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“最近の若手は出世意欲がない” は間違い!? 実は昔とほぼ変わらない! ~出世意欲を潰しているのは○○だった~(全2記事)

「最近の若手は出世意欲がない」は、実は誤解? 若手社員のやる気は“入社後に潰されている”という説

「出世をしたいと思っていますか?」という質問に対し、必ず出世したいと答えた人の割合は、平成元年入社の人で8.3パーセント、平成30年入社の人で22.4パーセント(アデコ調べ)と、実は出世欲のある若手は増えています。しかし一方で、「最近の若手は欲がない」「最近の若手は出世欲に欠ける」という声も。なぜこのようなギャップが生まれるのか、データを元にひもときます。本記事では、若手社員の仕事や出世に対する価値観について解説しました。

当てはまると危険信号?若手社員の4つの特徴

宮地尚貴氏:本日はお忙しい中、弊社のWebセミナーをご視聴いただきましてありがとうございます。今回は「"最近の若手は出世意欲がない" は間違いだった!? 実際にデータから判明、若手は昔と変わっていない、出世意欲を潰している〇〇の正体とは。求められる対策」という、若手の出世意欲にまつわるテーマでお伝えできればと思っております。

あらためまして、自己紹介をさせていただきます。PDCAの学校の宮地と申します。社内では新卒・中途の採用担当をはじめ、営業活動や、最近は広告運用をメインでやらせていただいています。

あらためてにはなるのですが、本日の内容は主に3つです。「出世欲は実は昔と変わらない」。本日は、若年層の方と接されている方が多く参加をいただいていると思うんですが、もしかしたら若手の方々と接している中で、「最近の若手は受け身だな」「上昇志向がない」「打たれ弱い」といった所感を持たれている方も多くいらっしゃるんじゃないかと思います。

ですので、一見すると「最近の若手は、もう出世欲はないんじゃないか」と感じられる方もいらっしゃるとは思うんですが、実は昔と変わらなかったということがデータで出ています。

なぜ出世欲がないと言われるのか、じゃあそれを踏まえた会社としての育成の対策は何が求められるのか、というところをお伝えできればと思っております。

じゃあ、さっそくパート1のところなんですが、このような特徴が御社の若手社員に当てはまればけっこう危険信号です。「出世意欲がない」「責任を負いたくない」「指示待ち」、言われないと行動しない。あとは「成果に消極的」。

例えば営業で成果を上げて、(上司側が)「やったな!」と言っても(部下側が)「あー、はい」という感じですね(笑)。どこか褒め甲斐がない、みたいな。これら4つの特徴のいずれか1つでも当てはまると、やや危険信号かなと思います。

「若手は出世したくない人が多い」は事実

じゃあ、現場では何が起こっているのかをお伝えできればと思うんですが、実は「若手は出世したくない人が多い」というのは事実なんです。

20代、30代前半の若手社員が出世したくないというのは、データで見てみると実際にかなり多い。「将来役職者になりたいと考えますか?」というご質問に対して、なんと「いいえ」が7割後半、「はい」が2割しかいない。「よし、上に上がっていくぞ」という欲は、確かに過去最低と言われたりします。

ただ、新入社員時点ではどうなのかを見てみると、これが冒頭お伝えさせていただいたように、30年間あんまり変わってないところがあります。

あくまでこちらのデータは、「20代から30代前半の若手社員に聞きました」というデータです。なので、もちろん新人も入っていますし、入社して5~6年経った人材とか、7~8年経った人材も含まれているかたちです。そのデータだと、7割が出世したくないと言っている一方で、じゃあ入社当時はどうなのかというのが実はこちらです。

上のデータが今の50歳代、平成元年(1989年)入社ですね。下のデータが現20歳代、平成30年、2018年卒に当たるんですかね。入社5~6年ぐらい経過しているような人材です。

新卒入社時の出世に対する考え方のデータにはなるんですが、上と下のグラフを見比べた時に、「必ず出世したいと思っていた」「なるべく出世したいと思っていた」が、なんと20代のほうが高いんですね。52.2パーセント。

一方で、それこそ現在管理職として活躍されている方々が入社当時どうだったのかで言うと、「出世したい」は31.6パーセント。しかも「必ず出世したいと思っていた」という割合に関しては、なんと1桁台を切っているんです。

最近の若手は成長意欲が高い

このデータを見た時に、「おかしいな。なんなら今の若手のほうが入社時は意欲が高いじゃないか」と思いますよね。ただ、上司や人事の方々からすれば、ふだん働いている若手社員の姿を見て「なんか意欲があるようには感じられないな」という(実態との)ギャップがあるんじゃないかと思います。

もっとよくよく考えてみると、私なんかは採用担当として携わっているのでよくわかるんですが、最近の若手という括りでいくと、「成長意欲が高い」というキーワードが採用の中で1つあるんじゃないかなと思います。

そして、成長意欲が高いので、採用の段階でキャリアプランを見せないといけない。育成をどんな感じで繰り広げて成長させるのか、会社として支援するのかということを採用の段階で伝えられるようにならないと、なかなか採用の選考に上がってこない。

なので採用の段階、要は学生の時点では「よし、成長したい。出世したい」という方がけっこう多い。入社当時の段階を見ていても、やはり学生の時から継続して「出世したい、成長したい」と感じている様子がうかがえます。

ただ、20代から30代の方を対象にしたデータだと「出世したくない」が増えています。なのでこのデータから考えれば「最近の若手は出世欲がない」とは一概には言えない。

「働き出してから出世欲がなくなっている」という説

あくまで仮説なんですが、最近の若手は「働き出してから出世欲がなくなっている」のではないか。ちなみに私は2016年卒なんですが、2016年卒が最も入社時に出世意欲が高かったと言われてるみたいです。

