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青木耕平さんとザッソウ第2回|たとえるなら、苔の食べ方を探求する人(全2記事)

どこの会社にも馴染めず「自分で起業するしか生きていく道がない」 クラシコム青木耕平氏が語る、「居心地の良さ」起点の経営

ソニックガーデンの代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。今回は株式会社クラシコムの代表取締役・青木耕平氏がゲスト出演。生来生きづらさを感じていたと言う青木氏が、起業の経緯を語ります。(第1回はこちら) ■音声コンテンツはこちら

クラシコムの青木耕平氏が登壇

倉貫義人氏(以下、倉貫):倉貫です。

仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。

倉貫:『ザッソウラジオ』は、倉貫と“がくちょ”こと仲山さんで、僕たちの知り合いをゲストにお呼びして、雑談と相談の「ザッソウ」をしながら、ゆるくおしゃべりしていくPodcastです。本日は第2回目になりますが、ゲストはクラシコムの青木耕平さんです。よろしくお願いします。

青木耕平氏(以下、青木):お願いします。

倉貫前回は、子ども部屋おじさんが笑顔の練習をして、人生が変わったという(笑)。

青木:ひどい(笑)。

倉貫:(笑)。

仲山:筋肉のメカニズムを研究した結果、笑えるようになったという。

青木:いや、本当に(こんな話で)『ザッソウラジオ』は大丈夫なのかなと。

倉貫:いやいや、もう最高に雑談っぽいラジオなので。第1回は、しのまき(篠田真貴子)さんにも出てもらったんですけど。第1回だからこそ、本当にふわふわしていたんですが、むしろその感じがいいというか。始めた時のコンセプトも、「これは僕らのためにやるラジオ」だと。

僕とがくちょが、それこそイベント会場で会っても、ちょっとあいさつするくらいで、そこまで仲良くなれてない人をお呼びして、ぐっと仲良くなるみたいな。この言い訳でゲストに呼べるのが『ザッソウラジオ』の目的なので、本当になんでもない話でいいんです。

ただ、そこまで仲良くない人が来ると僕らがドギマギしちゃうので、3回目か4回目ぐらいまでは、本当に仲の良い人を呼ぼうということで、来てもらっています(笑)。

青木:(笑)。

仲山:最近はどうですか?

倉貫:最近、本をいっぱい読んでいるとか。

青木:そうですね。やはり元気が出たので、自分比で総合的に活動量が増えているかもしれないですね。だから本はいっぱい読めているかわからないですけど。自分が一番興味があるテーマの本に、立て続けに出会えている時期かもしれないですね。

事業のミッションにも通じる、「居心地の良さ」の追求

倉貫:最近はどのへんに興味があるんですか?

青木:僕はそんなに人間が好きじゃないくせに、一貫して人間関係に興味があるんですよね(笑)。

仲山:(笑)。

倉貫:(笑)。

青木:僕としては不可解なんですよ。論理で割り切れないリアクションとか、問題・課題の扱い方はずっと興味があるし、自分にもそういう謎なところがあるというか。

倉貫:けっこう人間が好きなんだっていう。

青木:人間が嫌いっていうのも、あんまり感じが良くないですよね。

倉貫:斜にかまえた感じで(笑)。

青木:斜にかまえた感じがするので、嫌いじゃないんですけど。

仲山:嫌いなわけじゃないんですよね。

青木:そう。社交的かって言われればそうでもないし、「すごく人と関わりたい」とか「みんなと集まりたい」ってタイプではまったくないので。でも、世界の中で居心地良く(いたい)。だから、人に興味があるというより、やはり居心地良くいることに興味があるんだよね。

倉貫:ああ、なるほど。

青木:事業のミッションも、「フィットする暮らし、つくろう。」って、ある意味「自分の居心地を良くする人生を作ろう」みたいなイメージじゃないですか。だからたぶん、生まれてこの方、どこかで「居心地悪いな」と感じているんだと思うんですよね。当社比でだんだん居心地良くなっていますけど。

倉貫:そうか。最高の居心地の良さを求めているんだ。

青木:だから今流に言えば、ウェルビーイングに興味があるんですかね。

倉貫:一時、サウナにハマったり睡眠にハマったりするのも、そこにつながっているのかもしれない。

青木:そうだね。もともと体もそんなに頑丈じゃないし、どっちかと言ったら神経も過敏だし、人見知りだし。

倉貫:生きにくさしかない。

青木:生きにくいくせに、会社とかやっちゃっている。

倉貫:(笑)。

仲山:(笑)。

どこの会社にも馴染めず、「自分が食えればいい」と起業

青木:向いてないのに会社をやって、社員だけで100人近いような人たちと一緒に仕事をしなきゃいけないわけじゃない。「居心地悪いなぁ」って(笑)。

仲山:(笑)。

倉貫:(笑)。でも居心地良くするために、自分で会社にしたところもあるというか。

青木:そうなのよ。だから最初は人と一緒にやる気ないじゃん。妹と始めているから、「自分が食えればいい」ぐらいの低い志で起業してるんです。「強いチームを作って世界を変えるぞ」とかって気はさらさらなくて(笑)。

