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The DNA of a Unicorn Leader(全5記事)

Amazonに「悪魔の代弁者」のポジションを設置したジェフ・ベゾス 一流のチームを作るための組織運営の秘訣

世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、世界中の次世代のユニコーンリーダーを特定し、投資するアン・ハイアット氏が登壇。Amazonを成功に導いたジェフ・ベゾスの取り組みについて語ります。

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偉大なCEOには5つの共通点がある

アン・ハイアット氏:AmazonやGoogleをはじめ、コンサルティングの仕事でご一緒させていただいた偉大なCEOたちに共通する、5つの異なる性格の特徴をご紹介します。

私が見てきた共通点は5つありますが、これらの中にも幅があります。そして、ここに脚注を加えたいと思います。これからお話しする人たちは、例えば、組織は完璧ではなく、みんな欠点があります。みんな間違いを犯しています。彼らはそれを最初に認めるでしょう。

でも、私がベストプラクティスだと思うことをいくつか紹介します。この5つの性格特性の中で、「ゴルディロックスの原理(三段階の選択肢があった場合、人間は無意識のうちに真ん中を選んでしまう傾向があるという心理効果)」と呼ばれるものを使います。

ちなみに、これらの画像はすべてAIによって生成されたものです。ですから、非常におかしな画像がいくつかあることにお気づきかもしれません。1つ挙げてみましょう。ユニコーンの耳には2本の角がありますが、これらはすべて人工知能によって生成されたものです。ゴルディロックスの原理という、おとぎ話に基づいた経済学の原則です。

私はヨーロッパに住んでいて、友人たちにこの話をしてみましたが、よく知りませんでした。簡単に説明すると、森で迷子になった女の子が、3匹のクマの家族の家を見つけるお話です。パパベア、ママベア、ベビーベアがいます。パパベアのおかゆは熱すぎ、ママベアのおかゆは冷たすぎ、ベビーベアのおかゆはちょうどいいんです。

それから椅子を試しますが、同様に、硬すぎる、柔らかすぎる、ちょうどいい。そして最終的にはベッド。硬すぎたり、柔らかすぎたりするのですが、ちょうどいいところで彼女は眠ってしまい、後でクマに発見されます。この話の教訓はよくわからないのですが、私たちが探しているのは「ちょうどいい」ということなのです。

というわけで、今日お話しする5つの特徴の、ちょうどいいバランスについてお話しします。この5つの特徴のうち、みなさんがあまり驚かないようなところから始めて、より意外性のある資質に入っていくつもりです。

ちょうどいいバランスの「反対意見」を持つ

最初の特性は、反対意見を持つことです。おそらくあなたにとっては驚くべきことではないでしょうが、誰もやったことのないことを成し遂げるためには、反対意見を持つことが非常に重要です。私が言う反対意見とは、長期間にわたって誤解されることを受け入れる意志です。

あなたは、自分自身やチーム、家族を長期間不快にさせることを受け入れる覚悟が必要です。しかし、これの過度なバージョンは、典型的な強引なボスであり、人やリソースを浪費し、他の誰の意見も気にせず、交渉が不可能で、自分が一番賢いと思っている人です。すべての正しいアイデアを持ち、すべてのジョークがおもしろいと思っています。

それは過度なものであり、私が意味するものとは違います。それ(強引なボスであること)が難しいことを成し遂げるための唯一の方法ではありません。

反対意見の柔らかすぎるバージョンとは、常にコンセンサスによってリードする必要があると感じている人のことです。みんなに理解してもらって、みんなを納得させる必要があると考えます。

そして、もし否定的な意見があれば、疑心暗鬼に陥ってしまうのです。「私はそれを聞いていいのだろうか?」「私は準備ができているだろうか、それとも彼らが正しいのか?」「自分の考えを変えるべきか?」と。疑心暗鬼になりすぎるので、牽引することができないのです。

自分の意見に反対する「牽制役」のポジションを設置したジェフ・ベゾス

私がAmazonにいた頃の例をお話しするのは、おそらく驚くことではないと思います。私がAmazonに入社したのは、2002年のことでした。取締役会はまだジェフ(・ベゾス)のビジョンに確信が持てず、実際、プロのCEOを入れることを検討していました。彼らは、ジェフが途中で組織を倒産させるかもしれないと考えていました。

しかし、ジェフは当時もその後も、何度も報道陣の前で、「何か新しいことや革新的なことをしようとするなら、長期間誤解されることを覚悟しなければならない 」と言っています。これは、ジェフが言った中で私が最も好きな言葉の1つです。彼は、大きな決断だけでなく、一見小さな決断でもそうしていたのですね。例えば、ミーティングの運営方法です。

彼は自分を牽制してくれるチームを持つことにとても熱心で、自分のために「悪魔の代弁者」を演じてもらうことをフルタイムの仕事にしていました。そこで2002年、彼はそれまで社内に存在しなかった、当時は「シャドウ」と呼ばれた、まったく新しい役割を設けました。

