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【転職前提のZ世代】『退職広報』で差をつける次世代の新卒採用(全4記事)

退職者の声は、食べログで言う「口コミ」のようなもの “ハズしたくない”Z世代の意識に応える、退職を活用した採用活動

TalkCampが主催するイベント「『退職広報』で差をつける次世代の新卒採用」に、一般社団法人プロティアン・キャリア協会CGOの栗原和也氏と、退職学®研究家の佐野創太氏が登壇しました。これからの時代の新卒採用のポイントや、退職者を活用した広報など、人事担当者向けのアドバイスを送ります。本記事では、退職者の声を生かした採用活動が効果的な理由について、佐野氏が解説します。

退職者を活用した採用を行う、退職学®研究家の佐野創太氏

佐野創太氏:佐野創太です。現在はフリーランスで働いていて、キャリア相談や本を書いていたり、福島の企業で人材育成と編集人材を作る顧問をやっていたりします。

パーソルキャリアの「HiPro Direct」という副業のマッチングプラットフォームがあるんですが、そこでマーケティングとアライアンスを担当していたりと、今はそんな感じで働いております。

あとは、退職広報をどうやって企業の中に入れていって、退職者も活用して、採用やマネジメント、人材定着を退職者の観点からどうやって作っていくか。こういったことを企業に導入していたりします。

もともとは人材派遣のパソナという会社にいて、最初は転職エージェントをやっていました。営業は嫌いだけど求人票は好き、みたいなタイプでした。

書くのが好きだったので、2013年ぐらいから2017年ぐらいまで長期インターンシップサイトの立ち上げと編集長をずっとやっていたんですが、それを業界3位まで成長させたところで辞めました。

新規事業と兼務で、新卒採用や採用広報をずっとやっていました。その中で採用担当と一緒に仕事をすることがあったので、「新卒紹介もサービスを作るか」と言って立ち上げて、CAとRAをどっちもやっていました。

辞めてからは、新規事業やマーケ、編集の能力があったので、Webメディアの開発や編集長をやっていました。社名を出しちゃうと、オーネットですね。大手婚活サービスのオーネットのオウンドメディアと、日テレHRの立ち上げを一緒にやっておりました。

営業の仕事がつらくて「テレアポしているふり」でやり過ごす

(スライドを指しながら)このへんはもう自慢です(笑)。「メディアに載っているよ」というやつですね。『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』という本を書いております。みなさん買ってください。人事の方もけっこう読んでくださっています。

たぶん今日来てくださっている方は、求職者の人や従業員の働き方を応援したい、という観点からHRや採用をしている方が多いので、そういった方に読んでいただけるような求職者の本音を本の中に書いています。

こういうものがあるのをご存じですか? flierといってビジネス書を要約で読めるんですが、そこで「読者が選ぶビジネス書グランプリ」にノミネートしてくれたんです。1票はすべて清いと思っておりますので、どんな1票でもいいのでぜひ投票してください。

本を出すと批判も頂くんですよ。これがけっこう辛辣で、「ちゃんと内容を読んでいるのか?」という感じのものもあるんですが、辛辣なコメントも頂いております。

ここまではかっこいい話をしてきたんですが、僕もわりとキャリアで悩んだからこういうことをやっている、というところがすごく大きいです。最初のパソナを1年で辞めたんですが、正直営業がつらかったですね。

(スライドに)「テレアポしているふり」と書いてあるんですが、本当にテレアポをしているふりをしていたんですよ。朝早く行ってメールでアポを取って、「佐野、取れてんじゃん。いいじゃん」と言われるように、日中はかけているふりをしていました。ガチャ切りされるのが普通に怖いんですよ。

次に行った会社は、あまりにもキツすぎて1ヶ月で辞めました。エージェントの方が多いのでよくわかると思うんですが、第二新卒といえども、そんなことをやっているとキャリアでなかなか苦労するわけです。

無職になって「これはアカンな」となって出戻りをして、今で言うアルムナイとかブーメラン社員として戻ってきて、新規事業をやっていました。

「退職=裏切り」というのは誤解

今はフリーランスで元気良くやってはいるんですが、きっかけは介護離職なんです。母が体調を崩してからの独立だったので、華々しく「独立しました」とはできなかったんですよ。

これからみなさんが独立を考えた時には、最初がけっこう肝心なんです。仕事が取れるので、最初に花火をぼーんと打ち上げたほうがいいんですが、(自身の場合は)できなかったので最初の1~2年は大変でした。わりとキャリアの穴には全部落ちてきたな、というところです。

「退職学®の観点から見るZ世代の退職のリアル」ということで、さっきも「学生の気持ちを知りたい」と書いてくださった方がいたので、すごくフィットすると思います。

まずは世代について、目線合わせだけしておきます。「ミレニアル世代とZ世代ってどのへんなの?」というと、けっこう幅があります。みなさんのターゲットの学生、新卒はZ世代だと思うんですが、価値観が被っているところもあるっちゃあります。

みなさんは何世代ですか? 僕はミレニアル世代です。34歳になる年なので、最後の昭和世代です。ゆとりが始まった世代ですね。おかげでZ世代の考え方もわかるし、Z世代のネット発の音楽もすごく好きだったりと、気持ちが通じている部分を感じます。

