2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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大信田雅二氏(以下、大信田):質疑の時間もあるでしょうから、簡単にいくつかプラスアルファで申し上げますと、これよく聞かれるので先にいっておきますけど、『ワールドビジネスサテライト』の製作体制は専任の部隊がだいたい50人くらいですかね。プロデューサーが今2人います。
私のときは1人だったんですけど、今ちょっとプロデューサーが忙しいので、総合プロデューサーが1人、その下にもう1人プロデューサーがいて、この2人で回しています。
さらにデスクと呼ばれる、ニュースの選択をしたり(する)日々のニュースの責任者、もしくは日々の特集の責任者が8人ほど。年齢でいうと40代くらいの人ですかね。
それからDというのはディレクターですけど、これがだいたい今36人ですか。多少増減がありますけど、テレビ東京のいわゆるプロパーの社員の人もいれば、いろんなテレビのプロダクションから派遣ディレクターとして来てチームの一員として加わってる人たちもいます。今この中で半々くらいですかね。
よく聞かれるのは「ニュースの仕込みはどのくらいの時間で考えてますか?」ということですけど、『ワールドビジネスサテライト』という番組の前のほうにあるニュース、ニュースといっても『ワールドビジネスサテライト』の場合はサラッとストレートにやるんじゃなくて、少し掘り下げて「こんな企業、似たような企業もあります」ってやるので、頭のところを「特集」だと思っている人がいますが、特集はもうちょっと後のほう。
(23時)10何分頃にやるやつで、前のほうはニュースを多少掘り下げたり横に広げたりして、わかりやすくトレンドを見せたりしてやっています。
あのニュースは、だいたい取材先のアポ取るのは1日前か2日前です。特集の場合はさすがに1日2日ではできないので、8日とか10日とか、そのくらいのスパンで作っていくことが多いですね。1日の流れはこんな感じです。
前の日にもう取材が決まっていれば、朝早く行く人は朝早く出るし、午後から取材する人は午後から取材するし。さっきの「トレたま」は午後1時から取材に行ってましたね。
毎日その日に取材をしてるので怖いのが、ときどきドタキャンがあって(笑)。もしくは「電動で動くこんなもの」とあって、行くと「すいません、今日動きません」ということがあるんですよ。本当にあるんですね。
困ったときの対処方法が1つあって(笑)、よくビッグサイトとかで産業展みたいなのやってるじゃないですか? いろんなのやってるじゃないですか。産業展とか、何とかフード展とか、エコプロダクト展とか。あそこに当日行っても取材させてくれるんですよ。
あそこに出てる人たちは宣伝したくてしたくてしょうがないので。何とか産業展、何でもいいんですけど、「何とかロボット展」ってこの間やってましたけど、例えばロボット展でいくと100社が出ていると。
そこに行って「テレビ東京の『トレたま』なんですけど、これおもしろそうですね」と言って「どうぞどうぞ」って取材させてくれるじゃないですか。
よく木曜日(のニュースに)に「何とか展」って出てくることがあるんですけど、それは1人のディレクターが5日作ってて、木曜日くらいにもうネタがなくなったり、ドタキャンされたりしたときに困って行くと、そういう展示会で作ったりしてることがあるので。
展示会が出てきたときは「ひょっとするとこれギリギリでネタ仕込んだかな」と思うと、半分くらい当たってるかもしれません。もちろん事前に察知していて申し込んでるときもありますけどね。
午後3時に編集会議をやって「今日はこういうかたちでいきましょう」と言って、だいたいの打ち合わせの項目を決めます。前の日におおよそ決めておくんですけど、3時の段階でいったん確定をさせて、19時に技術の打ち合わせとか、カメラマンの打ち合わせをやったり、原稿を書いたり、VTRの編集……テレビの場合、編集と言うときにはVTRの編集のことを言いますね。
新聞は文字の編集ですけど、VTRの編集をしたり。(午後)10時から司会者、それからゲストの方、エコノミストの方とかいらっしゃいますので、打ち合わせをして、23時に放送をする。
さっき反省会のシーンがちょっと出てましたが、終わったら反省会をして、また翌日、1週間を通してコメンテーターの方がいらっしゃるんで「だいたい明日はこんなことをやります」と。
「ニュースの項目が変わるかもしれないけど、今のとここんな感じで朝からこういう取材をしますので、コメントするとしたらこれとこれですかね」みたいなのを24時からやる。
仕事が終わるのは25時くらい、飲みにいくとそこから3時くらいですかね(笑)。という生活をしてる人が多いんですね。
