2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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後藤翔太氏(以下、後藤):さっそくメインテーマに移っていきたいと思います。最初は「企業成長を促すリーダーの思考」。世の中にはたくさんの起業家の方々、リーダーの方々がいらっしゃると思うんですが、成長を促すような、また成功するようなリーダーはどのように考えて、チームの成長を促していくのかについておうかがいしたいと思います。
最初のQは「創業のきっかけ」です。みなさまがどのようなきっかけで創業をされたのかをおうかがいしたいと思います。では、南原社長からよろしくお願いします。
南原竜樹氏(以下、南原):創業のきっかけは、自分が車が大好きだったことですね。今と違って昔は車がないと女の子とデートもできないし、本当に必需品みたいな感じでした。みんなが情熱をかけて自分の車にワックスをかけたり、アルミホイールを変えたりしていた。そんな中で、僕は大学の時にオートバックスというカー用品屋さんでバイトをしていました。
車を買わなきゃいけないから、このバイト1つでは駄目だと思って、斜向かいのモービル石油というガソリンスタンドでもバイトをして、「あっ、でもまだ8時間働けるな」と吉野家でもバイトをしていたんです。
後藤:へえ(笑)。
南原:24時間バイトをしていた。なぜそんなことができるのか。種を明かすと、吉野家では壁にもたれてうとうとしていたんです。当時はお客さんがガラガラガラとドアを開けるので、「いらっしゃい」と言って牛丼を作る。オートバックスでは寝板という車の下に潜るタイヤの付いた板があって、それで潜っていると先輩に足を蹴っ飛ばされて「南原、お前また寝とるだろう」と言われて。
モービル石油は、深夜のバイトだったのでわりと楽で、お客さんが座って待つコーヒーを飲むようなソファーがあったので、お客さんが途切れるとちょろっと仮眠を取ったりしていた。なんでそこまでやっていたかというと、自分で車を買うためなんですよね。必死にバイトをして、車を買いたかった。
南原:僕はよく「起業は思いと運だ」って言っているんですよね。だいたい成功している社長ってみんな「運が良い」って言うんですよ。わかりやすく言うと、おいしいパンを作るパン屋さんがあります。お店もすごく繁盛している。10年後に行っても、その店だけでやはりおいしいパンを作っている。
でも、それとは別にまあまあのパンを作る店があって、2年後に行ったら店舗が3店舗になっていて、10年後に行ったら20店舗になっている。その違いってものすごくシンプルで、多店舗展開したパン屋さんは、多店舗展開したいと思っているんですね。
後藤:なるほど。
南原:その思いがあったら、あとはどう肉付けしていくかだけなので。でもおいしいパンを作っているパン屋さんは、「おいしいパンを作りたい」とだけ思っている。だから多店舗にはならない。
僕は創業期は外車に憧れていたんですね。外車を輸入することを夢見ていた。でも、なんでこんなに日本との内外価格差があるのかと。ベンツなんて、ドイツで買うと日本のヤナセさんが売っている価格の半値なんですよね。中古車になるとさらに半値になっちゃうので、それを日本に持ってきたら僕でも乗れるかなというところが創業のきっかけです。
それをきっかけに、どんどんどんどんわらしべ長者のように大きくなっていった。これ以上話すと時間を食っちゃうので、創業のきっかけはこんなところです。
後藤:おいしいパンを作りたいか、多店舗展開していきたいかというパン屋さんのお話ですが、これはどちらが正解ということではないという理解でいいでしょうか?
南原:絶対にそうですね。ずっとおいしいパンを作って幸せに暮らしているパン屋さんもいますし、僕らの業界で言うと、多少広くなったり小奇麗になったりはするでしょうが40何年間同じ場所でやっている人もいれば、どんどん店舗を展開して増やしていく人もいます。
僕の場合は創業から少し経った時に、「名古屋だけってどうかな」「東京にも出したいな」と思ったんですね。名古屋だけでも取材が入っているのに、東京にも出したら何倍も取材が入って何倍も売れるだろうなと。
後藤:なるほど。
南原:だったら大阪にも出しちゃえとなって、あっという間に全国に7拠点ぐらい出したんですね。
当時から事業計画を作るのが大好きで、地図で出店したい場所のマーケットを調べました。鳥取県のマーケットを調べたら県全体でBMWが200台しかなくて、「絶対出店しないぞ」とか考えながら、事業計画を作っていった。これが創業後の僕らの多店舗展開や売上や人員の増加などにつながったと思います。
後藤:「おいしいパンを作る」にしろ、「多店舗展開する」にしろ、そういった思いがないとなかなか動いていかないというところですかね。
南原:そうですね。ただなんとなくなっちゃったという人ももちろんいますけど、僕としては創業する時に「これをやりたい」という気持ちがないと......。10年生き残る企業って5パーセントぐらいでしたっけ?