どちらかというと学生の時には夢を持っていたりだとか、「よし、自分は将来こんな社会人になりたいぞ」ということで入社してきた。自己分析もしっかりして、キャリア設計も、学生の時にキャリアセンター主導で授業があったり、ゼミでそういうことを考える機会があった。

就職支援も、マイナビさんやリクナビさんが運営している学生の就活塾みたいなところに行って、自分を棚卸しする機会があり、出世意欲が上がっているということですね。

ただ、入社をして、そんなにすぐにはうまくいかないことのほうが多いと思うんです。入社してうまくいかず、そこで「なんか思っていたのと違うな」というギャップがひどくなった場合は、例えば早期の離職に至ってしまう。

なので、初期の段階ではある程度夢・希望を持って入社したものの、思うようにいかないということで辞められていく。もしくはモチベーションが落ちていく。

一方で過去の社会人でいうと、あくまで想像の範疇ですが、もしかしたら「働きながら出世欲が醸成されていた」のでは、ということが言えるのかなと思います。

かつては働きながら出世欲が醸成されていた?

人事経験の長いお客さまとお話をする機会があるんですが、「なんで新卒の時に入社した会社を選んだのか」という話を聞くと、「いや、とりあえず。なんにも考えてなかった」というお声も聞いたりします。

「家から近い」「とりあえず稼げればよかった」とか、今の学生さんが仕事先を選ぶ判断軸とは、けっこう違う軸で選ばれてる場合が多いのかなと思います。

働きながらだんだん仕事の楽しさや難しさに触れていって、時には夜に上司・お客さんと飲みに行って、そこで意欲が上がっていく。なので、働きながら出世欲が醸成されていく。一方で今の若手で言うと、働きながら出世欲・成長欲が阻害されていっているところがあるんじゃないかなと思っています。

質問ありがとうございます。「出世したい割合のn=1,000で端数がないのはなぜでしょうか。どのような方にどの方法で聞かれたのか、アンケートの構成がおわかりであればご教示いただければと思います」。

実際に右下にソースを貼っておりますので、資料をダウンロードいただいた際にこちらのURLからアクセスいただいて、どんなかたちでアンケートを取られたのかをぜひ確認いただければなと思います。

若手社員の仕事の価値観

②の「若手の仕事の価値観、若手の特徴」みたいなところに触れていければなと思っています。弊社は新入社員研修、若手研修を全国各地で1,000名以上の方々に実施させていただいているんですが、よくそこで感じる価値観ですね。

効率性を重視する。あとはワークライフバランス重視。社会貢献意欲が高いとか、SDGsに関心がある。それからキャリアアップ、自己成長に意欲的。どちらかというと厳しい上下関係を好まなかったり、理不尽さを嫌う。あとは安定志向化、安定して成長していきたい。未来・将来へ漠然とした不安がある。

ニュースでなんとなく「老後2,000万円問題」みたいなことを聞いたりして、将来が不安だと。だから将来に向けてキャリアアップし続けていきたい。なので安定して成長を遂げていきたいというところが、考えとしては1つあるのかなと思っています。

「成長意欲が高い」というワードだけ切り取ってみると、上司の方々からすると、どちらかというと「じゃあ、自分で試行錯誤していろいろ考えてやってくれるんじゃないか」と思いきや、「与えてもらった環境で自己成長したい」という考えのほうが目立つなと思います。

今の若手は「納得したら愚直にやり抜く力」が強み

なので、「教えてもらって当たり前」といった感覚は、初期の教育のところである程度是正していかないといけないなと思うんですが、一方で強みもあるなと思います。

若くしてスマートフォンなどに触れているので、ネットリテラシーが高い。情報収集能力が高い。効率的に仕事をこなす。社会問題にアンテナが高い。情報をすぐ仕入れる。情報収集と似ていますね。あとはキャリアアップに意欲的。

腹落ちしたら愚直にやり抜く力が強い。「とりあえずやってみろ」という行動力は発揮しづらいところはあるんですが、自分で「これをやらないなきゃいけない」という納得感があれば、どちらかというとかなり動けるところがあります。

若手の活用に悩まれてる企業さまは、「若手がどうやったら動くのか、教え方のところでちょっと工夫してみようか」というところで、特に5番(納得したら愚直にやり抜く力が強い)はすぐに参考になるのかなと思います。

仕事の中での立ち位置だとか、その仕事の目的や背景まで伝えていたほうが、かなり動きやすいのかなと思っています。

いわゆる「さとり世代」ということも言われていたりします。YouTuberといった配信者の方が「このまま働くと年収〇〇円ぐらいか」と言っていたりします。そして、それを聞いた方々が「このまま働くと自分の生涯賃金はこれぐらいか。じゃあ、もうちょっとチャレンジしないといけないのか」と考えてチャレンジする環境に飛び込んだというのも聞いたりします。

そういう方はまだ珍しいほうだと思うんですが、「このままいくと年収はこれぐらいか。じゃあ、これ以上残業すると合わないな」とか、上司の姿を見ているとちょっと疲弊していて、「そうはなりたくないな」と思ってしまうのかもしれません。

やはりプライベートも大事なので、「プライベートをきちんと確保できるような環境下で働きたいな」「出世しても旨味を感じないから今のままでいいや」みたいなところで、意欲が下がっていくケースもあるのかなと思っています。

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