大信田:1個だけ、ご質問の前にSNSについて一言いっておきますと、『ワールドビジネスサテライト』はわりとSNSに関しては、早い段階から公式アカウントを作ったりして積極的に番組を売り込んだりしていました。Facebookは28万フォロワーだっけ? 「いいね!」だっけ? 「いいね!」ですね。
これ、単独の番組としては日本で一番(いいね!数が)多いです。
『ワールドビジネスサテライト』はちょっと落ち着いた番組なので、Facebookと親和性がいいですね。Twitter15万くらい。LINEもわりと早めに公式アカウント作りました。今60万です。
LINEはテレビ東京の「ナナナ」というバナナのキャラクターがいるんですけど、あれがすごくウケて、テレビ東京のLINEは1300万くらいになってますね。
あの番組はなぜかFacebookと親和性がよくて、積極的にそこを通じて、事前に「今日こんなことをやります」と配信してなるべく視聴率につなげようと思ってるんですが。
ただ、おもしろいんですが、SNSとテレビの視聴が100パーセントリンクしてるわけじゃなくて、また番組によって、あるいは局によってリンクの度合いが違うんですね。ちょっとそれはおもしろいですね。
一通り、私の話はこれまでにして、あとは皆さんの質問を中心に。
大堀航氏(以下、大堀):はい、大信田さんありがとうございます。ここから皆さんに事前にいただいていたご質問を大信田さんに聞いていこうかなと思うんですが。
まず多かった番組の特集。「トレたま」以外の特集の作り方ですとか「そこにどうやって会社の情報を提供すればいいのか」みたいなところを順番でお聞きしていきたいなと思います。
前後する感じでいきたいなと思うんですけど、まず「『ワールドビジネスサテライト』の視点とは?」。細かくいうと、特集の作り方というか、「どういうテーマだったら取り上げる」というところをちょっとお聞きしたいなと思ってます。
大信田:経済ニュース番組に完全に振っているので、経済であることは間違いないですね。政治の特集は絶対にやらないわけじゃないですけど、めったにやらないです。年に1回もやらないんじゃないですかね。よっぽど「解散が」とか何かのときですね。基本的には経済です。
経済の中でも、さっき言った「自分につながる」というのをなるべく考えよう(としています)。これをやらないと視聴率が取れないというのもありますし。あとはすごく考えるのは「他社と似ないように作る」ということですね。最近、比較的他社のニュース番組も経済ものをやります。
大堀:他社というのは?
大信田:日テレの『NEWS ZERO』とか。
大堀:番組で言うと?
大信田:『ワールドビジネスサテライト』で言うと、真裏は日テレの『NEWS ZERO』ですよね。それから(TBSの)『NEWS23』です。そこが大きいですかね。あとテレビ朝日さんの『報道ステーション』は頭のとこちょっとかぶさってるんですけど……。
実はテレビ朝日の番組が23時5分55秒に終わるんですけど、すごく視聴率が高いものですから、そのあとそこからバーッと他にいくんですよ。それを受けるためにテレ朝でやってそうなネタと違うネタをやっとくとか。
「このネタ見たよ」と思うと来ないじゃないですか? そういうことをすごい考えてます。これは他局もみんな考えてますし、多分皆さんお気づきだと思いますけど、多くの番組がCMは前のほうには入れないです。ずーっと見させちゃうんですよね。
『ワールドビジネスサテライト』も私がいたときは極力全部後ろに詰めてましたんで、頭から28分はずーっと本編なんですね。
(その後に)CMが入って。そうすると、消化しなきゃいけないCMも当然ありますよね。『ワールドビジネスサテライト』の場合20社スポンサーがあるんですけど、それは1時間以内に全部消化しなきゃいけないので、そうするとだんだんCMと本編の間が詰まってくるんですよね。
大信田:ちょっと話がずれちゃったんですけど、そこからが番組の中身の構成ですけど。特集にしろ、ストレートニュースにしろ、やっぱり他社と同じような取り上げ方をしない。
項目そのものが違っててもいいし、どうしても同じ項目を取り上げなきゃいけないときもあるんですよ。例えば、大きな経済ニュースが起きたときは取り上げるじゃないですか?
他局とは違う視点、『ワールドビジネスサテライト』らしい視点で「何かないかな」と一生懸命考えて、同じにならないような「こんな見方があるのか」というものを提示したいと考えながら作っています。
大堀:見ていて、けっこう特集があるじゃないですか? 例えばその日にあった発表会から始まって「実は最近こういう市場が盛り上がってる」みたいなのがあると思うんですけど、ああいう企画は、どういうスケジュール感で考えて特集になっているものなんですかね?
