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大企業No.1セールスパーソンが語る!明日から始められるセールスイネーブルメント!(全5記事)

大企業トップ営業マンが語る、ハイパフォーマーを生む仕掛け やるべきことを見える化させる毎日3分の「朝メール」

企業の「営業力」を強化するには、各セールスパーソンの努力だけでなく、組織としての働きかけるための「セールスイネーブルメント」が必須です。そこで今回は、ユームテクノロジージャパン株式会社主催で行われた、営業のプロ・学びのプロの4名によるセッションの模様を公開。大企業のトップセールス経験者から、圧倒的な成果を出す秘訣や、営業スキルを会社全体に広げるためのポイントを学びます。本記事は、若手からミドルシニアまで様々なメンバーをマネジメントするときに意識している「ハイパフォーマーを生み出す仕掛け」について語りました。

営業チームからハイパフォーマーを生み出す仕掛け

今井晶也氏(以下、今井):ではちょっと時間もきてますので、次のテーマにいきたいと思います。前半のテーマでは、トップセールスのみなさんの考え方やTipsに触れていきましたが、今度は「ハイパフォーマンス」です。みなさんがトップなのはわかりましたが、みなさん以外のトップセールスをどうやって作っていくのかという、「ハイパフォーマーを生み出す仕掛け」についてお話をしていきたいなと思っています。

特に若手とか、あとミドルシニアと呼ばれる40代前後の方々をメンバーに持ったりされたと思いますので。年上の方をマネジメントする時にどんな意識を持っていたかとか、そんなところをお聞きしたいんですけれども。

順番をさっきと逆にして、先に岩田さんから聞いてみてもいいですか。

岩田圭弘氏(以下、岩田):はい、ありがとうございます。僕はこの「4DX」というところで、右側に書いてある『戦略を、実行できる組織、実行できない組織。』という本がめちゃくちゃ参考になったと思っています。あとはやっぱり「個人の価値観をしっかりと掴む」ところですね。これが非常に肝になるかなと思ってます。

まず1つ目に「価値観を掴む」ですね。それこそ年齢が高い方も若手の方も、やっぱり「人生でやりたいこと」が絶対にあるはずなんですよね。なのでそこを掴まないことにはモチベーションアップもできないかなと思っています。将来どうなりたいのか、しっかりと話し合う時間を設ける。結局「それを達成するためには今がんばらないといけないよね」みたいな感じになるんですけど(笑)。

将来やりたいことってけっこう高い目標なので、そこをちゃんと最初の1on1で掴んで、それから月ベースで「将来やりたいことの達成に向かえてるかどうか」を話し合う時間をしっかりと設ける。これが大事かなと思ってます。

日々の進捗を見える化する「先行指標」と「遅行指標」

岩田:2つ目ですね。これはまさに4DXみたいなことなんですが、「やることをフォーカスする」ことですね。やはり営業施策もあれやこれや、こうやらないと、ああやらないとって、けっこういろんな「やること」があると思うんですけど。まずその営業施策の観点で、やることをせめて2つぐらいに絞る。

あと僕は「朝メール」を習慣化してやっていました。決めた営業施策がどうなってるかという進捗を、デイリーベースでメンバーに伝える。大事なことを繰り返し伝えるところを習慣化してやってました。

今井:いいですね、朝メール。

岩田:3つ目が「日々の進捗の見える化」をやってまして。ここに先行指標とか遅行指標って書いてあるんですけど、例えば商談の獲得率って自分たちではどうしてもコントロールできないので、遅行指標になるんです。

先行指標は、上司の代打率を何パーセントにするみたいな指標は、自分たちの行動で変えられる指標です。この2つを設定して、しっかりとビジュアルのスコアボードで毎日更新していって、忘れないようにするところですね。

「自分たちの努力が見える指標」を設定することが大事

今井:僕は先行指標の考え方って今までそんなに触れたことがなかったんですけれども、もう少し具体的なケースで言うと、例えばどんな会議体とかで話し合いがされるんですか。

岩田:会議体で言うと、一応キーエンスの時は月初会議・中間会議があるので。そこはだいたい1.5時間ぐらいかけて、ちゃんと今のKPIとか商談状況がどうなってるかという確認はしていました。ここの4DXにも書いてあるのが、やっぱり月2回じゃなくて、毎日見える化することが非常に大事って言われています。しっかりと毎日、デイリーで更新していく。