最初のシャドウはアンディ・ジャシーで、彼は19年後にジェフの後継者になったので、今ではおなじみかもしれません。それくらいトレーニング・プログラムは長かったのです。アンディ・ジャシーのフルタイムの仕事は、(ジェフの)知的な相手役をすることでした。

最初はただ情報を吸収し、ジェフと同じ視点を持ち、すべてのメールをコピーし、すべてのミーティングに参加し、すべてのフライトに同乗し、常にジェフのそばにいました。ジェフの考え方を吸収し、同じように問題解決する方法を学ぶことで、会社が大きくなってジェフが入れなくなった部屋でも、ジェフの意思決定やリーダーシップ・スタイルを再現できるようにするためです。

Amazonが成功した核心的な要因

基礎的な知識を得た後の彼のもう1つの仕事は、最も難しく、おそらく最も怖い部分です。それは、ジェフの好きなアイデアに穴を開け、盲点を見抜けるようにすることでした。これが反対意見です。おそらくみなさんが思っていた定義ではないでしょうが、ジェフが下す決断の一つひとつに積極的な議論を挿入することです。

そして、これは「なぜAmazonがあれほど成功したのか」の核心的な要素の1つだと思います。彼は、投資家、株主、従業員、同業者には理解されないとわかっていることを実行するために、彼をサポートする能力の高いチームを結成したのです。

私は人に誤解されるのが好きではありません。批判されるのも、頭がおかしいと思われるのも好きではありません。それは私にとって、とても不快なことです。これが優秀なCEOが周りに集めるチームについて非常に慎重である理由だと思います。彼が組み立てるチームには、正しい考え方、正しい気質、正しいリスク許容度、そして“厚い皮膚”が必要です。

厚い皮膚という言葉は私の造語ですが、世界で最も成功したVCの1つであるアンドリーセン・ホロウィッツでおなじみの、マーク・アンドリーセンの言葉があります。「合意することはイノベーションの障害です。もし合意が取れるなら、あなたは新しいアイデアが愚かだと言う周りの人々を聞くことになります」。あなたは、社会的な不快感に対処しなければならないでしょう。

仲間はずれにされるような不快な思いはしたくありません。しかし、もしあなたがミッションに献身し、一緒に設定した目標を達成しようとする人々に囲まれているのであれば、仲間はずれにされたと感じることは少ないでしょう。

長い目で見れば、疑念や不快感、誤解を受けるようなことがあったとしても、サポート体制があれば本当に助かります。だから、嫌われ者になっても生き残るためには、一流のチームを作らなければならないのです。ジェフはこれをとても慎重に行いました。

ジェフ・ベゾスが教えてくれた雇用の基本

拙著『Bet on Yourself: Recognize, Own, and Implement Breakthrough Opportunities』では、私が採用されるまでの9ヶ月間の面接のエピソードを紹介しています。

私がバークレー校の夢のプログラムに入学し、博士号を取得する必要があった時、私の後任として何百人もの候補者を検討しました。私は会社で一番重要な人間ではありませんでしたし、かなり年下でしたが、ジェフに直接接触することができ、彼は自分の周りのチームと親密でした。

そして、私の博士号取得が間近に迫っていたのですが、大学院に入学する日を変更することはできず、後任はまだ決まっていませんでした。そこで私はジェフのところへ行き、「あなたが不採用にした候補者の何人かを考え直してください。私の後任を育てる時間が必要なんです」と言いました。

すると彼は拒否しました。そして彼は、雇用の基本を教えてくれました。それ以来、私はこの基本にならって雇用しています。

彼は、「私が採用するのは、(意見を)前に押し出すのではなく、引き止める力がある人だけだ」と言いました。それがワールドクラスのチームです。だから、適切な方法で意見に反対し、誰もやらないようなことを進んでやるような人たちに囲まれることが、彼の成功における本当に大きな鍵だったのです。

決断で大事なのは、短期的な成功に流されないこと

さて、反対意見には、あなたが期待していたものが少しあります。これはジェフ・ベゾス本人のツイートですが、2つのことに下線を引きました。まず、このツイートの日付を見てください。これはそんなに前のことではなく、2021年10月11日のものです。彼は1999年の記事を投稿しています。

実は、Amazon本社のオフィスに、額縁に入れて飾ってあったものがいくつかあったのですが、そのうちの1つがこれでした。1999年に「Amazon.bomb」と宣言したバロンズの記事(Amazonの将来に悲観的な見方を示した記事)です。ちょうど私が入社する前のことで、ジェフはこれをとても美しく額に入れて壁にかけました。

彼は「これが間違いだと証明するんだ」と言ったんです。その後2年間で、Amazonはその価値の70パーセントを失いました。彼らは短期的には間違っていませんでしたが、ジェフは常に短期的な勝負をしないことを強く意識しています。ITバブルで一夜にして何十億ドルも失った投資家たちからのプレッシャーにも負けず、彼らに可能な限りの価値を提供することに全力を尽くしたのです。

