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公開セミナー「リーダーのひと言のインパクト」(全3記事)

悪気なく人を傷つける「一言」ほど、自分では気づきにくい 3万人を指導してきた一流ファシリテーターが語る、言葉選びの重要性

「非効率な会議が増え、社員のモチベーションが下がっている」「職場での雑談の機会が減り、社員同士の相互理解が難しい」。そんな組織の課題を抱えている経営層や管理職に向けて開催された本イベント。本記事では、『一流ファシリテーターの空気を変えるすごいひと言』の著者である株式会社共創アカデミー代表取締役の中島崇学氏が、言葉が持つ影響力の大きさについて語りました。

3万人を指導してきたファシリテーター・中島崇学氏が登壇

中島崇学氏:今日は、『空気を変えるすごいひと言』の出版のタイミングでセミナーを開きました。本の一部の抜粋もあるし、せっかくだから本に書かれていないこともかなり盛り込んでいこうと思います。

あらためて自己紹介です。私はNECにおりまして、その時分から、特にコミュニケーションにおける組織開発を中心に、社内外で人材育成・組織開発に従事していました。

2019年に独立し、株式会社共創アカデミーを運営させていただいています。その中では、さまざまな業種・業界の現場最前線のリーダーの方々と接していますので、いちサラリーマンであった時より、いろいろな会社の状況がわかっていて、社会の動きが手に取るようにみえます。転換期の今(社会を)どう変えていくかのヒントが、リーダークラスのひと言にあるんじゃないかと思っています。

そうした実感を積み重ねて、12月5日にダイヤモンド社さんから『一流ファシリテーターの空気を変えるすごいひと言』という本を出版させていただくことになりました。

今日のセミナーのゴールです。「リーダーとして、ひと言の大切さを認識する」。どう意識して、どう考えて使っていけばいいのかにつながればと思います。

日頃、我々は言葉を選択して話しているわけですが、選択している認識がないまま話していることもあります。ひと言ひと言に大切な責任を伴うのであれば、本当は選択肢がいくつもあればいいわけですね。

そういった選択肢がいくつも手に入るような、そして選択肢を考えるポイントが手に入るような時間になればいいと思います。

ということは、お一人おひとり、自分の職場やチームをイメージして、そこで起きている問題が大事ですよね。そして、そこで起きている問題を解決しないことには、今日のセミナーは意味がありません。

今日はたくさんの実践家の方々がお見えになっていますから、私のみならず、ここにいる方々で知恵を分かち合うような時間にするためにも、双方向感を大事にしていきたいと思います。

何よりも、自分の気づきが宝です。どんどんメモっていただいて、そのメモが一番の宝になると思っています。

リーダーの「ひと言」への期待の声

そして、この場の大前提です。本日はひと言のインパクトの話をしますが、実生活を思い出していただいてもわかるように、どの言い方がベストなのかは、さまざまな状況、事情によって違います。ですから、この場の大前提は、「誰も間違っていない」ということです。違いがあるわけですから、今日は違う気づきを持って帰ってもらえればいいですし、また違う気づきをここで出し合ってもいいです。

私のこの話自体が、みなさんの認識と違っていてもいいわけで、参考になればいいんです。自分の気づきが宝です。今日はこういう時間にしていきたいと思います。

今日の流れとしては、まずはリーダーのひと言のインパクトについて話します。ひと言についての私の思いを含めて、リーダーのひと言って何だと。そしていくつか具体例を出して、ついついやってしまっているひと言をどうしていけばいいか考えていきます。最後におまけで、おすすめのひと言も入れていきます。このようなシンプルな流れで1時間やっていきたいと思います。

そこで、ウォーミングアップとチャットの練習も兼ねて、一度挙げていただきたいことがあります。それは、今日の期待です。終了までの時間でどんなことが手に入ればうれしいのか、どんな時間になればうれしいのか、そのへんを書いていただければと思います。

「使いたくなるひと言が1つでも手に入ったら」「言葉の選択肢」。そうですよね。「固まった空気をほぐす効果的なひと言が会得できる」。明確ですね。「良い雰囲気を作る」「具体的な良いフレーズ」「インパクトを与えられるひと言のヒント」「マンネリ感がある状況を改善したい」。どうしても日常はマンネリ感が出ますね。

「場のエネルギーが上がるキレのいいひと言」「言葉の力を感じたい」「効果的なワード」「心構えができている」「雰囲気のコントロールができるひと言」「これまでなら選択しなかったひと言を選ぶ感覚」「チームのメンバーの意見出しにつながる声掛け」。なるほどね。

「今の自分をいろいろ確認したい」。そんな時間にも役に立ちますね。「後から振り返った時に『あんな言葉言われたなぁ』とメンバーの心に響く言葉が欲しい」。自分の言葉、覚えておいてほしいですよね。「自分のエネルギーが乗るひと言」。大事ですね。エネルギーが乗るってどんなことなんでしょうか。

「相手が動きたくなるようなひと言の伝え方のヒントがわかるとうれしい」。そうなんです。自分が伝えたいことを伝えるんじゃなくて、相手が動きたくなるかどうかが大事ですね。

言葉は人生全般に大きなインパクトを与える

「言葉の選択肢があることを意識したい」。そうなんです。実に、私たちは言葉や行動を選択している自覚がないことが多いですね。これ(無意識の反応)をリアクションと言いまして、選択している反応や言葉のことをレスポンスと言います。

