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組織の“共通言語”創りの重要性(全3記事)

コミュニケーションがうまくいかない組織の特徴 手戻りにもつながる、メンバー同士の“ズレ”が生じる原因

一般社団法人プロティアン・キャリア協会が主催したプロティアン・フォーラム2024。本セッションにはシリョサク株式会社の代表取締役・豊間根青地氏が登壇し、「組織の“共通言語”創りの重要性」について解説。本記事では、組織内に共通言語がある組織・ない組織の違いについて語ります。

SNSで話題になった「桃太郎パワポ」の作成者が登壇

山下浩輝氏(以下、山下):みなさん、よろしくお願いいたします。プロティアン・キャリア協会の山下と申します。こちらのセッションは関西支部メンバーでお送りしておりますので、簡単にご紹介だけさせていただきたいと思います。

午前中のセッションでは、育児や教育(といったテーマを取り上げました)。プロティアン協会の「ラボ活動」というものは、ある特定のテーマに沿って学びを深める活動なんです。

それとは別に、地域にゆかりのある協会認定メンバーが集まり、テーマは自由に自主的に企画を運営する活動がございます。その中の支部活動ということで、私は関西支部に所属しております。

簡単に特長の(説明)なんですが、「大人の遠足」と題しまして、例えば京都にあるグンゼさま、大阪はパナソニックさまとか、関西ゆかりの企業さまとのコラボレーションといいますか、見学に行かせていただいたり。

そんなことをやっている、ゆるくつながりを持って活動している支部でございます。そんな、特長のある関西支部メンバーとお送りさせていただいております。

今日は豊間根青地さんにお越しいただいています。みなさまご存知の方もいらっしゃるかもしれないんですが、簡単に私からご紹介させていただきます。豊間根さんは東京大学工学部をご卒業後、サントリーにご入社されまして、そこで通販事業の顧客関係管理や広告などの業務に従事されておりました。

そのかたわら趣味でPowerPointで制作したものをTwitter、今で言うXに投稿されたりして、「桃太郎パワポ」がバズりました。そこから起業されたという、まさにご本人もプロティアンなキャリアを歩まれてるのかなと思っております。

2022年に独立されまして、今のシリョサクの前身となるCatacaを創業されました。資料作成やコミュニケーション改善とか、今ではさまざまな企業さまに、さまざまなかたちで研修や伴走型の支援をご提供されています。

サントリー出身、パワポでバズって起業した豊間根青地氏

山下:私と豊間根さんは2022年に出会いました。そのきっかけが「シリョサク!ラボ」という資料作成コミュニティでございまして、私もそこで学ばせていただいて、そのご縁と今日のプロティアンのご縁が重なりまして、本日のセッションをお届けする運びとなりました。

本日は「組織の“共通言語”創りの重要性」と題しまして、みなさまと実りあるセッションにできればと思います。それでは豊間根さん、よろしくお願いいたします。

豊間根青地氏(以下、豊間根):よろしくお願いいたします。あらためまして、ご紹介いただきました豊間根です。今日は「組織の“共通言語”創りの重要性」ということで、40分と短めではあるんですが、みなさんと一緒に組織の共通言語を考えていければと思っております。

サクサクいかせていただければと思ってるんですが、今日の流れです。はじめに今、山下さんからも簡単に自己紹介いただいたので、サクっと自己紹介をさせていただきます。

そもそも共通言語って何なのか? というところの定義と、じゃあ共通言語ってどういうふうに作っていくといいんだっけ? 組織の共通言語って具体的にどんなものがあるんだっけ? というケーススタディを見た上で、まとめるという流れでいきたいと思っております。

ぜひチャットにもどんどんコメントをいただければと思っておりますし、途中でみなさんにリアクションでアンケートをとるシーンがあるので、ぜひご参加いただければと思っております。

あらためて、私は豊間根青地と申します。今、山下さんにご紹介いただいたので、もはやそんなに紹介することないかもしれませんが、今年で30歳になります。元サントリーで、パワポでバズって起業をしたという、ちょっと珍しいキャリアを歩んでいる人間です。

本を2冊出してます。NewsPicksやPIVOTとかにも出演をしております。言うたら「パワポの人」です。コメントでもお褒めいただいてますが、もともとパワポのいろんな情報発信をしていたXで、12万人以上の方にフォローいただいております。

