品川だったら、品川で5~6件ワーッとアポを入れるんです。それはやろうとしないだけで、意外とできたりするんですね。1日10時間ぐらいで3件なんだったら、それを3時間でできないかなという。そんなことをプルデンシャルの時も、今もそうですけど、やってます。

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