大信田:今おっしゃったのは、たぶん番組の前のほうにある……。
大堀:そうですね。
大信田:あれは特集として作っていなくて、「今日のニュース」というカテゴライズの中で作ってるんですけど。よくあるのは「こういう発表がありました」「ある企業がこんな斬新な発表しました」という。例えば「こんなアメリカのハンバーガーショップが日本に上陸しました」とか何でもいい。
「なぜか知らないけどマクドナルドが不振な、ちょっと本格的なハンバーガー戦争が起きてる」というのを仮にやるとして、頭はニュースなので、必ず「その日にこんな発表があった」「こういう店がオープンしたよ」みたいな、その日の動きをやるんですね。
だけど、それ以外のところは実は今日じゃないんだけど、最近オープンした別の店を取材したり、いろんなトレンドを取材するというかたちでやってます。
大堀:広報さんによっては「特集になりそうなテーマごと提案する」という方もいるかなと思っていて、「最近この市場が来てるんです」とかそういう持ち込みの仕方も、プレスリリースを送るだけじゃなくてあると思うんですけど、そういうのは参考になったりするんですかね?
大信田:参考にするときもあるんですけど、そこはやっぱり本当はこっちが考えなきゃいけない話なので。
そこは「はいはいわかりました」と聞いて、あんまりそこにおんぶすることなくまとめ方とかファクトを取り入れて、こちらで「こういう視点でできるかな」「ああいう視点でできるかな」と考えて作るのが多いですね。
「きっかけ」と書いたんですけど、きっかけは広報の情報が多い。実は経済のニュースは、テロのような発生ものと違って、人間がちゃんと作って新しいサービスをローンチするというのは、計画されてやることが比較的多いので。
もちろん「会計の不正が暴露されて」とかは、ある日あるときポーンと出ちゃうわけですけど、比較的『ワールドビジネスサテライト』で取り上げているようなニュースは計画的に企業が対応してることが多いとすると、ちゃんと広報の情報、プレスリリースとかをすごい見ていますし、それをきっかけにやることが多いです。
ただ、それをそのまま言うんじゃなくて、それを見た上で「これが最近のトレンドになっているな」ということで、横に広げて他の似た部分を取材したり、もし縦につながるストーリーがあればそういうものを取材したりして作ってます。
大堀:(質問が)けっこう多かったんですけど、情報を仕入れるところで「これがトレンドになっているな」というのはネットで(見て)? どういうところを見て?
大信田:結局それを判断するのはデスクだったり、ディレクターとの会話の中で出てきたり、プロデューサーとの会話の中で出てきたりするんですけど、それはいろんなものですね。
新聞もみんな読んでますし、今は電子版とかスマホで読んだりしますけど、あとはネットの情報もたくさんリサーチしていると思いますね。
ネットはすごく仕事の中に入っていて、「これどうかな」と思って検索すると、あっという間に出てくるじゃないですか? だからネットに頼っている部分が実は多いですよね。
でも、ネットや新聞は2次情報なんですね。1次情報はすでに発生していて、それを誰かが取り上げてるとか、そういうものだと思うんですけど。1次情報の場合は記者クラブの記者が数十人いて。
そこの記者が直接、付き合いの中から、「そんなことあるんですか? ちょっとそれニュースにしたいんですけど」と言って、「いやいや、まだまだ」というのを何とか言って持っていくというのもありますが、その比率は相対的には少ないですよね。テレビ東京はそんなにたくさん記者がいないし。日経新聞は多いですけどね。
日経新聞は各企業に張りついた記者が多数いるから多いわけですけど。テレビ局は、うちも少ないですけど他社もそんなには多くはいないですよね。逆に経済でいうと、うちのほうが多いです。
経済用のカメラの数とか、ディレクターや記者はうちのほうが多くて、他の民放でも経済部となると実は10人くらいとか、もっと少ないので。
最初の1次情報、きっかけは広報に教えてもらったり、何かのメディアで見たりして。そこでもまだあんまり認知されてない場合は、さらに他の情報とも組み合わせながら、他の情報を探すと。ここはこっちから能動的に探しにいきますので。
「こんなのありませんか?」とか「おたくこういうのあると思うんですけど、取材できませんか?」とか。話してる間にさらにそこに何か新しいニュース性があるとか、「じゃあそれ撮らしていただけませんか」というふうになるので。
ここでは1次情報を掘り出してくることがあるんですけど、きっかけはリリースをわりと見てますね。
大堀:テレ東さんに連絡を取ってないところは、ほとんど引っかからないという感じですよね。さっきの「トレたま」もそうですけど。
大信田:直接連絡を取っていただくのもあるし、間にPR会社が入ってその人たちがまとめて送ってくるパターンもありますね。
さっきスライドを読み飛ばしたのか、わからないんですけど、専用のアドレスを作りましたので、もし皆さん、何か発信したいことがあったら、ここに送っていただければと思います。
これを作ったのは、私がよく講演をすると、『ワールドビジネスサテライト』のプロデューサーだと講演やるんですけど、100人くらいと名刺交換をするんです。
今日は20人くらいですけど、100人くらいとドバッと名刺交換をすると(プレスリリースが)私のところに来るんです。でも会社って人事異動があるじゃないですか?
