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VUCAの時代のリーダーシップとマネジメント、そして人材育成(全2記事)

マネジャーとは「管理する人」ではなく「なんとかする人」 今の時代のマネジメントに必要なたった3つの要素

Sansan株式会社が提供するキャリアプロフィール「Eight」、朝日インタラクティブ株式会社が運営する中小企業向けウェブメディア「ツギノジダイ」の共催イベント「日本を変える 中小企業リーダーズサミット2023」より、「VUCAの時代のリーダーシップとマネジメント、そして人材育成」をテーマに語られた伊藤羊一氏の講演の模様をお届けします。変化が激しく、1つの正解のないVUCAの時代は、どのようなマネジメントやリーダーシップが求められるのか、同氏の考えが語られました。

VUCAの時代のリーダーシップとマネジメント

伊藤羊一氏:伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今日は「VUCAの時代のリーダーシップとマネジメント、そして人材育成」ということで、やたらてんこ盛りでございますけれども、30分お時間をいただきまして、いろんなことをお話ししたいと思います。ちょっと早口でいきますが、ものすごく大事な事をいっぱい話したいと思いますので、ぜひ、集中力をMAXにして聞いていただければと思います。

自己紹介をしますが、いろんなことをやっています。その中でもメインにやっているのは、日本でここにしかない、アントレプレナーシップ学部というのを武蔵野大学で立ち上げまして、そこの学部長で、今3年目です。

あとはZホールディングスとか、グロービスとかウェイウェイとか、本を書いてとかございます。先に一言申し上げると『1分で話せ』という本を出しているんですけど、私、めちゃめちゃ話が長くて、30分で終わるかなというのだけが、今日の私の心配ごとですが、こんないろんなことをやっている人間でございます。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部のキャッチコピーは「会社に入るか。社会を創るか」ということで、「なんだそりゃ」と始まる前に言われたんですけど、3年目でようやく社会でもだいぶ浸透してまいりました。6月1日にはMusashino Valleyというスタートアップスタジオを三鷹で開業したり、あとVoicyというインターネットラジオをやったりという人間でございます。

いろんなところでマネージャーを見てきたし、自分自身もマネジメントをやっています。ですから自分がマネジメントしたり、リーダーシップを発揮したり、そういう人を見てきたりもしましたので、その観点でまずチームをどうマネジメントするか、どうリードするかについて、お話をしていきたいと思います。

インターネットにより「タテの社会」から「ヨコの社会」に

最初に申し上げたいんですけれども、社会が変化してきてるんですね。だから、みなさんも変わろうということでございます。どう変わっているか。一言で言うと、タテの社会からフラットなヨコの社会に変わってきてるということですね。

その背景としてちょっとだけ申し上げます。要はインターネット時代でございます。インターネットは今ですとPCからスマホになって、歩きながらインターネットが使えるという状況なんですけど、ここから先ですね。

だんだんそうなってきているんですけども、インターネットがスクリーンの外へ出てつながるということですね。スクリーンの外って何? というのは、今みなさん、スマホとかスクリーンの中で、例えば乗り換え案内を見て、天気を見て、そしてLINEをしてみたいな感じでコミュニケーションしたり、ニュースを見たりしているんですけど、このスクリーンの外に出るということですね。

いろんなものがインターネットとつながってくるということです。みなさまが今ご覧になっているPC、スマホはインターネットとつながっていますけれども、そこから周りに目をやっていただくと、例えば照明とか、空調とか、みなさんが座っている椅子や机。こういったものもインターネットとつながっていくということですね。

以前、Internet of thingsと言われていましたけども、今それがよりリアルになって、インターネットもすべてのものとつながる。Internet of Everythingという世界になりつつあるということでございます。

スマートスピーカーだとわかりやすいんですけども、ロック(鍵)なんかもインターネットにつながるようになってきて、徐々に冷蔵庫だの照明だの椅子だのがつながる世界になってくるということです。

データが増え、インターネットの時代からAIの時代に

そうすると何が起きるか。データがたまるんですね。このグラフは、インターネットの中にあるデータ量のグラフです。2000年からほとんど何もなかった2010年ぐらいまでが、PCのインターネットの時代です。どんどんみんながパソコンを使い始めました。

みなさんは動かないでパソコンを使うということで、仕事とか家でインターネットを使っていた時代です。それでも、計算してみるとデータ量が1000倍ぐらいにはなっているわけですね。

そして2010年から2020年の10年間、これはモバイルインターネットの時代ですね。ドーンと増えて40倍になったということです。いろんなデータがインターネットの中にたまっていく。これが、2020年から2030年、いろんなものがインターネットとつながっていくと、この2030年に向けてどうなるか。このグラフがさらにドーンと伸びて、この画面を遥か超えて天井ぐらいまで、データ量が増えるということになります。

そうすると、AIが賢くなるんですね。昨今、AIがいろいろ流行っております。いろんなことで触られた方も多いんじゃないかなと思いますけれども、AIが賢くなるのはなんでかと言うと、データがむちゃくちゃ増えているから。こういう時代になっているわけですね。

このグラフをご覧になっただけでも、なんかデータがたまってすごいことになっているよねと思うと思いますけれども、ここからの10年でもっと増える。もっと凄まじい変化が訪れることになります。そうするとどんどんいろんなものがインターネットとつながり、データが増えてAIも使えて、世界が変わってきます。

そうするとどういう社会になっていくかを、ちょっとまとめて考えてみたいと思います。経済としては、先ほど私が申し上げたように、タテの社会からヨコの社会へ変わってきているんですね。