どうも我々はリアクトしている時間が多くて、レスポンスしている時間が少ない気がします。今日はレスポンスの時間が増えるようにしたいと思います。

「緊張しなくなる雰囲気になるひと言をお願いします」。そうなったらいいですね(笑)。ありがとうございます。

今チャットで練習していただいたように、感想とか質問はチャットでもいいですし、Q&Aの欄でもけっこうですので。どんどん入れておいていただければ、最後、お時間の許す範囲でご回答していきたいと思います。双方向感が大事なので、全員の期待に答えられるような時間になればいいと思います。

まずは、「『ひと言』への想い」からいきたいと思います。今回の出版のテーマでもあるわけですね。その「『ひと言』への想い」を語る前に、少しお聞きしたいことがあります。

みなさん、一人ひとりに人生があるわけですが、自分にインパクトを与えたひと言って、どんなものがあったでしょう。人生全般ですね。親でも友だちでも上司でも部下でも、いろいろな方々に支えられ、囲まれて生きているわけです。良いひと言、悪いひと言、思いを馳せてください。

真剣に思いを馳せると、さまざまな人生の場面場面が走馬灯のように流れてくるわけですね。チャットにも入れていただいて、ありがとうございます。「あなたの言葉に救われた」。言われたいですね。

お一人おひとりに、大切な言葉があるのではないかと思います。私も同じように、思い返すとさまざまな言葉があるわけです。それを語りだすと、きりがありません。今日はそういうことを語る時間ではありませんが、さまざまな言葉に自分の物語があります。そして、自分の感情が乗っていくわけですね。

言葉って、それくらい影響力があります。リーダーじゃなくても、人生のさまざまなところで影響を与えているわけですよね。

心にない念仏も、一生唱え続ければ「生き方になる」

今日は特に職場のリーダーとして、組織のリーダーとして、どんなインパクトがあり、どう大事にするかを考えていく時間なんですね。その時に、私の大事にしている言葉があります。それは空海さんが言った「三密」で、「身口意(しんくい)」という言葉なんですね。

「身密(しんみつ)」「口密(くみつ)」「意密(いみつ)」、それぞれ「密」があります。人にはもともとさまざまな動作や仕草があり、そして言葉があり、心があります。こういった非言語の動作、仕草、言葉、心の総和で人に伝わる、コミュニケーションがあります。人にインパクトを与えたり、自分の生き方にインパクトが出たりするわけですね。

お釈迦さまはこの中で、どれが一番大事だと言ったと思いますか? 私のメンターの1人に仏教の研究家がいたのですが、これをその先生に聞かれました。「それは心でしょうよ」と、普通にそう思うわけですよ。

ただ、先生は「違う」と言ったんですね。お釈迦さまは、「一番大事なのは言葉だ」と言ったわけです。私は「え? どうして言葉なんですか?」と聞いたら、「言葉だったらすぐに変えられるしお金もかからない。そして続けようと思えば続けられる。心はすぐに変えられない。仕草もそうだ」と。

「言葉が一番変えやすいから、言葉を変えていって積み重ねていけば、やがて心になっていく。そして、生き方にもなっていく。だから、言葉なんだ」と言われました。

この考え方が、仏教の「口称念仏」です。念仏の考え方ですね。心にないけど、一生唱え続けていれば、それが生き方になるということですね。つまり、本来ハードルが非常に低いんです。そして、それをやっているうちに心になることを「言霊」とも言います。日本人がとても大事にしていることですね。

そして心が乗ってくれば、言葉はますます伝わるんですよ。つまり言葉をしゃべっていくと、心になっていきます。それが行動に反映されるわけですね。「身口意」で言うところの「身(行動)」に反映されます。行動に反映されると、ますます説得力が出ます。心に反映されると説得力が出て、こうして積み重なっていくわけですね。

悪気のないひと言が、職場の軋轢やモチベ低下を生む

なので、まず言葉からスタートしようということです。さまざまなマネジメントが難局に差し掛かっているとすれば、どこから変えればいいのか。あれこれ考えても頭が痛くなってしまうので、まずは簡単なところから変えて、それを繰り返していこうじゃないかということですね。

そしてリーダーは、まさに冒頭でいろいろな方から(コメントが)あったように、言葉を選択している意識があまりありません。つまり、リアクティブに話をしているわけですね。

そのことによって、さまざまな軋轢が起きているのをみなさんも実感していると思います。つまり我々は、悪気がないのに言葉で人を傷つけたりしているわけです。これはすごくインパクトがあるので、こういうことを避けたいわけですね。

つまり、良い人が悪気なく人を傷つけていることが実に多いです。これも客観的に見ているとけっこうわかるけど、自分がやっていることは、わからなかったりします。それが、さまざまな職場の軋轢やモチベーションダウンや生産性の低下を呼んでいるわけですね。それも気になります。

あともう1つ、言葉を唱えていくと、だんだん潜在意識につながってきます。ご存じのように、「幸せだ、幸せだ」と思っていればドーパミンやオキシトシンが出て、健康に良い影響があります。ずっと暗いことを考えていると、体まで悪くなってしまうことは、なんとなくみんな実感的にわかっていると思います。

人間の行動は95パーセントの潜在意識と5パーセントの顕在意識で決まると言われているように、潜在意識をかたちづくるためにも、言葉は重要です。言葉が潜在意識をかたちづくって、行動を規定していることもあります。そうやって考えると、一番手っ取り早い言葉を、意外とみんな軽視していないかと。

言葉巧みな人が、上手な言葉だけを使って、心がこもっていないことを、昔から「戯論(けろん)」と言うんですね。あなたの言っていることは「戯言(ざれごと)」だと。そういうことで軽んじてきましたが、今こそ、そういった言葉をもう1回見直して、リーダーシップで大事な言葉をしっかりと考えていきたいと思っています。

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