私が人事部にいても「こんな製品があります」って来ちゃうんですよね。そこをどうしたらいいかなと思って、「そうだ、こういうのを作ればいいな」と思って、このアドレスを作りました。
このアドレスに送っていただくと、いろんなデスクとかディレクターとかみんなが見られるようになるので。人事異動があっても見られるようになっていますので、ここにまず送っていただけるとだいぶいいと思います。
大堀:ここに送って、さらに電話するとかはだめですかね?
大信田:忙しいときは露骨に嫌な声出しますね(笑)。
大堀:さっきの時間割でいうと、どこのタイミングが一番?
大信田:実はみんながこの時間で働いてるわけではなくて。この日がニュースの対応のシフト上、自分はニュース(担当)だという人はこれで働いてるんですけど。
でも、翌日から自分は特集担当で、10日間特集の準備のための日になってる場合は、会社にいなかったり出張に行ってたり、夜から取材なので午前中は寝てたり。もうぐちゃぐちゃなんですね。
あるいは泊まり勤務なんていうのもあって、泊まり勤務は『ワールドビジネスサテライト』の仕事ではなくて、テレビ東京の報道局の全体が24時間営業なので、これは盆も正月もなく24時間人がいないとスーパーニュースとか出せないし、地震があったときにすぐに対応できないのでずーっといるんですけど。それ(泊まり勤務)にときどきシフト上はめられちゃうんですよね。
今はたぶん、月に1回くらいは普通のディレクターもシフト上入ってるんじゃないですかね。そうすると昼間は寝てることがあるので、実は「時間的にいつ電話したらいいですか」というのはあんまりなくて。
大堀:その人によると。名刺交換したデスクさんにお付き合いして送るとか、いろいろあると思うんですけど。1人のデスクの方に送るのがいいのか、それともさっきのメールアドレスに送ったり、FAXにも送ったり、やっぱり全部やったほうがいいですかね? 見てもらうために。
大信田:ここから先はケースバイケースだと思うんですね。デスク陣も情報が欲しいし、もっと言うと「リリースにならない情報もほしい、リリースになる前の情報もほしい」とすれば、「この人と付き合いたいな」と思えば付き合うと思うんですよ。
よく「飲みにいきましょう」とかあるんですよね。そういう関係になるかどうかはまったくケースバイケースで。
その会社がどういうことをやってるかということもあるし、あるいはその人が魅力的でいろんなことを知ってて、講師としていろんなしがらみがあるなとか、そういうこともあるでしょうし。そこは本当に「一律にこれがいいです」とはちょっと言えないかなと思いますね。
大堀:ちなみに、大信田さんはそういう信頼できる情報源の広報パーソンみたいなお仲間はいらっしゃるんですか?
大信田:僕は人付き合いが得意じゃないので、わりと淡泊だったほうですかね(笑)。ただプッシュされると気の弱い性格なんで、ガーッてくると「わかりました」って。「会ってください」って言われたら必ず会ってましたね、時間があれば。
大堀:忙しい合間をぬって。
大信田:どうなるかわかんないので「会ってください」と言われた場合は、会ってはいました(笑)。ただ「ネタになるかどうかはわかりませんよ」とは言いますけどね。
さっきの「トレたま」と一緒ですぐにはなかなか。テレビのニュースはそんなに分量が多くないので、新聞は1日の新聞で文庫本に十分なるくらいの量がありますけど。テレビはそんなに時間がないので、テレビニュースになるほどの大きなニュースがなかなか出てこないのであれなんですけど。そんな感じでお付き合いをしていました。
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