後藤:はい。
南原:やっぱり熱い思いは大切だと思います。飲食業の人たちの忘年会に毎年呼ばれて、そこは上場予備軍みたいなお兄さんたちが200人ぐらい集まっているんですけど、熱すぎて触れないなというぐらいの熱さを感じますからね。
後藤:サーキュレーションの福田社長はいかがでしょうか? 創業メンバーとして、サーキュレーションさまの立ち上げに携わってらっしゃると思いますが。
福田悠氏(以下、福田):私はちょっと南原さんとは違い、どちらかと言うと、社会人になってから後天的に起業という道があると触発されたタイプでした。
後藤:なるほど。
福田:今は学生起業される方も増えていますけど、学生時代に起業に興味があったとか、社会人になって何年目に起業するという目標を立てて就職をしたというわけではありません。私が新卒で入った旧インテリジェンス、今のパーソルキャリアという会社には「起業する」という文化があったんですね。
同期ですごく優秀だなと思ったメンバーが3年ぐらいでどんどん起業していくのを見て、「あっ、そういう道もあるんだ」と触発をされたのが大きかったですね。
南原:僕が名刺交換をする社長の中で一番多いのが、元リクルートという人です。元リクルートの社長ってめちゃくちゃいるんですよね。社長を輩出するための会社なのかって思うぐらいいっぱいいますよね。
福田:おっしゃるとおりですね。当時私が入ったインテリジェンスという会社は、いつかリクルートさんに追いつきたいという、そういう志を持つ人が多かったので、必然とそういう起業文化もあったんだろうなと思います。
南原:福田さんって今おいくつでしたっけ?
福田:私は41歳です。
南原:そうするとだいぶ世代の違いがありますよね。僕が起業した時は「永久就職」という言葉があって、大学を出て就職した会社に定年まで勤めるとほとんどの人たちが思っていましたからね。
福田:そうですね。ちょうど私が社会に出た2006年から2007年ごろ、転職が一般的になりつつあるタイミングでした。私は1社目に約7年間勤めましたが、その間、転職による人の流動化が進むのを見て、今の人材業界の仕組みだけでは解決できない問題があるのではないかと感じました。
業界内にいたからこそ、見えてきた部分もあります。転職という枠組みを超えた、もう少し柔軟な働き方を実現することが、より流動性の高い社会につながるのではないかという考えが、サーキュレーションの起業につながっています。
もともとフリーランスや働き方の改革を目指していたわけではありませんが、1社目での実体験を通じて業界の変えるべき部分が見えたからこそ、そこに着目するようになりました。これが私にとって後天的に芽生えた起業の動機だと考えています。
南原:ちょうど福田さんが就職して数年経った頃にリクルートがあるレポートを書いたんですね。そのレポートには右肩上がりでガーッと上がった赤いグラフと、右肩下がりにガーッて下がった青いグラフがあって。下がっているのは正社員の数です。
そして上がっているのは福田さんの会社が関わっている正社員以外の人たち。アゲインストの中でビジネスをやるのは大変だと僕はよく言っているけど、サーキュレーションさんは時代に合った、フォローのビジネスで、創業は本当に良いタイミングだったかもしれないですね。
福田:ありがとうございます。
後藤:南原社長から「フォロー」というお言葉もありましたが、起業することに対して不安は感じなかったのでしょうか?
