CLOSE

成長組織のNo2に共通する能力とは(全4記事)

「相談ができるから」でナンバー2を選んではいけない 社長がNo2に「結果」を求めないことで失うもの

株式会社識学が主催した経営層向けのオンラインイベントに、創業当初から営業部門を率いてきた同社副社長の梶山啓介氏が登壇。「成長組織のNo2に共通する能力とは」と題して、組織内の役職によって異なる「時間軸」や、No2に「長期的視点」を持たせる権限やタスクの渡し方などを解説しました。

社長がナンバー2に「結果」を求めないことで失うもの

梶山啓介氏(以下、梶山)「結果」と「経過」の違いをお伝えしましたが、No2が結果で評価されない組織はどうなるのか。社長は結果で評価する市場から評価を得るために、一生懸命考えて動きます。その結果で評価する流れを上から下まで落としたい。でもそれがNo2で止まってしまいます。

結果で評価されないので、経過を上手く見せたり、社長のポイントを押さえた発言をしたりして、No2の成長が鈍化する。

No2以下の人たちは結果で評価されているかもしれませんが、自分の上を見た時に、No2がずっと経過評価だと、果たしてこの組織に自分のこの先があるのだろうかと思うんですよね。そうして、辞めてほしくない人ほど辞職していくということにもなります。

トップも人間なので、相談ができたり、共感できる人を近くに置きたい。でも結果で評価すると、結果が出ていないためにNo2を落とさないといけないことも出てくる。そういった心理から結果を設定しづらいケースもあると思います。

しかし組織の成長を考えて、自分ができていないところをなんとなく全部任せるのではなく、しっかりNo2に役割と結果を設定して、走らせていただきたいです。これが3番目の「結果で評価されている」になります。

組織内の役職によって異なる「時間軸」

梶山:最後の4つ目は「トップからの指摘を時間軸の違いで捉える」です。組織には高さがあって、高さによって見える景色や時間軸が異なります。

社長は一番高いところにいて、会社の未来の成長を考える責任があり、それに向けて今、何をするかという意思決定をしている。No2はその下にいるので、視点もちょっと手前です。部長はさらにもうちょっと手前、メンバーはもっと手前というように、役割によって、持っている責任の時間軸が異なります。

No2はどうしても現場業務が多く、人間の意識は環境に引っ張られるので、現場よりの視点がどんどん強まり、本来求められている長期的視点が欠ける傾向が出てしまうんですね。

私も創業時からずっとNo2としてやってきて、最初はほとんど社長と僕しかいないですから、ただの営業マンだったんですね。その後、人が増えても私の視点が営業マンから抜け出せていなかったので、ある時そのことを社長から指摘されました。

営業だけでなく、人の採用なども行うようになっていましたが、営業は今のアポ、今の数字ですけど、採用や育成というのは未来の数字につながる。時間軸がもう少し長くなるわけですが、この採用計画がズタボロだったわけですね。

日中はどうしても目の前の売上を考える必要があり、「あれもやらないと」となると生産性が落ちるので、長期的な視点で物事を考える時間をルーティンで確保することにしました。

主に朝ですね。朝一番に、必ず20分から30分くらい、中長期的な視点の題材をチェックして、気づきがあったら社長に確認する。そして、日中は目の前のことをこなしていくルーティンに変えたんですね。そうすると、今まで社長から指摘されていたことを、先回りして聞けるようになってきました。

基本的に部下が上司に怒られるのって、自分で行動を把握していない時ですよね。把握していることに関しては、「こうしたほうが良いんじゃないの?」とかける言葉の質が変わるんですけど、考えていないことに関しては、上司も不安になる。「なんで考えてないの?」となるわけです。

なので部下の立場で言うと、ちゃんと求められている視点で物事を認識しているかどうかを見ていくことですね。

No2に「長期的視点」を持たせる、権限やタスクの渡し方

梶山:これもケーススタディを用意しました。「あなたはNo2です。トップから『意思決定のスピードが遅い』と指摘されました。あなたならどのように対応しますか?」というものです。

「意思決定が遅い」という、わりと粒度大きめの指摘が入っています。No2としては、これをしっかり分解して、わかるまで社長に聞きに行ける能力が必要かなと思います。

社長を主語にすると、曖昧な指示を飛ばしてしまうのは致し方ないところがありますが、そのあとで確認しに来る部下を鬱陶しく思わないことですね。しっかり評価を得ようと動いている、貴重な行為だと捉えて、しっかり時間を取っていただきたいですね。

意思決定が遅い理由は、2つの場合に分かれます。まず、考えているけれど決断ができていない場合。「もう把握してるよ」という場合は、決定と修正のスピードを上げてもらえばいい。

もう1つは、意思決定する時間を確保できていない場合ですね。自分の日々の業務の中でチェックできていないのであれば、考える時間を用意する。

さらに応用編として、今後の意思決定の時間も短縮したいので、類似ケースでの応用・適用も想定しておくと良いですね。

社長の立場で見た時、幹部にもっと先の意思決定をしてほしいのに手前になっているのであれば、求めている役割に準ずるような権限やタスクを渡したらいいんです。「売上を作れ」はわりと手前ですけど、「人をどう入れるの?」とか「広告宣伝費どう使うの?」になると、少し時間軸が伸びるんですよね。

なので、売上を作ることにおいては問題のないNo2を幹部として成長させたい時は、採用計画であったり、「広告宣伝費をどう使うか、四半期で計画を出して」と指示をすると、視点が先にいきます。

これはあまりないケースだと思いますが、逆にめちゃくちゃ先の戦略はできるけど、数字を作る意識が抜けているなら、長い時間軸で渡しているタスクを控えて、手前のほうに対する管理を強められるといったコントロールをします。

では時間になりましたので、私からのご案内は以上です。このあとは質疑応答に入らせていただきます。ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • “退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!