2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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<h2テレビのニュース番組はどう作られるのか
大信田雅二氏(以下、大信田):テレビ東京の大信田と申します。
最初に簡単に自己紹介をしますと、今現在、テレビ東京の報道局にて「ニュースセンター長」という肩書きで働いています。
『モーニングサテライト』『ワールドビジネスサテライト』や『ガイアの夜明け』などは報道局で作っています。報道番組のうち、生放送で帯番組が月曜日から金曜日まであり、そうした番組を集めて作っているところがニュースセンターです。
現在は、これらを統括する立場にあるのと、今年(2015年)の4月に『チャージ730!』という情報番組のチーフプロデューサーも兼ねています。番組のプロデューサーと、組織の長を兼ねるというのは非常にまれかもしれないですね。
簡単に経歴をいうと(19)87年にテレビ東京に入りました。28年前ですかね、バブル景気が始まった頃ですかね。2度ほど海外の支部に赴任し、90年代にワシントン支局にいて、ちょうどクリントン政権ができる年でしたね。3年ほど赴任した後、日本に帰ってきて、その後2001年にニューヨーク支局に赴任しました。ちょうど9.11のテロがあったときはニューヨークにいて、現地の状況を報道していました。その後、2011年から2014年の3年間、『ワールドビジネスサテライト』のプロデューサーを務めていました。
本日は、『ワールドビジネスサテライト』の具体的な話をしながら、おそらく皆さん興味があるであろう「テレビのニュース番組ってどんなふうに作られているのか」とか、「どういうふうにアプローチしたら取り上げられるのか」などについて話ができればと思っています。
まずは、『ワールドビジネスサテライト』に関してですが、1988年に私が入社して1年後にできた番組なのですが、当時はまだ世の中に認知されている番組ではなかったのです。今でこそテレビ東京の報道の認知が高まってきましたが、当時は非常に視聴者が限定的でした。
大信田:当時の『ワールドビジネスサテライト』は経営者や投資家が見るようなマーケット系のニュースが多かったと感じています。
視聴層を広げていこうとなっていた頃、私はディレクターで、そのときに「何が一般の視聴者は興味あると思う?」とプロデューサーに聞かれて、彼は「消費なんだよ」と言ったんですね。
そのプロデューサーは日経新聞から出向で来てた人だったんですけど、やっぱり我々一人ひとりは必ず消費者で、帰りがけに何かコンビニで買う、習い事をするなど、いろんなことが消費行動なので、消費はすごく多くの人の「自分ごと」になるんですよね。
この頃からすごく変わってきました。小谷さんにキャスターが変わったり「トレンドたまご」というコーナーができたりということがあって、ここから番組が認知されるようになった記憶があります。
去年の4月には、キャスターも変わるという節目を迎えたので、学生や主婦の方々などもっと視聴者層を広げて、多くの方々に番組をみてほしいと思って、いろんな手を打ちました。
少し専門的かもしれませんが……「M2」という言葉知ってます?
テレビ業界は視聴者を男性と女性で、男性はMaleでM、女性はFemaleでFで分けてますが、(MとFの中でも)1、2、3と分けてます。
1が20〜35歳未満、2は35〜50歳未満です。それから50歳以上、もう私も50歳以上なんですけど、そうするとM3のカテゴリーに入ります。
20歳以下の人はTeenとかChild、TとかCで表わされますが、大江キャスターになって、もうちょっとみんなが見られるように、少し噛みくだいて説明するようにいろいろ細かいところモディファイして変えたところ、M2の人がすごく増えましたね。
やっぱりキャスターのイメージでずいぶん変わるのか、男女ともに50代以上、つまりM3、F3あたりがやや減少しました。
そうすると、テレビはというか、今は人口の分布で50歳以上の人が多いじゃないですか? なので、50歳以上が減ると視聴率が実はちょっと苦しいですね。なので、そんなに上がってはいないです。
ただM2、つまりこの働き盛りの人がいると広告を出す企業は非常に喜んでいて。広告会社がときどき期が変わるときにスポンサーが落ちて、新しいスポンサーを探したりしなきゃいけなくなるようなことが起きるんですけど、それがほとんどないですね。
非常に広告媒体としての価値は依然として高いので、民放の番組としては成功しているなと思っております。
大信田:簡単に『ワールドビジネスサテライト』の基本コンセプトを申し上げておきますと「自分につながる経済ニュース」というのを大事にしています。このテーマは私がプロデューサーになった2011年に作ったのですが、デスクやニュースを選択する人やディレクター陣にも浸透しています。
いろんなニュースが(ある中で)、視聴者が、「なんとなく自分に関係があるな」と思う番組を作らないと、視聴率は下がってしまいます。
