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経営者向けマネジメントセミナー「理想の社員像」(全4記事)

「現状維持」の成果では、社内評価が下がるわけ 『リーダーの仮面』著者が説く、成長意欲の重要性

株式会社識学が主催した経営者向けに特化したオンラインイベントに、著書『数値化の鬼』『リーダーの仮面』の2冊累計発行部数が50万部を超える、同社代表の安藤広大氏が登壇。「理想の社員像」をテーマに、自分の「不足」を認識するためのポイントや、集中力を高めるための「視点」の置き場所などを語りました。

自分の「不足」を認識するためのポイント

安藤広大氏(以下、安藤):(「理想の社員」が備える7つのポイントの)4つ目は、責任が明確になった時に、「その責任に対して自らの意識上で言いわけが存在していないか」ということです。成長とは、できなかったことができるようになることです。

目標未達の時は、自分の不足を認識し、向き合うことで成長できますが、不足と向き合わずに、言いわけをする人もいます。できなかったことを自責に捉えず、他責として認識して、言いわけをするということです。

これだと、「自らの改善」に視点がいきませんので、当然この人は成長ができません。言いわけの意識を持つ状態とは、成長できる状況にはなっていないということです。言いわけを残したまま取り組むと自責で捉えられず、不足を認識できないため、成長ができないので、言いわけの認識があってはいけないということです。

言いわけは大きく2種類の原因で生まれます。1つは、自らの与えられた責任に対して権限が足りないと思っている状態です。

もし権限が足りないと思うのであれば、先ほどの評価のところと一緒で、責任を果たすために権限を取りにいかないといけない。権限を取りにいって初めて、権限を与えてもらえるか、あるいは今与えられている権限の範囲内で責任を果たすことを求められているかがわかります。

ここまでくると、権限不足を言いわけに使えないことがわかるので、まずそれに取り組む。

2つ目は、私が『数値化の鬼』という本の中で言っていることですが、変数か定数かが切り分けられていない。

変数とは、自らの権限の範囲内で動かすことができる数字です。定数は、自らの権限の範囲内で動かすことができない数字です。わかりやすい例で言うと、雨の日の数は定数ですね。自社の商品力も定数です。ここは変えることができないわけですから、変数側の改善に視点を向けるということです。

ちゃんと権限を取りにいき、自分に与えられている数字が変数なのか、定数なのかをしっかり切り分けることができれば、言いわけをしない存在になります。

マネジメントする側からすると、変数と定数の切り分けがしっかりできているかどうかをチェックすることで、部下が自らの不足を認識して成長できる状況を作っていけるということです。

「結果」と「成果」の違い

安藤:言いわけを取り除いたあとが5つ目です。動き出そうとした時に、「やはりできない」と認識してしまう。失敗に対する恐怖を先に考え過ぎると、行動を鈍らせることになるので、「失敗に対する恐怖に打ち勝ち、集中すること」ができる状況になっているかということです。

どうすれば達成できるかを考えられたら成長できますが、そうなれずに、「どうすればいいかわからない」「どうやっても怒られるのか、無理だ」「無能だと思われるかも」みたいな。

こういう失敗に対する恐怖が発生すると、1歩目を踏み出すのがどんどん遅くなり、どんどん行動量が落ち、成果を出せない存在になってしまいます。

識学では、行動に対して恐怖に打ち勝てている状態のことを「結果視点」と言い、常に結果視点である必要があると言っています。

この結果視点について、少し解説したいと思います。「結果」と「成果」という言葉があります。結果は期限時の状態・事実で、成果は期限時の状態に対する他者からの評価です。

ゴールが結果で、それに評価がついたものが成果です。例えば「リンゴの実がなりました」は結果ですね。その事実は変わりません。そのリンゴに「他者から500円の評価がついた」というのが成果です。

テレアポでお客さまに電話をして、しっかり伝えたのは結果。そのトークを評価されてアポイントになったかどうかが成果です。

集中力を高めるための「視点」の置き場所

安藤:では、どこに視点を置くと集中力が高まるのか。成果に視点がいくと、テレアポの例だと、「お客さまから断られたらどうしよう」と失敗のイメージが先に膨らむと、「しっかりお客さまにお伝えする」とか「件数を電話する」というところに視点がいかなくなる。

何件電話をするとか、電話がつながったら相手にこういうトークをする、という結果に視点を置く状態が、一番集中力が高い状態です。つまり、自らがコントロールできるところで最善の状況を作ることに視点を置くことが重要であり、それが結果視点です。

ここで勘違いしてはいけないのが、多くの成果を獲得するために「こういうふうにやる」と決めるわけなので、結果視点になったからといって他者の評価を無視していいわけではないということです。決めたら、いったんそのとおりに思い切ってやってみることが重要です。

例えばこういうトークで話すとを決めて、それを一定数しっかり繰り返したのちに、成果につながらないことが判明したのであれば、トークを変えるなど、結果を切り替える。決めたら、またそこに向けて、結果視点で集中して回数をこなすことを繰り返す。

結果に到達するまでは成果のことを考えてはいけない。結果に到達したのちに成果を吟味し、結果を置き換えることをやっていかなければいけないということです。この結果視点で、日々の仕事に取り組むのが5つ目です。

ここまでの3、4、5番目が、識学のロジックで言う「結果」のブロックになります。この3つをしっかりできているかということです。

なぜ現状維持ではダメなのか?

安藤:6つ目は、「(さらに)成長意欲が高い」。識学では「変化意識が高いかどうか」と言っています。成長意欲が高いとは、成長の必要性を正しく認識できているかということです。

では、現状維持とはどういう状況か。ともすれば、現状を維持すれば「ずっと同等の評価を獲得できる」、もしくは「ずっと同等の対価を獲得できる」という勘違いが起きますが、決してそんなことはありません。

なぜなら、社会や会社、他の社員が一定の成長をしている中では、(スライドの)この斜めのライン(社会・会社・他の社員の成長)が基準になります。この基準ラインより大きく成長していると、他者はその人が成長していると認識します。

つまり、現状維持とは、相対的には退化をしている状況になります。結果的に、世の中からの評価や社内での評価は下がると認識しなければいけません。社会も社内も、評価は常に相対比較で決まります。

例えば、「このラーメン屋さんがおいしい」とか、好きな女の子がいて、その女の子と付き合えるかどうかも相対的な評価の中で決まるということです。

人は物事を評価する時に必ず相対で評価するというのが事実です。常に相対的な評価の中で生きている以上は、基準ラインより成長しなければ自らの退化を認識する。こういう人を成長意欲が高いと定義しています。この認識をしっかり持てているかどうかが6つ目のポイントです。

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