で、やはり先行指標。さっきの「商談獲得率を上げる」みたいな目標があっても、そこってコントロールしきれないので。ちゃんと自分たちの努力が実る、見える化される遅行指標を設定することが大事って言われていました。

さっきの商談獲得率もそうですし、商談化率とかで言うと、例えばAという業種の確率がよかったら、そのA業種への訪問シェアを何パーセントにするとかですね。これは各自で目標にできるところなので。

今井:「遅行指標」は実際にやってみた実績とか結果で、「先行指標」は目標とか目指したい数字というイメージですか?

岩田:そうですね、KGIとKPIみたいな考え方になると思います。ゴールに対してどういう取り組みをしたらそのゴールの指標が上がるのか、みたいなところなんですけど。ただ、ゴールの指標って自分たちじゃコントロールできないよねっていう問題があったので、ちゃんとコントロールができる指標に対しては見える化をして、進捗を追いかけるという考え方ですね。

繰り返し伝えることで徹底度が上がる「朝メール」の習慣

今井:ありがとうございます。今視聴者の方からチャットをいただきまして、「朝メールについて説明いただけませんか」というお話をいただいてます。

岩田:ありがとうございます。朝メールに関しては、僕が単純に毎朝営業メンバー全員にメールを送るってだけなんですけど(笑)。ただ、さっきの重点の施策とかがあるので、ここの進捗の見える化をしています。

やっぱりオンラインになってくると、毎朝顔を合わせてホワイトボードの前で集まることができないので、毎朝ちゃんと「重点の施策はこの2つです」「2つの現在の進捗はこうです、課題はこうです」と伝えることが大事だと思っています。あとは、モチベーションアップの一言をまとめてメールすることですね(笑)。

今井:でも、それは大事だなぁ。特に、重点施策を何度も何度も伝え続けるって大事ですよね。

岩田:そうですね。やっぱりみんな忙しいので、3日4日ぐらい経つと認識が薄れていきますね。本当にしつこいぐらい毎日毎日やらないといけないなと思って、習慣化してやっています。

今井:なるほど……ちょっと耳が痛いなと思いました。僕もやんなきゃなって(笑)。

岩田:(笑)。これは言うは易しですね。自分も毎日3分ぐらいですが、時間をかけて作っています。それなりに時間はかかるんですけど、でもこれはすごく大事なことだなって自分の中でも感じることができました。繰り返し伝えることでちゃんと徹底度も上がるなって感じたので、僕もちゃんとやっていましたね。

社内デジタル化の推進にも「朝メール」が有効

今井:伝えた気になって満足しちゃっているケースって、多いですもんね。

岩田:本当にそうなんですよ。「言ったのになんでやらないんだ」みたいなことですね。それはやっぱり、見える化がちゃんとできてないから、誰も意識しないということが要因です。そこをちゃんと潰しにかかる仕組みを作ってたところですね。

今井:確かに。太谷さん、なにか気になることはありますか?

太谷:今の「朝メール」、本当にすばらしいなと思っていて。実はちょっと例を挙げると、デジタル化を推進するって言っても、社内のペーパーレスとか、いろんなことが推進できないという話が世の中であって。

成功事例をいろいろ聞くと、やっぱり朝メールというか。メールで進捗を毎日か数日に1回送り続けることで、意外とデジタル化って推進できるんです。そことなにか似てるところがあるなって思って聞いていました。やっぱり毎日毎日言われると、しかも進捗を見られると、誰でも「がんばらなきゃ」「やらなきゃ」ってなります。営業も一緒だなって思いました。

今井:本当にそうだなぁ。「こういう施策をやる」って言った以上、指示したほうには、その状態がうまくいっているのか、どういう状況にあるのかを見せる義務がありますよね。じゃなきゃやってくれないよ、って話ですよね。

岩田:そうですね(笑)。みんなで話し合って決めたことなので、責任者が責任をもってちゃんと毎日追いかけていくことが大事かなと思います。

オンライン下でのマネジメントの工夫

今井:あともう1個ご質問でいただいたのが、「オンライン下で、メンバーのマネジメントについて取り組まれていることや仕組み化されていることで、朝メール以外でなにかあれば」ということです。これ、もしよろしければ岩田さんだけじゃなくて、太谷さんもお話しいただけますか。

岩田:じゃあ僕から言うと、これはちょっと賛否両論あるかもしれないんですけど……(笑)。Zoomでつなぎっぱなしにしているんですよね。今はWebソフト上で、自分のアイコンを持っていたら話せるサービスとかあるので、ああいうのを使ったほうがいいような気がするんですけど。

ただ、特にインサイドセールスって、本当に毎日電話して、酷い断られ方をするとやっぱり落ち込んでとかがあるので。そういうことを共有できるような、ずっと話せるような場を設けていたところです。

今井:なるほど。太谷さん、なにかありますか?