わかりやすく言うと、縦はヒエラルキーの社会です。今ももちろんヒエラルキーはあると思います。けれども、昔はものづくりをしていて、ヒエラルキーで常にモノを作っていた時代だと思っています。

「みんな違ってみんないい」マネジメントが重視されるように

今の時代は、1995年にWindows95が出てから、どんどん社会はインターネットの時代になってきたと。そうすると、以前のモノを作っていた時代から、意味が大事になってきている。要するに「同じものが欲しい」ではなくて、「こんなサービスがあるといいよね」「こんなサービスがあると自分は便利かな」「でも、自分が便利でも、他の人にとっては便利じゃないかもしれない」、こんなことが追求される。だから、Why(コト)とか質が大事な時代になってきているんですね。

なので、非常にわかりやすくシンプルに言ってしまうと、昔は正解があったわけですね。車といえば車だし、みんな車が欲しいし、みんな洗濯機が欲しいし、冷蔵庫も欲しいし、空調も欲しい。こういう時代だったんですね。正解があったので、それを作って改善するというのが求められていた。

これは、ヒエラルキーの中でやっていくことだったんですが、時代が変わってインターネットの時代になる。そうすると今までになかったもの、まったく新しいものを作ったり、まったく新しく作ったものを抜本的に改造する、変革していくことが必要になる。ものづくりの時代からインターネットの時代へ。それは正解があって、改善すれば良かった時代から、創造と変革が必要(な時代)になってきたということです。

これをもう少し深掘りしてみると、マネージャー・リーダーの仕事は教える・指導することが大事だったのが、横の社会になって、指導するのではなくて、対話と議論の場(になった)。要するにいろんなところから、いろんな意見が出てくるのが重要になってきていると。

命令は上意下達でよかったのが、一人ひとりが大事になってきている。そしてメンバー画一な同じ顔でよかったのが、みんな違ってみんないいというのが求められてきている。昔は“正解”を“早く正確に”というところが、自分の想いこそが大事になってきている。こんな背景の変化がある。つまり、一人ひとりに目を向けて、みんな違ってみんないいというマネジメントが必要になってきているんですね。

マネジメントとは「なんとかする」こと

では、マネジメントって何ですか? 何を優先させていますか? ということについて、あらためてお話したいと思います。マネジメントという言葉、めっちゃ出てきますよね。だけど「マネジメントって何ですか?」と言われると「何だっけ?」ということで、「管理」と思ったりもします。ここをちょっと考えていきたいと思います。

マネージする(manage)ということですね。マネージャーが管理職と言われるので、マネージするという動詞だと、「管理する」と思われたりします。そういう要素もあると思いますが、「なんとかする」という意味もあるので、どっちかと言うと、なんとかすることが「マネージする」だと思いましょう。

なので、「マネージャーって何ですか?」というのは、管理する人、偉い人、というのも間違いではないですけども、どっちかと言うと「なんとかする人」だと考えていただけたらと思います。

なので、マネージャーと言うとなんか「偉い人」みたいな感じで「マネージャーの言うことは聞こう」みたいな感じになっちゃったりもするんですけど、これは単なる機能であって、「なんとかする」機能を持っている人なんだということです。そのマネジメントという仕事があろうがなかろうが、これはみんなで取り組むべき話であって、マネージャーだけが偉い、マネージャーだけが管理する、マネージャーだけがなんとかするのではないんですね。

じゃあ、「なんとかする」というのはどういうことか。マネジメントとかリーダーシップの仕事を定義すると、要はゴールがあって、チームをゴールに導いていく。こういう存在がマネージャーであり、リーダーです。

つまり、マネジメントとかリーダーシップには何が必要かというと、チームをゴールに導いていくためにやることを全部やるし、導くということが大事になるわけです。「チーム」と「ゴール」と「導く」、この3つしか要素としてはないんです。

チームの力を最大化できる2つのポイント

それぞれがどういうことか、もうちょっと細かく言うとこうなります。ゴールに関しては「ゴール設定し、チームに共有する」ということです。この矢印の部分、いきなり課題だけ出して「ゴールはこれね」とやってもらうのではなくて、その時その時で、「プロセスを明確にして導いていく」ということが大事ですよね。これは当たり前ですよね。

そして、「チーム」は「チームの力を最大化する」ということ。これではさすがにちょっと雑なので、もうちょっとブレイクダウンします。どうしたらチームの力を最大化できるかというと、2つあると思っています。

1つは昨今流行りの「心理的安全性の高い職場にする」。「心理的安全性が高い」という言葉も、もうちょっと定義をわかりやすくしたいと思います。要するに「来たくなる」職場にするということです。それからもう1つ。「言いたいことが言い合える職場」にすることです。

「心理的安全性が高い」のはぬるいということじゃなくて、来たくなるし、言いたいことが言い合える。文句も言える職場だと僕は考えています。

そしてもう1つは、「個人の才能と情熱を解き放つ」。つまり、チームの力を最大化するためには環境もつくるし、それから個人個人も解き放つ。こういうことが大事になる。先ほどのようにこれを組み合わせると、このスライドのようになりますね。

そのためにどうするか。いろいろやっている中で、気づいたんですけど、結局これは、コミュニケーションの問題ですよね。

つまり、チームって人の集団なので、人の集団が成果を上げていく。この4つの箱が満たされていくためにどうしたらいいかと言うと、コミュニケーションをちゃんとしようぜということですね。

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