視聴率は「分計」という分ごとのグラフが翌日に出てくるんですけど、何のニュースをやったときに上がったか下がったかがすぐわかります。例えば就活の(ニュース)をやると視聴率が顕著に下がります(笑)。おそらく「就活」と聞いた瞬間に、就活以外の人は相当関係がないんですね。
例えば私の子供は今年就職したんですけど、下の子は今大学生です。もし下の子も数年後就職が終わっていたら、就活の話はすごく興味がないですよね。
ということは、最初にポンと何か言ったときに「自分は見なくてもいいや」という人を多く作っちゃうんですね。
いくつかそういうものがあって、就活はわりと見られないなというのがあるんですが、やっぱり民放なので、ニュースといえども、もともとニュースが持っている基本的な重要さというものも当然あるんですけど「見てもらうかどうか」ということがとても重要で。
そもそも私が考えるのに「ニュースって何か」というと、昔何かの本で読んだので、出典がわからないので書けないんですけど、「最大多数の最大関心事」と言った人がいて。要は、ニュースは関心事なんですよね。
より多くの人が関心を持っているもの。もしくは同じ数でもより深く関心を持っているものが、より大きなニュースになります。これはわりと便利な言葉で、これを考えてニュースの編成をやるとあんまり間違えないです。
時間軸もこの中に入ってます。例えば、パリでテロ事件があった。初日はすごい関心があるんだけど、3日経つと新しい情報がないと関心がだんだん薄れていくじゃないですか? だからいつでも「最大多数の最大関心事」と思ってると、だいたいニュースの選択・編成を間違えないなと思って仕事をしています。
これはニュースを作ってる側の意識がこうなんだということで、気にとめておいていただければいいと思います。
(トレたまの裏側を上映)
大信田:はい、ありがとうございました。トレたまあてに送られてくるほとんどのプレスリリースは日の目を見ないんですよね(笑)。
冒頭で出てきた傘の水を取る機器は、確かに売れたんですね。それ以外に売れるものもありますけど、やっぱりああやって新商品がどんどん出てきて、出たところで捕まえるので。売れてから捕まえるんじゃないです、出たところで捕まえるんですね。「こんなものがあったんです」って。
でも99パーセントはほとんどその後ちゃんと売れないですね。すごい厳しい世の中なんですけど、ときどき売れてるのがあって。もしくはときどき「これのおかげで潰れそうな会社が復活しました」とかありますね。
皆さんに知っておいていただきたいポイントは(スライド)上の2つなんですけど、この4原則のうち、上の2つはネタの選択の話なんですね。下の2つは作り方の話で、これはディレクターが正確に楽しく作ればいいだけの話なんですけど。
上の2つも「新しい」ということと「そこに何か斬新さがある」というところは、もともと取り上げるネタの話なんです。これはいろんな企業の広報の方は知っておいたほうがいいと思うんですけど、他のニュースでも同じなんですけど、例えばこういうことがあって。
「トレたま」に売り込みがあるわけですね。私がプロデューサーやってるときも「大信田さん、ぜひ会ってこれを見てください」と言って、確かに見るんですが、「なるほどと思うんですけど、これいつ発売したんですか?」と言うと、「これ一昨年発売したやつです。一昨年発売したんですけどぜんぜん売れなくて困ってるんですよ」とか言う。それは申し訳ないけど、もうトレンドの卵じゃなくてその卵はかえらなかったんですね(笑)。
トレンドになれないという感じですね。マーケットでそういうふうにある種、答えが出てるといいますか。「トレたま」はニュース番組の中のコーナーなので、「こんな新しいコンセプトでこういうものが出てきた」というのをニュースとして取り上げるので、古いものは一切取り上げないですね。
ですから必ず「今日発売」とか、まぁちょっと前というときもありますけどね。2週間くらい前とか、そういう時は「このほど発売された」とか表現します。そういうのはあったとしても、去年とか一昨年のものは取り上げないですね。
それとそこに何か新しい斬新なアイデア、「今までこんなアイデアの商品なかったね」というようなものを取り上げるということでやってます。ニュース番組なのでそうなんですね。
もう1個、ときどき勘違いされて「お金を払ってコマーシャルとしてやってもらってるんじゃないか」と思ってる人がいるんですけど、それは一切ないですね。
なのでさっきのも、例えば大浜(平太郎)キャスター、「これはあんまりおいしくないね」とか言っちゃいますけど、取り上げたものをフェアに「ここはいい」とか「ここはまだ改良の余地がありますね」と番組の中で言っちゃうんですね。
VTRの中で言うときもあるし、スタジオの中でそういう指摘があるときもありますが、それは報道番組の中でやる新しい商品を取り上げるコーナーなので、そういう良い面悪い面、両方とも取り上げてしまうということがあります。
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