2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:YouTubeにはこだわりってありますか? それともあまりこだわりってなくて、1つのツールとして考えていらっしゃいますか?
門傳智彦氏(以下、門傳):こだわりがありつつも、肩の力を抜くっていう感じですかね。あくまでもケーキ屋さんを運営してるので、ケーキを販売することがメインの収入源になります。その助けになればいいかなぐらいの感じですかね。
そもそもこのYouTubeを始めたきっかけも、パティシエが新入社員で入社してきて、ケーキの作り方を教えるじゃないですか。やがて2年3年と経つと卒業していくというか、他のお店に進路先を変えたりとかして、入れ替えがある程度あるんです。
そんな時に毎回同じことを教えるんですけど、例えばデコレーションケーキを作る工程って、早い子だと2〜3日とかで覚えたりもしますし、遅い子だと1ヶ月〜2ヶ月かかったりするんです。
そういった子に復習で見てもらうような感じで、最初は社員教育用のビデオとして使っていたんです。限定公開にして、「これ見ておいて」みたいな感じで。(教えてもらった後に)復習したり、もしくは自分でやっていて「あれどうやるんだっけな?」とか、もう1回聞くのも二度手間だし。そういった時は家に帰ってから見ればいいと思うので。
そういったものをたくさん作ってたんですよ。ケーキ屋さんだと、焼き菓子のギフトボックスの包装のやり方とか、リボンで結ぶ時はこうやって結ぶんだとか。YouTubeを探せば今だったら……。
司会者:出てきますか?
門傳:うちの動画じゃないですけど、「包装の仕方」とか検索すると出ると思うんですけど。そういうのを10本、20本ぐらい貯めていて。なので最初のきっかけは「YouTubeで人気者になろう」とか「お金を稼ごう」とか、そういうのは思ってないです。
門傳:社員教育の復習用ビデオとして。その一部を、社員じゃなくて一般の人に見てもらってもいいかなって思うのを公開していただけなんですけど。気軽な気持ちで始めましたね。
司会者:なるほど。本当に企業の活動の1つの中のものが、少しずつ形になって、大きく成長していったっていう感じですかね?
門傳:完全放置でした(笑)。今は毎日アカウントに入って管理画面を見ているんですけど、当時はそんなことしてなくて。年に1回くらい、「あれ、YouTubeどうなってんだろう?」とかそんな感じでした。
新しい動画を社員用にアップする時にログインしてみた時に、これ間違いじゃないかなっていうぐらい、チャンネル登録が2000人とか、3000人とかになっていて。「もしかして、これはお金になんのかな」みたいになって、そこからちょっと本気でやるようになったんです。
司会者:でも、一つひとつのものが大切に財産としてあるからこそ、それが活きるのかなという感じはしています。そういったものを無駄にしないところがお話からうかがえますね。
司会者:ケーキであるとかYouTubeといったところから、少し先に進みます。まずは、店舗を独立させて開業し、企業として動かしていらっしゃる部分で、「店舗・独立・開業時に考える3つのこと」というテーマでお話を進めていきたいかなと思います。
お店をそこに作るとすれば、出店場所選びという、不動産とか地理的な部分が必要になってくるんですけれども。この出店場所選びに関して、重視したことがあるのかおうかがいしたいんですが。
実は今日の視聴者は、東京の方とは限らないんですよ。日本全国から見ていただいているので、まずどんな場所なのか、地図で示そうと思います。じゃあ地図を出していただきましょうか。
豊島区の地図です。ちょうど真ん中にJRの線路がバーっと縦にあります。画面のちょうどど真ん中が池袋駅になります。この池袋駅から左下にお店がありますね。
門傳:下が新宿区、新宿区と豊島区の境目のところにあります。
司会者:池袋から歩いてはさすがに行けないですよね。行こうと思えば行けますか?
門傳:歩きだと25分ぐらいかかるかな。
司会者:近くの駅は何分ぐらいなんですか?
門傳:椎名町っていう駅と、あとは落合南長崎っていう地下鉄の駅の2つがあるんですけど、そのちょうど中間ぐらいです。
司会者:すごく賑やかな商店街みたいなところにあるんですか?
