2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
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森戸裕一氏(以下、森戸):よろしくお願いします。ここからは「投資家が考える選ばれる会社の条件」というテーマで、今日ご登壇いただいているお三方に話を聞きながら進めていきます。まず私から、簡単に自己紹介させていただきます。
一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会の代表をやっております、森戸と申します。よろしくお願いします。私どもはデジタルトランスフォーメーションを中心に進めていますが、SDGsやESG経営など、今回はいろんなテーマでお話をしていきますね。
お三方の自己紹介ということで、まずは藤野さんからよろしいですか?
藤野英人氏(以下、藤野):レオス・キャピタルワークスの藤野と申します。こちらは投資信託の運用会社で、日本株、世界株、最近ではグローバル債券の運用もしています。運用残高で言うと、1兆円を超えている資産運用会社です(2022年3月末時点)。
お客さまの数が多いのが特色で、120万人のお客さまに毎月100億円ずつ投資をしていただいております。そのような中、私はファンドマネージャーとして30年以上運用していますので、本日は投資家の観点からお話をさせていただこうと思います。私自身もとてもワクワクしています。
森戸:ありがとうございます。
森戸:続きまして、市川さんお願いできますか。
市川祐子氏(以下、市川):マーケットリバーの市川と申します。私は楽天で12年間、IRを担当しておりました。2019年から独立して、IRのコンサルティングを業としているほか、上場・未上場の会社の社外取締役などをやっております。
本を2冊出していまして、3年前に出した『楽天IR戦記』は、12年間の楽天でのIRの体験を表した本です。2022年9月に出した『2030年 会社員の未来』は、タイトルの頭に「ESG投資で激変!」というものが付いていて、10年後どう生きるかを問うた本となっています。
今日は、この本に絡めたこともお話ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
森戸:よろしくお願いします。先ほど市川さんからは、控え室でこちらの本についてお伝えいただきました。今日は、こちらの本の内容にも触れながら進めていきたいと思います。
市川:ご紹介ありがとうございます。
森戸:それから、田村さんからも一言いただけますか。
田村穂氏(以下、田村):こんにちは、ハウスコムの田村と申します。よろしくお願いします。今日はすごく楽しみにしていました。「(投資家の方々から)どういうふうに見られているのかな?」「どういうふうにものを見ていかなきゃいけないのかな?」と考えながら、今日は楽しみたいと思います。よろしくお願いします。
森戸:よろしくお願いします。
森戸:それでは時間も限られていますので、さっそくテーマに入っていきたいと思います。
まず、先ほど控え室で藤野さんと市川さんと話をしていたんですけど、昨今はいろんなビジネス環境の変化がありますが、投資家の方々と企業の関係がこの数年でどう変わってきたか。まず、藤野さんからお聞かせいただいてもよろしいですか?
藤野:はい、ありがとうございます。古くは、投資家と企業との関係は、日本ではあまり芳しくなくて。企業からすると投資家は、「株をずっと持っていていただきたいけど、黙っていてほしい」という存在でしたが、最近はだいぶ変わりました。
1990年から2000年近くまでは、「投資家で意見を言う人は、株主総会でワーワー言う総会屋のようなものだ」という価値観が少しは残っていたかなと思います。
しかし、企業側の考えが変わったことと、さまざまな投資家の出現により、投資家と企業は必ずしも対立関係ではないと。また、無視し合う関係でもない。「緊張感と協力が両立する関係」になってきたかなと思います。
ちょうどアベノミクスの初期ぐらいの時期に、伊藤邦雄先生という方が「伊藤レポート」というものを出されました。これが、コーポレートガバナンスに非常に大きな影響を与えました。投資家と企業との関係を構築し直す、すばらしいレポートでした。
実はその後このレポートは、伊藤レポート2.0、3.0と進化しており、今日の話にも出てくるESGも含めた話になってきています。今日はESGというテーマや、「投資家と企業それぞれが、どのような目標でつながるべきなのか」というテーマで議論していきたいと思います。
森戸:ありがとうございます。
森戸:投資家と企業の関係について、市川さんはいかがですかね?