つい手段が目的化してしまいがちな「資料」という道具

豊間根:もともとは、別にパワポの情報を発信しようと思ってたわけでなくて。いかにバズるネタを作るかを考え続けていた結果、やはりテキストだけだと限界があるなとだんだん思い始めて、「パワポというツールで画像を作ったらバズるんじゃないか」と思って。

本当はIllustratorがよかったんですが、イラレは高いので無料のパワポを使って作っていたら、だんだんパワポが自分のキャラクターになっていったというところですね。

シリョサクという会社を経営しておりまして、今は社員が9名になりました。赤坂にオフィスを構えて、企業さん向けに研修とか、まさに組織の共通言語を作るような組織開発に近いサービスや、パワポ資料の制作などのご支援をしております。

シリョサクという社名は、「思慮に時間を割く」と「資料をサクっと作る」というダブルミーニングになっております。

ついつい手段が目的化してしまいがちな資料という道具を、「誰に何を伝えて、どうしてほしいのか」という中身をきちんと考えるところに時間を使って、「とはいえわかりやすい資料を効率的に作ろうよ」というお話になって、ダブルミーニングになっております。

今は創業2年半になるんですが、サイバーエージェントさん、京セラさん、NTTさんといった日系の、特にPowerPoint資料による組織内のコミュニケーションに課題感のあるお客さまに引き合いをいただいております。

山下さんにシリョサクに参画いただくきっかけになった、YouTubeの運営やコミュニティの運営をしております。(参加者は)250名を突破していて、全国津々浦々から資料を学びたい方が集う不思議なコミュニティになっております(笑)。

我々は、「月曜日をもっと楽しみに」と「おもしろがる人を増やす」をミッションに掲げております。

資料作成とは「スキルの総合格闘技」

豊間根:自己紹介はこのぐらいにして、今、みなさんに紹介を聞いていただいた上では、おそらく「なるほど、よくわかんないけどパワポの人ね」という印象を持っていただいたんじゃないかなと思います(笑)。

今日は私もプロティアン・キャリアに関する話、それも組織の共通言語という、かなり抽象的なテーマで話をしに来たんですが、「いや、なんでパワポの人なのに『組織の共通言語』なんちゅう大層な話をするのか?」と思われた方も、けっこういらっしゃるんじゃないかなと思っています。

ただ私は、パワポ資料というものは、まさに組織の共通言語に直結する非常に重要なものだととらえてるんですね。大前提、我々は「資料作成はスキルの総合格闘技である」とお伝えしています。

資料作成というと、「資料に起こす」(という部分に目が行きがちです)。PowerPointやGoogle スライドやCanvaみたいなツールをうまく使いこなす、ショートカットをうまく知る、機能を知る。

そういうスキルを持った上で、いわゆるデザインですね。色やレイアウトをうまくしてあげることで、見やすくそれ(資料)を起こすところに気持ちがいってしまいがちなんですが、我々は資料作成という営みをもっと広くとらえています。

ゴールを決めて、そのために必要な論点を設定し、それに必要な情報を集めて、それを構造化して、二次元平面上の図に落とした上で、それを資料に起こす。さらにそれを実行して、人やお金を巻き込んで、物事を前に進めていく。こういった一連の行動すべてが資料作成であると、我々はとらえています。

この中のあらゆるシーンで、「言葉」というものが必要になってくるわけですね。我々は言語化をものすごく大事にする会社です。お客さんに対して、単純に「見やすくするためにはこういう色がいいですよ」「こういうレイアウトがいいですよ」ということも、もちろん紹介はするんです。

ただ、そうではなくて、「そもそも誰に何を伝えたいんでしたっけ?」「何がしたいんでしたっけ?」「それをちゃんと言語化しましょうよ、ちゃんと整理しましょうよ」ということを常に強く求める。それができるようなノウハウを都度お伝えしています。

かつ資料というものは、こういった一連の流れを含めて、さまざまな人間がコミュニケーションをとる1個の道具になっていくわけですね。目に見える道具になっていくわけなので、組織がうまく1つの方向に向かっていく際に、非常に重要な共通言語になるのが資料という道具なので。