門傳:ないですね。どちらかというと静かな住宅街です。年配の方はご存知だと思うんですけど、かつては「トキワ荘」という漫画家さんがいたアパートの跡地のすぐそばなんです。年配のお客さんに聞くと、「昔はここの通りはすごい人だったんだよ」って言ってて。今はそんな面影ないんですけど。
司会者:なるほど。でも、この時代だからこそなんですけれども、商店街が少なくなってくる、あるいはシャッター商店街と言われるところも増えてきますからね。
司会者:そういった場所で今お店を経営されている門傳さんのお話って、けっこう真髄というか。髄のところで知りたいっていう方にいいですよね。中には、ずっとそこでやっていた店をどうしても後継しなきゃいけない、だけれども周りが閉まってきているって方もいらっしゃると思うんですよね。
これから聞くお話はけっこう大切かなと思うんですが。そういった場所を選んだ理由っていうのはどんなところにあります?
門傳:まず私自身、当時は目白に住んでまして。池袋もよく利用してたので、よく知る地域に当たるんですよね。私は宮城の田舎出身なんですけど、東京に来て思うのは、東京は街ごとに癖っていうか、特徴があると思うんですよね。
例えば、合羽橋とかだと道具街とか、普通の街じゃないじゃないですか。そういう街が点在してて。目白だと高級住宅街があったり、本当に特色があるんだなって東京に来て思って。その街の特徴を理解するのがまず大事かなとは思っていますね。
司会者:その理解する上でも、やっぱり自分が知っているところが大切なんですね。
門傳:そのほうが安心。知らないところで、変な自信だけ持って行っても、たぶんうまくいかないかもしれないので。
司会者:じゃあ、ホームタウンっていう部分ではけっこういいってことですね。
門傳:そうですね、当時は10年近く住んでいた場所だったので。
司会者:自分で歩いて探したんですか?
門傳:そうですね。不動産屋さんに「物件あったら紹介してください」って相談したり、あとは街を歩いてると「空き店舗」って貼ってたりするじゃないですか。そこに電話番号が載っているので直接電話をして「見せてください」とか言ったり、その2パターンでしたね。今だったら、インターネットで探せたりもしますよね。
司会者:でもどうでしょう、その当時インターネットがもしあったとしたら、インターネットばっかりで見てました?
門傳:いや、やっぱり現場を見ないと安心できないですよね。
司会者:見に行くことが大切なんですね。
司会者:マーケティングでよく言われるところが、みなさんもご経験あるかもしれないんですが、この辺りにお店を出そうかなと思った時に、商圏調査をされると思うんです。商圏調査はされましたか?
門傳:今だったら少しはできると思うんですけど、当時は起業はしていたんですけど、そういう店舗ビジネスはやっていませんでしたね。感覚でしかないんですけど、とりあえず現場を見に行って、どんな感じの街なんだろうって。あとは住宅街ですかね。ケーキって住民の人に買ってもらうのがメインなので。
先ほどの街の紹介でもありましたけど、例えば池袋だったら、いろんな人の流れがたくさんあって、新規のお客さまがいっぱい獲得できるような場所だと思うんですけど。
私たちのビルソンローラーズは住宅街にあるので、住民の方に何度も、ひたすら買い続けてもらう必要があるわけですよね。新規客の割合って小さいだろうなとは思っていたので、じゃあどんな方がいるかな、人口はどれぐらい確保できるかなっていうのは、感覚的には見るようにしてまして。
今だったらもっと詳しく調べられると思うんですけど。今私がやってることで、「お客さまがいるかな」っていう簡単なチェックの中で誰でもできるようなことだと、例えば物件の周辺の高さですかね。
司会者:高さ?
門傳:高さ。高い街なのか低い街なのかって捉えてるんですけど。
司会者:それは建物の高さっていう意味ですか?
