2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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加留部有哉氏(以下、加留部):今回のイベントの開催背景なんですけど、Forbes JAPAN 2023年5月号の『「最高の働き方」を探せ!』に、令三社の山田裕嗣さん、そしてRELATIONSの長谷川博章が、特集というかたちで取り上げていただいております。
「会社に生命力を」「自律型組織への挑戦」というかたちで取り上げていただいているんですが、今回のイベントもそこを掘り下げるかたちで、どういうふうに会社に生命力を作っていくのか。そのために自律型組織というのがどのように役立ったのか、というところを扱っていければと思っております。
まだまだこの「自律型組織」は歴史も浅くて、経験値であったりとか共通の知識が公開されていないような状況だと思っておりますので、今日はそこに共創の輪を広げていきたいと願っておりますし、実践知というのを惜しみなくみなさまにお伝えしていければなと思います。
そのために今回、ケースを3つ用意させていただいております。さまざまな企業さんとディスカッションさせていただいたりご支援させていただく中で、やはりあるあるの組織課題とか。「どうしてもここは停滞してしまっているな」みたいなところが共通項としても浮かび上がってきました。
新規プロジェクトの成果が期待以上に上がらないといったケースとか、業務改善を行っても目に見えるような変化がなかなか生まれなかったりとか。あとは人事再編してせっかく人材を抜擢したのに、なかなか活躍してくれないとか。そういったケースというのを取り上げさせていただければと思います。
この組織課題というのをケース別に取り上げていくんですけど、切り口として「自律型組織」、あと「ソース原理」という言葉が出てきます。そういうようなものの見方をしたら、このケースというのはどうとらえられるのか、どういうことができるのかといったところを話していければと思います。
ぜひみなさま、自分の会社とか今の状況だと、どういったことができるんだろうと考えながら聞いていただくと、大変有意義な時間にできるかなと思ってますので、よろしくお願いします。じゃあ簡単にスピーカー紹介とゲストの紹介をしていきたいと思いますので、最初に長谷川さん、よろしくお願いします。
長谷川博章氏(以下、長谷川):よろしくお願いいたします。今日は本当にシンプルに、山田さんといろいろと事例を含めて話せるっていうのも素直に楽しみにしてまして。私自身も楽しみながら進めていけたらなと思ってます。
簡単に自己紹介させていただきますと、もともと私は1社目、ベンチャー・リンクという会社に勤めて、27歳の時に今のRELATIONSを創業いたしました。今15年間経営してきておりまして、事業としてはコストの最適化と組織作りのお手伝いをするコンサルティングを展開しております。これまで800社を支援させてきていただいております。
今日いろんな事例でもお話しさせていただきますけれども、私の15年間の経営そのものが、ある種実験的なことをいろいろやってきたという感覚もあって。どちらかというと失敗をたくさんしてきたので、みなさまにその失敗から学んだことをお届けしたいなとに思っています。
特にやはり大切にしているのが「会社に生命力を」というパーパスにも表現されている領域でして、一人ひとりが本来持つ情熱であったり衝動みたいなところを、ちゃんと経営の中に活かしていく、事業の中に活かしていくということがかなり大切だなと思っておりまして。そこをずっと探求をしながら、RELATIONSという会社を今、運営をしてきております。
簡単にちょっとRELATIONSの概要だけご説明すると、今30名ほど、パートナーの方々も含めるとだいたい40名ぐらいの規模で展開をさせていただいております。コストと組織作りというところなんですけれども、領域として聞くと「違うんじゃないか」って聞こえる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちから見ると、コストと組織づくりはかなり密接につながっている領域です。
例えばコストの領域を突き詰めていくと、必ず組織課題にぶち当たっていくと見ています。本当に全社横断でのコスト最適化を進める時に、部門同士で少し目的が違ったりすると、対立してそこから進まないっていうことがよくあると思うんです。
こういったところをちゃんと最上位の目的からすり合わせて、パーパスからきちんと経営をしていくと、自ずとコストの構造も最適化されていく。そういうところのお手伝いも最近ではさせていただいております。
少し自律分散のホラクラシーとか、そういう取り組みもやってる会社でもあるので。最近でいうとホワイト企業大賞とか、Forbesなんかの掲載もそうですし、キャリアオーナーシップというアワードも最近取らせていただいて。少しずつ社会から認められていることも、私自身少しうれしく思ってます。
そのへんの実践知も今日いろいろと赤裸々にお話しができたらなと思っております。よろしくお願いいたします。
加留部:よろしくお願いします。じゃあ続いて裕嗣さん、お願いします。
山田裕嗣氏(以下、山田):こんにちは、令三社の山田裕嗣と申します。今日はよろしくお願いいたします。先ほどちょっと出てきた「ソース原理」というものの、英語で2冊本が出ているうちの1冊を昨年の秋に翻訳をしていまして、そのご縁でこの間のForbesの特集も含めて掲載いただいています。今日もその文脈も含めながらお話しをさせていただければと思っています。
ざっくりと経歴で申し上げると、新卒で私は、大企業向けの人材育成を支援するセルムという会社に入りました。当時50人ぐらいで会社はちっちゃいんですが、お相手するのは日本の各業界の大企業の人事のみなさん、みたいなところをやっていました。わりと最初の5~6年は日本の大企業の文脈にどっぷりといました。
そのあとたまたまご縁があって、スタートアップの経営に創業メンバーとして携わらせていただいて、代表取締役COOを5年ぐらい。ここで言うとサイカという会社ですね。そこでBtoBのSaaSの会社の経営をやらせていただいて、そのあと少し経って、もう1つ。ABEJAというAIのスタートアップの人事の責任者をやらせていただきました。
スタートアップの世界に2012年からいます。色濃くいたのは最初の5~6年で、その後もなんだかんだABEJAであったり外からご支援をしたりと携わっているので。両足を突っ込んでた時期から片足を突っ込んでた領域から、スタートアップの界隈にもなんだかんだ10年ぐらいす、というところが2つ目のキャリア。
3つ目に、サイカという会社の代表を退任したのが2017年。6年前です。そこから「より良い組織の作り方ってもっとあるんじゃないかな」っていう問いが自分の中にすごくあったので、世界中の新しい「組織のあり方」の探求を始めました。
この図でいくと上のところ、「自然」と書いて「自然(じねん)経営研究会」という社団法人を5年ぐらい(運営していました)。ちょうどこの間、解散の登記をしたので一巡終わった感じなんですけど、新しい組織のあり方を日本の中で考えようっていう活動をしていたご縁で、実は長谷川さんのRELATIONSともご縁もあったり。
長谷川:そうですね、ここで出会ってますよね。
山田:確か一緒に立ち上げた武井(浩三)さんという方と、長谷川さんがもともとお知り合いだったかな?