退職学®を簡単に言うと、栗原さんのお話にもありましたが、これまでは「退職=裏切り」みたいな感じだったと思うんです。「そんなこともないな」と思って退職の歴史をひもとくと、「のれん分け」に行き着くんですよ。

昔の退職のイメージは、師匠が「お前、イケてるからそろそろ独立せいや。のれんをやるわ」みたいな感じだったので、退職が裏切りっていうのはたぶん嘘だなと思って。

「じゃあ、昔の退職のかたちに戻したいな」という思いから、退職後も声を掛けられ続ける人物に成長する「最高の会社の辞め方」があるだろうと思い、いろんな人にヒアリングしたり、自分も実践したりして、「こういう退職学®の在り方が退職のスタンダードになったらいいな」という思いでやっております。

退職者もファンにして、ピンチに強い組織をつくる

くるっと回して、会社側の視点。これは「リザイン・マネジメント」という名前にしております。

退職者もファンにして、ピンチに強い組織を作る。さっき「人材の流出が多いが流入が少ない」というコメントがありましたが、これもけっこう聞いたりします。

退職って、ペットボトルで言う“蓋”みたいなものなんですよね。どれだけ流入しても、蓋が開いていると流れていっちゃうので、退職をケアして蓋をすることによって、人材がちゃんと定着したり、育っていく。万が一辞めてしまっても、アルムナイとして戻ってきてくれるという世界観をここでは考えております。

退職広報を入れてくれたところは、こんな感想をくれます。「採用ばかりに手をつけていましたが、退職マネジメントは何もしていませんでした。穴の空いたバケツで水をすくっているようなものなので大変でした」。

これはみなさんも経験がありませんか? 辞めるだけならまだいいんですが、辞めた部署がすごく暗くなるとか、マネージャーに批判がすごく集まったりして暗くなることがあったりします。

あと、今の学生は口コミサイトやSNSをめっちゃ見ませんか? 僕のところにも「(辞めた社員に会社の口コミを)普通に書かれていたんですけど」という相談が来ているくらいなので、辞めていく社員の声はもうコントロールできないんですよね。

耳の痛い退職エントリーとかを書かれるわけじゃないですか。そうであれば、こっちから公式で退職者の声を一緒に作ったらどうなるか? ということをやるのも、退職広報の1つでございます。

退職者の声は、食べログで言う「口コミ」のようなもの

ここからは、今の学生の気持ちについてババっといきますね。ビズリーチ・キャンパスの調査で「新卒で入社する会社を選ぶ際に、将来のキャリアのために転職することを視野に入れていますか?」という質問がありました。

2人に1人は転職を視野に入れているということなので、「1社にずっといたい」と考えている人がちょっとずつ減ってきてはいます。みなさんはどうですか? 感じていますか? 僕は採用をやっていた時に感じました。

ハッカズーク社の「入社を希望する、もしくは入社予定の企業の『元従業員の退職後のキャリア』に関心はありますか?」については、けっこうあると。みなさんはどうですか? 仕事柄、僕はめっちゃあるんですよね。

退職というのは、食べログで言う口コミみたいなものだと思っていて。会社に入った人がどう感じたかということなので、退職していった人の声って、その会社で得られるものや失うものも含めて学びはあるので、この調査結果は僕も実感値としては近いです。

「『元従業員の退職後のキャリア』に関心がある理由は何か」については、予想がつきそうですよね。「その会社での経験によって、その後のキャリアがどう広がるか」「3年いたらどうなるの?」「5年いたらどうなるの?」ということを知りたい。

「自分も将来的には転職を視野に入れているから」というのは、今時ですよね。その会社にずっといる気はほぼない。「会社の善し悪しを判断する材料の1つにしたいから」という理由も、最近出てきた潮流だと思います。

「入社を希望する、もしくは入社予定の企業の『元従業員の退職後のキャリア』が魅力的だった場合、その会社への志望度はどのように変化すると思いますか?」という質問に対して、「そんなに変わらない」という人もいます。

でも、51.7パーセント、つまり2人に1人が「上がる」と答えるのを多いとするか・少ないとするかで、採用ブランディングに退職が使えるかの分かれ目になってくると思います。

Z世代は「選択肢を外したくない」という意識が強い

これは具体的な調査なんですが、「入社を希望する、もしくは入社予定の企業の『元従業員が登場する採用説明会や採用イベント』があったら参加したいか?」という質問に対して、「辞めた今だから言えるぶっちゃけ話を聞きたい」「その会社に入社する前と後でのギャップについて聞きたい」という回答が出ています。

これはみなさんも気になりますよね。お店へ行ったり服を買ったりする時に、口コミを見たりしませんか? 「しません。俺の直感で行ける」という人もいるんですが、今のZ世代や若い人は選択肢を外したくないんですよ。

なので、会社に入るという一大決心の時でも、「外したくない」という意識に応えてあげる採用コンテンツや採用説明会はかなり評判がいいです。

Z世代、新卒の学生の心の動きや流れを見ると、退職は会社の魅力づけにものすごく活用できると言えるかなと思います。

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