門傳:はい。例えば、一戸建てがずらーって並んでるような地域だと、低い住宅街ってかたちになると思うんですね。それに対して、例えばタワーマンションが建っていたり、大きめのマンションとかアパートとかいっぱい建ってるところであれば、わりと延べ面積における住民の数は多いと思うので。
住宅街でもそういう2つの特徴にわかれるかなって自分は思ってるので、そのへんを見るようにしてますね。
司会者:1つのポイントとして高さですね。
門傳:あとは、例えばチラシをまいてお店のアピールをするわけなんですけど。ポスティングする、新聞折込をする時に、マンションを見に行って、そのマンションの自転車置き場とか見るんです。子どもの自転車があったら「あ、これはファミリーが住んでるマンションだな」っていうことで、「じゃあ誕生日ケーキ買ってくれるかな」とか考えたりとか。
現場を回って、「このへんはお子さんが多い世帯だな」って思ったら、そこに集中的にチラシをまいたりポスティングを自分でしたり、そういったことをしていました。
司会者:ご自身でもポスティングされてたんですか?
門傳:します。
司会者:なるほど。街を歩いてみることの大切さ。ただぼーっと歩いているわけではなくて、そういう子どもの自転車を見て、それで家族構成なんかも見えてきたりとか。見るって大切なんですね。
門傳:そうですね。まあ私もすごい田舎出身なんでわかるんですけど、田舎だと車文化なんですよね。もし私が地方で店を出すってなったら、競合を調べますかね。競合を調べていって、「ここに空きがあるな」とか、確かめながらやるかなとは思います。
司会者:先ほどポスティングもされるとおっしゃっていましたが、例えば地図であるとか、ビジネスでは成果もなにかしらの図で書かかなきゃいけないかなとは思うんですよね。
ポスティングってよくありますけども、業者さんにお願いしちゃう会社さんが多いじゃないですか。アルバイトがただただ入れていくところもあると思うんですけど。それだけじゃなくて、なにか工夫されてるところってありますか?
門傳:とりあえず、やれることは試しました。例えば新聞折込を試したり、ポスティングも試したり。そうするとなにがわかるかっていうと、うちの店の場合はポスティングより新聞折込のほうが反応がいいな、っていうのがわかったんです。
業者さんはそんなことは言わないでしょうけど、もしかしたらチラシをちゃんと入れずに捨ててるのかもしれないし。でも比べてみてわかるんですよね。
門傳:あと、私たちみたいな小売業ですかね。例えばサロンとか美容室とかは名前をおうかがいできるような業種は顧客リストがあると思うんですけど。小売ってパッと買いに来て、買ったら帰るじゃないですか。この方がどこの誰かって、わかんないのがほとんどです。
司会者:そうですよね、いちいち名前聞きませんもんね。
門傳:でも当時は「これは突き止めないとどこを攻めていいかわかんないな」って思っていて。新聞折込でチラシをまいて、そのチラシの端っこにクーポンをつけて、そこに簡単な住所だけ書いてもらえるようにしたチラシを、当時2回か3回ぐらいまいて。どこからお客さまが来てるのかなって調べた経緯がありますね。
次回からはそのクーポンが多く来たところに対して、チラシを集中的にまいていく。それでより効率的にチラシで集客することを覚えていった感じです。都市部の方にアドバイスできるとしたら、大きな幹線道路とか線路をまたいじゃうと、いくら近くても来ないっていうのはわかりましたね。
司会者:そういうのは記録に残されてるんですか?
門傳:そうですね。今日持ってきてくださいって言われたので、持ってきたんですけど(笑)。これは先ほど画像に出た地図になるんですけど、この地図で、新聞折込の時に「じゃあ池袋の何丁目にまこう」とか、そういったものを判明させるためにクーポンをつけて。
クーポンを回収したものを、手書きになるんですけどこういうふうに、例えば新宿区のここだったら5枚獲得したとか。この蛍光ペンでちょんちょんってやっているところが反応がよかった場所です。そういったところに次回は集中的にまきました。
例えば0だったところもあったりして、じゃあここは外そうかなとか。無駄なコストをかけずに、効率的にやるように心がけています。
司会者:その今、4とか3とか2とか5とか、使われたクーポン枚数の数字がありましたけど、その数字の重みって大きいですね。1桁、されどですよね。
門傳:そうですね。
司会者:わかりました。そういった一つひとつの記録を取ったり試みたりが、今の結果にも活きているんでしょうね。そういう意味では、データをしっかりと取っておくことは必要ですかね?
門傳:そうですね。わからないところを明らかにしていくのは大事だと思います。
司会者:わからないところを明らかにする。ありがとうございます。
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