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スマートミステイクのすすめ(全7記事)

皆さん失敗しましょう、三木谷浩史氏「楽天は失敗経験者を積極的に雇っている」

失敗のリスクに果敢に挑戦し業界の第一線で活躍してきた3名―楽天・三木谷浩史氏、慶應義塾大学大学院教授・夏野剛氏、サイバーアイ・エンタテインメント・久夛良木健氏―が一堂に会し、「スマートミステイクのすすめ」をテーマに意見を交わしたセッション。本パートでは、英語公用語化が進む楽天・三木谷氏が、日本人と外国人の能力の決定的な違いについて語ります。

組織が国際化が急務

三木谷浩史氏(以下、三木谷):あとやっぱり、日本が全体的に腰抜けになってきてるのは、やはり製造業中心の時代は物を作って輸出するっていうふうにしてれば良かったのが、やっぱインターネットの普及し、IoTでものが全部インターネットに繋がってくる、サービスとかソフトとか、ハードウェアが、これエコシステムで連動していかなくちゃいけないって時に、日本の国内だけのマーケットで、サスティナブルじゃないんですね。

だからそうすると、絶対国際的になっていかなくちゃいけないんだけど、ドコモを含めてやっぱり組織が国際化しようっていうところにチャレンジしていかないといけないと思うんですよ。

だから国際的な失敗っていうのは、買収する時は国内でやるよりかは確率ちょっと低くなりますよ、当然。でも、やっぱやっていかないと、日本の国内のマーケットばっかりやっていくようになっちゃって、だめになってくっていくことがあるんで、どんどんやって欲しいと思いますよね。国際的なチャレンジを。

米倉誠一郎氏(以下、米倉):あの、僕もちょっと話していて、今いかんなあと久夛良木さんに言われて思ったんだけど、ついね、「日本の社会、大企業はだめじゃないか」と言ってしまう。でも、これ言ってもしょうがないじゃないんだよね。

だからやってるところをみんなで検証して、今言われたところを前向きのやつ、これはいいじゃないかと。これはみんなで、それでやめちゃったやつはとろうじゃないかと。だからみんながとればいいんだよね。要するに楽天にこいよと、おもしろいやつは。

久夛良木健氏(以下、久夛良木):あの、情報漏洩のいろいろなトラブルあるよね、そうすると、それやった人間を褒めてNSJとかみんな雇っちゃうからね。

米倉:ああ、そう。

失敗の経験がすごい速度でシェアされる

久夛良木:だってすごい優秀な連中がいて、それがセキュリティホールを破るわけですよ。で、そういったコンペティションも実際あったりして、それやるとこんなやつらを野放しにしておく手はないよねっていって雇ってしまう。

で、それで自分のとこの大きな失敗じゃないですか、自分のところの穴を一生懸命ふさいだり、もしくはこれもっと有効にこれから使えるんじゃないかって考えるわけですよ。

今ゲームの世界っていうのはすごい変革が起こっていてね、今までってゲームやったらだいたい3日かかるかなとかね、1ヶ月くらいかかるよねっていうふうに思ってゲームのチューニングをしてるわけです。

今そんなことをしなくても、ほとんどシェア機能っていうのがあって、みんなで瞬間的にインターネットでシェアするわけですよ。

そうするとね、1ヶ月かかるかなってやつも2日で終わってるとかね。っていうことで、全く違う、今までと全く違うタイプのゲーム作りってこれから必要になってくるかもしれない。で、多分ゲームだけに限らず今リアルの世界とネットの世界がすごい勢いでオーバーラップしようとしてるじゃないですか。

しかも同期しようとして。するとね、世の中の命題がネットを使ってみんなの力でゲーム的に解けるかもしれないっていう時代になってるって思いません?

米倉:なるほど。その失敗の経験っていうのもすごい勢いでシェアされる。だから、The Wisdom of Crowdsってあったよね。あの、みんなの意見は案外正しいって翻訳されたの。あれも本当そうでネットの意見って集約されていくと結構正しい答えがあっという間に出てくる。

そういう世界が来てるんで、今までのことと全く違う考え方をする。だから今言われて思ったのは、これはちょっと違うのかもしれないけど、ベネッセの情報売ったやつ、みんな叩いてるけどああいうのは良しと。お前なかなかいいって雇うとか。

夏野剛氏(以下、夏野氏):ただあれはテクノロジーのレベルが全然ないんで、あれはブタ箱にぶちこんだほうがいいと思いますけどね。

米倉:鎌倉で猫に鈴付けてた子は?