福田:起業する時に不安感みたいなものはそこまで持っていなかったんですけど、ただ最後の最後、踏み切っていいのだろうかと、葛藤した覚えがあります。実はサーキュレーションは複数名で起業した会社で、「この仲間でやってうまくいかなかったら仕方ない」と割り切れる仲間が一緒にいたことが最後の一押しになったと思います。
南原:僕の場合は自分で自分のことを阿呆じゃないかと思うぐらい、なんでも飛び込んでいっちゃうんですよね。社長ってすごく慎重な人もいれば、すごくチャレンジする人もいる。キャラクターの違いなので、どっちがいい・悪いという話ではなくて、僕は百人百様じゃないですけど、どんなパターンの人でも社長になれると思っているんですね。石橋を叩く人でも、経営手法を自分で編み出せば成長できるし。
後藤:安藤社長は、どのような思いで株式会社識学を立ち上げられたのでしょうか?
安藤広大氏(以下、安藤):僕もわりと福田さん側に近くて、自分で起業しようとはまったく思っていませんでした。むしろ親父はラーメン屋、おじいちゃんも昔事業をやっていたらしいんですけど、どっちも倒産というかうまくいかなくて。「会社社長に向かない家系だからやらないでおこう」と逆に思っていた感じなんです。
前の会社で6年半勤めて、役員とかもやらせてもらったんですけど、そこからイー・アクセスにヘッドハンティングされたんですね。イー・アクセスにいく予定だったのが、ソフトバンクに買収されちゃって、転職の話がなくなった。そのタイミングでたまたまこの識学というロジックに出会った。
独立するか前の業界に戻るかという選択肢で、戻るのもしんどいので、識学というたぶんすごく良いものに出会ったので、これを1回やってみようと個人事業主になったのがきっかけです。
南原:識学に出会ったのも運が良かったですよね。
安藤:まさに。
南原:そのまさにな出会いがなかったら、安藤さんは今識学の社長をやっていないですもんね。
安藤:絶対にやっていないし、他の事業でもし起業したらうまくいかなかったと思います。
南原:その出会いに気がついたところもいいですよね。そこに気づかない人もいるんですよ。
安藤:そうだと思います。
南原:せっかくの幸運が向こうから来ているのに、それをつかみもせずに後ろに落としてしまう人たちが多いけど、安藤さんはそれを確実につかんだ。たぶんつかむ準備をしていたんじゃないかな。
安藤:それはひょっとしたらあるかもしれないですね。
安藤;それで個人事業主で1年半ぐらいやったんですけど、この識学の理論が間違いないと思ったのと、日本の労働環境がかなりおかしくなっていると思って。当時は「モチベーション」という言葉が大流行していて、従業員のモチベーションを上げることが会社の仕事で、モチベーションが上がらないのは会社が悪いと。
こういうのが横行していたら日本の労働マーケットがどんどんおかしくなるし、社員も成長しないし、社会も弱くなっていく。多くの勘違いがあることで、会社員側も経営側も得をしないということに気づいて、なんとか是正しなければというのが起業の1つのきっかけです。
そういう無駄なことを日本の多くの経営者や管理職がやっていることに気づいて、これを是正して日本の生産性を上げたいと本当に心から思えたので。
南原:僕もよくインタビューで、「どうやってモチベーションを高めたのか」とか「どうやってそれを維持したのか」とか聞かれるけど、いつも「僕、モチベーションありません」と答えるんですよ。
安藤:そうですよね。仕事にモチベーションとか言っている時点でアウトです。これが日本を弱くするプロパガンダだと思っているので、なんとかしたいなという強い思いで自分の会社を作ったというのは間違いないかと思います。
後藤:南原社長が、取材で「僕にモチベーションはありません」とお答えした時に、「それに代わるものは何ですか」という質問があったら、どのようにお答えするんですか?
南原:僕は「これをやるぞ」みたいなモチベーションがなくて、事業というのは普通に淡々とやるんだと。事業計画を書いて、それをきちんと検証して、たまにチャレンジしながらどんどん進めていく。「ファイト一発」みたいなのはぜんぜんないよということですね。
安藤:それってモチベーションというよりテンションですからね。テンションは上がったら下がるものなので。その1点だけじゃなく、世の中にあるそういった無駄なことの是正をしたかったということですね。
南原:なるほど。
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