
2025.03.07
クレームを入れた人の3割は、「1時間以内」が我慢の限界 メールの初動対応で失敗しないための具体策
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大森光二氏: では、「まさかの退職には何が起きているのか」という前提からお話しさせていただきます。すごく活躍していて、将来有望だと誰からも認められていた人がなぜ急に辞めてしまったのか。まったく予兆を感じなかったのに何が起きたのか。こういったことが「まさかの退職」と言われる状況だと思います。
今日はその点にフォーカスしてお話しできればと思います。一般的な退職理由はみなさんもご存知かと思います。
どうしても(スライドの)上位のものに目がいきがちですが、トップ3を見るとだいたい衛生要因が多いです。例えば、「肉体的・精神的に健康を損ねたため」「労働時間や休日・休暇の条件が良くなかったため」「人間関係が良くなかったため」など。実際にヒアリングをすると、このあたりの声が多く聞こえてきますし、そういった方々の意見を改善する必要があると、各社とも対策を講じているところだと思います。
我々が注目しているのは、(スライドの)中段にある「キャリアアップをするため」といった理由です。また、「希望する条件がより合った他の仕事が見つかった」や「学校で学んだことや自分の能力、経験が生かせる場所が見つかった」といった理由もあります。
こういった理由で退職する方々が全体の約2割あります。キャリアアップという非常にポジティブな話ですが、本来は自分の会社でやりたかったことがうまくできないために他の場所に移るということが起きるわけです。このようなポジティブな理由で退職する方々が実際にまさかの退職につながるケースもあります。
もう1つ参考になるデータとして、年収別に色分けされたデータを見ると、600万円以上の方が「やりがいや自己成長」を求めて退職するケースが多いことがわかります。
年収が高いからといって必ずしも優秀とは限りませんが、ある程度認められた水準の方々がやりがいや自己成長を求めて外に出て行くという傾向があると考えられます。
こういった点を踏まえて、どういった理由で「まさかの退職」が生まれているのかを探るのは、定量データだけでは難しいところがあります。
我々はアルムナイの方々にヒアリングを行っているのですが、アルムナイの方々は比較的ポジティブに退職された方が多いです。退職後も会社とつながり続けたいという方が全体の2~3割ほどいます。
また、5~6割の方々はアルムナイ同士や元の会社とビジネスでつながりたいと考えています。共通して言えるのは、会社と喧嘩別れしたわけではなく、会社の情報や人との交流を続けたいと考えている方が多いということです。そういった方々がアルムナイコミュニティに登録しています。
このコミュニティは、会社に対してポジティブな方が多く、インタビューを通じて彼らの活躍ぶりを聞くことができます。そういった方々がどういった理由で辞めているのか。聞いた情報をもとに、定性的な内容にまとめさせていただきました。
大きく「企業側で解消できた可能性がある要因」と、「個人側でどうしても対応が難しかった要因」があります。
企業側の要因としては、給与や評価の問題があります。自己評価とのギャップで「自分はもっとやっている、もっとできるはずなのに、それに見合った評価が得られていない」と感じることがあります。特に優秀な方であればあるほど、年功序列が残っている環境に不満を感じ、「あの人より自分のほうがやっているし、できているはずなのに、なぜ評価が低いのか」というネガティブな感情が生まれることがあります。
労働時間に関しても問題があります。優秀な方に仕事が集中しがちで、なんでもかんでも任される状況があります。そのため、自分が本当にやりたいことに取り組む時間が取れず、「これが本当のやりがいなのか」と疑問を持つことがあります。そういったことがネガティブな感情を引き起こし、「まさかの退職」につながる要因となる場合があります。
あとは会社の方向性です。「自分がやりたいこととずれている」「やりがいを感じられない」「そもそも会社の目指す方向が見えなくなった」といった要因も挙げられます。これらは解消可能なところで、改善の余地がある要素だと思います。
しかし、個人の自己実現のためにやりたい領域が変わったり、アンテナが高い方が急に他の「これはめちゃくちゃおもしろそうだ」と思うことに飛びついたりすることもあります。また、入社時から退職を視野に入れている方もいます。最近の新卒の方は、退職を視野に入れつつ、5年勤めてスキルや人脈を身につけ、それをベースに次のキャリアを考える方もいます。こうした背景から、大きなギャップが生まれることもあります。
そして成長環境です。優秀でパフォーマンスが高い方は、「この会社で経験を積めるか」が重要です。そのポジションがなかったりすると、他の場所に移ってしまうことがあります。必要な経験を積んだからこそ、次のステップに進むといったかたちです。
解消できるものとできないものがありますが、(スライド)右側の要因も含めて「もっと早く言ってくれればどうにかなったかもしれない」と思うのがみなさんの本音かもしれません。今日のメインテーマは、いかに早く相談してもらえる環境を作るかということです。そのためにオフボーディングが非常に有効に機能します。
(スライドの)このフローは、人材が入社してから退職するまでのプロセスを示しています。
退職や離職を防ぐためだけに行っているわけではなく、エンゲージメントの向上にもつながる取り組みです。すべてを網羅しているわけではありませんが、オフボーディングの位置づけを整理できればと思います。
入社前の段階では、採用のタイミングで人事の方々がいかにミスマッチを解消するかが重要です。入社してすぐに退職することがないように、会社の情報をしっかり伝えたり、本音で話したり、入社前の研修で「ここでやっていけそうだ」という自信を持たせることが大切です。入社後の承認を高めるための入社式や、成長を促すための研修・OJTなども行われています。
配置されてからは期間が長いため、さまざまな整備が行われていると思います。特にオフボーディングについては、退職のタイミングだけに注目されがちですが、もっと前の段階からも重要です。
例えば、多くの会社で1on1が行われていると思いますが、オフボーディングを改善することで、1on1の中で「ちょっと相談があるのですが」と、自分の本音やキャリアの話が出やすくなります。
また、他の人の退職体験が悪いと、「ギリギリまで言わないでおこう」と考える人が増えます。例えば、他の人が退職する際、2ヶ月前に「退職したい」と伝えてお客さんの引き継ぎや準備をしようとした時に、急に冷たい態度を取られたり、「裏切り者」扱いされたりする。その様子を見た人は、自分もそうなりたくないと思い、ギリギリまで退職の意思を伝えないようになります。
そのため、オフボーディングで気持ちよく送り出すことを通じて、1on1などでも本音が話しやすい環境を作ることが重要です。
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