倉貫:(笑)。

青木:「どこの会社や職場にも馴染めず、自分で起業するしか生きていく道がない」みたいな感じだったので。

倉貫:(笑)。いやー、わかる。うちもそうなんですよね。社会不適合な人たちが集まってきちゃっている。

青木:(笑)。

仲山:(笑)。

倉貫:「普通の会社で偉くなったり、管理職はできない。プログラミングしかできないので、もう行くところがない」みたいな感じでやってきた会社だし、「世界を変える」とかで起業したわけじゃなくて。

大きな会社の社内ベンチャーから、「解散させられないように生き残るにはどうすればいいか?」「もう起業するしかない」みたいな感じでやってきたので、スタート地点は本当に志が低いんですよね(笑)。

青木:でも倉貫さんたちも、“居心地ベンチャー”というか。

倉貫:いや、それしかないですよ。居心地(の良さ)を目指している。

大企業が本当に合わなかった

青木:仲山さんなんて、ひたすら居心地(の良さ)を追求しているんじゃないの? 

仲山:そうですね。居心地が悪くなってきたら、もうチューニングをしてますね。だから、仕事でファシリテーションみたいなのができているのは、居心地(の良さ)が軸ですね。

青木:仲山さんは「居心地悪いなぁ」みたいな感覚が、もともとけっこう強めにあったほうなのか。自分が世界にうまく馴染めている実感はある?

仲山:ああ、馴染めてない。

青木:馴染めてないんだ(笑)。だから、みんな(起業する前は)居心地ってどうだったのかなと。

倉貫:僕は前職の時は本当に居心地良くなかった。

青木:そうなんだ。

倉貫:大企業が本当に水が合わないっていうか。「この会社でやっていけるのかな?」みたいな。でもなんとかあがくんですよね。自分の居心地の良い場所を作る活動をずっとやってきて、最終的に起業になるという。「せっかくできたこの居心地の良い場所を守りたい」みたいな感じです。

青木:そう、その(居心地のいい場所を)「守らなきゃいけない」という責任で、どんどん居心地が悪くなる(笑)。

倉貫:居心地良い場所を作ってそこの管理人をしていたら、だんだん居心地が悪くなるみたいな(笑)。

青木:そうそう。やはり他の人の居心地(の良さ)を守ることに、だんだん重きが移っていっちゃうからね。

倉貫:そうですね。

自分の幸せとスキルのアンマッチによるジレンマ

青木:居心地はどうだったのかわからないけど、僕のイメージで言えば、倉貫さんは大企業でもまあまあ評価はされていたんじゃないの?

倉貫:そうですね。これが自分の幸せとスキルがアンマッチしているという。

青木:ははは(笑)。

倉貫:なんか謎に政治力が高かったんですよね。

青木:そういうイメージあるよね。

仲山:得意技が社長プレゼンですものね。

倉貫:そうそう。偉い人に好かれるのが得意なのか、目をかけていただくことがすごくあって。応援してくれる偉い方がいっぱいいて、その方たちにうまいこと説明する能力も高かった気がしています。

こっちはまだ若かったので、「プログラマーとしてプログラミングでやっていきたいと思っているのに」みたいな。でも、「その環境を作るためには、自分の得意な政治力を活かすしかない」と。いや、非常にジレンマでしたね(笑)。

青木:そうなんだ。僕なんか、先輩とか上司からは、基本的に絶対かわいがられない。

倉貫:(笑)。

仲山:(笑)。

青木:政治力もマイナス20みたいな。

仲山:(笑)。

倉貫:(笑)。生きにくいなー。

青木:ほんとだよ。だから今年で50歳になるのに、居心地良くするものの見方や考え方とか、例えばコミュニケーションの方法論で、新しい理解が1個進むきっかけになるような本に出会うと、「おおー!」と思う。

倉貫:なるほど。足りてないからこそ、それを求めているんだ。

青木:そうそう。とはいえ大人になってから20何年それを追い求めていると、普通の人よりは、実はすごく居心地が良くなっちゃっている。でも普通の居心地(の良さ)を知らないものだから、求めていい限度がわからない。「もっとあるんじゃないか?」みたいになっちゃって。

仲山:そうですね。

青木:いろんな人としゃべると、「あ、みんな生きにくいんだな」って思うんだけど、「じゃあ自分はすごく居心地良くなっているか?」って主観的に聞かれると、「いや、ぜんぜんなってないな」と。

倉貫:(笑)。それ、ただ最上志向をこじらせているだけじゃないですか?

青木:ははは(笑)。そうかもしれないね。

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