夏野:あれ、すいません。あれ、ちょっとうちで雇おうかなと思ってたら、やっぱりあいつだったんでやめました。

米倉:あ、雇おうと思った。

夏野:ちょっとそういう話があった。

米倉:うん。あれいいじゃないですか。

夏野:だめなんですよ。あいつじゃないと思ってたもん。

米倉:僕やっぱり、失敗を生かすっていうんだったら彼みたいなのを雇って、まともに更生させて。

夏野:ハッキングするっていうのは、すごく社会的には前向きじゃないんだけど、すごい攻めじゃないですか。すごいガードが高いものをハッキングしていく。あの猫のやつはなんかそういう感じがしないんですよね。だからあまり攻めの失敗じゃない感じ。

英語で文句を言うと文句っぽくならない

米倉:楽天は結構雇ってるの? 失敗者。そういう人雇ってる?

三木谷:雇ってますね。特に外国人はやっぱり自分で事業をやって失敗したって人は結構多いですね。日本はそもそも起業している人がそんなにいないのであれですけど、外国人は最近たくさん来るじゃないですか、英語化やってますから。

米倉:そうすると、あの英語化は大事だったのかな。

三木谷:もうこれは本当にコアな戦略ですよね。役員に聞いていただくといいと思うんですけど、やっぱり視野が違うし、それから今エンジニアが楽天の場合、新しく採用する80%が外国人なんですよね。

日本はいないんですよ、エンジニアがあんまり。なんでそうすると彼らが新しい意見をどんどん出す、どっちかというと。

米倉:なるほどね。で、失敗の経験も多そうだしね、ポジティブな失敗も。

三木谷:そうですね。

米倉:英語っていうのはなんかアメリカ人を取るっていうけど実は世界の人だもんね。中国人含めて英語だもんね。

夏野:なんかね不思議なんですけどもね、例えば社長とか経営者がいるじゃないですか、で日本のベンチャーって経営者が変わることがほとんどないので。

アメリカのベンチャーとかってもうクビになるんですけど、日本のベンチャーってやっぱり上場制度のせいもあってあんまり経営者が変わらないよね。

経営者に物を言うっていうのがすごい難しいベンチャーが多いと思うんです。でもね、英語で言うと、英語っていう言語で文句を言うとあんまり文句っぽくないんだよね。

三木谷:ミッキー(三木谷氏)とかですか?(笑) 夏野:日本語で「ミッキーって呼んでも大丈夫ですか?」とか聞かれるとむかつくと思うんだけどさ、「Are you OK,Mickey?」とか聞かれてもさ、全然いいと思うんだよね。

この英語っていう言語はね、やっぱり言語としての洗練度があんまりないんだと思うんですよ。だから、ヨーロッパなんかで、英語で会議やるとネイティブイングリッシュスピーカーほとんどいない状態でやるんで、ものすごい直接的な表現と、こんな汚ねぇ言葉を使っていいのかっていうくらいストレートなことを言うギリシャ人と。

だいたいギリシャ人、スペイン人、イタリア人は雰囲気をぶち壊すんだけど、この3カ国がですね、ものすごく汚い言葉遣いするからつられて汚い言葉遣いになるんだけど、すごいストレートでいいんですよ。だから結構英語ってそういうなんか言語として洗練されてない良さがあると思いました。

米倉:敬語もないしね。

夏野:敬語とかない。失礼っていう言葉がない。

失敗は限界にチャレンジしなきゃ生まれない

米倉:だからこれに尽きると思うんですよね。さっき言ったなんとかする能力っていうのと、やっぱり採用の時にお前過去1年半にどんな失敗をしたかと、それに答えられないと、こいつ自分の限界にチャレンジしてないんだなっていうふうにみなすと。

やっぱり失敗っていうのは限界にチャレンジしなきゃ生まれないじゃないですか。だからそういうような感覚でね、それから何を学んで次につないでいくかっていう。だからここがやっぱり決定的に遅いっていうか埋められてない気がするんですね。

三木谷:単純に言うとね、やっぱり野球のバッターでも1打席目よりも2打席目、2打席目よりも3打席目、3打席目より4打席目に決めるほうが確率は上がりますよね。

米倉:そういうことですね。だから野村野球で好きだった、楽天の時に盗塁をちゃんとカウントすると。で、盗塁ってかっこ悪いからやらないんですって。だってアウトになる確率は何パーとかって、意外と高いんですよ成功確率は。ただ、さされてトボトボ帰ってくるのがかっこ悪いし、ケガするのが嫌だからやらないと。

でも野村監督なんかはそれをちゃんとカウントするようにすると、走るようになった。成功確率も高まる。実は確率なんだよね。

それを失敗ばかりとりあげるとやってもしないで嫌だっていう感じになっていく。そういう世界の中でですね、皆さん失敗しましょうと。で、素晴らしいのは三木谷さん、彼は絶対に雇うって言ってるから。

この2人はちょっといけないね。なんかちょっと引退モードだね、いかん。

夏野:そんなことないですよ。

米倉:そんなことない?

夏野:そんなことない。攻め続けてる。

米倉:攻め続けてる? 久夛良木さんは?

久夛良木:内緒。

(会場笑)

米倉:内緒? 期待しましょう。

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