長谷川:そうですね。
山田:このへんから長谷川さんもそうですし、日本の中で新しい組織の実践をされてる方とたくさんご縁をいただくようになりました。
山田:その文脈の1つの派生系として今、株式会社令三社という会社を、2021年に立ち上げました。令和3年に立ち上げているので「令三社」といいます。
新しい組織の実践をどう増やすかということを意図として持っています。という上で右上に載っけていただいている本が、昨年秋に出したソース原理に関する本、『すべては1人から始まる』という本でして。この本も含めつつ、いろんな海外の組織運営の実践知とかを日本に取り入れたいなと思っています、というのが活動の意図です。
もう1つ最近始めているものとして、私自身やはり今の経歴のとおり、自分が実践する側として「組織をどう良く作るか」っていうことを15年以上、現場でやってきたと思っているので。概念をたくさん理解するとか、コンセプトをより深く自分のものにできるということも大事だし、その上でやはり「どうやって実践が増えるの?」というところに私は一番最後、熱量を持っていると思っているので。日本国内のいろんな実践している会社に直接お話を聞きに向かっていって、令三社のWebサイトに記事を公開するということを昨年末から始めています。
この営み、実は元ネタがありまして。コーポレートレベルズでオランダの知り合いが、実は同じことを世界中でやっています。2016年から彼らはやってるんですけれども、彼らが世界中でやってるのがいいなと思いまして、日本でやってみようということで始めているので。
その下のほうに載ってるSpotifyとかNER GroupとかMorningstarとかは、コーポレートレベルズが英語で書いてる記事を日本語に翻訳させてもらって、日本語として弊社のWebサイトに載ってたりもするので……日本の事例が今20個ぐらいかな。海外のも25個ぐらいとか載っていて、着々と増えていますという感じで。
いろんな実践事例をこうやって味わいながら、どうやって実践が増えるかなというところの促進をしたいなと思っているので、そんな文脈からも今日、長谷川さんと一緒に出せるものがあったらいいなと思っております。よろしくお願いします。
加留部:よろしくお願いします。
長谷川:お願いします。
加留部:もう2人とも本当に実践をやられてきた方々なので、僕も聞けるのが楽しみですし、勉強させていただきたいなと思ってます。すいません、ちょっと一番いらないパートかもしれないんですけど、申し遅れましたが私は今日モデレーターというかたちでやらせていただく加留部と申します。もともと長谷川さんと同じRELATIONSという会社にいたんですけど……あっ、ちなみに今日創業2周年になります。
長谷川:あっ、そうだよね。おめでとうございます。
加留部:今は自分で会社を作って、エンタメとかAIとかブロックチェーンという領域で、世の中の偏愛とかエンタメ領域のサービスを展開中でございます。僕もホラクラシー組織みたいなところは実践してきていますし、今それを若干Spotifyに寄せたような、戦略遂行能力を上げる組織みたいなところを構築してる最中でございます。今日はそういう観点からも、ある意味視聴者の方々とお二人の橋渡し役じゃないですけど、そういった役割ができればなと思ってますので、よろしくお願いします。
じゃあちょっと対談の前にというかたちで、前提のところを揃えていきたいなと思いますので、トークセッションに入る前にお話を聞いていただければなと思います。
本日のテーマは先ほどもお話ししたようなかたちになっております。コンセプトに「組織課題をケース別に取り上げ、“自律型組織”や“ソース原理”の視点で読み解く」みたいなかたちになっているんですが。この「視点」という言葉は「レンズ」みたいな言い方で、今回のトークセッションでけっこう言葉として出てくるかなと思います。
このレンズってどういう意味かというと、経営やマネジメントを見る視点というのはいろいろあると思います。例えばエンゲージメント経営であるとか、昔からのドラッカーさんのやり方とか、いろんな視点とかがあると思うんですが。その視点を切り替えることによって、また見える景色とか色とか、ものの雰囲気というのが変わってくると思うんですね。今回のイベントでは「付け替えるように視点を動かす」という意味を込めて、視点をレンズと表現しています。
この考え方はいろんなところで使えるかなと思うんですが、例えば自分の会社を「メーカー」として見るか「ソフトウェアの会社」として見るか、みたいなところもある意味、事業の視点の切り替えになるかなと思います。今回は「組織をどういうふうに見るか」みたいな意味として、レンズという言葉を使わせていただきます。
主なレンズとして今回登場するのが「ソース原理」。ここらへんは裕嗣さんに、ぜひお話しもしていただければと思います。あとは「インテグラル理論×自律型組織」といったところもちょっと扱っていきたいと思います。またトークセッションの中身になりましたら、ここらへんの内容について深堀りしていきたいと思いますので、今回の登場人物として「こういうものの視点があるよ」っていうところでご理解いただければと思います。
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