その観点を含めて、今日は「組織の共通言語」というものを、あえてパワポの人間である私の観点から考えていければと思っている回でございます。

そもそも「組織の共通言語」とは何か

豊間根:ということで、今から組織の共通言語というものを考えていくわけですが、共通言語というテーマ自体が、この約300人弱(の参加者)の中で共通言語になっていない可能性があるので、そもそも共通言語って何だっけ? というところから1回話を始めたいなと思います。

みなさんもZoomのリアクションで、回答できる方はぜひ回答してみていただきたいんですが、ここに4つ掲げている中だと、「共通言語」ってどれが1番イメージに近いでしょうか?

ある組織の中で使われる「ことば」なのか、あるいは「テンプレート」なのか、「ツール」、道具に近いものなのか、「常識」とか「ルール」みたいな、目に見えないもののイメージなのかで言うと、みなさんはどれが一番近いでしょうか。

リアクションありがとうございます。けっこうグッドの方が多いです。AとDが一番多そうですね。なるほど。一番多いのがDで、Aが次点って感じですかね。BとCの方はほとんどいらっしゃらないかもしれないですね。ありがとうございます。

Dの方が多そうですね。やはりキャリアの領域にいらっしゃる方なので、「常識」とか「ルール」に気持ちが向きがちなところが多いのかもしれないですね。ちなみにこれ、別に正解はないです。みなさんの認識がどうなっているかを合わせるためだけのものなので、別に「これが正解です」というものではないんですが(笑)。

共通言語を考えていく上では、主にA(ことば)の話としてしていければと思っております。もちろんD(常識やルー」)も重要なんですが、Aがあることによって結果的にDができるよね、AがあるということはすなわちB(テンプレート)があることにもつながるよね、といった考え方で話していければと思っております。

要するに、基本的に言葉の話をすると思っていただければと思っております。思った以上にDの「常識・ルール」の方が多かったので、若干びっくりしてますが(笑)。Aの話を今からすると思っていただければと思います。

共通言語がある組織・ない組織の違い

豊間根:共通言語がなんで大事なのかというと、(共通言語がないと)前提条件がずれるわけですね。「コミュニケーションがうまくいかない」ということが起きてしまうわけですが、例えばみなさんもこういうことがよくあると思うんです。

資料を作ってみて、上司とコミュニケーション取る時に「いまいち説得力がないからやり直してくれ」「このスライド、もうちょっとレベルを上げようか」「粗々できたら1回見せてくれないか」みたいに言われると、何回も何回も修正しないといけないなと思う。

「いまいち説得力がない」って、どこがどうだから良くないのか、いまいちわからない。「レベルを上げる」って、具体的に何がどう低いからどう上げるのかがわからない。「粗々」って、どういう状態を指してるのかがわからない、ということがよくあるわけですね。

そこに対して、例えば「空・雨・傘の、これは雨がないですよね」とか。QAR……これは我々が言うクエスチョン・アンサー・リーズンの略なんですが、「クエスチョン・アンサー・リーズンのアンサーがないよね」「紙とペンの手書きの手順が終わったら1度見せてくれる?」って言われると、なるほどねと(問題点を理解できる)。

資料を作るという観点で言えば、こういうふうに全体のステップが分解をされていて、「今はこの話をされてるのね」ということがわかると、非常にわかりやすくなるわけですね。

ほかにも、例えば「今週中にお願いします」と言われて、「日曜日までってことか」と思う人もいる。「4月26日中にお願いします」と言われたら、「日付が変わるまで」と思う人もいれば、「18時ぐらいまで」と思う人もいます。「4月26日金曜日の18時まででお願いします」と言えば、初めて認識が明確に合う。

ほかにも、同じリンゴを見ていた人であっても、「なんか赤くて丸い物体だな」と思う人もいれば、「リンゴだな、ベトベトだな」と思う人もいれば、「紅玉だな、ブルームが出てたら食べ頃だな」と思う人もいるわけですね。

今、3つの例をパンパンパンと見ていただいたんですが、要するに何が言いたいかというと、同じ言葉を使っているつもりでも、それを見た人によって得られる言葉や解釈がまったく変わるということですね。

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