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経営者向けマネジメントセミナー「理想の社員像」(全4記事)

上司の設定した目標の曖昧さを認識したまま「放置」は危険 『リーダーの仮面』著者が語る、理想の社員が満たす7項目

株式会社識学が主催した経営者向けに特化したオンラインイベントに、著書『数値化の鬼』『リーダーの仮面』の2冊累計発行部数が50万部を超える、同社代表の安藤広大氏が登壇。「理想の社員像」をテーマに、「理想の社員」が備える7つのポイントや、評価者からの“矢印”を正しく認識することの大切さなどを語りました。

「理想の社員」が備える7つのポイント

安藤広大氏(以下、安藤):今日は、「理想の社員像とは」というテーマでお話をさせていただきます。「理想の社員像」とは、スキルが高いとか、良い人とか、そういうことではありません。

もちろんその人の今までのスキルや経験は存在しますが、識学の切り口で言う、意識構造上で、「こういう状態の社員は、最大成長できる状況になっている」ということです。

今日申し上げる「理想の社員像」の状態に、一人ひとりの社員のみなさんがなっている状態を作るというのが、識学の組織運営コンサルが目指しているところです。では、どういう状態を作りたいと考えているかをお話ししていきます。

(スライドの)「組織成長のために必要な能力を早い速度で成長させることができる社員」。

意識構造上、これがどういう状態かについて、7つのポイントで定義します。

のちほど1個1個解説しますが、「自らの社会における立場を正しく認識し」「会社における立場を正しく認識し」「自らの責任を正確に理解し」「その責任に対して言い訳のない状態で」「失敗に対する恐怖に打ち勝って集中している状態」を作れている。そして、「さらに成長意欲が高く」て、「時間短縮に対する意識が高い」。

この7つのポイントがしっかりそろっていれば、その社員は成長できるし、この7つのポイントがしっかりそろっている会社は、会社としても成長できる環境になっているということです。

組織・コミュニティにおける「成長」とは何か?

安藤:1つ目の「自らの社会における立場を正しく認識する」とは、例えば、成長したか否かを判断するのは誰か。「私は成長しているだろうか?」という問いに対しては、「君は成長しているよ」と他者が評価をします。

一言で言うと、「評価は人がする」ということを正しく認識できているかどうか、ということです。

どのコミュニティでも評価は他者がして、その評価に対し何かしらの、お金だけではない対価が払われる。何かしらの有益性を返してもらえるということです。しっかり他者から評価を獲得しなければ、そのコミュニティにおいて自分が得たいものを得ることはできないという仕組みになっています。

「どのコミュニティから評価を得るか」や「誰から評価を得るか」は選択できますが、人が誰からも評価を得ずに生き続けることはできません。自分に価値があるかどうかは他者が決める。相手が決めるということが事実です。

その反対が、自己評価です。自己評価がいくら高くても、残念ながらどのコミュニティにおいても評価を得ることはできません。

(スライドに)「不足の認識を誤り、周囲から求められる成長ができなくなる」とありますが、この「不足」とは、自らの今の状態と周りの期待とのギャップのことです。

この不足をしっかり埋めることが、そのコミュニティにおける成長ですが、自己評価の中でのギャップをいくら埋めても、他者から評価されるという状況にはならないということです。

なので1つ目は、評価は人がするものであり、自己評価には何の価値もないということを正しく認識できているかどうかが、とても重要なポイントになります。

もっと言うと、自己評価なんてものは存在しないと認識し、そのコミュニティにおいて、自分の評価者である他者からの評価を獲得するために動くことができれば、結果的にその人にとっても心を健やかに生きていくことができるということです。

「自らの社会における立場を正しく認識する」とは、自己評価に意味がなく、他者評価を獲得しなければいけない存在が人間であると、正しく認識するということです。

評価者からの“矢印”を正しく認識することの大切さ

安藤:2つ目は、「会社における立場を正しく認識する」。人は他者評価を獲得しなければ生きていけませんが、会社においては、「誰から評価を受けなければいけないかが確定していると正しく認識できているか」ということです。