太谷成秀氏(以下、太谷):シンプルですけど意外と大企業で進んでいないのは、やっぱりTeamsかSlackか、そういったコミュニケーションを取れるツールですよね。それとセットでやるのが非常に重要で、気軽に聞きたい時はTeamsとか、そういったチャットでやる。で、意外と進捗とか大事なことは、そういったチャットではなくてメール。私の中では、それを使い分けることが大事かなって思いましたね。

今井:なるほど。ちなみにユームさんとか松田さんのところで、なにかやられてることってありますか?

松田しゅう平氏(以下、松田):もしよろしければ、少し画面共有しながらご紹介させていただければと思います。かなり先ほど岩田さんがおっしゃっていたことと近いんですけども、私たちも朝メールというか、もうちょっとカジュアルなものでみんなで学ぶ機会を持っています。

学習に積極的な人は成績が伸びる

松田:例えば、私たちの持っている「ラーニングサークル」というツールを使っているんですけど、もちろんTeamsとかSlackとかでもできる方法です。どういうものかというと、私からほぼ毎朝、問いを投げかけるんですね。

問い合わせがきた時に自分が答えた動画を残しているので、それを社内学習用にロープレできるようにしておくんですね。こうやって朝投げかけをして、実際にやった回答を夕方ぐらいに出してあげると、それまでにみんなも自分で答えを考える。なので問いを投げかけるという習慣をやっています。

実際、みんなが学んだ状況を裏で確認することができます。ちょっと弊社の社員の名前が出ちゃってますけど、ほとんどの人が100パーセント達成してますね。動画の視聴記録とか、クイズの点数もわかるんですね。

先ほど岩田さんから「先行指標」という話があったんですけど、こういった学習にすごく積極的に取り組んでロープレとかをがんばっている人は、入社してから半年ぐらいするとすごく成績が上がることがわかってきたんですよ。

そうすると、ふだんの配属後の活動の先行指標の設定はまた別にするとして、入社してからの研修状況で、この人は伸びる、伸びないっていうのが、学習設計によってすごくわかってくるようになりました。これはけっこう大きいなと思っています。

今井:なるほど、これはいいですね。実は似たようなことを僕もやってはいたんですけど……3日で終わりました。

(一同笑)

これやっぱり、続けることが大事なんですよね。今度社内で、『Sales Is』クイズやろう。ありがとうございました。

(一同笑)

今井:UMUでぜひ作ってください。

松田:あ、確かに。そうですね、承知しました(笑)。

施策を形骸化させないための「ピアプレッシャー」

今井:すみません。お待たせいたしました。今度は太谷さんにお聞きしたいと思います。ハイパフォーマーを生み出す仕掛けですね。

太谷:ちょっとその前に、今の松田さんの事例はすごくいいなと思って。ああいうのって課題になるのが、展開しているけどみんなやらないという、形骸化することが一番あると思うんです。

やっぱりさっきみたいに進捗がちゃんと出て、誰がどのぐらいやったか。それをちゃんと追ってみんなに共有して、「あぁ自分はできてないんだ」「周りがやっているんだ」と見える仕組みが一番大事だなって、あらためて思いました。だからこそこれ(ユーム社員の学習達成率)が100パーセントなんだなと納得しました。

松田:私たち、「ピアプレッシャー」と呼んでます。つまり横のプレッシャーです。上からのプレッシャーだと響かないことが多いんですよね。

太谷:わかりやすい。テレワーク率を上げるのも本当にそれで、横のプレッシャーがあるとすぐに改善してきますよね。なるほど。ピアプレッシャー、ちょっといただきました。

松田:徹底的にパクってください!(笑)。ありがとうございます。

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