そして彼は、それが長期戦になることを知っていました。だからジェフはいつも会議で、難しい決断をする時は、「短期主義の罠にはまらないようにしよう」と話していました。短期主義とは、簡単に勝利を得ようとする誘惑のことです。

投資家は今すぐ勝ちたいと思っていますし、従業員は感謝祭やクリスマスに、家に帰った時に自慢できるものが欲しい。自分が正しかったことをみんなに証明したいのです。しかし、長期的に見てより大きな利益をもたらすこともあるのです。実際、ジェフは2~3年というスパンで物事を見ることはありませんでした。

ジェフ・ベゾスがAmazonPrimeにかけた思い

彼のスイートスポット(特に事業がうまくいった期間)は7年で、私が彼の下で働いている間、3つの大きなローンチを行いました。最初はAmazonPrimeで、ジェフが会社を倒産させると考え、プロのCEOと交代させることを取締役会が検討していた時でした。

しかし、彼はPrimeを「顧客の周りに堀を掘るようなものだ」と言っていました。覚えておいてください。これはオンラインでクレジットカード決済することが非常に恐ろしく、システムが脆弱だという感覚があった時代です。彼はAmazonを信頼し、何度も足を運んでもらえるよう、人々に教えていたのです。

2つ目はKindleです。彼はソフトウェアの問題やユーザーの新しい行動傾向だけでなく、まだ存在しなかったハードウェアとネットワークを構築しなければなりませんでした。ワイヤレス技術もありませんでしたから、今までになかったものを発明しなければならなかったのです。しかし彼は、これが私たちの成長にとって重要な部分だと確信していたので、信じられないほどのリソースをつぎ込みました。

例を挙げるときりがないのですが、彼が短期的な勝利を拒んだ例で私が一番好きなのは、私たちのオフィスに額に入れて飾っていた2つ目の記事です。「あなたのビジネスモデルは本を売ることですが、カスタマーレビューで大きな間違いを犯していると思います。あなたは儲からないでしょう」 。ジェフはこれを完全に否定しました。

彼はAmazonのことを考える時、「自分は本を売るためにいるのではなく、消費者が正しい判断で購入できるようにするためにいるのだ」と言いました。これは考え方の大きな違いです。彼は長い目で見ていました。人々がAmazonを信頼し、独自に購入の意思決定をしてほしいと思っていました。

これは長期的な決断でした。そして、ジェフの功績として、CEOとしての在任期間中、株主へのリターン率が12,431パーセントに達しました。なぜなら、彼は長期的な視野を持ち続けたからです。これは、誰もが彼を疑問視し、批判し、「Amazon.bom」の見出しをつけられても折れなかった、ジェフが反対意見に従わなかったことの究極の例です。彼は「顧客に奉仕する」という長期的なビジョンに忠実であり続けました。

あえて厳しい環境に身を置き、挑戦し続ける

では、私たち普通の人々、つまり小さな愛らしいスーニコーン(近い将来ユニコーン企業になる可能性が高いスタートアップ企業)の状態にある私たちは、これをどのように翻訳すればいいのでしょうか? 

社会科学にはクラスタリング(データセットを、特定のルールに基づいていくつかのグループに分類すること)と呼ばれる原理があります。偉大な哲学者について考えてみると、彼らはギリシャに集まっていました。偉大な芸術家や画家なら、ルネサンス期のイタリアについて考えるでしょう。すばらしいファッション・ハウスについて考えるなら、フランスを思い浮かべるかもしれません。

あるいは、技術について考えるならシリコンバレーがありますし、世界を変えるユニコーンは、ここサウス・バイ・サウスウエストにあります。ですから、志を同じくする人たちと集まれる機会を考えてみてください。私は今スペインの小さな町に住んでいますが、これはシリコンバレーの中心部から、スペインの小さな町へ行くまでの長い物語のようなものです。

これは私にとって、最大のチャレンジの1つです。なぜなら、シリコンバレーに住んでいた時のように、近所のコーヒーショップでコーヒーを飲むことはできないからです。でも、インターネットのおかげで、同じ志を持った人たちが集まってくる機会がたくさんあります。家族から正気を疑われたり、友人から理解されなかったり、仲間はずれにされたりするなら、同じ志を持つ仲間を見つける必要があります。

では、このような疑いや苦難の時に、自信を得る方法を紹介しましょう。このすばらしい神経科学者は、「自分に挑戦する厳しい環境に身を置くことで、厚い皮膚が作られる」と言っています。私は、私をとても恐ろしい環境に置いてくれた運命にとても感謝しています。

私は準備ができる前に、起業家精神という海のプールの奥深くに放り込まれました。その流れにとても感謝しています。ですから、挑戦し、新しいことをやれる環境を探してください。それが、反対意見を持つための最善の方法です。

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