会社における評価の仕組みを分解すると、(スライドの)こうなります。

マーケットからの評価を獲得するのは社長です。企業のトップがマーケットからの評価を獲得する責任者です。

次の部長は、社長がマーケットから評価を獲得することに貢献できたかどうかで評価を受けます。課長は、部長が社長から評価を獲得するために貢献できたかどうかで、部長から評価を受ける。

さらに課員は、課長が部長から評価を獲得することに貢献できたかどうかで、課長から評価を受ける。こういうふうに矢印がつながっていくことで、会社が社会から有益性を獲得することに、一人ひとりが貢献する状況を作ることができます。

それぞれが直属の上司から評価を受けなければいけないというのが、会社における立場を正しく認識しているということです。

「なにを当たり前のこと言っているんだ」と思われるかもしれませんが、会社の中には多くの他者が存在するので、直属の上司のみならず、同僚や後輩、関係のない隣の部署の上司など、いろんな矢印が存在してくるんですね。

例えば、同僚から人気があるとか、後輩から慕われているとか、そういうことが自らの評価につながると勘違いを起こすとまずい。もっと最悪なのは、逆に「自分が上司を評価できる」「会社を評価できる」という矢印も存在すると思ってしまう状態ですが、こういった矢印は存在しません。

自分は会社に貢献しなければいけない存在であると正しく認識し、そして、自分は上司から評価される立場であると理解できているかというのが、2つ目になります。

1番と2番は、識学で言う「位置」の概念を指しています。自らは他者から評価される存在であり、会社においてはその他者は上司である。だから、会社では上司から評価を獲得しなければいけない存在であると正しく認識できている。この状況がまず大前提としてあるかどうかから始めるということです。

上司の設定した目標の曖昧さを認識したまま「放置」は危険

3つ目は、「自らの責任を正確に理解する」。「上司から評価を獲得しなければいけない存在である」ことを正しく認識した上で、どの責任を果たせばその評価を獲得できるのかを正しく認識できているかということです。

要は、自分の立場を認識した上で、そのための行動がしっかり具体的になっているかが3つ目です。

自らの責任を正確に理解するとは、何を実行し、どういう結果を出せば評価を得られるのかを正しく認識しているということです。

「正確」にというのは、識学で言うところの「完全結果」で、しっかり認識をできているかということです。完全結果とは、例えば「10キロを60分で走る」で、一方「10キロをなるべく早く走る」が不完全結果です。

「10キロを60分で走る」であれば59分で走れれば達成ですし、61分になると未達成です。不完全結果の「なるべく早く走る」だと、定義が人によってバラバラなので、結果が出た時に認識にずれが生じてしまう。そうではなく、正確に完全結果で理解できているか、ということです。

結果という言葉は「期限」と「状態」に分解できます。「60分以内に」「10キロを走る」という期限と状態に自分がどういう責任を持つかを正しく認識する必要があります。

上司である立場の人たちがこれを完璧に設定できているかというと、できていないことが多いです。上司側からすると、設定しているつもりになっているパターンもあります。

上司のみなさんに、「部下のみなさんが迷わないようにしっかり設定しましょう」とお伝えさせていただくんですが、部下のみなさんに「私の責任は数値化されていなくて曖昧だ」という状況が残されている。

この時にどういう姿勢が必要か。「完全結果化する責任は上司にあるから、曖昧な状態は上司が悪い」と言うことは当然簡単です。でも、評価する側・される側という関係を認識した時に、評価のタイミングで上司に「私は明確にしたつもりでした」と言われると、部下の立場でこんな危険なことはありません。

自らがどういう責任で評価されるのかが曖昧になっているのであれば、部下は上司に曖昧な状態が継続しないように確認しにいかなければいけないということです。

自分がいつまでに何をすることで評価を受けるかが明確な状態を作れているかが、3つ目になります。

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