市川:まさに藤野さんがおっしゃったように、この数年で、企業から見た投資家というものが少しずつ変わり始めていると思います。「短絡的なモノの見方でプレッシャーをかける存在」ではなく、「対話をしながらともに価値を作る存在」になってきている。
国民の年金を積み立てているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところが、2016年から毎年、東証一部の上場企業にアンケートをとっています。「機関投資家との対話が好ましいものに変わってきた」という回答の割合が、2022年には初めて5割を超えました。
それまではずっと「(投資家の対話は)形式的なものだよ」「短期的なモノの見方が多すぎる」といった声が多かったのですが、ここに来て少し変わってきたなと思います。これは本当に大きな変化ですね。
森戸:なるほどですね。今回はDXにも絡めてお話を進めたいと思います。昨今は機関投資家だけでなく、個人投資家の方々も増えてきていて、情報発信としてはインターネットも使われ始めていると。そして企業の方々も、IRやSNSなどいろんなかたちで発信をしています。
コミュニケーション(手段)の変化や、デジタルの普及なども、投資家と企業の関係性に変化を及ぼしているのでしょうか?
市川:そうですね。先ほど機関投資家の話をしましたが、個人投資家との関係としては、まさにSNSを活用するなど上手に対応している企業がいくつも出てきていますね。やはり、そういう会社さんは楽しんでIRをやっています。
時価総額が小さい上場企業だと、機関投資家との対話がなかなか叶わないところもあります。でも、個人投資家にはいろんな人がいて、その特長としては「自分の判断だけで投資ができる」ということです。
やはり、良い投資家もたくさんいるんですね。良い個人投資家さんと、本当にお祭りみたいにわちゃわちゃやって売買高も盛り上がる、という良いケースもあったりします(笑)。「TwitterやYouTubeが出てきた」というのが、この数年の変化のもう1つの側面だと思います。
森戸:なるほど。
森戸:そういう話であれば、私はいつも藤野さんの発言に注目をしているんですね。藤野さんも投資家としてSNSを活用されたり、ネット経由で情報発信をされていますよね。その際に気を付けていることとか、逆に「こういうことはやっちゃいけないよ」ということがあれば、教えていただきたいと思います。
藤野:そうですね。最低限のことですが、「嘘をつかない」ことが非常に重要です。正直がとても大事ですよね。なぜこれが良いかというと、理由はいろいろあります。
私は不器用なので、いろんなことを覚えていられないんですよ。嘘をついたら、それを覚えていなきゃいけないですよね。でも、正直でいれば何も覚えてなくていい。だから「正直でいる」ということは、実は楽なんですよ。
自分が「正しい」と思うことを言い続けていれば、それは正しいことなんだから、矛盾が生じない。これは単なるきれいごとではなくて、戦略としても良いのです。
でも、「正しければ何でも発信してもいいのか」ということではない。「正しくても誤解を与えるかもしれないこと」「誰かを傷つけるかもしれないこと」などは発信してはいけない。だからやはり、読者を意識することがすごく大事です。
そうすると、「変な人もいろいろ出てくるでしょう?」とか「絡まれませんか?」という話になります。とても大事なことは何かというと、「変な人は一定数いる」ということ。かつ、「ちゃんと読んでくれない人」「理解してくれない人」もいます。
藤野:仮にそういう人に反撃、というか反論する時にとても大事なことは、その人を納得させるのではなく、周りにいるたくさんの読者に理解をしてもらうことです。
だから、「この人を説得しよう」「屈服させよう」ということになると、相手は意固地な人が多いので、言葉の投げ合いの中で結果的に地雷を踏むことが多い。SNSにおいて、多くの起業家や経営者が地雷を踏むパターンはそこなんです。「相手を説得しよう」と思ってしまうんです。
でも、大事なのは「観客の納得性」です。その人に対して、どちらかというと「一般の人がどう思うか」ということ。だから、一般の人がわかるように話をすることがすごく大事です。私はSNS発信に関して、特にそれを気をつけていますね。
森戸:なるほどですね。今、投資家サイドからSNSでの情報発信という話が出ました。一方で、企業サイドのIRを担当されてきた市川さんから見ると、経営者としての情報発信もあると思います。会社として、株主あるいはマーケットに対して、どういうことを気をつけながらIRの担当をされてきたのでしょうか?
市川:私が担当していた時は、どちらかというと「炎上しないように」という感じで怖々やっていましたね。今、非常にうまくやっている企業を見ると、まさに自分たちのコアなところをブレずにやっていれば炎上しないんだな、ということがわかります。
それから、間違っても「株価を上げるためにSNSをやろう」と思ってはいけないですね。そうなると、短絡的に自分たちを良く見せる情報を出してしまいがちなので。でもそうではなくて、変わらないメッセージを出し続けることが大切なんですね。今うまくいっている企業を観察すると、そう思います。
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